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平成29年11月21日 第195回特別国会 所信表明演説に対する衆議院本会議代表質問(議事録)

○岡田克也君 私たちは、さきの総選挙で無所属で戦い、小選挙区で勝ち抜いてきた十三名から成る会派、無所属の会です。
 私は、無所属の会を代表し、安倍総理の所信表明演説について質問いたします。(拍手)
 まず、外交、安全保障について質問します。
 今、日本が直面する安全保障上の最大の課題は北朝鮮問題です。安倍総理は、さきの所信表明演説で、北朝鮮にその政策を変更させるため国際社会とともに圧力を一層強化する旨述べました。私も基本的に同意見です。
 その上で、幾つか懸念すべき点がありますので、以下、具体的に質問いたします。
 先般、安倍総理は日米首脳会談を行い、その後の記者会見で、今後とるべき方策について完全に見解の一致を見たと述べました。しかし、具体的な問題について両首脳間でどういう議論があったのか、明らかにされていません。
 そこで、お聞きしたいと思います。
 例えば、ティラーソン国務長官が述べている北朝鮮に体制転換は求めないという考えは、日米首脳間の共通認識なのでしょうか。安倍総理自身はどう考えているのでしょうか。また、朝鮮半島有事における六万人の在韓邦人の退避計画について、トランプ大統領との間でどのような議論が行われたのでしょうか。在韓邦人は安心していてよいのでしょうか。それぞれについて、安倍総理の答弁を求めます。
 朝鮮半島で軍事衝突が発生した場合の甚大な犠牲は明らかです。先月末の米国の議会調査局報告書では、北朝鮮が通常兵器のみを使用する場合でも、軍事衝突の最初の一日だけで、ソウルで三万から三十万人の民間人が死亡するとの想定がなされています。日本が直接の標的となる可能性も高いと言わざるを得ません。
 国民の命と平和な暮らしを守ることが内閣総理大臣の最大の使命であることは論をまちません。少なくとも、先制的な軍事行動は選択肢から排除するようトランプ大統領を説得することこそが、安倍総理、あなたがなすべきことではないですか。
 全ての選択肢がテーブルの上にあるとのトランプ大統領の立場を一貫して支持していると安倍総理の発言がありますが、余りにも軽率であり、撤回すべきです。安倍総理の答弁を求めます。
 先月二十九日に予定された航空自衛隊観閲式に、核兵器搭載が可能な米空軍B2戦略爆撃機が初参加するとの報道がありました。結局、台風の影響で観閲式そのものが中止となったのですが、この報道にあるとおり、日米間で調整がなされた事実はあるのでしょうか。安倍総理の答弁を求めます。
 核兵器を持ち込まないという非核三原則をめぐる日本政府のうそは、私が外務大臣のときに行った核密約の調査によって明らかになっています。B2戦略爆撃機が日本に飛来すれば、同じことの繰り返しになります。核兵器が搭載されているか否か、米国政府は決して明らかにしないはずです。朝鮮半島有事において、在日米軍基地から飛び立ったB2戦略爆撃機が核爆弾を投下するということが起こり得る重大問題です。
 核兵器搭載が可能な戦略爆撃機が日本に飛来することは認めるべきではありません。安倍総理の答弁を求めます。
 日本にとって重要な同盟国の大統領であるトランプ氏と、ある程度共同歩調をとることは必要でしょう。しかし、トランプ大統領はオバマ前大統領の政策の多くを否定しています。
 そこで、安倍総理にお聞きしたい。
 第一に、大統領がかわって、米国の政策が大きく変わったにもかかわらず、変わることなく米国の政策を支持している安倍総理の姿勢は、結局、日本には独自の外交政策が存在しないということなのでしょうか。
 第二に、安倍総理が日本外交の基本方針として一時期盛んに唱えた価値観外交、すなわち、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的な価値に基づく外交は一体どこに行ったんでしょうか。
 第三に、米国にひたすら追随する安倍総理の外交姿勢が、国際社会における日本の存在を小さくし、国益を損ねているのではないかと私は強く懸念しています。
 以上の三点について、総理の答弁を求めます。
 次に、内政について質問します。
 安倍総理は、さきの総選挙で、人口減少問題を国難と主張しました。極めて重要な問題であるという認識は私も共有します。待機児童解消に向けた保育所整備の加速化など、働きながら子育てできる環境整備を行うことが、結果的に人口減少を抑制することになります。また、幼児教育の無償化など教育費の負担軽減も大切です。ここまでは安倍総理も提案しています。
 しかし、それだけでは危機的状況にある少子化対策として十分ではありません。日本の少子化、人口減少の根本原因は、未婚化、非婚化にあるからです。
 一九九〇年に十人に一人だった日本人男性の生涯未婚は、今や四人に一人になっています。人口減少問題のより根本的な原因は、結婚を望みながら経済的な理由で諦めている人が数多くいることです。この点、安倍総理も同様の認識でしょうか。答弁を求めます。
 生涯未婚が大幅にふえている大きな原因は、雇用が不安定化し、所得が減少していることです。
 具体的に数字を挙げます。
 三十歳から三十四歳の男性で結婚している人の割合は、非正規雇用では二三・三%であり、正社員の半分以下です。
