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2013.11.05|国会会議録

平成25年10月22日 第185回国会 衆議院予算委員会「選挙制度改革、集団的自衛権、日韓関係、歴史認識について」

○岡田委員 民主党の岡田克也です。
 きょうは、いろいろな点について御議論いただきたいと思いますが、少し順番を変えて、政治改革から議論したいというふうに考えております。
 まず、衆議院の選挙制度、これは、基本的に、一票の格差をなるべく平等なものにするというのは民主主義にとって最も重要な参政権の根幹をなすものだというふうに思います。同時に、衆議院の定数削減の議論がございます。これは二大政党の、当時の野田総理と安倍総裁との間の、まさしく解散をかけた党首討論での約束であります。
 したがって、この二つをきちんとやっていかないと、民主主義に対する国民の信頼というものは失われてしまう、期待を取り戻すことはできないというふうに考えておりまして、これは何としてでもやらなきゃいけないというふうに思っております。
 そこで、まず小選挙区を五つ減らすいわゆる五減案、これが成立をして、具体的な区割りも既に定まりました。しかし、それによって一票の格差がどうなったかというと、現在でも一・九九八であります。これは前回の国勢調査のときの数字ですから、今はもう既に二を超えている可能性も高いということになります。かつ、最高裁は、小選挙区の議席の配分に当たって四十七都道府県にまず一議席配分するという基数配分方式についても疑義を呈しているわけであります。
 したがって、私は、次の総選挙までにこの小選挙区の問題も含めてしっかりと改革を行い、次の選挙は新しい仕組みのもとで行うべきだ、そういうふうに考えておりますけれども、この点について、総理の基本的なお考えを聞きたいと思います。

○安倍内閣総理大臣 まず、一票の格差是正については、これは既に司法の判断がございました。その中において、昨年、党首討論においても、〇増五減をやらなければならないと。これは、そもそも、〇増五減をやらなければならないというのは、当時の民主党、自民党の共通の認識であったわけでございますが、残念ながら、なかなか、昨年はそれはずっと進んでこなかったのが事実であります。
 そこで、当時の野田総理と野党自民党の総裁である私が合意をいたしまして、それは、まず〇増五減は少なくとも成立をさせなければならない、こういうことであったわけであります。
 その後、我が党が政権をとった後、御党がこの区割り法案等々について反対をされたのは大変残念ではありますが、しかし、司法の要望に沿って〇増五減をしっかりと行い、そのもとで選挙が行える体制になったことは、まずは、司法の要請に従って一票の格差是正に向かって大きく一歩を踏み出したことになった、このように思うわけでございます。
 と同時に、今委員が指摘をされました定数の削減でございます。定数の削減におきましても、昨年の党首討論において、野田総理との間において定数削減を進めていくということをお約束したわけでございます。しかし、その際、私と野田さんだけでこれは決められる話ではありませんから、しっかりと各党各会派の意見も聞きながら進めていかなければならない、こういうお話もさせていただいたわけでございます。
 昨年の十一月に、御党の賛成も得て、この〇増五減による緊急是正法を受けて、さきの通常国会において、今申し上げましたように、与党の責任において区割り改定法を成立させました。これによって、一人別枠方式を廃止し、一票の格差を是正する立法的な措置を求めていた最高裁判決の要請に応え、違憲とされる状態が解消されたものと考えるわけであります。
 そして、議員定数の問題でありますが、議会の定数削減を含む選挙制度改革の問題は、議会政治の根幹にかかわる重要な課題であります。これまでも、国民からの負託を受けた与党がリーダーシップを発揮して各党各会派と丁寧に話し合いを進めてきましたが、協議は難航して、各党間の合意は得られていないというのが現状であります。
 結論をその中で早期に得るためにも、自由民主党から、国会のもとに客観的な議論を行う民間有識者による第三者機関を設けることを提案したところでございまして、御党を初め各党各会派にも御協力をいただき、建設的な議論を進め、現在の膠着状況を打破して、決める政治によって国民の負託に応えていきたいと考えているところであります。

