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2015.11.19|記者会見

岡田克也代表定例記者会見(11月19日)⇒ https://www.youtube.com/watch?v=Occa0p-emcQ

岡田克也代表記者会見
2015年11月19日(木)14時00分~14時30分
編集・発行/民主党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。


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■冒頭発言
○臨時国会の開会を改めて要求
○「2期連続マイナス」7-9月期GDP速報値について
○補正予算について
■質疑
○民主党の経済政策・財政政策について
○臨時国会の開会要求について
○パリ同時多発テロを受けた危機対応の議論について
○民主党の農業政策について
○次期参議院選挙の日程について
○野党協力・野党結集をめぐる議論について
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■冒頭発言

○臨時国会の開会を改めて要求

【代表】
 私からはまず、臨時国会の開催について。憲法53条をもう一回しっか
りと読み直してください、と申し上げたい。臨時国会、(いずれかの院の
総議員の)4分の1の要求があれば、これを開かなければならないと書
いてあるわけで、にもかかわらず通常国会まで国会を開かないというこ
とは明確な憲法違反である。そして、さまざまな課題が山積する中で開
かないというのは、国民に対して説明責任を果たしていないということも
あわせて申し上げておきたい。この点はこれからもしっかりと求めてい
きたい。

○「2期連続マイナス」7-9月期GDP速報値について

【代表】
 それから経済、景気の状況ですが、先般出た7-9月期のGDP速報が
2期連続マイナスになりました。昨年度も通年でマイナスですので、ここ1
年半マイナスが続いていることになります。総理の言うような「アベノミク
スの結果として好循環が始まった」とは、とても言えない状況であること
は誰の目にも明らか。国民の実感は「そもそも生活がよくなったとは思え
ない」という方が圧倒的ですが、それが数字でも裏付けられているという
ことだと思います。
 予算委員会でも申し上げましたが、特に実質所得。ここ2、3ヵ月、物価
を上回って名目賃金が伸びているということはありますが、しかし、それが
しっかり定着しているわけではもちろんありません。しかも働き方で非正
規が増えているという状況、そういう中で消費がよくなるはずがない。
 それからもう一つ、設備投資。これも利益が上がっているにもかかわら
ず、国内における投資につながっていないという問題があります。
 私はこの点で非常に不思議に思っているのは、これから年末にかけて
法人税の税率を下げるという話が出てくると思います。その財源に、投資
減税をやめると、これは全く逆だと私は思います。もし投資を喚起すると
いうことであれば、それはより強力な投資減税を行うべきで、法人税率を
一律に下げることは投資喚起につながらない。また、それは企業の中で、
投資にも回らずに、賃上げにも回らず、それが溜め込まれてしまうだけ、
あるいは海外への投資に向かうだけということになるのは明らかだと私
は思います。
 したがって、法人税率を下げるというのは安倍総理の最初からの関心
事項ですが、状況をしっかり見極めて、それが今必要な政策なのかどうか、
より効果的な政策があるということをしっかりもう一度考え直してもらいた
い。政府の中にそういう声はあちこちにあると私は思いますが、なかなか
総理にそういうことを言いにくい雰囲気もあるのではないかと思います。

○補正予算について

【代表】
 そういう中で、3兆円規模と言われる補正(予算)の話が出てまいりました。
中身はまだ詳細に承知しておりませんのでコメントいたしませんが、最初に
規模ありきではないだろうと思います。
 特に、当然のように毎年、税収見積もりよりも実際が上回ったということに
なると、それを使う。あるいは昨年度の剰余金を全額活用すると。本来、前
年度の剰余金の半分は国債の償還に充てるというのがルール。それも無視
して、とにかくカネが余ったらそれは当然使えばいいのだということでは財政
規律も緩んでしまう、これでは従来の自民党政権のやっていることと変わり
ない。
 自民党の政調会長が予算委員会の中で言われた「今行革をやらずして、
いつやるのか」というのは、私も全く同じ思いを共有しております。しっかりと
財政の立て直しについても前に進めていただかないと、国はもたないと思い
ます。

■質疑

○民主党の経済政策・財政政策について

【毎日新聞・田所記者】
 先週の会見で、年内にもマニフェストの骨格を作りたいという話だった。冒
頭、経済政策の話があったが、去年の衆院選みたいに「格差」を大きなテー
マで掲げることは今回もあるのか。

