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2015.09.11|記者会見

岡田克也代表定例記者会見(9月11日)⇒https://www.youtube.com/watch?v=9DgnElD2d1Q

岡田克也代表記者会見
2015年9月11日(金)15時00分~15時41分
編集・発行/民主党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。


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■冒頭発言
○関東・東北地方の豪雨災害について
○野党党首会談を開催
○普天間移設に関する政府・沖縄県の協議「決裂」について
■質疑
○関東・東北地方の豪雨災害について
○普天間移設に関する政府・沖縄県の協議「決裂」について
○《安保法制》法案成立阻止に向けた動きについて
○《安保法制》次期総選挙マニフェストについて
○《安保法制》法案成立阻止に向けた動きについて
○党勢回復に向けて
○郵政選挙から10年に当たって
○消費税増税の負担軽減案について
○中国要人の経済状況に関する発言について
○《安保法制》「世界の中での日本」について
○労働者派遣法改正案の成立について
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■冒頭発言

○関東・東北地方の豪雨災害について

【代表】
 私からは3点。
 第1点は、一昨日からの豪雨によって関東・東北地方で大きな被害が
生じております。お亡くなりになった方に対して哀悼の意を表するとともに、
被害に遭われた皆様に対してお見舞い申し上げます。
 党としても災害対策本部を設置いたしまして、今日の午後4時半から第
1回会合を開催します。本部長は枝野幸男幹事長です。私も出席したい
と考えております。
 明日は幹事長が現地視察を行う予定でありますし、私も日曜日に、夜は
NHKの討論番組に生出演がありますので夕方までということになると思い
ますが、現地を訪れて被害状況を確認する、あるいは被災者の皆様を激
励したいと考えています。

○野党党首会談を開催

【代表】
 党首会談について、申し上げたいと思います。
 本日11時、党首会談(民主・維新・共産・社民・生活・元気・無所属クラ
ブ)を行いました。合意した点は、この集中豪雨に関して(衆参)予算委員
会の開催を求めるということが一つです。
 そして安全保障法制については3点合意しました。
 第1点は、16日採決という話もあるが、それは論外であり、さらなる審議
を求める。「さらなる審議」の中には地方公聴会の開催、(再度の)参考人
質疑、統合幕僚長の参考人招致を含むものであるということです。
 第2点は、強引な採決は認められない。これは前回の党首会談での確
認でもあります。その上で、法案の成立を阻止するためにあらゆる手段を
講じる。「あらゆる手段」というのは、民主党で言わせていただければ内閣
不信任案や問責決議案の提出を含むものです。
 第3点は、来週のしかるべき時期に、本日参加した野党各党・各会派の
議員が集まって、協力し一致団結しながら事態の対応に当たるということ
です。
 なお、党首会談は必要に応じて来週も開催する場合があるということも
確認いたしました。

○普天間移設に関する政府・沖縄県の協議「決裂」について

【代表】
 それから、沖縄に関して申し上げたいと思います。
 政府と沖縄県の間で行われていた集中協議が決裂いたしました。1ヵ月間、
事態の進展はないまま終わってしまいました。沖縄県と関係閣僚で新たな協
議会を作ることが決まったようで、その点は評価できると思いますが、今回の
協議そのものは全く一致点を見出すことができなかった。
 政府は早期に辺野古移転作業を再開するという姿勢を見せておりますが、
何ら政府と沖縄県の間の信頼関係も構築できないまま再開するということで
は、事態の本質的な解決にはつながらない。私は現時点において移設作業
を再開することに反対です。さらに沖縄県との間にしっかりと信頼関係を構
築するための努力をしていただきたいと考えております。

■質疑

○関東・東北地方の豪雨災害について

【共同通信・光山記者】
 代表は、現地はどちらに入られるか。

【代表】
 今、精査中です。総理がどうされるのかということもあります。諸般の情報
を収集した上で考えたいと思います。

【東京新聞・横山記者】
 先ほど参議院の榛葉賀津也国会対策委員長が、今の時期にあまり政治家
が豪雨の被害現場に行って復興の邪魔をするようなことはしてはいけない、
というような発言をされた。この時期に視察に行くことは賛否両論あるかと思
うが、その点どうお考えか。

