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2015.07.13|記者会見

岡田克也代表定例記者会見(7月10日)⇒https://www.youtube.com/watch?v=RMHFWkkBV8I

岡田克也代表記者会見
2015年7月10日(金)15時00分~15時50分
編集・発行/民主党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。


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■冒頭発言
〇衆院安保特別委員会での総括的集中審議について
〇参議院選挙制度改革について
■質疑
〇《安保法制》安保特別委員会での政府答弁について
〇《安保法制》維新案における自衛権の定義について
〇《安保法制》イラクにおける自衛隊活動の情報公開について
〇《安保法制》政府・与党の強行採決方針について
〇《安保法制》領域警備法案の国会審議について
〇《安保法制》新安保法制下での自衛隊員のリスク増大について
〇《安保法制》安保法案リーフレット「未来のために…。」について
〇《安保法制》地方議会から国会・政府への意見書採択について
〇普天間基地移設問題について
〇参議院選挙制度改革について
〇次期総選挙の対応について
〇岩手県知事選挙の対応について
〇イラン核協議の期限延長について
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■冒頭発言

〇衆院安保特別委員会での総括的集中審議について

【代表】
 私から2点。
 まず第1点は安全保障特別委員会での質疑です。私自身も1時間意見
を交わしましたが、なるべく簡単にわかりやすくと基本的なことをお聞きし
ましたが、残念ながら答弁は要領を得ないものだった。
 私、今回、特に申し上げたかったことは、防衛出動の要件。つまり「存立
危機事態」だということで防衛出動するということですが、そのことと、それ
から武力行使の前提としての武力攻撃の「着手」、相手方がどこまで来た
ら、武力攻撃の「着手」がなされたと、武力行使できるか。
 この二つは個別的自衛権の時には明確に分けられている。防衛出動し
たら、即武力行使できるわけではない。相手方の「着手」があって初めて
武力行使できる。そういう考え方ですが、じゃあ「存立危機事態」において
はそういう概念がそもそもあるのか。総理の答弁はよくわからないのです
が、最初に米軍と交戦状態にあるわけですから、それが「着手だ」と言った
ようにも取れますが、はっきりしない。
 日本人を運んでいる米艦船に対する攻撃の「明白な危険」があったら、
それが「存立危機事態」として認定し得るという趣旨の話もありましたが、
無条件でそうなるのか。もし日本の船であれば、日本人を乗せた船に攻
撃があったとしても、1度だけでそれが武力攻撃だと言って個別的自衛権
を発動することには通常はならない。組織的・継続的な攻撃があって初め
て武力攻撃があったと、日本が防衛出動して武力行使するというのが普
通の考え方だと思いますが、1度だけ「明白な危険」があったら、それで武
力行使するというのもよくわかりません。
 それから米国以外の船だったらどうなるのかということも質そう思ったの
ですが、それは総理の言葉を使えば「見殺しにするんですか」と。そういう
こともよくわかりません。
 我々は至極真っ当な考え方で、それは武力行使・防衛出動ではなくて、
それまでに海上警備行動のような形できちんとオペレーションして、(日本
を)守っている米国の船に限りません、(米国以外の)他国の船であっても、
日本人を乗せた船が攻撃を受けることになれば、それは武力行使はしま
せんが、職務の範囲の中で武器を使用する。そして、その日本を守ってい
る船に対して継続的な攻撃がなされれば、それは日本自身に対する武力
攻撃ということになるわけですから、その時は防衛出動して日本が相手を
攻撃する、武力行使をすることになるというのが我々の考え方であります。
 それがごく常識にかなった考え方だと思いますが、何を議論しているの
か、議論している私もわからなくなるような議論の飛び方でした。結局、攻
撃の「着手」という考え方がどこに行ったのか。それも含めて非常にフラス
トレーションの残る議論だったと思います。
 私が心配しているのは、ただでさえあいまいな「存立危機事態」という概
念です。それを総理がまたこういう答弁を繰り返されることで、さらにわけ
がわからなくなり、基本的なことがきちっと答弁できない。私は「紙で出して
くれ」と最後に申し上げましたが、こういう状況で「総理が最後は決めるん
だ」「内閣が決めるんだ」と言われると、要するに戦争を始めるスタート、武
力行使するということですから相手の反撃も当然あるわけで、これでは本
当に日本国民の命と暮らしがどうなるのか、ということを改めて感じた。
 いずれにしても、まだまだ議論をしっかり尽くさなければいけないと思いま
す。イラクにおける航空自衛隊の活動の件も含めて、情報公開を求めてい
きたいと思っております。

