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2015.10.29|記者会見

岡田克也代表定例記者会見(10月29日)⇒https://www.youtube.com/watch?v=1-5vK0adM9s

岡田克也代表記者会見
2015年10月29日(木)14時00分~14時42分
編集・発行/民主党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。


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■冒頭発言
○辺野古移設の本体工事着工について
○補正予算について
○日中韓首脳会談の開催について
○衆議院の選挙制度改革について
■質疑
○普天間基地移設問題について
○対中政策について
○地方選挙の結果と今後の対応について
○次期参議院選挙の対応について
○野党協力について
○閉会中審査及び次期国会の対応について
○消費税増税時の負担軽減策について
○民主党の経済政策について
○松本議員の離党表明について
○党勢回復に向けて
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■冒頭発言

○辺野古移設の本体工事着工について

【代表】
 会見でもこれまで申し上げてまいりましたが、普天間移設工事に関わる
辺野古沿岸部の本体工事が着工されました。この点については、しっか
りと沖縄と向き合い、そして協議を行うべきだと申し上げてまいりましたが、
本体工事の着工に至ったことは極めて遺憾であります。これは党として断
固として反対いたします。
 こういったやり方を続けていると、沖縄県と、安倍政権・日本政府との溝
はますます深まり、どこかで取り返しのつかないことになるのではないか非
常に懸念していることをまず申し上げたいと思います。

○補正予算について

【代表】
 2番目に、補正予算の編成がいろいろ言われております。補正予算の編
成自身を否定するものではありませんが、一つは「1億総活躍社会」の実
現に向けての補正予算の編成。ここで非常に奇異に感じるのは、「1億総
活躍社会」について具体的な中身の説明がないことです。
 「希望出生率1.8」だとか「介護離職ゼロ」とか、言われております。これ
らは手段というよりも目的だと私は理解する。それをいかなる手段で実現
するかという説明は全くなされていない。例えば「介護施設の充実」と一時
言われましたが、最近はあまり聞かれない。施設よりも在宅での介護・医
療の充実というのが今までの政府の方針だったが、それが突然、施設充
実が言われ、また最近は聞かれなくなった。つまり中身が、いかにしてこう
いった目標を達成するかということについて煮詰まっていないのではない
かと思われます。
 そういう中で補正(予算)の話だけがひとり歩きしているというのはよくわ
かりませんし、結局、補正の財源があるからそれをバラマキに使うというこ
とになってしまうのではないかと心配をしております。

○日中韓首脳会談の開催について

【代表】
 日中韓首脳会談が行われることが決まり、日韓は既に決まり、日中も開
催する方向で調整されているということであります。
 私は両国首脳、つまり日中・日韓ですが、無条件に早期に首脳会談を行
うべきだ、何もなくても定期的に会うことに意味があるということを申し上げ
てまいりましたので、特に安倍政権になって行われていなかった日韓首脳
会談が実施されることは非常に結構なことだと思います。ぜひ、相互にあ
る不信感といいますか、そういうものを取り除いて信頼関係をしっかり築い
ていただきたいと思います。

○衆議院の選挙制度改革について

【代表】
 「一票の格差」について上告審が結審いたしました。いつ判決が出るのか
ということですが、いずれにしても衆議院の場合は佐々木調査会(衆議院
選挙制度に関する調査会・佐々木毅座長)で議論していただいています。
最初の勢いとは別に、最近、議論がはたして進んでいるのかどうかすらよ
くわからない状況。従来から言っておりましたように、我々としてはやはり法
律が年内にできていないと(次の選挙に)間に合わない、それから区割り審
を動かして1年ぐらいかかるわけですから。年内に法律ができるということ
はかなり難しくなってきてしまっていると思います。このままで本当にきちん
とした、定数削減を含む格差是正の具体化が次の衆議院選挙までにでき
るのか、相当疑問な状況になってまいりました。
 これはもちろん佐々木調査会に衆議院でお願いしたわけですが、総理も、
まず第三者で議論してもらって、そして早急にやるということを言っておられ
たわけですが、その後この衆議院の改革について全く音なしなのは、一体
どうなっているのかと思います。