○岡田委員 総理、時間も限られていますので、なるべく簡潔にやりとりしたいと思うんですが、私の質問にお答えいただいていないんですね。
 つまり、五減案というのは、緊急避難的な措置であって、最高裁の判決の趣旨を十分に体現していない。したがって、次の選挙までに、小選挙区も含めて、きちんともう一度議論すべきだというのが私の質問です。その気が総理にあるかどうかということです。今のお答えを聞いておりますと、もう五減案で事足れり、あとは定数の削減の問題だ、そういうふうに聞こえるわけです。
 総理、これをごらんいただきたいと思いますが、これは平成二十三年の最高裁の判決のポイントであります。
 既に、平成二十一年総選挙当時においては、もはや一人別枠方式の合理性は失われ、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態であった。最初にこの小選挙区比例代表並立制を入れたときは、それは経過的なものとして理解できる。しかし、今やもうその合理性は失われている。したがって、憲法の投票価値の平等に反する状態である。合理的期間内に、できるだけ速やかに一人別枠方式を廃止して、投票価値の平等にかなう立法的措置を講ずる必要がある。これが、三年前の最高裁の判決であります。
 したがって、解散というのはいつ行われるかわかりませんから、とりあえず五減案ということで二倍以内に押し込んだというのは、それは私は理解できないわけではないと思いますが、しかし、次の選挙までにきちんと一人別枠方式を改めるということがなければ、最高裁の判決を満たしたことにもならないし、そもそも一・九九八で事足れりというのは、私は国民主権という観点からいって非常に問題がある、そういうふうに考えているわけですが、いかがでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 ただいま答弁をしたように、我々は、この〇増五減によって、今申し上げましたように、一人別枠方式を廃止し、一票の格差を是正する立法的な措置を求めていた最高裁の要請に応え、違憲とされる状態が解消されたもの、このように考えております。

○岡田委員 一人別枠方式がなくなったというのは、絶対言えませんよね。だって、今まで、一人別枠方式の配分をもとに、五つの県で一つずつ減らしただけですから。もしそういった一人別枠方式をとらなければ、東京はもっとふえますよ。あるいは神奈川もふえますよ。それで、もっと減る選挙区はたくさん出ますよ。ですから、一人別枠方式が五減案で解消されたという総理の認識は間違っています。そのことは、我々実務者の間でも共通の認識だと思うんですね。
 問題は、二倍以内に抑え込めればいいというのは、自民党の中にそういう御意見があることは承知しています。しかし、それは最高裁の求めることにならないというのが、私が申し上げたいことであります。
 総理がそういう考え方をとっている限り、もう小選挙区の方はいじらないということになっちゃうんですね。二百九十五でいじらない。あとは比例だけでやるしかない。だから、比例で無理して二つに分けて、第一党が不利になるような仕組みを設ける。非常にこれも憲法上の疑義のある、非常に理解できない案ですね。
 ですから、小選挙区も比例もきちんと減らす、そして、小選挙区については、人口比例を基本にしてもう一度きちんとやり直すということを我々は提案しているわけです。これ以外に答えはないと思うんですね。
 総理、もう一回確認しますが、この五減案で基数配分というのは解消できたというふうに本当にお考えですか。総理、今の答弁についてお答えください。総理の答弁についてお答えください。総理の答弁について聞いているんです。

○新藤国務大臣 事実関係のことだけ確認させていただきます。
 認識の差がございますので、私の方から御説明したいと思います。
 まず、今、岡田委員が提示された最高裁の判決のポイント、まさにそのとおりのことを国会はやっていただいている。我々もそれに対応したということであります。
 まず、この最高裁の判決に基づいて、それらを反映した緊急是正法というのを議員立法で、国会で決めていただきました。そして、今御議論いただきました一人別枠のことでございますが、一人別枠方式を廃止するということで緊急是正法を入れてもらったわけであります。結果として、〇増五減でありました。
 仮に、平成二十二年の国勢調査人口に基づいて一人別枠方式を配分いたしますと、これは、定数三百の場合は四増四減でございます。定数を二百九十五にするんだとすれば一増六減でございまして、〇増五減にはならないわけであります。ですから、一人別枠方式というのは、これは廃止をした上で、皆さんと議論してこのような定数の配分をさせてもらった、これはぜひ御認識いただきたいと思います。
 今後のことについては、いろいろな議論があると承知しております。