【代表】
 榛葉国対委員長がどういう趣旨で言われたかは、承知していません。ただ
、党の代表として、これだけの被害が起きた時に、それを放置して、行かな
いという選択はないと思っています。まだ事態は進行しておりますので、今日
行くということではなくて、少し時間を置いて日曜日にと考えています。

○普天間移設に関する政府・沖縄県の協議「決裂」について

【NHK・花岡記者】
 代表は従来、辺野古移設に関しては沖縄県との信頼関係が必要だという話
だが、今日は明確に現時点での作業再開には反対だと。これはどういう条件
があって、こういうふうに反対表明されたのか。

【代表】
 1ヵ月間、作業を中断して協議した。しかし残念ながら、その具体的な中身の
進展はない。進展がないまま、移設作業を再開するというのは、私は間違って
いると思います。一定の結論、信頼関係を取り戻し、議論ができる状況になる
ための努力を政府は行うべきだ。このまま移設作業を再開すると、互いに行く
ところまで行ってしまう。それは極めて不幸なことであり、問題の解決にはなり
ません。
 そういう意味で、ここは作業の再開をするのではなくて、さらなる協議の努力
をするべきであると考えています。

【NHK・花岡記者】
 確認だが、現時点では辺野古以外に選択肢がないという状況では、辺野古
移設を否定するものではないという従来の代表の立場は変わっていないと。

【代表】
 基本的スタンスは全く変わっておりません。その上での話です。

【日本テレビ・古谷記者】
 そもそも1ヵ月間という集中協議の期間設定が、安保法案の強行性を隠すた
めだと当初から言われていたが、この1ヵ月という集中協議期間の設定につい
てはどう思われるか。

【代表】
 ここの見方は私は代表ですので、あまり政府の姿勢をこきおろすようなことは
言うつもりはありません。ただ、せっかく協議をするということで始められたので
あれば、一定の成果が出るまでは続ける責任があるということを申し上げてい
る。

【日本経済新聞・甲原記者】
 政府としては普天間の危険除去をできるだけ早くやるべきだ、工事も進めて
いくというスタンスだと思うが、協議を続ければ続けるほど時間が過ぎていって、
普天間の危険除去にスピード感を持って対応できなくなることも考えられるが、
そこはじっくり議論すべきだということか。できるだけ早くやらなければいけない
ということとの兼ね合いはどうご覧になっているか。

【代表】
 なるべく早くというのはそのとおりなのですが、今のまま平行線で進めて、お
互いに法廷闘争になったり、あるいは実力行使をこのまま行くと埋め立てとい
うことが物理的に行われることにもなりかねないと思う。そうなればそれに対し
ての抵抗運動も当然起こる。現場は非常に混乱する。けが人が出たり残念な
ことになる可能性も高い。それで問題が前進するとは思えない。したがって、お
互いしっかりと協議を続けるべきだということを申し上げている。

○《安保法制》法案成立阻止に向けた動きについて

【毎日新聞・福岡記者】
 安保の関連で来週、野党6党1会派の議員が一同に集まってという話だった
が、これは代表からの提案だったか。もしそうであれば狙いを伺いたい。

【代表】
 私から提案させていただきました。やはりここは一体感を持って巨大与党に
対抗しなければなりません。衆参ありますが、元気の会とか、無所属クラブな
どは衆議院にはありませんので、お互いに連携をとっていくためにも議員同士
が集まることは重要ではないかと考えた。

【TBS・山本記者】
 来週、安保の審議は、岡田さんが代表就任以来一番大きな国会でのヤマ場
を迎えると思う。野党代表としてどのような姿勢で、「一強」と言われる自民党と
戦っていくのか、意気込みを伺いたい。

【代表】
 これは安全保障法制であるとともに、憲法解釈を一内閣が勝手に変えた、そ
れを裏付ける法案でもある。あるいは、これからの日本の平和に対する考え方
を根本的に変えるという問題でもあります。したがって、極めて大きな問題。そ
こを、これだけいいかげんな答弁で、今日も参議院の特別委員会を開会してい
ますが、まともに正面から答えられない、そういう答弁が続出している中で採決
を強行するということであれば、それはあってはならない。民主主義の大きな危
機だと考えています。
 それを阻止するために、我々は、国会ですから、言論の府ですから、言論で対
抗することを基本に、阻止していきたいと考えています。

