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2015.08.05|記者会見

岡田克也代表記者会見(韓国・ソウル)

岡田克也代表 記者会見(韓国・ソウル)
2015年8月3日(月)16時30分~17時30分
編集・発行/民主党総務委員会国際局

★韓国訪問については党ホームページに掲載しています。
(8月2日)https://www.dpj.or.jp/article/107297/
(8月3日)https://www.dpj.or.jp/article/107280/

岡田克也代表は、8月2日(日)午後から4日(火)午前まで韓国を訪問しました。
概要について報道されていますが、内容についてより詳しく知っていただくために、
現地における記者会見の概要をそのままお送りいたします。
なお、韓国訪問日程概要は、以下の通りです。

8月2日(日)午後 韓国・ソウル着
          国立顕忠院献花。国立古宮博物館視察。有識者との懇談。
8月3日(月)午前 朴槿恵(パク・クネ)大統領との会談(@大統領府)
       午後 尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官との会談(@外交部)
          記者会見(@ソウル市内ホテル)
          このほか、メディア関係者、有識者、在韓国企業関係者等との
懇談会。
8月4日(火)午前 帰国

なお、今次民主党代表韓国訪問団の構成は、辻元清美・衆議院議員(政策調査会長代
理)、大塚耕平・参議院議員(政策調査会長代理)、近藤洋介・衆議院議員(役員室
長)、宮崎岳志・衆議院議員のメンバーでした。

以下、現地での岡田代表の記者会見について、概要をお送りします。
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■冒頭発言
〇朴槿恵(パク・クネ)大統領との会談概要について
〇尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官との会談概要について

■質疑
〇首脳会談について
〇野党外交、会談の雰囲気について
〇日韓共同宣言について
〇慰安婦問題について
〇大統領のメッセージ、「前進元年」について
〇安保法制について
〇70年談話について
〇水産物輸入規制等、いくつかの課題について
○ヘイトスピーチについて
(※質問順は必ずしも項目順ではありません。)
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【岡田代表冒頭発言】
民主党代表の岡田克也です。私の方から大統領との会談を中心にお話をしたい。あと
でご紹介するが、朴大統領から70年、50年の本年を前進元年にしたいというお話
があった。未来志向で両国関係を前進させる元年にしたいということをおっしゃっ
た。全体としては慎重に言葉を選びながら、日韓関係をよくしたいという大統領の熱
意が感じられる非常に良い会談だった。

以下、順を追って、会見の模様をお話ししたい。大統領がどういう風におっしゃたか
ということは逐語的には申し上げない。私の発言は詳しくお話ししたいと思うが、大
統領のご発言は私の方で要約して申し上げたいと思う。

私から国交正常化してから50年という記念すべき年である。しかし残念ながら日本
人の6割以上が韓国に親しみを感じないと言っている。これは民主党政権のスタート
した2009年から2010年、2011年ぐらいと比べると、当時は6割の人が韓
国に親しみを感じると言っていたので、これは大きな変化である。極めて残念なこと
であり、何とかしないといけないとの思いで韓国に来たと申し上げた。そして大統領
からも日本国民に対するメッセージをぜひお願いしたいと申し上げた。

大統領からは、まず安定した日韓関係の重要性、あるいは過去との和解の大切さが強
調された。50周年という年の中で、国民的な交流、あるいは議員交流が活発になさ
れていることにも言及があった。その上で大統領から私に対して、菅総理の談話に関
わったとのお話をいただいたので、私は菅談話についてお話しした。

私は、菅談話の中で、「植民地支配によって、国と文化を奪われ民族の誇りを深く傷
付けられた」という表現、「痛みを与えた側は忘れやすく、与えられた側はそれを容
易に忘れることはできない」という表現、これはいずれも現在の思いと同じであると
述べた。

しかし同時に和解には、双方が歩み寄ることも大事である。元従軍慰安婦の問題につ
いても、彼女たちの苦しみを思うと誠に申し訳ないし、また日本の政治家として恥ず
かしいことだと思う。今、政府間で交渉している、私は詳細を知る立場にないが、お
互いが歩み寄ることでよりよい解決が図られることを望んでいると申し上げた。