■質疑

○普天間基地移設問題について

【NHK・花岡記者】
 (官房)長官は、今回本体工事を始めたことについて、「普天間の固定化
を避けなければいけない」ということを挙げている。本体工事着工の一方で、
普天間の固定化を避けなければならないという問題について、代表はどう
お考えか。

【代表】
 普天間の固定化を避けなければならない、したがって現在では具体案とし
ては辺野古への移設しかないということは、そのとおりです。ただ、やり方を、
これだけ乱暴に進めてまいりますと、実際の工事が本当に進むのか。いろ
いろなことが今後懸念される。結果的には普天間の危険性除去ということ
も遅れてしまうことになりかねないと心配しています。

【時事通信・小松記者】
 民主党が政権を取り返した場合、この辺野古への移設はどういうふうに進
めていかれるか。

【代表】
 置かれた状況は非常に厳しい状況ですが、沖縄県とまずよく話し合うとい
うことに尽きると思います。その中で答えを見出していくしかない。
 我々が知事選挙前、前知事との関係は、一括交付金制度を作ったり、あ
るいは「沖縄ビジョン」について沖縄県の主導で作る形に法律の立て方を根
本的に変えたり、あるいは基地の用地提供地主に対する対策とか、沖縄県
と緊密に協議しながら、そういった沖縄県側の要望・要求に対して誠実に応
えてきたと自負しております。そういう中で良好な関係が維持されてきた。

○対中政策について

【フリーランス・宮崎記者】
 南シナ海では、中国が中国領海だとしている人工島の12海里付近をアメ
リカ艦が通行した。中国の周りの国々の間でアメリカに追随する動きが出て
きたので、安全保障的に中国の海が封じ込められているような感じがする。
また経済的にはTPPで、インドネシアが参加する方向になったので、TPPと
いう形でも中国を海側の国々が、経済ブロックが封じ込めている感じもする。
今後、中国を国際法のルールを作る場に引っ張り出すことかできるかどうか
も含めて、現状お考えの点を伺いたい。

【代表】
 まずTPPは、中国を封じ込めるために行っているものではありません。要
件を満たせば中国が参加することも当然考えられる。中国封じ込めのため
にTPPをやったわけではないと私は理解しています。
 それから、南シナ海は公の海でありまして、島でない以上、「12海里以内
だ」と言っても公海であります。そこをアメリカの艦船が通行したことは、国
際法上何ら問題なく、当然のことを行ったと考えています。
 ただ、中国側はそれに対して厳しく批判しております。ここは米中間で、不
測の事態が起こらないようによく対話をしてもらいたいと、あわせて考えてい
ます。

【フリーランス・宮崎記者】
 岡田さん自身は、中国を国際法のルールを書く場に引っ張り出すべきだ
という考えを以前から持っているかと思う。一方、オバマ大統領は、中国に
は国際法のルールを書かせないと、これはTPPの時の記者会見だが、そう
いった考えがあるようだ。中国と国際社会、及び中国と日本との関係につい
て、大枠で考えを伺いたい。

【代表】
 オバマ政権も考え方は私と基本的には同じだと思います。中国を孤立化さ
せるのではなく、封じ込めるのではなく、やはり国際的な場に中国も関与させ
て引き込んでいく。そういう中で中国が国際法を順守した行動がとられるよう
になる。基本的にはそういう考え方でオバマ政権も考えていると思います。オ
バマ大統領の先ほどの発言ですが、私の理解は、中国が自分のルールで囲
い込みをするということはさせないということだと思います。TPPは開かれた
制度ですので、それで囲い込みをするということではあります

【フリーランス・宮崎記者】
 安保法ができたところだが、自衛隊が南シナ海で例えば共同パトロールな
どをアメリカから要請される可能性はあるとお考えになるか。

【代表】
 あまり想定で言わないほうがいいと思います。日本の自衛隊にはそれほ
ど余力があるわけでもありません。日本自身の近海で活動することに専念
せざるを得ないという状況もあると思います。航空機であれば、航続距離か
らいっても実質的にはそれができないということであると私は理解していま
す。したがって、そういう具体的な要求が出てくるのかどうかは私、わかりま
せんので、今の状況を考えればあまりそこまで先回りして考える必要はな
いと思います。

