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安倍内閣不信任決議案に対する賛成討論(原稿)


平成30年7月20日
無所属の会 岡田 克也

無所属の会の岡田克也です。私は、会派を代表し、ただいま議題となりました安倍内閣不信任決議案について、賛成の立場から討論を行います。

 まず、この国会を振り返ってみても、安倍総理、あなたが内閣総理大臣失格であることは明らかです。

 その最たるものが、森友・加計学園の問題です。安倍総理と昭恵夫人のあまりにも軽率な言動に端を発したこの問題は、ついに、国会での財務省局長の虚偽答弁、公文書の改ざん、隠蔽、破棄という前代未聞の不祥事にまで発展しました。議会制民主主義国家として、あり得ないことが起こったのです。安倍総理は、「行政府の長として国民にお詫びする」と白々しく繰り返しています。しかし、これはあなた自身の問題、あなたは当事者そのものなのです。日本国総理大臣として、あまりにも見苦しく、あまりにも恥ずかしい姿であり、これだけでも辞任に値します。

 カジノ法案の強行も、全くひどい話です。本来、賭博罪となる民間企業のカジノが、なぜ合法化されるのか。そもそも、なぜ成長戦略なのか。基本的なところで説明がないまま、そして、国民の7割が今国会での法案成立に反対するなか、昨日、参議院で委員会採決が強行されました。安倍総理が、なぜ異様なほどの熱意を持ってカジノを推進しようとしているのか。本当の狙いは何なのか。私だけではなく、国民の多くは全く理解できないのです。

 極め付けが、参議院選挙制度の改悪です。自民党は、法律で「必ず実現する」と明記した選挙制度の抜本改革に真剣に取り組むことなく、いたずらに時間を浪費してきました。そして、会期末のどさくさに紛れて、定数6増という驚くべき内容を含む法案を、半ば強行に成立させたのです。選挙制度は国民の意見を国政に反映させるための根幹となるものであり、このような党利党略はあってはならないことです。総裁3選を目指す安倍総理が、参議院自民党の支持を取り付けるために容認したとの声があることには、怒りを通り越して、悲しみすら感じます。そこまでして、総裁選挙を有利に戦いたいのでしょうか。

 以上、この国会における対応だけ見ても、安倍総理が内閣総理大臣として不適格であることは明らかです。このことに加えて、内閣発足から5年半、安倍総理の基本姿勢について、根本的な問題を指摘します。

 第1に、一言で言えば、安倍総理の5年半は、大きなチャンスがあったにもかかわらず、将来のために今必要な改革を先送りし、日本の衰退に歯止めをかけることができなかった時代として記憶されることになると、私は確信しています。

 急激な人口減少と深刻な財政赤字、この問題を解決することなくして、日本の将来を明るく展望することはできません。世界経済が順調に拡大したこの5年半、安倍総理は本格的な改革に取り組むことなく、時間を無為に過ごしてきました。安心して結婚し、希望を持って生活できるための改革や、歳入増と歳出削減のための改革は、先送りの連続です。

 先般発表の骨太方針では、プライマリーバランスの黒字化目標を2020年度から5年先送りしました。それだけではありません。安倍総理は、消費税の使途を拡大したことで、当初の財政健全化計画が困難になったと未だに強弁しています。しかし、消費税の使途拡大に伴う歳出増は1.7兆円であり、5年先送りの説明には全くなっていません。努力不足だったと正直に国民に説明すべきです。

 歳出削減の努力についても、社会保障費の増加をその場しのぎで抑制してきただけです。団塊の世代が75歳以上となる2025年問題があるなか、年金・医療・介護それぞれの制度改革は待ったなしですが、安倍総理が本気で取り組んでいるとはとても思えません。これで本当にいいのでしょうか。

 第2に、外交について、安倍総理の外交は様々な点で行き詰まっています。まずは日露両国関係を経済面で深める、ということでスタートしたはずの北方領土における共同経済活動ですが、目に見える進展がありません。北方領土に進出する企業の選定に入ると言いつつ、どのような法律関係がその企業に適用されるのか、未だに明確になっていません。いくらプーチン大統領との親密な関係を強調しても、北方領土問題は何ら進展していないのです。

 拉致問題を含む日朝交渉や北朝鮮の非核化も先が見えません。トランプ大統領が「圧力」と言えばその尻馬に乗り、「対話」と言えば手のひらを返して日朝首脳会談を模索すると言う。これでは北朝鮮との信頼関係を築くことは困難です。ポンペオ国務長官の発言からも、非核化のための交渉が長引くことが懸念されますが、これは日本の安全にとって重大な事態です。安倍総理から国民に対して何の説明もないのは、なぜなのでしょうか。日本外交は一体どこに行ったのでしょうか。

 そもそも、アメリカファーストを唱えるトランプ大統領のもとでの日米関係について、安倍総理はどう考えているのでしょうか。今後本格化する、自動車をはじめとする通商・貿易問題で、関税引き上げなどの理不尽な要求をどう退けていくのか、そもそも、それだけの気力が安倍総理にあるのか、強い懸念を持たざるを得ません。

 第3に、安倍総理は自らの保身と権力維持が自己目的化しています。そして、そのためには手段を選びません。驚くべきことです。

安倍総理のもとで行われた国政選挙に、そのことが象徴的に示されています。2014年の総選挙と2016年の参議院選挙は、消費税の引き上げを先送りすることを選挙の争点としました。負担の先送りをまるで国民へのプレゼントであるかのように選挙を戦い、勝利したのです。昨年秋の総選挙も同様に、消費税の使い道を拡大することを強調した選挙が行われました。国民の消費税に対する嫌悪感を利用し、負担を先送りすることで選挙を有利に戦おうなど、恥を知れと言いたい。

 「女性活躍」、「地方創生」、「アベノミクス新3本の矢」、「1億総活躍」、「人づくり革命」、「生産性革命」──。果たして、国民の皆さんはどれだけ記憶されているでしょうか。そのほとんどが言いっ放しであり、その場しのぎです。政策として必ず実現したいという思いの中で打ち出された言葉ではなく、自らの政権維持のために考え抜かれたキャッチフレーズにすぎないのです。

5年半が経過するなかで、安倍政権が残したものは何だったのか。今後ともこのやり方で日本に未来はあるのか。今こそ、国民1人ひとりが考えなければなりません。自民党の皆さんも同じです。

安倍総理、日本の将来のために、これ以上あなたに日本国総理大臣を続けさせるわけにはいかないという思いは、多くの国民に共有されています。今こそあなたは退陣すべきなのです。以上、私の安倍内閣不信任決議案に対する賛成討論といたします。




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