○《安保法制》次期総選挙マニフェストについて

【フリーランス・宮崎記者】
 今回の法案の施行日は交付の日から6ヵ月以内ということで、2月か3月にな
るかと思うが、この施行日までの期間は長いか短いか。
 それから、日米ガイドラインを国内法に落とし込む作業だと思われるが、この
ガイドラインの再改定を求めていくことを次の衆議院選でマニフェストの中に盛り
込むことができるとお考えか。

【代表】
 ガイドラインではなくて、これは法律そのものだと思います。
 我々はこの法律が成立するということは考えておりません。万が一成立すると
いうことになれば、少なくとも集団的自衛権の部分は憲法違反ですから、その廃
案を求めていくことになります。

○《安保法制》次期総選挙マニフェストについて

【NHK・花岡記者】
 確認だが、先ほどマニフェストの話で、集団的自衛権の部分については廃止を
求めていくということだが、これは万が一成立すれば廃止法案を出すという理解
でよろしいか。

【代表】
 どのタイミングで出すかとかそういったことはこれからです。国会は終盤です。
ですから、改めて党の中で議論して、どの範囲で廃止を求めていくかということも
ありますね。PKO法や周辺事態法は、議論していく中で修正ということもあると思
う。ですから、廃止を求めるものと、協議をしていく中で修正を求めていくものと、
分けて考えていかなければいけないと思います。
 集団的自衛権に関しては、これは憲法違反ですから廃止しかない。

○《安保法制》法案成立阻止に向けた動きについて

【NHK・花岡記者】
 来週16日の委員会採決という話も出ているが、国会内は言論で対抗していく
ということだが、国会外の動きにどのように呼応していくお考えか。

【代表】
 国会外、連日のように国会の周りで抗議運動が行われております。そういった
ところともしっかり連携をとりながら進めていきたいと考えております。

○党勢回復に向けて

【共同通信・光山記者】
 昨日、連合の古賀会長が記者会見で、民主党の解党が野党再編の一つの選
択肢だと言及した。一応、政策理念や価値観の一致は前提にしているが、民主
党最大の支援組織のトップの発言をどう受け止めているか。

【代表】
 連合会長の発言をどう考えるかという問題ですが、メディアは今おっしゃったこ
とを強調して伝えていますが、古賀会長が発言されたのは、「形ではなく、政策
理念である基本的価値観のすり合わせがきちっとしていないと、形としてどうな
のかということだけではないと思います」とか、「政策理念や価値観をすり合わせ
る中で生まれるもので、先に再編の形ありきの議論はナンセンスだと思う」と、そ
こまで言われた中での部分だけ切り取って言われるのはミスリーディングだと私
は思います。

【朝日新聞・渡辺記者】
 直近の国政選挙で民主党の比例票は800万から900万票ぐらいだ。代表が
おっしゃる「政権を狙う政党」まで次に持っていくということであれば少なくとも15

00万票ぐらいは必要かと思う。そのためには、代表はこれまで、国会での活動
や議員の地元での政治活動が大事だとおっしゃっているが、もう一つ大きな起爆
剤としての解党もしくは新党設立も選択肢としてあるのかなと思う。どう起爆剤を
作っていくか、改めて伺いたい。

【代表】
 起爆剤として解党を考えるというのは不発に終わると思います。やはり中身が
しっかり変わらなければだめなのです。形式的に解党して、名前を変えて出直し
たら国民に支持されると考えるのは間違いです。やはり中身からしっかり変えて、
そして国会での審議や、あるいは地域における政治家の活動、そういうものを通
じて国民に信頼される民主党にならなければ。名前だけ変えて看板を書き変え
て済む話ではないと思います

【TBS・山本記者】
 今回の国会審議では民主党議員は論客ぞろいで評価する声が大きいが、一
方で民主党の支持率はあまり上がっていない。今回、解党するかどうかも含め
て、今後の民主党としての一番の課題は何だとお考えになっているか伺いたい。