【フリーランス・横田記者】
 対中国脅威が増しているということで集団的自衛権あるいは今回の安保
法制に絡める論調がある一方で、小林節名誉教授は、基本的に中国に対
しては専守防衛で十分ではないかと。その理由としては、台湾、ベトナムへ、
中国が軍事侵攻しようとした時に専守防衛で十分押しのけたと、だからわ
ざわざ集団的自衛権、今回の安保法制は必要ないと主張しているが、代表
はどう捉えられているか。

【代表】
 まず、南シナ海でわが国の集団的自衛権の行使というのはどういう場合
なのか。大きく言って、一つは米軍が中国と武力衝突に至る、その時に日
本の集団的自衛権の行使をする。もう一つは、フィリピンやベトナムが中国
と武力衝突する、それに対して日本が集団的自衛権を行使する。後者は
考えられないと私は思う。日本にそれだけの力もありません。前者の場合
というのは、それは今の法律の立て方だと「存立危機事態」に該当しなけれ
ばいけないということで、今までの政府の説明を聞いていて、集団的自衛
権の行使に至るということは、今の法制のもとでは非常に考えにくいことだ
と思います。

○地方選挙の結果と今後の対応について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 さきの国会終盤で野党に大きな追い風が吹いていた。その風を共産党は
活かして、先日の宮城県議選では倍増を獲得した。民主党にもかなりの風
が吹いていたのではないかなと思うが、あの風はどこに行ってしまったのか。
本来弾むべきところで弾んでいないように思うが、どうご覧になっているか。

【代表】
 宮城の県議会選挙は今、分析中です。特に宮城で実際に選挙を戦った人
々に、状況をよく分析して報告するようにとお願いしてあります。
 そもそも我々の得票は決して悪くはないのですが、戦術的なミスもあったと
思う。例えば鎌田さゆりさんが取り過ぎて現職を落としてしまったとか、突然
に県連幹事長が体調不良になって立候補を取りやめて、後を据える時間が
なかったとか、いろいろなことがありました。
 ただ、全般的にザクッと言えば、やはり風を受け切れていなかったというの
が私の印象で、その辺の事実関係の確認と、それから候補者がそれぞれ何
を主張していたのか。その風を受け切るような主張を展開していたのか、そ
れともそれとは時限の違う、共産党は安保法案反対を主張されていたと思い
ますが、わが党の候補者がそういう主張だったのか、もう少し地域に密着し
たようなことなどを述べていたのか。その辺も事実関係を今検証中です。そ
の上で分析してみたいと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 来月は福島県議選だが、準備はできているか。

【代表】
 宮城もかなり候補者を擁立したのですが、福島はさらに積極的に候補者を
擁立しております。ただ、それだけ基盤が十分でない候補者もたくさんいると
いう中で、何とかいい結果を得たいと考えております。

○次期参議院選挙の対応について

【フリーランス・横田記者】
 昨日、SEALDsが外国人特派員協会で会見をして、来年の参院選に向け
て野党統一候補の擁立を働きかけたいと発表し、統一候補が出た場合には
選挙戦にもコミットする、応援も考えているという、かなり踏み込んだ提案をし
たが、その受け止めを伺いたい。

【代表】
 その会見の様子を把握しておりませんので、「統一候補」という意味がどう
いう意味なのか、そこもよく確認してみたいと思います。

【フリーランス・横田記者】
 野党統一候補というのは、もちろん安倍政権打倒を目指すと。立憲主義・
民主主義の危機的状況なので、政策の違いはさて置いて、まず安倍政権を
参院選でねじれに追い込むことを再優先に掲げて、そのために野党統一候
補を擁立したいと。それに当たっては具体的には(安全保障関連法に反対
する)学者の会とも連携して12月に集会も開くと。総がかり行動委員会とか、
ママさんの会も含めて、横の連携も声をかけていきたいという、いわば安倍
政権打倒選対本部構想みたいな考えを表明したが、この範囲内でコメント
いただければ。