〇参議院選挙制度改革について

【代表】
 もう一つは、参議院の選挙制度の話ですが、自民党も、荒井案と言うの
ですか、野党4党案と言うべきか、元々の趣旨は一体どこなのか。それに
乗っかるという話も聞こえますが、これは最新の統計によれば(一票の格
差が)3倍を超えるものです。3倍以内だ、2倍台だと書くマスコミも多いの
ですが、これは時間が経てば3倍を超えることは明らかです。違憲の疑い
が非常に濃いものであり、到底認めるわけにはいかない。やはり民主・公
明案でしっかりと対応すべきだと思います。
 採決にかかれば、「今の荒井案では憲法違反の疑いは免れない」と民主
・公明案に賛同していただける方も野党の中に、場合によっては与党にも
いるのではないかと私は思います。
 維新も選挙制度についていろいろなことを言っておられるが、こういう中
途半端な小手先の改革で、「改革の政党・維新」が満足されるとは思いま
せんし、やはり本筋に戻った、きちんと2倍以内におさめる案で各党合意し
てもらいたいと思います。

■質疑

〇《安保法制》安保特別委員会での政府答弁について

【フリーランス・宮崎記者】
 今日の安保特別委員会での総理答弁で、米艦防護に関して、日本への
攻撃が予測される事態で、「米艦といってもさまざまな米艦がある。軍艦に
限らない」という発言があった。岡田さんに先立ち、公明党の上田政調会
長代理に対しては、武器等防護に関して、「新ガイドラインでは、平時にお
ける武器等防護ができる」という答弁があった。きょうの答弁では、平時か
ら米軍の貨物船なども日本の自衛隊が防護しなければいけないのではな
いかとも聞こえる答弁を総理はされている。この点について今後どう議論
されていくか。

【代表】
 今のご質問は、むしろ上田さんの問いに対するお話だと思います。私の
議論した中身とは違います。
 95条の2(武器等防護)の解釈の問題については、そこはそこでいろい
ろな議論がわが党としてもあると思います。

【フリーランス・田中記者】
 細野豪志さんが経済的徴兵制について質問しておられた。もちろん徴兵
制そのものは憲法違反だが、経済的徴兵制は憲法18条「苦役の禁止」に
当たるのではないかと質問され、内閣法制局長官は「当たらない」と答えた。
それはそれとして、こういう貧困層をつくり出す安倍政権の政策をどう思わ
れるか。また民主党が政権を取った場合、こういう国家はどう変えていか
なければいけないか、貧困層をどうやってなくそうと思われるか。

【代表】
 私、細野政調会長のやりとりを見ておりませんので、コメントは控えます。

【フリーランス・田中記者】
 細野さんのは別として、経済的貧困層、経済的徴兵制をつくり出す安倍政
権の政策をどう思うか。それと民主党がもう1回政権を取った場合は、この
貧困層をどうやって少なくしていくか。

【代表】
 今、共生社会創造本部で私が本部長になり、長妻昭さんが本部長代行で、
格差の少ない社会をどうつくっていくかということを真剣に議論しているところ
です。そんなに長くない先に中間的な報告を取りまとめたい。民主党として非
常に重点的に考えている政策であります。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 「存立危機事態」の輪郭をはっきりというのはよくわかるが、一方でそれを
あまり個別的・具体的にギリギリ、「着手」あるいはその反撃について政府に
答弁を求めるのは、自衛隊のROE(行動基準)と直結するのでやはり難しい
ところもあるのだという論調もある。それについては国会でこの問題どこまで、
「着手」と反撃について議論すべきとお考えか伺いたい。