○岡田委員 一人別枠方式を廃止したというのは、区割り法の配分基準の一人別枠方式を削除したというだけなんですよ。考え方としてはそのまま残っている。これは、誰に聞いても、専門家はそう言うと思いますよ、メディアもそうですよ。ですから、そういう解釈を総務大臣がしておられるということは、私は理解に苦しむわけです。
 もし、これで最高裁が、恐らく年内に出るでしょう、そのときに、一人別枠方式がこれでは解消していないという判決が出た場合、総務大臣、あなたは責任をとらなきゃいけませんよ。最高裁の判決が、それは違うということになれば、総理だって責任がありますよ。だって、こんな最も国民の基本的な権利であるところについて、最高裁の要請をもし満たしていないということになれば、これは重大な責任が発生しますよ。そのことを私は申し上げているわけです。
 そして、三党間の実務者で今協議をしようとしています。なかなかお答えをもらえないんですが、協議をしようとしていますけれども、もし総理が、小選挙区のところはいじっちゃいかぬという今のようなお考えだと、結局、協議ができないということになってしまうわけですね。だから、そういうことも含めて協議していい、少なくともそこまでは言っていただかないと、結局、比例をどうするかという話だけになってしまうわけです、もう小選挙区はいじらないということになりますから。それはやはり非常に議論の幅を狭くするんじゃないでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 ただいま総務大臣から答弁したように、これは、平成二十二年の国勢調査に基づいて、一人別枠方式でいけば、それは、二百九十五にした場合、五減した場合は一増六減となるわけでありますから、別枠方式をとらなかった結果、〇増五減になったということであります。
 そもそも、この〇増五減については、議員立法で我が党と御党が賛成してでき上がった法律でありまして、その中において一人別枠方式については削除がされているということでお互いに認識を持っていたはずであろう、このように思うわけであります。
 いずれにせよ、我々は、比例だけにせよということを最初から決めているわけではありませんが、我が党案では、比例の配分の仕方を、最大の数をとった党にとっては不利、我が党にとっては不利な提案をしているわけでありますが、三十減の我が党案を提出させていただこうということになっているわけでございます。
 その中において、この定数削減と、それは当然、各党の議論の中においては選挙制度そのものについての議論も出てくるんだろう、このように思うわけでありますが、まさにそのために、私たち、先ほど答弁の際に申し上げたように、これは国会にそのための議論をする場をつくるべきだというふうに申し上げているわけであります。
 今、私は行政府の長でありますから、つまり、行政側が、行政を監視する国会の議員の身分に係ることについて余り深く申し上げるのは適切ではない、このように思いますので、これはまさに党にお任せをし、与党にお任せをし、そして各党各会派で議論をしていただきたい、このように思っているところでございます。

○岡田委員 行政府の長だから立法府にお任せすると言いながら、今、小選挙区の方はいじらないというようなことを、もう基本的なことをおっしゃっているわけですね。ぜひ、そこは、自由に議論できる、そのためのたがをはめないようにはしていただきたい。
 我々が五減案に賛成したのは、緊急避難措置としてそういうものはあってもいい、しかし、次の選挙までにきちんと議論するという前提の上で申し上げているわけです。
 そこで、これは、私が実務者会談で提案をしている民主党の考え方です。
 今申し上げたようなことが書いてありますけれども、五減案は緊急措置であって、次期総選挙までにさらなる改革が必要不可欠である。
 小選挙区の比例代表並立制を当面維持する。これは次の選挙までにということですから。
 投票価値の平等を徹底した選挙区割りをする。つまり、基数配分はやめるということです。
 小選挙区と比例の定数をそれぞれ削減する。
 こういう提案をさせていただいております。
 残念ながら、これを提案したのは十月五日ですが、まだお返事をいただいておりません。
 もっと、お互い、しっかりレスポンスしながら議論していく必要があると思うんです。私は、今は自民党と公明党と民主党の三党の実務者で議論していますが、こういう考え方、それに御同意いただけるのなら、ほかの党にも広げて議論したらいいというふうに思うんですね。ここは腹を割った話し合いをして、大事なことですから、議論を進めていきたいと思いますので、ぜひ総理は、そこにお任せをいただきたいというふうに思います。
 では、次に参ります。
 集団的自衛権についてお聞きをしたいと思います。
 総理は、積極的平和主義というものを強く掲げられております。我が国が、国際協調主義に基づき、世界の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献する国になるべきとの考えを、積極的平和主義として掲げましたというふうに、衆議院の本会議でも答弁されております。
 そこで、お聞きしたいんですけれども、この積極的平和主義と集団的自衛権というのはどういうふうにかかわりを持つんでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 この積極的平和主義でありますが、今までも、できる限り積極的に世界の安定と平和維持のために貢献してきたことは言うまでもないわけでありますが、しかし、さらに、国際情勢あるいは日本をめぐるアジア太平洋地域の安全保障環境は厳しさを増しているわけであります。
 その中の認識として、我が国だけにおいて我が国の安全を守ることはできないわけでありまして、つまり、国際社会が安定していて、そして平和であって初めて我が国の安全と繁栄を守ることができるという認識をしっかりと立てながら、その中において、我が国の平和と繁栄のためにも国際社会の平和と安定が必要であり、その必要な平和と安定に日本も協力していくべきだということをしっかりと認識しなければいけないということであります。
 そして、同時に、国際環境が、安全保障環境が厳しさを増している中において日本を守っていく上においては、さまざまな課題があり、真正面からそうした課題を見据えながら、どのようにすれば国民の安全を、そして生命や財産、領海、領土を守っていくことができるかどうかということを考えなければいけないということにおいて、安保法制懇において、これは集団的自衛権の行使にかかわることだけではなくて、集団安全保障の中においてどういうことをすべきかどうか、今、できないと解釈されているものはそのままでいいのかどうか、状況が変わっていく中においてどういう解釈があるのかどうかということを、専門家の皆さんに集まっていただいて議論をしていただいているわけであります。
 その中において、他国との関係あるいは信頼関係、そうしたきずなによって我が国を守っていくことも当然考えていかなければならないわけでありまして、そうしたことも踏まえて議論を進めているわけであります。
 つまり、積極的平和主義とは、我が国だけで我が国の安全を守ることはできないという認識のもとに、国際社会の平和と安定にも寄与していくし、そして、我が国と密接な関係に当たる国との関係をどのように維持していくかということについても、問題意識を持って考えていくということではないかと思うわけであります。