【代表】
 私、報告を受けておりませんので、様子がよくわからないのです。必要が
あればSEALDsのほうにも確認を党としてしたいと思いますが、ちょっと今、
簡単にはコメントできません。

【朝日新聞・村松記者】
 参院選の全国比例の候補者擁立について、今度の参院選は比例票の
上積みも一つの大きな課題になってくると思うが、安保法制が一つの争点
になる中で、憲法学者とか、世論の支持を得るような候補者をどのように
立てるか。現時点での方針を伺いたい。

【代表】
 現時点では何も決めておりません。ただ、適切な候補者がいれば、それ
は今おっしゃったことに別にこだわるわけではないのですが、いろいろな分
野での候補者を擁立していくことは当然考えられると思います。

○野党協力について

【読売新聞・中田記者】
 共産党との連携について、代表は「1人区での立てない協力だ」というよ
うな表現をされたかと思う。仮に協力が実現した場合に、民主党側が立て
ない、候補者を取り下げるということも想定されるのかということと、改めて
国民連合政府の実現可能性についてどう考えているか伺いたい。

【代表】
 何度も何度も聞かれ、私、お答えしているのですが、答えはずっと、最初
から昨日まで同じ答えです。それを記者のほうでいろいろ脚色して書かれ
ていますが、私が申し上げていることは、1人区で候補者が乱立しては勝て
ない、したがって、候補者を1人にする、そのための協力というのは考えら
れると。協力の中身については私、言及しておりません。
 それから、前提として国民連合政府というようなことが条件になるとすると、
それは難しいと、ずっと私、お答えしておりますので、答えは同じです。それ
以上の答えはありません。

【共同通信・関記者】
 維新の党の松野代表が本日、記者会見を開き、延期していた党代表選に
ついて12月中に実施することを発表した。一方で、大阪系議員が党員名簿
の返還に応じない場合、法的措置も辞さない構えも示している。今後、野党
連携の中で野党第2党の維新の党との政策協議の進展、野党連携に与え
る影響について、代表の考えを伺いたい。

【代表】
 多少遅れますが、大きな影響はないと、お答えしているとおりです。

【フリーランス・横田記者】
 共産党と選挙協力あるいは連立を組むことに対して、保守層・中間層が逃
げるという発言が出ているが、これは具体的なアンケート調査、あるいは世
論調査みたいなものに基づくものか。安保法制が成立して事態が変わって、
立憲主義の否定、民主主義の危機だということで、以前と状況がだいぶ変わ
っていると思うが、いつの時点の情報、見方をもとにしているのか、その辺を
伺いたい。

【代表】
 いろいろな見方がありますので、別に数量的な裏付けがあるわけではない
と思います。ただ、共産党に対して非常にアレルギー的に、忌避したいという
か、避けたいという声があることも事実です。別に何か裏付けがあって言われ
ていることではないと思います。

○閉会中審査及び次期国会の対応について

【TBS・山本記者】
 11月の頭に予算委員会(閉会中審査)が開かれると思うが、代表ご自身が
質問に立たれる予定はあるのかどうか。立たれるのであればどんなことをテ
ーマに質問する予定なのか。また、通常国会が1月4日にも召集されるので
はないかという報道が出ているが、これについての受け止めを伺いたい。

【代表】
 予算委員会、開催されるという方向ですが、そういう機会があれば私もぜひ
安倍総理に確認しなければならないことが幾つもある。私自身が総理と議論
したのは7月だった。ですから、70年談話なども全くチャンスがないまま、党
首討論も行われないし、もちろん衆議院で予算委員会や特別委員会は開催
しておりませんので、全く確認できないままです。あまりにもやることが多過ぎ
るので、何をやろうか今一生懸命考えているところです。
 (通常国会の召集が)1月4日という話も聞こえていますが、正式に何か政
府が言っているわけではない。観測気球が上がっているだけですので、それ
に私がコメントするのは避けたいと思います。
 1月、早くに始めるから臨時国会は開かなくていいとか、そういうことではも
ちろんありません。憲法の規定上、求めがあれば臨時国会を開くと規定され
ておりますので、(通常国会を)多少早く開くからそれでいいだろうというのは、
それは憲法の勝手な、曲げた解釈と言わざるを得ないと思います。