【代表】
 私は総理と何回も議論してきて、総理ご自身が防衛出動と攻撃の「着手」
と区別がついていないのではないか、そこを整理してくださいということを申
し上げている。具体的事例の前に、考え方として、この「存立危機事態」に
おいて、つまり日本自身が攻撃を受けていない時に、攻撃の「着手」という
概念がはたしてあるのか、ないのかということもはっきりしない。どうも今日
は、米軍が最初に戦争を始める、それが攻撃の「着手」と言ったかと思うと、
何か米艦が攻撃された時が「着手」のようなニュアンスの答弁もあって、い
まだに混乱されている。
 ですから、そこはきちんと紙でまとめてください、整理してくださいと。そう
でないと基本的な議論ができない。どこまで行ったら「存立危機事態」と認
定されて防衛出動するのか、どこまで行ったら武力攻撃がなされたと日本
は武力行使できるのか。これは全然違う二つの概念を、総理自身が混同
しておられるのか、わざと混同しておられるのかもわかりませんが、お答え
になっていないので、そこをまず整理してください、ごくごく基本的なことを
申し上げている。具体的な微妙な話を聞いているわけではありません。

〇《安保法制》維新案における自衛権の定義について

【産経新聞・山本記者】
 今日の維新案の審議の中で、個別的自衛権と集団的自衛権を区別しな
い内容で、小沢鋭仁さんが答弁の中で「(武力攻撃危機事態での武力行
使について)国際法的には集団的自衛権と評価されることを否定しない」
と答弁された。要は集団的自衛権行使を容認することを事実上認めてい
るが、この維新が認めている点をどのように評価されるか。それは違憲
なのか合憲なのか、ご所見があれば伺いたい。

【代表】
 小沢鋭仁さんが言われたことが維新としての全体の答弁なのか、私、承
知しておりませんので、コメントしにくいのです。
 ただ、自衛権といった時に、国際法的には個別的自衛権と集団的自衛
権、いずれか。その違いは、自らが攻撃を受けたか、自らが攻撃を受け
ていないにもかかわらず密接な関係にある第三国が攻撃を受けたか、こ
こで一応切り分けているということだと思います。ですから個別的自衛権
というのであれば、自らが攻撃を受けたという概念を、その自らが攻撃を
受けたという定義の中でどういうふうに理解するか、こういう問題だと私は
整理しております。

【産経新聞・山本記者】
 憲法学者の皆さんが、維新案について「合憲」という旨の見解を示したり
しているが、この評価について代表はどう感じているか。

【代表】
 私、そういう見解を聞いておりませんのでコメントしにくい。自身確認して
おりませんし、直接ご本人の口から何か述べられたということは聞いてお
りません。維新の皆さんがいろいろおっしゃっていることは聞いていますが。
小林(節)先生がおっしゃったという話は聞きますが、他に聞いていない。
ですから、コメントはしかねます。

【フリーランス・横田記者】
 維新の考えを聞くと、個別的自衛権か集団的自衛権かの神学論争、専
門家の論争には踏み込むつもりはない、あくまで憲法に適合しているかど
うかと。学者によっては集団的自衛権と言うかもしれないし、個別的自衛
権と言うかもしれないが、そこには踏み込まないで、合憲性を重んじてい
るのだという考えだが、これについてはどうお考えか。

【代表】
 そういう考え方もあると思います。ただ、国際法的にどうかというのは常
にあります。

【フリーランス・横田記者】
 領域警備法案を共同提案するのが一旦決裂しかけた時の報道で、民主
党と維新は集団的自衛権の賛否で考え方が大きく異なるという指摘もあっ
た。政府案と維新案を比べた場合に、どちらが考え方・哲学で近いか。遠
くよりも近くを重視するということでは、維新・民主のほうが考え方が近いの
ではないかと思うが、その点についてはいかがか。