○岡田委員 先ほど申し上げたように、総理の積極的平和主義、我が国が、国際協調主義に基づき、こういうふうに、全体が、国際協調主義であるということを言っておられるんですね。集団的自衛権というのは、必ずしも国際協調主義と同じということではありません。これは二国間関係ですから、同盟国との関係。
 そうすると、国際協調主義というのを大前提にして積極的平和主義ということを唱えられるのであれば、集団的自衛権というのは必ずしもそこにはまらない場合も出てくると思うんですね。アメリカは、もちろん、アメリカの国益に基づいて、必要があれば武力行使をする。ブッシュ政権の時代にはそれが顕著でしたが、今のオバマ政権だって、そのことを否定しているわけではない。
 つまり、国際協調とアメリカの利益というものが、一致していればいいですけれども、矛盾する場合もある。だから、集団的自衛権の行使ということになると、国際協調主義に反する場合が出てきますね。ここをどう整理しておられるんですか。

○安倍内閣総理大臣 そのことを、まさに今、懇談会で議論していただいているわけでありますが、そこで、いわば集団的自衛権の行使については、これは解釈について、さまざまな事例を挙げながら、その事例に基づき議論を深めているわけでありますが、権利として持つということと、その権利を行使できるというのと、さらには行使するというのは、これは大きな隔たりがあるわけであります。
 つまり、国際協調主義を掲げていますから、権利として、そして行使できるということになったとしても、それは、行使をするということになれば、国際協調主義というのがかかってくるのは当然のことであろう。そして、それをさらに行使をするためには、それを担保する法律がなければなりませんし、そしてその先には、政策的にその手段をとるかどうかという、そのときの政権の政策的な選択があるわけでありまして、そこにずっと一気通貫で、今おっしゃられた国際協調主義のもとにというのは前提になっているということであります。

○岡田委員 憲法上権利を持つということと、それから行使をするということは分けて考えるべきだという総理のお考えですけれども、行使をすることを制限するというのは、これは法律上制限するということをお考えなんだと思うんですね。憲法上は集団的自衛権を認めるということになれば、論理的には、憲法上は、その集団的自衛権の行使として、アメリカと一緒に地球の裏側まで行って戦うこともあり得る、それを法律でどこまで制限するか、こういう話だと思うんですね。
 そこで、私は、集団的自衛権というものを日本国憲法が認めるべきだという論に対して非常に違和感を覚えるわけであります。
 今、国際法上認められている武力行使というものに何があるかというと、もちろん、国連憲章上、武力の行使というのは原則として禁止をされております。ただし、国連の集団安全保障措置、それから個別的、集団的自衛権、これについては、憲章上違法性が阻却されるということになっているということであります。
 そこで、今、安保懇でいろいろ御議論いただいていると思いますけれども、もし、日本国憲法が、ここで言う集団安全保障措置や、あるいは集団的自衛権を認めているというふうに解釈を変えるとすれば、日本国憲法九条というのは一体何を禁じていることになるんでしょうか、武力行使に関して。