○消費税増税時の負担軽減策について

【時事通信・小松記者】
 軽減税率を導入する税制の改正を政府・与党が急いで、通常国会で処理し
てしまおうと。消費税10%はまだ先だが、参議院選挙を見据えて、野党の攻
撃材料になるのを避けたいという本音があるようだが、その辺についてどう見
ているか伺いたい。

【代表】
 まだ中身は、我々は全く議論するチャンスがなく、報道されていることしかわ
かりません。ですから、それについて何か言う段階ではないと思いますが、た
だ従来我々が申し上げているのは、軽減税率にはさまざまな重大な問題があ
るということを言ってまいりました。それが今、公明党が主張しているような中
身であるとすると、それはその財源をどうするのか。3党で合意した中身を変
えてしまうような主張も、総合合算制度の廃止を入れないとか、そういう主張
も出されておりますが、それは「約束違反」と言わざるを得ないと思います。
 と言って、1兆円を超える財源をどう確保するのか。社会保障をその分、削
るということになるのか、あるいは財政の再建を遅らせることになるのか。い
ずれにしても、コストがかかっている話ですので、「複数税率で税金がまかり
ますよ」、そういう議論ではないはずであります。
 複数税率は、前から申し上げておりますが、何を入れるか入れないかとい
うところで、これは補助金の交付と全く同じで、これをやれば政府税調・党税
調の会議室の前に「門前市をなす」ということになるのだろうと思います。関
連業界、お願いする立場ですから、当然、頭が上がらなくなるということにな
る、これは新聞も同じであります。そういったことは民主主義を非常に歪める
し、望ましくないと考えます。
 我々は給付付き税額控除、少ない財源でより効果が上がる、所得の少な
い方に消費税負担分をお返しする、そういった考え方がベストのものである
と今でも考えています。

○民主党の経済政策について

【日本経済新聞・甲原記者】
 最近の代表の講演で、経済のパイを大きくして所得を再分配する、労働の
分配率を高めるという話を伺ったが、安倍政権の「GDP600兆円」とか、あ
るいは経済界への賃上げ要請などをやって、代表がおっしゃっているような
ことを進めている一面もあると思う。そのあたりが安倍政権で結果が出てい
ないとすればどこが足りなくて、民主党政権だったら何ができるのか伺いたい。

【代表】
 私が申し上げたことを正確に繰り返しますと、民主党の経済政策は「個人
の所得を増やす」、これが目的である。その個人の所得を増やすに当たって
は、全体のパイを大きくするということもあるし、あるいは企業が利益を得た
時にその労働分配率を高めるやり方もあるし、あるいは個人の所得の中で
所得税その他の税制で、高所得を得ている人の所得を再分配するというこ
ともある。あるいは、ひとり親家庭のような貧困層といったところについて所
得の底上げをすることもある。まずあるのは、「個人の所得を増やす」という
その目的の一つの手段として、全体のパイを大きくするということを申し上げ
ている。
 安倍さんは、全体のパイを大きくすることが目的です。そこが決定的な違
いです。

○地方選挙の結果と今後の対応について

【フリーランス・堀田記者】
 来週から大阪府知事選、それからちょっとして大阪市長選が始まるが、民
主党と、それから岡田さんのスタンスを伺いたい。

【代表】
 私個人のスタンスというのはない、私は党の代表ですので。民主党としては、
これは府連で判断するということです。本部に対して何か推薦要請とか公認要
請とか、そういうことがあるわけではありません。したがって、本部としては、
これは府連の対応に任せるということです。

○松本議員の離党表明について

【フリーランス・宮崎記者】
 松本剛明議員は、下野後、海江田万里前代表のもとでの内閣不信任案に
1人だけ造反して退席したり、今の任期になってからも首班指名に関して党内
で意見をおっしゃったのではないかと思う。また野党民主党の税調会長として
3党協議を担っていたが、事前に調整をして民主党の検討事項を附則の中に
入れてもらって閣法を出すという形で、野党議員の振る舞いとしては私は違和
感を覚えていた。今回の離党届提出に関してのお考えを伺いたい。