【代表】
 政府案と維新案は考え方が全然違いますので、これを比較するのは非
常に難しいと思います。

【フリーランス・横田記者】
 どちらが民主党案と近いか。

【代表】
 わが党は今回、政府案について、それは必要がない、そういう集団的自
衛権を認める必要はないと考えますので、わが党の視点から維新案と政
府案とどっちが近いとか、そういうことを言えるポジションにはおりません。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 維新の「武力攻撃危機事態」を読むと、条約を結んだ国アメリカの、日本
の近海で日本を守っている艦船が攻撃された場合、それは反撃すべきな
のだと。国民的にはそれはわかりやすくて、率直に言ってこの議論は、「何
が正しいか」よりも「よりまし」なもので日本の潜在的脅威をアレするという
意味では、それなりに評価すべきものだと思う。この定義、「存立危機事態」
よりは絞ってきていると思う。代表は、維新の書いている定義、これは前進
したとごらんになるのか。その評価を伺いたい。

【代表】
 維新の皆さんがいろいろなことを考えておられることは評価したいと思い
ますが、それ以上のことを評論家のように申し上げるべきではないと思い
ます。

○《安保法制》イラクにおける自衛隊活動の情報公開について

【フリーランス・宮崎記者】
 きょう中谷防衛大臣から、イラク戦争の時のバグダッド空港での航空自衛
隊の活動について詳しい答弁があった。バクダッド空港は「非戦闘地域」で
はないのではないかという岡田さんの意見だったと思うが、実際にDHL(ド
イツの国際輸送物流会社)の貨物便が撃墜されるというのが2003年11
月22日、バクダッド空港であった。武装勢力からのロケットランチャー(地
対空ミサイル)がエアバスA300の左主翼に命中したと記憶しているが、
油圧系統が全滅になり、エンジンの出力のやり方だけでバグダッド空港に
帰れた。これは貨物なので乗員3名だが、エアバスA300は旅客で使えば
345名が乗れる飛行機だ。(自衛隊の)C-130が同じような被害に遭う
可能性は十分にあったかと思う。イラク戦争の時の自衛隊の情報を出して
いなかったことに関して、どのように思われるか。

【代表】
 まず、民間機は撃墜はされていない、おっしゃったように、撃たれたけれ
ども着陸はしていると思います。
 そして日本の航空自衛隊がどういう状態かというのは、今日の話も極め
て抽象的でありまして、やはりきちんと情報公開すべきだと思います。私、
国会の場でも申し上げましたが、アフガニスタンというか、インド洋におけ
る給油活動の時に、アメリカは個別の船がどういう活動をしたかということ
を極めて詳細に情報公開いたしました。日本のほうは真っ黒でした。それ
は安全に関わる話だ、と。
 しかし、イラクで航空自衛隊が活動してからもう10年経つ。ですから安
全に関わるという話ではない。にもかかわらずいまだに情報公開を拒ん
でいるというのは、私には全く理解できない。こういうことをしていて、「い
や、必要があるから、『非戦闘地域』はやめて、新しい概念で後方支援は
するのですよ」「リスクは増えませんよ」、そういう答弁で済ませようとして
いるのは許しがたいことだと私は思います。きちんと情報公開した上で、
我々も判断しなければならないということは繰り返し申し上げておきたい
と思います。

〇《安保法制》政府・与党の強行採決方針について

【テレビ朝日・川村記者】
 来週にも衆議院を通過するのではないかと言われているが、いずれに
せよ政府・与党は今国会で成立させようとしている。議論や野党の動きを
見ていて、死ぬ気で止める、絶対にこの法案成立を許さないのだという迫
力が少し足りないのではないかと思うこともある。どういうふうにしてこれか
らこの法案の成立を止めていこうとお考えか。

【代表】
 それは主観の問題ですが、55年体制の時の社会党のように、何でも頭
から反対という論理を展開するということではありません。しっかり問題点
を指摘して国民の皆さんの理解を得るということが、結果として8割の人が
「政府の説明は十分でない」と答えていることにつながっていると思います。
 そういう状況の中で、あなたは来週法律が(衆議院を)通るようなことをお
っしゃいましたが、私はそうは思いません。

【フリーランス・横田記者】
 採決のタイミングについて、十分な審議を尽くしたのかという目安の一つ
として、国民の8割が「説明が不十分だ」と。その8割が例えば半分以下に
なるとか、そういう世論の明らかな変化も目安の一つになるとお考えか。