 そういう中、非正規雇用の割合は、一九九〇年の二〇・二%から、現在は三七・五%とほぼ倍増し、特に二十五歳から三十四歳の男性は、一九九〇年の三・二%から一五・八%へと激増しています。この現実をどう考えているのか、安倍総理の答弁を求めます。
 安倍政権が強行した一昨年九月の労働者派遣法の改悪などがその後押しをしてきました。明らかに誤った政策です。より安定した働き方を可能とし、格差を是正することこそが人口減少に歯どめをかけるために抜本策であるとの認識を共有し、大きく政策転換する覚悟があるか、安倍総理の答弁を求めます。
 人口減少問題と並ぶ日本の内政上最大の課題は、財政健全化問題です。しかし、安倍総理のこの問題への対応は先送りの連続であり、極めて不十分です。所信表明演説でも具体策に全く触れていません。私は驚きました。
 安倍総理は、消費税増税分の使途変更を財政健全化目標が達成できなくなる理由としています。しかし、それは、その使途変更がなくとも、二〇二〇年度のプライマリーバランスは八・三兆円もの赤字になるというのが従来の政府試算です。そして、今後三年間でその赤字を埋める具体策は政府によって何も示されていません。安倍政権の財政健全化目標は、とうに破綻していたのです。そのことを正直に認めるべきと考えますが、安倍総理の答弁を求めます。
 財政の健全化は待ったなしです。このままでは、次世代に大きな負担を強いるのみならず、今の世代の社会保障制度の持続可能性すら危ぶまれる状況にあります。一体、いつ新たな財政健全化目標は示されるのでしょうか。その際の目標年限はいつにするのでしょうか。安倍総理の答弁を求めます。
 その上で、三点、私から具体的に提案しておきます。それぞれについて、安倍総理の答弁を求めます。
 第一に、プライマリーバランス黒字化の目標は必ず残すべきです。
 第二に、歳出削減のさらなる深掘りや税制改革による歳入増を柱とした堅実な財政健全化計画とすべきです。とりわけ、主要歳出項目について、具体的な歳出削減計画の策定が必要不可欠です。
 第三に、安倍政権で膨張する財政が何とか持ちこたえているのは、日銀の超低金利政策によって国債の利払い費が抑えられているからです。
 しかし、いつまでもゼロ金利の時代が続けられるわけではありません。名目長期金利が正常化すれば国債の利払い費が急増し、その結果、仮にプライマリーバランス黒字化を達成したとしても、財政収支全体の赤字はさらに拡大するという状況に陥りかねません。
 新たな財政健全化計画では、低金利による国債の利払い費の抑制分は、歳出増に充てるのではなく、国債発行の減額に充てるという原則を確立すべきです。
 以上の私の提案について、安倍総理の答弁を求めます。
 安倍総理は、与野党の枠を超えた建設的な政策論議を呼びかけました。賛成です。お互い、国民にとって意味のある、しっかりとした国会議論を行おうではありませんか。
 そのためには、安倍総理によく考えていただきたいことを三つ指摘します。それぞれについて、安倍総理の答弁を求めます。
 第一に、建設的な議論を行うためには十分な時間が必要です。野党の質問時間を大幅に削減するのは大きな間違いです。
 与党だけではありません。菅官房長官は記者会見で、国会議員が等しく質問できるよう議席数に応じて配分するのは、国民の側から見てもっともな意見だと発言しました。都合のいいときだけ国民を持ち出し、かつ、国会運営に政府が口を出すものです。私は強い違和感を覚えました。
 この官房長官の記者会見発言を安倍総理はどう受けとめているのか、答弁を求めます。
 第二に、野党との論戦に当たり、国民に対して答弁するという気持ちを忘れないでいただきたい。安倍総理には逃げの答弁が目立ちます。国民の疑問に対して正直に説明することがなければ、安倍総理に対する国民の信頼は決して戻りません。
 安倍総理はこの点をどう考えているのでしょうか。答弁を求めます。
 第三に、安倍総理は、民主党政権時代の批判や野党攻撃が得意です。時には、野党議員に向かってやじられることもあります。
 しかし、野党の主張にも謙虚に耳を傾け、敬意を払い、よい提案については取り入れる度量の広さを歴代総理大臣は示してきました。
 私は、安倍総理にその姿勢が決定的に欠けていると思います。国会における建設的な議論を拒否しているのは安倍総理ではありませんか。その姿勢を改める決意をぜひこの本会議場で聞かせていただきたいと考えます。
 以上、安倍総理の見解を求め、私の代表質問といたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 岡田克也議員にお答えをいたします。
 北朝鮮問題における日米連携についてお尋ねがありました。
 国民の命と平和な暮らしを守り抜くことは、私の最大の使命です。私は、考えに考え抜いた上で、北朝鮮の挑発に屈することなく、毅然とした外交を通じて、北朝鮮の政策を変えさせるとの覚悟で取り組んでおります。
 もとより政府として、他の国、地域の体制を力により転換することを目標として掲げたことはありません。米国の今後の対応を予断することは差し控えますが、日米間で、北朝鮮問題への対応に関し緊密に連携してまいります。
 邦人の退避と保護について、米国とは、日米防衛協力のための指針も踏まえ協力を進めてきていますが、具体的な内容は、事柄の性質上及び相手国との関係もあり、差し控えさせていただきます。