【代表】
 一言で言えば、残念です。松本さんが初当選する前から、私も姫路に行って
応援したりしていますし、有能な人材であったことは間違いありません。いろ
いろ今おっしゃったようなこと、私が代表になる前もありましたが、私は「社会
保障と税の一体改革総合調査会長」の会長ということでお願いをして、それを
引き受けていただいておりました。ただ、いろいろな会議の場で批判的なご意
見もありましたので、何とか私ももう少し腹を割って話したいとは思っていまし
たが、残念ながらそういう機会も実らないまま、離党届を出されたということで
す。
 現在、離党届を党は受理しておりませんので、その扱いはこれから検討する。
どういう理由で離党を決断されたのか、離党届を出す宛先は幹事長ですので、
幹事長にご説明をしていただくことが、長いつき合いですから、そういったこと
がなされることが一つのけじめではないかとは私は思っております

○党勢回復に向けて

【「FACTA」・宮嶋記者】
 与党批判の風が吹いても民主党がやや弾まないのは、これはエッジが利い
ていない、エッジが立っていないのだということを枝野幹事長はおっしゃってい
る。私はこれはニュアンスとしてはわかりやすいと思うが、代表はどうご覧に
なるか。ちょっとエッジが利いていないというご認識があるのかどうか。

【代表】
 政策ですね、政策。我々、野党になってずっと党の中の議論もしているので
すが、やはり政策にエッジが立っていない。「エッジが立っていない」というの
は私が最初に使った言葉かもしれませんが、そういうふうに思います。ですか
ら今度のマニフェストをいかにしっかりとしたものにするかということは非常に
重要だと思います。
 先ほど政調会長とも話をしていたのですが、やはり部会などもこの国会閉
会中ですが、定期的に動かして、各部門でしっかり政策を練り上げてもらいた
い。先ほど逢坂誠二さん(ネクスト内閣府特命大臣 地域主権改革・地方再
生)に来ていただいて、私がお願いして作った地域主権改革調査会、そこの
大きな方向性について私の意見も述べさせていただいたのですが、やはり
政権を経験した上で、我々としてどういう政策を志向していくのかということを
わかりやすく伝わる、そういう努力が要ると思います。伝わるためには、中身
がないと伝わりませんから、やはり中身をこの11月、12月でしっかりと詰め
ることは大事なことだと私は思っています。それがマニフェストにもつながって
くるということだと思います。
 先ほどの経済政策で私は「個人の所得を増やす」ということを言っておりま
すが、これも党の中でもよく議論してもらいたいと思っていますし、安倍政権
との違いがはっきりするような政策を、経済政策はその最たるものだと思い
ますが、しっかり打ち出していくことが重要だと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 代表の「政策へのエッジ」というのはすごくわかる。例えばソフトバンクがエ
ッジが立っているのは、やはり孫正義さんがおもしろいからだ。組織にエッジ
をかけるのはトップで、よかれあしかれ橋下さんなんかはそうだ。志位さんも
この頃エッジがかかっている(笑い)。岡田代表もガンとやられたらいいので
はないか。

【代表】
 ガンとやる相手を間違えたり、宛先を間違えたりすると、また大変なことに
なりますから、そこは見極めながらガンとやっていきたいと思います。

【フリーランス・横田記者】
 候補の段階でいいが、例えば資産課税をするとか、世代間格差を是正する
年金制度の抜本改革をするとか、そういうエッジの利いていそうな政策で何か
温めているのがあれば、2、3、教えていただきたい。

【代表】
 それはやはり党としてある程度見通しが立ったものを私の口から語るべき
で、今の段階で思いつき的に言う話ではないと思います。
 ただ、マニフェストということについて言うと、やはり2009年のマニフェスト
の失敗というのはあります。これは確実にそうだと私は思っております。した
がって、マニフェストは中長期で目指す方向性が明確に述べられ、そのもと
でここ数年で実現する政策を書く。それから正直にいいことも悪いことも書く。
そういうマニフェストにしたいと思います。




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