【代表】
 少なくとも憲法改正のためには半分以上の賛成がないと、国民投票で改
正できないの。8割が「不十分だ」と言っていること。それから読売新聞の
調査でも、3ヵ月間を見ると、「賛成」が減って「反対」がどんどん増えてい
く状況で異常事態です。普通なら時間が経てば多少改善していく。こういう
異常事態の中で採決をするなどということはあり得ないことだと思います。

【フリーランス・横田記者】
 維新側から採決日程の提案と採決出席の提案があって、結局盛り込ま
れなかった。ということは、今の段階で採決のタイミングを決めるとかそう
いうカードを切るのは時期尚早ではないかと。世論の動向、変化を見極め
て、そういうカードを切るかどうか決めるべきだという捉え方でよろしいか。

【代表】
 与党と日程調整するつもりはありません。

【共同通信・光山記者】
 先ほど「来週法案が通過するとは思っていない」とおっしゃったが、その
上で、今後野党共闘が重要になってくると思う。今日の夕方にも5党党首
会談があるのではないかと言われているが、今後共闘する上で何が一番
重要か、そしてどうやって対外的に発信していくべきかについて伺いたい。

【代表】
 野党がしっかり協力していくことが、法案の強行採決を阻止するために
必要なことだと思います。そして十分な審議をするため野党5党がしっか
り協力していかなければならないと考えます。

〇《安保法制》領域警備法案の国会審議について

【読売新聞・前田記者】
 きょう、維新と民主が共同提出した領域警備法が初めて国会で審議され
たわけだが、その中で総理は「現時点で新たな法整備が必要とは考えてい
ない」と答弁した。こういう総理の姿勢についてどのように感じているか。

【代表】
 総理はよく「国民の命と平和な暮らしを守る」と言われます。これは直接
的には日本に対する攻撃があった場合というのがまず重要になる。だか
ら我々は「近くは現実的に」と申し上げている。どこかの軍が攻めてくる可
能性よりは、やはり軍ではない形で、偽装した形で離島などに上陸してくる
可能性が高いと専門家の間では言われているわけで、そういう離島に対
する攻撃に対してどう対応するかということが私は一番必要なのだと思い
ます。
 政府は、いろいろ検討した結果、結論は「電話で閣議をするから大丈夫
だ」、そういう非常に情けない結論で、結局、役所間の調整ができていな
いのではないか。役所間の調整もできずして本当に日本を守れるのか、
と思います。そこはまさしく政治の出番で、きちんと切れ目のない、それこ
そシームレスな対応ができるようにしておく。そのための領域警備法。もっ
と、総理が日々おっしゃっていることに返って、この領域警備法について
真剣に検討してもらいたいと思います。

〇《安保法制》新安保法制下での自衛隊員のリスク増大について

【朝日新聞・渡辺記者】
 一昨日、内閣官房が政府統一見解を出してきた。その中で、自衛隊員
のリスクについては、「今回の法制ではリスクを極小化するための措置を
規定している。それでもリスクは残る。しかし、それは国民の命と平和な
暮らしを守り抜くために自衛隊員に負ってもらうものであって、法整備に
よって国民のリスクが下がる効果は大きいと考えている」という見解だっ
たかと思う。岡田さんはこの旨をずっと追及してきたが、この統一見解に
ついてどういうご所見をお持ちか。

【代表】
 最後の話は、自衛隊員のリスクの話をいつの間にか国民のリスクに置
きかえて議論していて、全く論外の論理だと思います。
 我々が聞いているのはリスクが増えるかどうかで、そこについては全く
答えていない。リスクを最小化しなければいけないのは当たり前です。そ
の大前提として、リスク全体が増えるのかどうかということをずっと問うて
いるわけで、「リスクが増える」と素直に言われればいいと私は思うのです。
誰が考えても増えると思いますよ。それを答えない。そういう態度が私に
はよく理解できないということです。
 それから先ほど言いましたように、今までどういうリスクがあったのかと
いうことも情報公開しない。ひたすら抱え込んでブラックボックスにして、
「いや、リスクは増えません」とか「最小にしますよ」とか言っている。その
姿勢が非常に問題だと私は申し上げている。