大統領からは概要次のようなことがあった。両国で外交的な努力を行っているところ
である。よい方向で解決されれば韓日の安定的な関係にも寄与することになる。

次に70年談話について、まず大統領の方で、村山談話、河野談話、菅談話、この3
つを上げられて、安倍総理の談話がこれらの認識を踏まえたものとなれば、両国関係
は未来に向けていくことになるとの趣旨のことを言われた。

私は3つの談話以外に、小渕総理、金大中大統領との間の日韓共同宣言もあると指摘
した。この中には、小渕総理が植民地支配により、多大の損害と苦痛を与えたことに
対し、痛切な反省と心からのお詫びを述べたとある。他方で金大統領は過去の不幸な
歴史を乗り越えて未来志向的な関係の発展にお互いに努力することが、時代の要請で
あると述べた。国際社会の平和と繁栄に戦後日本の果たした役割を高く評価するとい
う言葉もある。

私が以上のことを申し上げた後、大統領から概要、以下のような話が合った。

従来の歴史認識を再確認することは重要だ。その再確認がされればさまざまな問題の
解決につながる。そのあとに最初に申し上げた表現があったわけだ。70年、50年
の本年を前進元年にしたい。民主党にも側面的に尽力してもらいたいと。

安保法制の問題について、私から少し提起した。民主党は安倍内閣が提案している安
保法制について、集団的自衛権の行使については反対している。しかし、日本の平和
と安定に重要な影響があるときには、在日米軍を後方支援するということが法律に定
まっている。日韓で周辺有事の問題について、よく話し合う必要があるのではないか
と。

大統領からは直接、それに対しての話はなかったが、安全保障法制についてひとこと
あった。日本国内での議論について韓国でも大きな関心を持って見ている。議論が平
和と安定に寄与する形で進むことを望んでいると。

聞いていて、日本の安全保障法制について、何か一定の方向性を持って言われたとい
うようには受け止めなかった。ニュートラルに関心があるといわれたということ。

最後に、首脳会談について、私の方で早期に、無条件で、定期的な首脳会談をやられ
たほうがいいのではないかと申し上げた。

大統領からは、両国間の問題をひとつひとつ乗り越えていく中で首脳会談が早期にで
きることにつながるとの趣旨の発言があった。

同時に、韓日中三か国の首脳会談についても言及があった。そこで首脳会談をすると
いう意味で言われたわけではないが、三か国の首脳会談ということに言及されたとい
うこと。

外相との会談について簡単に申し上げたい。話は重なるので、外相は約1時間やり詳
しくやったがその内容については省く。大統領との会談で出なかった内容も提起し
た。ひとつはヘイトスピーチについて。もう一つは拉致の問題。3つ目が水産物の輸
入制限、観光、特に東北への観光についてである。

以上について、質問があれば中身についてご説明したい。

(質疑)
NHK:訪韓前から代表は条件をつけずに首脳会談をすべきと言っていた。今日の会談
では直接的な回答はなかったとのことだが、代表個人としては首脳会談開催への感触
は?

代表:私の感想を言うべきではないと思う。ただ大統領は条件付けをしたということ
はなかった。ひとつひとつ課題を乗り越えていく中で、早期に開催ができるというも
のでした。これをどう解釈するかは記者の皆さんのご判断かと思います。

共同:会談の内容について、以前から代表は政府を補完するような外交と言っていた
が、官邸に何らかの形で伝える意向はあるか。

代表:大使も同席されていたので、会談の内容は官邸には伝わると思う。もちろん官
邸からより説明をしてもらいたいという話があれば、説明することはやぶさかではな
い。

読売:冒頭の映像などを見ると、両者笑顔だったようだが、会談の雰囲気はどうだっ
たか?