○安倍内閣総理大臣 今申し上げましたように、安全保障環境が大きく変わる中において、我が国の平和と安全を維持するために、さまざまな課題について、これは集団的自衛権の行使だけではなくて、集団安全保障の中におけるさまざまな武器の使用等も含みますが、あるいはまた、個別自衛権の中においてのさまざまな自衛隊の活動に対する、現在の法解釈でいいのかどうかということ、法解釈というか、法整備がいいかどうかということも含めて網羅的に議論をしているわけでございますので、基本的には、この議論のいわば行方をしっかりと見守っていきたいし、結論を待ちたい、こう思っているところでございます。
 例えば、今、概念的、抽象概念として捉えると、集団的自衛権の行使ということは、なかなかこれはすぐに理解できにくいし、今委員がおっしゃったように、地球の裏側に行ってアメリカと一緒にどこかの国を攻めるかというような、そういう極端な飛躍があるわけでございますが、例えば、我が国の近くで武力攻撃が発生して、米国がそれに対応して集団的自衛権を行使している中において、攻撃をしかけた国に武器弾薬を供給しようとしている船舶を、米国からその船舶をとめてくれと言われても我が国は対応できない、それでいいのかどうかということですね。
 そしてまた、例えば、我が国の同盟国である米国が武力攻撃を受けて、これは米国が攻撃に行ったのではなくて、武力攻撃を受けて対応している中において、攻撃をしかけた国に武器弾薬を提供しようとしている国があって、その船を我々はとめられる、あるいは、武器が載っているかどうかということを検査することができるにもかかわらず、それをやらなくてもいいのかどうかということであります。
 そういう課題について、そういう状況が起きていない段階においてしっかりと議論をしていくのは、我々政治家あるいは政府の責任ではないか、このように考えているところでございます。

○岡田委員 いろいろと今議論されているケースは、それぞれ悩ましいと私も思います。
 ただ、必要だから解釈を変えるというのは、やっていいときとやっていけないときがあると思うんですね。もちろん、憲法解釈は、時代を超えて同じではありません。時にはそれは変えなきゃいけない、最高裁も変えることはある。それはいいと思いますけれども、やはり変えてはいけないものと変えていいものがあると思うんです。
 憲法九条の中でも、私は、国連の集団安全保障措置について少し解釈を広げるとかそういうことは、あるいは議論の余地があるのかなとは思うんですけれども、集団的自衛権というところまで認めてしまう、憲法上はそれはあり得るんだ、あとは法律で縛ればいい、そういうふうに考えてしまうと、日本国憲法九条が禁じている武力行使というのは一体何なのか。それは、結局、侵略戦争を禁じているにすぎないということに論理的になるんじゃないでしょうか。それは、では、ほかの国の憲法とどこが違うんですか、普通の国になるということですかということになるわけですね。
 憲法解釈の変更を一内閣で行って、憲法九条の根幹である武力行使について変えてしまうというのは、いわば憲法九条を、全く意味を変えてしまうわけですから、それは、私は立憲国家としてやるべきことではないというふうに考えるわけです。
 もう一回お答えいただきたいんですが、もしここの一、二を、国連の安全保障と集団的自衛権を認めたときに、憲法九条の意味はどこにあるんですか、侵略戦争を禁じている以外の何か意味があるんですかということについて、お答えください。