【共同通信・光山記者】
 先日、安倍総理が自民党のインターネット番組で、安保法案が通った場
合の自衛隊員のリスクについて「下がっていく」と話された。これまで代表
は党首討論等でたびたび質問され、総理からも一応返答があったと思う
が、こういった党の番組でリスクについてあっさり語ることについての受け
止めを伺いたい。

【代表】
 安倍さんの「リスクが下がる」というところは私、実際に見ておりません
ので、それだけではコメントしがたい。どういう趣旨でおっしゃったのかよ
くわかりませんので、コメントは控えたい。

〇《安保法制》安保法案リーフレット「未来のために…。」について

【フリーランス・堀田記者】
 広報委員会が出した、これが通ると徴兵制になるというリーフレット。こ
れは長島昭久さんが廃棄だとか言っていたが、それはどうなったか。

【代表】
 まず事実認識として、広報委員会のリーフレットを私も読みましたが、
「これが通れば徴兵制になる」と書いていない。あそこで書いた文書は私
が党首討論で申し上げたことがほぼそのまま踏襲されていますので、文
書の中身としては問題ないと思います。
 もう一度申し上げておくと、私が党首討論で申し上げたのは、今回、憲
法の重大な解釈の変更を国民的な議論もなく、一内閣の判断で変えてし
まった。そういうことがまかり通るようになると、今後とも同じように重要な
憲法解釈の変更が一内閣によって将来なされかねない。例えば徴兵につ
いての解釈も、これは憲法の「苦役の禁止」に当たるという解釈が確立し
ているが、内閣の判断で集団的自衛権、違憲が合憲になるということだと、
「苦役の禁止に当たらない」と言い出す内閣が出てくる可能性があるとい
うことを私は申し上げた。
 これは、もし反論する人がいれば、間違っているというのならば、どんど
ん反論していただきたいと思います。私はごく真っ当なことを申し上げてお
り、それが今回のリーフレットの中にも書かれていると思います。

【フリーランス・堀田記者】
 それが回収されたのですか。

【林久美子広報委員長】
 回収していません。今もそれを活用していただいています。

〇《安保法制》地方議会から国会・政府への意見書採択について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 地方議会から300ぐらい、政府または国会に意見書が出ていて、その
ほとんどが「慎重」か「反対」だ。この問題について、専管は国だと思うが、
地方議会がこれぐらいの声を上げていることを民主党はどうごらんになる
のか。この声というのは、やはり本来野党が反映しないといけないと思う。
野党の側に地方議会から訴えかけがあるのかどうかわからないが、こう
いう地方議会の流れをどう受け止めているか伺いたい。

【代表】
 保守系も含めて構成されている地方議会からこれだけの意見が出てき
ていることは、政府には真剣に受け止めてもらいたいと思います。もちろ
ん議会だけではなくて、憲法学者も、元長官も、そして若者も。今日もおそ
らく多くの人々が議事堂を取り巻くことになると思うのですが、そういう状況、
だんだんそれがより強くなってきている。これは政府は真剣に受け止めて
もらいたいと思います。もっとちゃんと答弁しないと、この流れは絶対に止
まらないのではないかと思います。

〇普天間基地移設問題について

【フリーランス・上出記者】
 ちょっと古い話だが、最近一部報道でも話題になっているので伺いたい。
最近、ヒラリー・クリントンさんのメールが公開された。共和党から、自分の
個人メールを公務に使っていたとして、いろいろなことが公開されている。
その中に岡田代表が外務大臣時代の2009年12月、当時の鳩山内閣が
「最低でも県外」と言った沖縄の基地返還について、当時の駐米大使がク
リントン国務長官に急に呼び出されたが、7月8日付の東京新聞では実は
自作自演だったという疑問が出ている。ヒラリーさんが呼び出したようにや
ったが、実は外務省が自分で事前に根回しをしてやったと。当時の国務省
も後で、日本の駐米大使のほうからやってきたと言っている。これが本当だ
としたら、やはり政治に対して外務省が反旗を翻している、クーデターと言う
人も当時からいた。当時の大臣として、この事実関係とこういった問題につ
いてどう認識されているか。