【代表】
 委員会における民主党の頑張りというのは、注意深く見ていただいている方に
は理解されていると思います。ただ、今まで自民党・安倍政権を支持していた方
々が、すぐに民主党支持者に変わるわけではありません。自民党支持を離れて、
そしてその上で民主党の支持者になる、それには時間が必要で、これからそう
いう時間が必要なのだろうなと思います。しっかりとした国会活動や地元活動を
行っていくことが非常に重要だということは先ほど申し上げたとおりです。
 名前を変えれば支持率が上がる、そういう安易な発想こそが国民の不信を招
くと私は思います。「変える」というのは、中身を変えることが大事であって、看板
だけ変えればいいという問題ではないと思います。

【フリーランス・田中記者】
 確かに代表のおっしゃるとおりで、中身がしっかりしないと、看板だけ変えても
国民の信頼は戻らない。前回・前々回の総選挙を見ても、野党を全部足した票
は自公の票よりも多い。だから野党再編を考えないと、また討ち死にするので
はないか。

【代表】
 先般、松野(維新の党)代表と会談を行いまして、選挙における協力、それか
ら基本的な政策がなるべく一致するように協議する場を作ることを合意した。政
策の合意がなければ、選挙協力もできません。選挙協力がなければ、同じ選挙
区で野党が複数立てば、それは当然自民党を利するわけですから、そういうこ
とがないような仕組みを作っていかなければいけない。私はそう考えている。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 岡田代表の魅力を「変わらないことだ」と評価される人がたくさんいるが、代表
選で代表は「私は変わります」と言われた。やはり半年以上たって変わったかど
うかが問われている。古賀連合会長がおっしゃったことは、民主党もちょっと変
わってほしいということだと思う。そろそろ変わるという観点からしたら、解党的
出直しについて岡田代表は消極的だとメディアに書かれているが、変わるため
には解党的出直しもありという、その方向感はどうお考えか伺いたい。

【代表】
 変わることの中身だと思います。先ほどから申し上げていますように、表面的
な「変わる」ではなくて、やはり本質が変わらなければいけない。それが最も重要
であると考えています。

○郵政選挙から10年に当たって

【フリーランス・宮崎記者】
 今日は9月11日、郵政選挙からちょうど10年になる。実はあの時に民主党の
比例票は増えていたが、投票率が上がった分全部自民党に行って、議席を減ら
した。当時取材していた記者によると、岡田代表は岡田内閣で北橋健治さんを
官房長官にしただろうと聞くが、北橋健治官房長官という可能性はあったのか。

【代表】
 人事というのは決める時に外に出すものであって、しかも郵政選挙の時はたし
か我々の比例票は2000万を超えたが、自民党・小泉さんの郵政解散に非常に
苦しんだ時にそういうことを考えたということは私の記憶にはない、あり得ないと
思います。
 郵政選挙ですが、2005年です。あの時の自民党のマニフェストは、郵政民営
化をすれば、国の景気もよくなる、経済もよくなる、地方も元気になる、外交もよ
くなる、財政も立ち直るという、とんでもないマニフェストだったが、小泉総理はそ
れで大勝した。
 ところが郵政民営化そのものも内閣が代わる中で変容していきましたし、まし
てや「民営化すればすべてバラ色」などということはあり得なかった。
 ああいったことについて国民の皆さんはどう思っているのか。民主党の2009
年マニフェストもさまざまご批判をいただきましたし、ご批判いただいても仕方の
ない部分はありました。しかし、あれは小泉マニフェストに引きずられて膨らませ
過ぎた結果だと思うのですが、その「元」が国民から批判を受けていないのは何
なのかなということは私いつも考えています。
 あの辺から日本の政治はおかしくなってきた。国民に非常にいいことだけ選挙
で約束して、まあ、できなくてもいいやと。我々のマニフェストもそうです、できな
いことをいろいろお約束して、ここはしっぺ返しを食った。安倍さんはアベノミクス
で、「この道しかない」とこの前の選挙でも言われて、全然違う安全保障法制を
やっている。そういうことに対して国民が厳しく見るようにならないと、なかなか日
本の民主主義は深まっていかないと思います。
 我々としては、今度の選挙はそういうごまかしではなくて、正直に国民の皆さん
にいいこと、悪いこと、きちっとお話をして、そして選挙をやりたいものだと、私は
今思っています。