代表:最初に申し上げたが、言葉は慎重に選びながらお話になっていたと思う。た
だ、雰囲気は非常によい雰囲気で議論が行われたと感じている。

産経:小渕総理、金大中大統領の共同宣言に代表から触れたことに、代表のねらいが
あると思うがそれは何か。

代表:他の3つは談話、つまり日本政府が考え方を発表したもの。しかし小渕総理、
金大中大統領の共同宣言はお互いが合意して出したもので性格が少し異なる。その中
で、金大中大統領の方で、未来志向でお互い努力する必要があるとか、戦後の日本の
果たした役割を高く評価するという表現が出てくる。私はこの共同宣言は両国にとっ
て非常に、いいものと考えているので、その原点に戻ってはどうかと考えている。

共同:慰安婦問題についてだが、非常に外交的な言い回しに聞こえたが、これまで大
統領が言ってこられた被害者が納得する措置とか、先日ワシントンポストに対して
言ったファイナルステージに来ているというような日韓間の交渉の程度をどの程度見
積もっているのかというそういったところを感じさせる発言はなかったか。

代表:なかなかむずかしいところだ。いずれにしても我々は、通訳を介して大統領の
話を聞いている。率直に言って、私は大統領のお話を聞いた時に、解決について前向
きな印象を受けたが、必ずしもそういうものでもないという話もあって、そこは
ちょっと我々にはこうだと言い切る材料はない。

毎日:代表からの話で大統領の言葉の紹介で大統領から日本国民へのメッセージがあ
ればお願いしたいという言葉があったとのことだが、大統領としてこういうことを伝
えたいということがあったのか。

代表:誤解があると思うが、私が申し上げたのは私から大統領から日本国民に対して
メッセージを発してもらいたいと申し上げた。つまりこの会談自身がメッセージであ
ると。日本国民を意識してご発言いただきたいと申し上げた。それが最初に申し上げ
た70年、50年の本年を前進元年にしたい、というのが大統領のメッセージと受け
止めた。

朝日:前進元年としたい、との発言があったのだが、具体的に話をしたのか。

代表:それが先ほどお話しした従軍慰安婦の問題であったり、70年談話のお話しで
あったということです。中身は先ほどお話しした通りだ。

共同:安保法制に関してだが、韓国でも関心を持っているということだが、大統領と
してはニュートラルのように感じたとのことだが、具体的な文言として懸念とか反対
であるとか、そういう雰囲気はあったのか。

代表:そういう発言はありません。大統領としても、ここは注意深く、言葉を選んで
お話になったと思います。

時事:世界遺産の問題については、大統領ないし外相との会談で出たか。

代表:特に出ていない。

朝日:70年談話の関係で、大統領から河野談話、村山談話、菅談話を取り上げたと
の話があったが、談話にどういう言葉が入るかが韓国でも関心事だが、具体的な植民
地とか、具体的な言葉について大統領からそういう話があったか。

代表:先ほども申し上げたが、70年の安倍総理の談話が、歴代内閣の歴史認識を再
認識するものとなれば、両国関係が未来に向けて進むことができるとの趣旨の話が
あった。ただご指摘のような具体的な言葉については大統領から言及はなかったし、
私もそういった言葉については発言をしなかった。私は申し上げたが、国会では、い
ろいろと安倍総理とこの問題を議論をしている、辻元さんもそうだが、しかしまぁ、
そういったことをここ(大統領との会談の場)で言うつもりはないと。

北海道新聞:代表がご覧になった朝鮮王室の儀軌についてだが、民主党政権において
日韓関係を進めるために行ったと思うが、大統領から返還に関して話があったか。外
相との会談で水産物の話があったと思うが、今、WTOで議論していると思うがその内
容について聞きたい。

代表:朝鮮王朝儀軌については大統領とは話が出ていない。念のために言うが日本政
府の立場をいうと、返還ではなくて、引き渡したということである。水産物の話は近
藤さんから後で話したい。

近藤:水産物については、輸入規制がかかっていることについて、私から今WTOで協
議をしているが、韓国政府でぜひ善処してもらいたいということを要請した。外務長
官からは、両国政府で話し合いをすることが重要だとの話が合った。

共同:懸案の中で産経新聞の支局長、仏像の件では話が出なかったか?

代表:特に話は出ていない。大統領とは40分、外相とは60分強、お話ししたが、
そこまで話がいたらなかったということ。

読売:北朝鮮情勢、核問題について、意見交換はあったか?