【代表】
 私、メールの現物とか見ておりませんのでコメントは難しいのですが、私の
記憶では、休みに入っていたにもかかわらず大使が、あれはクリントン長官
よりもうちょっと下だったように思いますが。

【フリーランス・上出記者】
 キャンベルさんという方が直接やりとりをしている。

【代表】
 やりとりはね。いずれにしても、どちらが声をかけたにしても、大使が国務
省と意見交換をしたということで、なにか呼び出されたとか呼び出されない
とか、それは大した話だったとは私は当時受け止めておりません。

【フリーランス・上出記者】
 実際にはそれで鳩山内閣がかなり窮地に追い込まれる形になり、沖縄
(基地)返還の問題で「最低でも県外」と言ったのを結局守れなかった。そ
れにつながる大きな問題だと思うが、当時外務省は、そういう自分たちの
政権とは違うことをやろうとしていることについてのご認識はあったのか。

【代表】
 ご質問の趣旨がよくわからないのですが、私自身は既に11月過ぎぐらい
の時点で、これは辺野古に戻すしかないという判断をしておりました。総理
とも意見交換を12月にかけていろいろいたしました。それはアメリカがどう
のこうのというよりも、日本の中で他に引き受けるところがないという現実の
もとで、残念だけれども今の普天間を放置できないとすれば辺野古案しか
ないと思っておりましたので、アメリカの動きに左右されたとは全く思っており
ません。

〇参議院選挙制度改革について

【フリーランス・宮崎記者】
 今日になってからもいろいろな動きがあるかと思うが、単純に数の問題で
は参議院自民党が考えを翻さない限りは、二つ合区案が成案になるかと思
う。今年10月1日に国勢調査の簡易調査がある。住民基本台帳ベースで
2.98倍だということは、国勢調査ベースでは確実に3倍を超えていること
が来年2月ぐらいにはわかる。参議院自民党が翻意しないと今日以降はど
うにもならないと思うが、コメントをお願いしたい。

【代表】
 いずれにせよ3倍を超えることは明らかな案で、「違憲」の疑いは拭い去
れない案です。こういう中途半端な案では合意することはできません。
 各紙見ると、もう「合意へ」とか「成立へ」と書くところも多いのですが、良識
の府としての参議院の先生方がはたしてどうお考えなのか。野党4党という
話もありますが、党によっては党議決定しない党もありますし、そういった党
内手続がどこまでとられているのかも、私、承知しておりませんので、別に
公明党と民主党以外を全部足し合わせて成立すると単純に考える必要は
ないのではないかと思います。自民党の中も含めて、良識ある人達がきち
んと行動されれば、結果はどうなるかわからないと思います。
 もし、今言われているような中途半端な、3倍を超えるような案が成立し
て、そして最高裁によって「無効」という判決が出た時に、賛成した人達は
それぞれの見識・責任を問われるということだと思います。

【読売新聞・前田記者】
 自民党内でも閣僚の中でも異論が出たり、前参院幹事長の脇さんが会派
を離脱するというような動きもあった。こうした動きに対して、民主党として積
極的に働きかける考えは現時点であるか。

【代表】
 まず脇さんのケースと閣僚のケースは真逆ですから、これを一緒くたに議
論すると、脇さんが気の毒だと思うのです。
 合区の対象のところの閣僚の皆さんが「合区はおかしい」と言っておられ
るが、結局答えは、昔、西岡武夫議長が言われたようなブロック制をとると
いう道を封じたのであれば、それは2倍以内にするためには複数の県を一
つにするという選択肢しかないわけでありまして、結局、だだっ子のように答
えのないことを言っていることになりかねないと思います。
 もちろん当事者は大変だと思います。同情はいたしますが、しかし、それ
は最高裁で既に判決が出ているわけですから、なぜこんなに意思決定でき
ずに時間がたったのか、非常に不思議ですね。はたして責任与党として適
切な対応なのかと思います。
 こちらから働きかけするとかそういうことは、私、参議院の執行部がどうお
考えかわかりませんが、今のところそういう話は聞いておりません。