【代表】
 議論はこれからですが、私、今年の代表質問の時にも申し上げました。経
済成長は重要である、しかし、安倍総理のように「成長すればいい」というこ
とではなくて、再分配、格差の是正ということも同時に達成しなければならな
い。これが基本的な我々のスタンスで、そういう方針のもとにマニフェストに
ついては書くことになると思います。
 「経済成長」の中身は、安倍総理の言っていることともちろん同じではあり
ません。間違った成長戦略もありますから、成長戦略の必要性は我々は当
然認めておりますが、中身の一つ一つについては精査が要る。例えば労基
法の改悪とか、先の国会の派遣法の改悪とか、こういうものは成長戦略でも
何でもないと考えております。

【日本経済新聞・甲原記者】
 財政健全化の話もされたが、マニフェストにどういう目標を掲げていく、ある
いはどういう手段を書かれていくか。大きな方針などもしお考えがあれば伺い
たい。

【代表】
 基本的に我々は「2020年・プライマリーバランス黒字化」ということを確実
に達成する、そういう方針。これは安倍政権も形の上では同じなのですが、
それを確実にやるために行革もしっかり進めるということを申し上げていきた
い、訴えていきたいと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 法人税減税の話は、いわゆる榊原経団連が官民対話で、法人税減税して
くれたら投資もするよというか、今、利益の上がっている輸出企業を中心にし
た経団連企業の要求をという文脈だと私は思う。経団連企業がそれで投資を
するならば、法人税減税をしたらもしかしたら投資が増えるのかなということも
考えられるが、その辺の関係は代表はどうご覧になっているか。これは経団
連が言っているのを(政府が)真に受けているというふうに私は見ているが。

【代表】
 それを実現する手段はない。「法人税減税やったのだから、ちゃんと投資し
てよ」と、そこで終わってしまう話だと思います。
 そもそも、今、特に利益を上げている輸出関連企業、円安によって利益を
上げている、そういう企業がはたして国内でどれだけ設備投資をするのか。
もちろん環境によっては更新投資や省エネ投資はある程度期待できると思
います。しかし能力増投資が、例えば自動車産業であるのか。例えば新しい
工場を作ってそこで日本車を作るということが国内で、この前ホンダが新しい
工場を作りましたが、それ以降予定があるのかといえば、私はないのではな
いかと思います。輸出関連企業というのはグローバルに展開していますので、
設備投資も当然グローバルに考えて、日本は今は円安だとはいってもこれが
どこまで続くのかもわからない、しかも内需がこれから縮んでいくと思われる
中で、能力増投資をどんどんしていくということではないと私は思います。
 むしろ設備投資を求めるのであれば、輸出関連企業以外の業種・企業、
「内需型」というか、そこに求めていくべきだ。そこは法人税率を下げたから
どうという、いわば国際競争にさらされているのではなくて国内で競争してい
る、そういう企業にとって法人税の引き下げがどれだけ意味があることだろ
うかということもよく考えてもらいたいと思います。
 総理が話を聞いている人が偏ってしまっているのではないかと思います。

○臨時国会の開会要求について

【テレビ東京・小林記者】
 説明責任を果たしていない、これからもしっかり(開会を)求めていきたい
ということだったが、訴え方として具体的な戦略、予定していることはあるか。

【代表】
 今日は幹事長レベルでも街頭演説をやりますが、国民の皆さんに直接
訴えていく。これは明らかな憲法違反ですから、ぜひメディアの皆さんも「明
らかな憲法違反だ」ということを国民に伝えてもらいたい。誰が考えても53
条に違反することは明らかだと思います。

【共同通信・関記者】
 先ほど代表からも言及のあった、野党5党(1会派)の幹事長による都内
での街頭演説会だが、有権者に直接訴えかけていくという手法について、
今後、代表ご自身も含めていろいろな形で続けていくお考えか。

【代表】
 今日、幹事長レベルでやります。各都道府県連でもしっかりやってもらい
たいと既に伝えてあります。いろいろなレベルでやっていくことになると思い
ます。

○パリ同時多発テロを受けた危機対応の議論について

【NHK・花岡記者】
 フランスのテロ事件を受けて、自民党の高村副総裁や谷垣幹事長から、
共謀罪の新設について考えていかなればいけないというような発言が出た。
この点についてどうお考えか。

【代表】
 テロの問題と共謀罪が一対一に対応しているわけではありません。我々
も(かつて法案提出された)共謀罪について、その範囲を絞り込むというこ
とも提案してまいりました。テロを防ぐために必要なそういうものであれば議
論の余地はあると思います。しかし自民党は、もともと共謀罪を広くやりた
いということであって、このテロに便乗する形で今までの主張を全部実現し
たいと考えているとしたら、それは違うと申し上げなければならないと思い
ます。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 今のフランスはまさに行政国家で、今、超法規的な非常事態でしらみつ
ぶしの捜査をしている。3.11、岡田さんは与党にいる時に、まさに政権で
いろいろと経験したわけだが、この手の事件が日本で発生した時に、今の
法制で本当に国民の安心・安全というのが行政・政府は守れるとお考えか。
これは与党・野党ではなく、国家非常事態について民主党として、3.11の
経験を踏まえて何か提言するのが必要なのではないかと個人的に思うが、
いかがか。