○消費税増税の負担軽減案について

【NHK・花岡記者】
 財務省案が明らかになってから、自民党の伊吹前衆議院議長や公明党の中
からも反対の声が強く上がっている。代表は昨日財務省からヒアリングもされた
と思うが、今回の財務省案についてどのような印象を抱いているか。

【代表】
 (財務省案に)様々な問題があることは事実です。例えば買い物に行って一
つのバスケットに「食品」と「食品でないもの」が入っていた時に、POS(販売時
点情報管理)などで管理していれば、自然により分けられてということは可能
でしょうが、小さなお店などであればそういったことはできない。中には「まとめ
て全部軽減税率、おまけで付けときますよ」みたいな話だって起こりかねない。
そういうことをどうやって排除していくのか。
 今日、誰かおもしろいことを言っていました。例えば「飲み物自由で5000円
ポッキリ」という居酒屋があって、私のようにウーロン茶を飲む人間はいいので
すが、ビールを飲んだ人はそこは軽減税率の適用はない。そういうのをどう処
理するのだろうかとか、いろいろな疑問が出てきます。
 そういうことにどう対応するのかということはきちんと説明していただかないと、
我々としてはこの案がいいかどうかの判断はまだできないと思います。
 ただ、従来から我々は軽減税率については疑問がある、問題があると申し上
げてまいりました。今、提案されている案に対しての問題以上の問題を軽減税率
は抱えている。例えば、何を軽減税率のカテゴリーに入れるかということは、ど
ういうプロセスで決まるのか。結局、それは補助金と同じであって、おそらく税
制調査会の前に門前市をなす。「何とかして軽減税率の対象にしてください」と
いう業界とか、そういうのが並ぶのだろうと思います。そういったことがマーケッ
トを歪めることになるのではないかという疑念があります。
 それから軽減される金額が非常に大きくなれば、消費税をさらに引き上げな
ければならないことになります。
 そういった根本的な問題が軽減税率にはあることは前から私どもは申し上げ
てきていて、それと比較すると、今の案のほうがまだましかなという感じはしま
す。
 しかし、一番いいのは、将来的には給付付き税額控除の中にこういったもの
も含めていくことだと我々は思います。

【NHK・花岡記者】
 そうすると今回の案については、代表としては一定程度評価しているというこ
となのか。また、マイナンバーカードを使うと個人の消費行動のデータが国に蓄
積されるという懸念の声もあるが、この点についてはどうお考えか。

【代表】
 一定程度の評価をしているというところまでは行っていない。軽減税率はもっ
とひどいとは言えると思います。軽減税率には根本的な問題がある。それとの
比較で申し上げている。我々は我々の従来から提案している考え方が最も優
れていると考えています。
 データの蓄積はなされないというのが財務省の説明ですが、本当にそうなの
か。もし蓄積されると個人の消費行動がすべて国家権力に握られてしまうこと
にもなりかねない。
 それから、お店の側からすると、場合によっては税務当局に全部把握されて
しまうことになりかねない。それでいいという意見もあるかもしれませんが。それ
からインボイスよりはましだという考え方はあると思いますが、はたして零細な
小売店から見てそれが受け入れられるのかどうかという問題もあると思います。

○中国要人の経済状況に関する発言について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 中国の李克強首相の「中国はハードランディングしない」という発言もあった
が、一連の中国要人の経済についての発言は非常に深刻なものがあると思
う。それをどう受け止めているか。当然ながら、そういうことを受けると財政出
動が起こってくると思うが、その点についても今の段階でどうお考えか。また、
今の(日本)政府に緊張感があるのかどうか、その対応について考えがあれ
ば伺いたい。