〇次期総選挙の対応について

【時事通信・大町記者】
 昨日、総理はいわゆる安保を争点にした解散は考えていないとおっしゃった。
一方で、特に民主党内に早期解散を非常に警戒する声が上がり始めている。
代表は今、解散についてどのような見通しを持っているか伺いたい。

【代表】
 総理大臣は解散についてはうそを言っていいということになっていますから、
総理が何をコメントされようと、そのことがどうだと考えるだけ時間のむだだと
思う。
 衆議院は「常在戦場」です。この法案で追い詰めていけば、どこかで解散と
いうことが絶対ないとは言えないと私は思います。ですから、個々の議員は自
覚を持ってしっかり、いつ何があっても対応できるようにしておくべきだと考え
ます。党としても候補者の擁立を急ぐように、選対委員長には指示を出してい
ます。

【フリーランス・田中記者】
 「常在戦場」で、いつ選挙があってもいいようにということだが、その場合、
また野党がバラけてやったのでは三たび負けてしまう。選挙区調整ではどうし
ようもないというのがこの間の選挙でわかったと思うが、例えば統一名簿など
を考えておられるか。

【代表】
 選挙区調整がどうしようもないとは思っていない。かなり効果はあったと思
います。これから参議院選挙、あるいは衆議院選挙、どういう形で戦っていく
べきなのかということは野党間でよく話をしたいと思います。ただ、その前提
になるのは信頼関係です。ですから、信頼関係をしっかり築いていくことが先
で、私は主要な法案などについて共同歩調がとれることが重要だと思います。
 そういうところがきちんと一致しないにもかかわらず、選挙に不利だからと
いって一緒になるとか、かなり踏み込んで協力するということでは国民の理解
は得られない。まずはしっかり国会の中でともに戦うという実績を作っていくこ
とが重要ではないかと思います。

【フリーランス・横田記者】
 安倍政権が追い込まれて解散になった場合、安保法制が争点になると思う
が、「違憲の政府案阻止」という旗を掲げて野党連携・結集という考えはあるか。

【代表】
 まだ起きてもいないことを前提にお話ししないほうがいいと思います。まずは
廃案に追い込むことをしっかりと頑張っていきたいと思います。

〇岩手県知事選挙の対応について

【共同通信・光山記者】
 岩手県知事選と、それに伴う参議院補選の関係で伺いたい。6月26日の会
見で代表は「この選挙に関しては特に生活の党との連携が重要だ。(生活の
党の)小沢代表とも話をしないといけない」と話されていたが、その後何か話は
まとまったのか、状況について伺いたい。

【代表】
 政党間の進捗を個々にお話しするという考え方は、私は持っておりません。

【フリーランス・堀田記者】
 岡田さんが小沢さんと話をするというのは、岩手県知事選に関してだけか。
その後、平野さんがもし県知事選に出るとなると、秋に参議院補選が行われる。
その補選については話をしないと、この前おっしゃっていたが。

【代表】
 話をしていない、と申し上げたと思います。それ以上のことは今コメントいたし
ません。

〇イラン核協議の期限延長について

【産経新聞・山本記者】
 代表は常々核軍縮に非常にご関心があるかと思うが、イラン核協議が延長の
方向で最後の交渉がなされているようだ。ご所見を伺いたい。

【代表】
 イランもかなり粘りますよね。もちろんイランは交渉上手な国ですからわかり
ますが、大局を見れば、やはりここは、自ら「核武装はイスラムの教えに反す
る」と言っているわけですから、そうであれば折り合いをつけて、その対価とし
て制裁の一部解除を得て国民を豊かにすることを考えるのが、イランのリー
ダーとしてのやるべきことではないかと思います。
 アメリカも、特に共和党はイランに対して非常に厳しい見方をしておりますが、
中東における重要な国だという認識に立って、物事を前に進めるようにぜひ
努力していただきたいと思います。
 その辺のところは、私の本をまた読んでいただくと、イランとの交渉は私の
時にもかなりありましたが、私の考えが大体わかっていただけるのではない
かと思います。




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