代表:大統領との間で特にそういう話はでなかった。外相との間では若干、意見交換
をした。

産経:MERSが沈静化しているが、観光客の減少とか、また日韓の経済問題について大
統領から何か話があったか。

代表:特に大統領からはそういう話は出なかった。外相からは韓国からの観光客は円
安もあって増えているが、日本からももっと来てもらいたいとの話はあった。山形県
出身の近藤さんからは、東北にももっと来てほしいというお話をした。

NHK:慰安婦問題についてはどちらから持ち出したか。大統領に慰安婦問題について
はどのような話があったか。

代表:慰安婦の問題についてはたぶん私から言ったと思う。大統領からは先ほどご紹
介したように両国間で外交的に努力している、良い方向で解決されれば韓日関係を補
強することになるという発言があった。大統領の発言をどう受け止めるかということ
には、若干ニュアンスの違いでわからないとことがあるということを先ほど申し上げ
たところ。

NHK:最初の訪問先に韓国を選んだ理由と、野党外交として補完したいという目的は
どうだったか。

代表:韓国との間では首脳会談が長らくできていない。野党であっても日韓関係に長
く関わってきた私としては、日韓関係改善に多少とも役に立てればとの思いで訪韓し
た。
約40分間の大統領との会談は、かなりよい雰囲気の中で内 容のある会談となった
ので、私は来てよかったと思う。
4年前に与党の幹事長を辞めて、副総理になるまでの役につ いていない約4か月ぐ
らいの時があったが、その時に韓国を訪問して朴槿恵さんとお会いした。もちろん大
統領になる前である。 
今日も大統領に申し上げたがふたりで協力して日韓関係をよりよいものにしていこう
ということを、その当時、約束した。そういったことも今回韓国に来た理由のひと
つ。

読売:70年談話を巡って日韓共同声明のことに言及されたということは、70年談
話に対して、代表が共同声明にもある植民地支配などの言葉を盛り込むべきだという
意図をもって、持ち出したのか。

代表:ちょっと想像力が豊かすぎると思う。私は日韓共同宣言に言及したのは、先ほ
ど申し上げた通りだ。金大中大統領が未来志向ということ、もうひとつは戦後の日本
の役割を高く評価するとしたこと、そのことを言いたかった。

産経:尹外相との中で、ヘイトスピーチについてどういった話があったのか。村山、
河野、菅談話を引き継ぐということについて代表はどのように思っているのか。

代表:ヘイトスピーチについては後程、辻元さんが話す。3つの談話を受け継ぐとい
うことについて私は必要だと思うが、具体的なことは非常に談話発表の時期も迫って
きたので、安倍総理がご自身でよくお考えになって良い談話を作っていただきたいと
思っている。

辻元:ヘイトスピーチについては、民主党が中心となって参議院に法案を提出して、
明日から審議入り、趣旨説明ということを説明したということ。

聯合ニュース・キム:韓日首脳会談と関連して、朴大統領が韓日中首脳会議について
言及したと言われた。具体的に大統領がどのようにやったら韓日中首脳会議について
実施されると思うか。また韓日中首脳会議を早期に開催するためには、安倍談話など
を通じて正しい歴史認識を発する必要があると思うが、そういう点で代表が言われた
のか。

代表:韓日中首脳会談については、先ほども申し上げたように早期の首脳会談開催が
必要ではないかということに対して、まずはひとつひとつ両国間の問題を乗り越えて
いくことがつながると言われた上で、その上で韓日中首脳会談に言及されたもの。3
月に三カ国の外相会談で、早期の三か国の首脳会談についても合意されている。大統
領としては、言われたということだが、日韓首脳会談の話題のあとで引き続き言われ
たので、三カ国首脳会談の場で日韓首脳会談をやることを示唆したと受け止めること
も可能かもしれない。三カ国首脳会談について何か条件付けということはとくにな
い。
最後に、先ほど私が、日本の周辺有事の際のご説明をしたわ けだが、これは今ある
周辺有事法に基づいて、日本の平和と安定について、重要な影響がある場合には、在
日米軍の後方支援を行うことがあるということを現在の法律に基づいて行うといった
のもので、政府が今、提案した内容について是認・言及したものではない。

以上




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