【代表】
 3.11もありますが、私が念頭に置くのは9.11です。
 ですから、まず、日本で今回のフランスのようなテロ事件が起きた時に、
どこまで対応できるのか。法制上もっとしっかり対応しなければならないと
ころがあるのではないかという議論はNCの中でもきちんと議論するように、
先ほども政調会長とも話をしておりました。外交部門、それから国内で法
務部門とか、関係部門でしっかり議論をして、より適切に対応すべきだと
いうところがあれば、我々としても提案していきたいと考えています。
 他方で、9.11の時に要するにテロとの戦いだということになって、同時
に人権侵害とかさまざまな問題がああいう状況の中で一気に行われてし
まったという問題もあります。そこのバランスが偏らないようにしっかり目
配りしながら議論していかなければいけない問題でもあると思います。例
えば盗聴が幅広く行われ、アメリカ国民の盗聴までやられていたとか、い
ろいろな問題がそこから出てきたと思うのです。ですから、そこのバランス
のとり方も非常に大事だと思います。

○民主党の農業政策について

【フリーランス・横田記者】
 TPP対策関連で、自民党は土地改良事業費を民主党政権前に戻して2
000億円増額して、その分、所得補償を減らすと言っている。この政策に
ついてどう思われるか。現場の農家としても、所得補償、直接支払いを充
実してほしいという声もあるが、これからの農政についてどうお考えか伺い
たい。

【代表】
 我々、戸別所得補償、民主党政権の時にやったもの、これをベースにし
て改良して、もう一度行うべきだという考え方です。
 既に自民党はこれを半分にしてしまいました。我々は土地改良予算を大
きく削って戸別所得補償に使った、それを半分戻した。次のステップは、全
部やめて土地改良にそれをつぎ込むことになるのかもしれません。
 二つのことがあるが、まず土地改良について我々も全く要らないと言って
いるわけではない。ただ、かなりそれが非効率な予算の使い方になってい
るのではないかということを指摘していて、これだけの規模のものは要らな
いと考えています。
 戸別所得補償のほうは、やはり直接支払いは、ヨーロッパの農業の根幹
でありまして、その方向性は正しい。農家の皆さんもかなり評価をしていた
だいています。別にこれは零細な農家を助けるためにやっているわけでは
なくて、兼業農家にとっては必ずしもそれで赤字にならないという水準では
ないのです。我々はこの戸別所得補償制度でしっかりと、ある意味での規
模の拡大も図りつつ、競争力を持たせていく。そういう優れた制度だと考え
ている。

○次期参議院選挙の日程について

【時事通信・小松記者】
 今、取り沙汰されている6月23日公示という日程について、沖縄の慰霊
の日に当たるということで、沖縄県内で疑問の声が上がっているが、そうい
う日に選挙戦がスタートするという日程の見通しについて代表のお考えを伺
いたい。

【代表】
 まだはっきり決まったわけではないので、いろいろ予想の段階です。です
から、あまりそのことについてコメントするのは適切ではないと思います。7
月10日投票日というのも、それしか選択肢がないわけではないし、別にそ
のことが政府・与党からはっきりと伝えられているわけではないと私は思っ
ていますので、それ以上のコメントは控えたいと思います。

○野党協力・野党結集をめぐる議論について

【毎日新聞・田所記者】
 野党の連携というか再編について、生活の小沢代表が先日のラジオで、
生活・維新で先行して再編していきたいという趣旨の発言をした。民主が遅
いから、というニュアンスだ。これまで民主党は(野党)第1党・第2党の民主
・維新でまずしっかり連携していきたいという方針だったが、小沢代表の発言
についてどう受け止めるか。
(生活の小沢代表は)基本的には、維新と先行的に合流し、民主党に合流を
迫りたいという趣旨で、「民主の中でいろいろ意見があるので、オリーブの木
で行こうという結論を出すのは現状では難しい。民主以外の各グループ、維
新や無所属の人たちと一緒になって、まず一つのグループを作った上で、さ
あ、民主も一緒にやっていこう、としたい」と。