 我が国は、全ての選択肢がテーブルの上にあるとのトランプ大統領の立場を一貫して支持しており、それは今も変わりありません。北朝鮮に政策を変えさせるため、日米で協力して、あらゆる手段を使って圧力を最大限にし、北朝鮮から対話を求めてくる状況をつくっていくことが必要です。
 米軍のB2爆撃機の航空観閲式への参加及び非核三原則についてお尋ねがありました。
 航空観閲式においては、自衛隊機に加え、同盟国の米軍機も参加するのが通例です。B2爆撃機の参加を含め、日米間で緊密に連携して調整していました。また、B2爆撃機の航空観閲式への参加調整に際しては、米側に対し、航空ショーにおける上空飛行を行う航空機は武装していないということを確認しています。
 いずれにせよ、政府としては、非核三原則を国是として堅持しており、これを見直すことは全く考えておりません。
 我が国の外交姿勢及び日米関係についてお尋ねがありました。
 米国の大統領がオバマ前大統領からトランプ大統領に交代しても、強固な日米同盟と米国のアジア太平洋へのコミットメントは不変です。我が国は一貫して米国のこの姿勢を強く支持しており、これは、独自外交が存在しないことを意味するのではなく、まさに日本外交の礎がぶれないことを示すものであります。
 アジア太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、自由や民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々と力を合わせながら、日本の安全保障と地域の繁栄を確保するとの考え方も、いささかも変わりはありません。
 トランプ大統領訪日の際には、かねてより日本が提唱している、自由で開かれたインド太平洋戦略を日米で協力して進めることで一致をいたしました。
 この自由で開かれたインド太平洋戦略については、私もさまざまな場で政府の基本的考え方を述べてきたところでありますが、この戦略はまさに普遍的価値の上につくり上げられた戦略であることは言をまたないわけでありまして、日本がかねてから主張していたこの基本的な戦略を、米国もともに進めていくことで一致したところでございます。
 我が国は、引き続き、地域や国際社会における諸課題に対する明確なビジョンを示し、リーダーシップを発揮してまいります。
 非正規雇用についてお尋ねがありました。
 非正規雇用を取り巻く雇用環境については、不本意ながら非正規の職についている方の割合は前年に比べて低下し続けている、働き盛りの五十五歳未満では、二〇一三年から十九四半期連続で、非正規から正規に移動する方が正規から非正規になる方を上回っているなど、着実に改善をしています。
 非正規から正規への転換などを行う事業主へのキャリアアップ助成金などを通じ、今後も正社員転換をより一層進めてまいります。
 また、同一労働同一賃金の実現、長時間労働の是正など、働き方改革に取り組んでまいります。
 さらに、再来年十月に引き上げが予定される消費税の使い道を見直し、子育て世代、子供たちに大胆に投資してまいります。
 なお、先般の労働者派遣法改正は、派遣労働者の雇用安定とキャリアアップ、均衡待遇措置の強化などを内容とするものであり、改悪とは考えておりません。
 財政健全化についてのお尋ねがありました。
 政府は、消費税率引き上げ分の使い道を見直し、子育て世代、子供たちに大胆に投資をするとともに、社会保障の安定化にもバランスよく充当することとしております。これにより、プライマリーバランスの黒字化の達成時期に影響が出ることから、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化は困難となります。
 ただし、財政健全化の旗は決しておろさず、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持してまいります。
 岡田議員からもさまざまな御提案がございましたが、この目標の達成に向け、これまでの経済・財政一体改革の取り組みを精査した上で、プライマリーバランスの黒字化の達成時期、そして、その裏づけとなる具体的かつ実効性の高い計画をお示ししてまいります。
 国会での建設的な議論に関し、官房長官の発言、私の答弁姿勢、野党に対する姿勢についてお尋ねがありました。
 御指摘の官房長官の発言は、国会がお決めになることを前提とした上で、あくまで一般論として述べたものであると承知しております。私も、内閣総理大臣の立場でこれ以上のコメントは差し控えます。
 国会における審議については、議員御指摘のとおり、国民の皆様がそのやりとりを見詰めており、私も含めて全ての国会議員が国民の負託に応えられるような真摯で建設的な議論を行うべきと考えております。
 ただ批判に終始するのではなく、与党、野党の違いを超えて、相手の主張にも謙虚に耳を傾け、敬意を払い、よい提案については取り入れる、そうした努力の中から、困難な課題にも答えを見出し、国家国民のために結果を出していくことができると考えております。
 ぜひ、無所属の会の皆さんとも、正々堂々、建設的な議論を行わせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)




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