【代表】
 中国の首相、あるいは主席の発言は、読み方はいろいろあると思いますが、
李克強首相の発言なども、中国は非常に厳しい時代を迎える、しかしそれを
乗り越えられる、厳しい時代を乗り越えるために改革していくのだ、ということ
を言っている。そういう意味ではおっしゃっていることは至極真っ当。現実の対
応も必要だが、大幅な金融緩和、あるいは財政出動に依存しないで、改革に
よって乗り越えていくのだということを言っている。そこは一定の評価ができる
と思います。目先のことで財政出動したり金融をさらに緩和するよりは、為替
も変動相場制に向けて進んでいくということでもあると思う。そういう意味では、
この苦しい局面であのような発言が出てきたことは注目されると私は思います。
 日本の側は、みんな中国のせいにして「大変だ」「大変だ」と言っていますが、
そんなことを言ったら我々はリーマン・ショックの直後でもっと大変だった。あ
るいは東日本大震災があった。ですから、やはり自らの問題として改革して
いく。それは「3本目の矢」ということになると思うが、それをきちんとした形で
やっていくという決意が本来示されるべきで、「さらなる金融緩和が必要だ」と
か「さらなる財政出動が必要だ」とか、もしそういう声があるとすると、方向は違
うのではないかと私は思います。

○《安保法制》「世界の中での日本」について

【テレビ朝日・河村記者】
 今日は2001年9月11日に(アメリカで)テロがあった日だ。先日、過激派
テロ組織・ISILのインターネット機関誌が、日本の外交施設などを攻撃対象
にすると、日本を名指しで挙げている。9.11テロ以降、日本がこうやってテ
ロの標的にされるような国になったことは、私個人として非常に悲しいことだ
と思う。9.11以降に日本の世界からの見られ方がどう変わったと代表は認
識しているか。もう一つは、この安保法制で憲法を解釈改憲で変えてアメリカ
の戦争に参加することになるということで、この安保法制によって日本の世
界からの見られ方がどう変わるのか、代表の認識を伺いたい。

【代表】
 テロの標的という話は、私はそれを恐れる余り、日本国としてやるべきこと
をやらないということはあってはならないと思います。ただ、その「やるべきこ
と」の中身が問題です。
 今日も、日本を代表するNGOの皆さんと意見交換する機会があったが、や
はり今までの70年の日本の歩みを(世界が)評価して、NGOの皆さんも安
心して活動できる部分というのが間違いなくあった、それが今回の法制によ
って変わってしまうかもしれないと。今回の法制について、日本のNGOだけ
ではなくて世界のNGOからも心配する声も上がっているということを認識す
べきだと思います。
 残念ながら特別委員会において、11本の法案がある中で、そんなにこの
問題できちんとした議論ができているわけではない。しかし、本当はそのこ
と一つとっても徹底的に議論して、わが国としてどういう道を行くべきなのか
、国民的な合意を得た上で、安倍さんのように武力に一歩踏み出していく
のか、それとも憲法の平和主義を基本的に守る形でこれからも国際貢献を
していくのか。このことは大きな議論として国会でなされるべきだと私は思
います。
 そういうこともないままに、法案が11本まとめてという形で成立するとした
ら、それは必ず後で悔いを残すことになると思います。

○労働者派遣法改正案の成立について

【日本経済新聞・甲原記者】
 法案に反対されたが、働き方の問題とか、少子化問題に対する影響が出
てくるかなど、いろいろ発信されているが、今後どういう対応をとられていくか
伺いたい。

【代表】
 派遣法の問題点は、今日も(衆議院本会議で)山井和則さんがいろいろ発
言されましたし、私の考え方も既に述べている。今回、成立したのは極めて
残念ですし、安倍さんの言っているように、「派遣で働いている人たちが、正
規の働き方にかわりやすくする法案だ」というのは、とんでもない話だと思い
ます。それは法が運用されていく中で現実がわかってくると思います。
 しかしその前に、その運用について、国会の長い審議の中でさまざまな答
弁も引き出しておりますし、附帯決議もつきましたから、そういうものがきちん
と反映された運用になるように、まずはわが党として努力しなければいけない
と思います。
 将来的には、これでさらに派遣の働き方が増えることが明らかになれば、
もう1回改正をしなければいけないことに当然なります。




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