【代表】
 その「合流」というのは、何か党を一つにするとかそういう意味なのかどうか
もよくわかりませんので、不正確なもとでコメントするのはいかがかと思います。
民主党の考え方は基本的に今まで申し上げているとおりです。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 誰の話を聞くかで結論が変わるのが診療報酬改定の問題だと思う。これか
ら始まるが、民主党はマイナス改定という考え方なのか。医師会の話を聞け
ばプラスになるが、この問題というのは既に結論は出ているのか。

【代表】
 党の中ではまだ、少なくともNC(次の内閣)レベルまで上がってきた話はあ
りません。部会の中で議論しているかどうか私、承知しておりませんので、今、
代表の立場でコメントするのは難しいと思います。
 ただ、我々は全体の財政の健全化というのを非常に重視しておりますので、
重点化をしていかなければいけないということは一般論としては言えますが、
診療報酬そのものについて、あるいは診療報酬の中身について今コメントす
るのは控えたい。

【フリーランス・横田記者】
 前原誠司元代表は、大阪維新の橋下徹市長に関して、野党再編派だと思
っているとおっしゃっているが、大阪維新について野党共闘・結集の相手だ、
対象だと思われているのか。安保法制の一番の活況の時にお家騒動を起
こして、維新独自案で対決する姿勢よりも、官邸側にすり寄った、第2自民
党的な動きをしたようにも見えるが、岡田代表はどうご覧になっているか。

【代表】
 (大阪府知事・市長)ダブル選挙を目前に控えていますし、それから「おお
さか維新の会」でしたか、新しい党になって、まだ発信はほとんどない状態
ですので、国政レベルの話でどういうお考えかというのは少し見極めてみな
いとわからないと思います。

【フリーランス・横田記者】
 前原元代表は読売テレビの番組で、「共産党の本質はシロアリみたいなも
ので、協力したら民主党の土台が崩れていく」と発言した。これに対して小林
節先生は、民主党・連合関係者と話をする中で、共産党に組織を乗っ取られ
るという話はよく聞くが、それだったらその乗っ取る手法を学んで乗っ取り返
せばいい。それよりも安倍総理に日本を乗っ取られているほうがより重大で
しょうと言ったら大体納得してくれる、とおっしゃっている。岡田代表はどちら
の考えに近いか。

【代表】
 我々は安倍政権と闘っていくことが非常に重要だとは思っています。どこの
党がということよりも、そういった勢力がお互いに必要な範囲で力を合わせて
いくことは大事なことだと思います。
 共産党とは基本的な政策、考え方が違うわけで、先般来申し上げているよ
うに、我々が政権をともにすることはあり得ないと考えていますが、いろいろ
な面での、例えば国会の中では結構協力してやっていたりするわけですから、
いろいろな場面でのそういった接点というのは当然ある。特定の政党につい
て何かあまり失礼な物の言い方はしないほうがいいとは思います。

【フリーランス・横田記者】
 前原元代表が言っている、共産党と選挙協力を含めて連携すると民主党に
とってマイナスだという意見は、細野豪志さんや長島昭久さんを含めてよく聞く
が、この根拠はあるのか。例えば地方の組織の人がこう言っていたとか、民主
党と共産党が選挙協力すると支持率が減るというアンケート調査をしたとか、
何か根拠を持って前原さんは発言しているのか。

【代表】
 それは前原さんに聞いていただかないとわかりません。
 ただ、やはり共産党に対して、ある意味ではアレルギーを感じている国民も
いることは事実。我々としては、安倍政権が非常に右に寄ってしまったので、
普通の「保守層」と言われる人たちの支持も得られやすい客観的な状況はあ
る。そういう中でどう考えていくかという問題だと思います。幅広く国民の支持
が得られる、そういう民主党でありたいと思っています。

【時事通信・小松記者】
 維新の党との統一会派だが、維新の党の中には、大きな民主党と会派を
一緒に組んでしまうと質問の時間もあまり回ってこないのではないかという
消極的な意見もあり、会派の先の新党という道筋が見えていないとなかなか
受けにくいという感じだが、統一会派を組むに当たって、その先の新党につ
いての見解を民主党のほうからお示しになる可能性はあるか。

【代表】
 我々は今、統一会派というものを選択肢としてお示しをしている。ただ、こ
れは相手のある話ですから、維新の党が統一会派ではよくないということで
あれば、現状のままで協力していくと、そういうことになるのだと思います。
 維新の党も、これから代表選挙があると思いますし、我々しばらくその状
況を見極めて、選出された代表とよくお話をするということだと思います。
党の中にはいろいろな意見があるのは当然だと思います。




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