○安倍内閣総理大臣 憲法九条の一項と二項との関係において、まさに今、この集団的自衛権の行使との関係において議論を行っているわけでありまして、今そこに国連憲章を掲げられているわけでありますが、いわば、国連に入っている、加盟している国は、この国連憲章によって個別的そして集団的自衛権を持っている、こうされているわけでありまして、日本も、国際法的には集団的自衛権を認められている、これは一貫した解釈であります。
 しかし、その行使については今まで抑制的に考えてきているわけでございますが、大きく国際環境が変化をする中において、今まで、自衛隊を認めるという最高裁判決がそもそもは砂川判決としてあったわけでございますが、この最高裁判決との関係も含めて、今、さまざまな議論が専門家の中においてなされているわけでございまして、今、私はこれを結論づけているわけでは全くないわけでありまして、まさにこの専門家の議論を待ちたい、こう思っている次第であります。
 この議論が煮詰まっている中におきまして、また当然、与党における議論も行われるわけでございます。まずは安保法制懇の結論を私は待ちたい、こう思う次第でございます。

○岡田委員 私は、憲法九条の淵源といいますか、根幹的なところというのは、やはり過去の戦争に対する反省だと思うんですね。どこの国も、侵略戦争をしますと言って戦争を始めるところはないのであって、やはり、安易な海外における武力行使、それがあの悲惨な戦争につながった。だから、それについて最小限のものにする、制約をする、これが憲法九条の私は最も根幹のところだと思います。
 そこを変えるのであれば、やはり、それは国民的な議論をして、憲法改正論としてやるべきだ。国民世論はどちらかはわかりませんよ。だけれども、そういう国民的な議論もせずに、一内閣の解釈でその根幹のところを変えてしまうというのは私は間違いだというふうに思っております。この点は、また引き続き議論していきたいと思います。
 時間も限られております。日韓関係について。
 私は、日韓関係というのは非常に両国にとって重要で、今の事態というのは不幸なことだと思います。総理も、対話のドアはあけていますよというふうに言っておられますが、韓国側にもよく考えてもらいたいところはあります。しかし、やはり総理がいろいろと刺激をしたことも間違いないというふうに思うんですね。
 村山談話について、大分言い方を変えてこられました。しかし、私、官房長官とも議論したんですが、まだお答えをもらっていないのは、植民地支配とかあるいは侵略というのが村山談話のキーワードでした。その点について総理はどうお考えなのか。全体としては受け継いでいます、引き継いでいますというふうに言っておられますけれども、総理の口からこの植民地支配とか侵略という言葉を聞いたことがないわけですね。
 そこのところも含めてきちんと村山談話というのを引き継いでおられるのか、受けとめておられるのか、そのことについてお聞きしたいと思います。

○安倍内閣総理大臣 この質問については、累次お答えをしているとおりでありまして、安倍内閣として、侵略や植民地支配を否定したことは一度もないわけであります。
 村山談話についても、これまで累次申し上げてきたとおり、我が国は、かつて、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えてきた、その認識においては、安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐ考えである、このように申し上げているわけであります。
 と同時に、戦後、我が国は、先ほど委員も指摘をしておられましたが、その深刻な反省の上に立って、自由で、民主的で、基本的人権や法の支配をたっとぶ国づくりに戦後六十八年間邁進し、そして平和国家として歩んできたわけであるということは申し上げておきたいと思います。

○岡田委員 総理、またお答えにならなかったんですよ。この最初のところの、「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」。総理が引用されるときは、多くの国々のところから引用されて、今もそうでした、植民地支配とか侵略によってというところを必ず抜いてお話しになるんですね。だから疑念が出てきているわけです。
 ここをちゃんとお認めになるんですか、どうですか。

○安倍内閣総理大臣 今お答えをしたように、安倍内閣として、侵略や植民地支配を否定したことは一度もないわけでありまして、今申し上げましたように、我が国は、かつて、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えてきた、その認識においては、安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐ、こういうことであります。
 いずれにせよ、隣国なんですから、我々は最も大切な隣国だと思っているわけでありまして、一つのことに問題があったからといって関係全てを閉ざしてしまうのは私は間違っているということは何回も申し上げてきたわけであります。日本としては、対話のドアはいつも開いているということでありまして、韓国側にも同様の対応をとっていただきたい、このように思う次第でございます。

○岡田委員 これで終わりますけれども、総理、今も、否定はしていないということですけれども、認めるとは絶対言っておられないんですね。
 村山談話は戦後五十年で出たものですが、戦後六十年で小泉談話が出ています。同じことを言っています。それから、金大中大統領と小渕総理との間の日韓共同宣言、一九九八年ですね、そこでも同じ表現なんですね。それを総理がお認めになっていないということ、私は、これが非常に日韓の両国間の不信感を招いている一つの原因になっている、そのことを申し上げておきたいと思います。




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