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2013.10.24|夕刊フジ

小泉元首相の「原発ゼロ」主張 きちんと説明を聞きたい(夕刊フジコラム「ズバリ直球」13年10月24日号)

 臨時国会の論戦がスタートした。私も22日、民主党を代表して、衆院予算委員会の質問に立ち、安倍晋三首相に直接考え方をただした。

 まず、選挙制度改革について聞いたが、安倍首相は先の通常国会で衆院小選挙区定数を「0増5減」させる区割り改定法が成立したことで、「違憲状態は解消された」と語った。

 だが、区割り改定法は、各都道府県に1議席を割り振る「1人別枠方式」を実質的に残していて、最高裁の要求を満たしていない。これ以上、1票の格差是正や定数削減に踏み込む気がないことが透けてみえた。

 集団的自衛権の行使容認についても質問した。日本は六十数年前、「自衛のため」といって侵略戦争を行った。その反省に基づく憲法9条であり、その認識について聞いたが、安倍首相は「必要だからやる」という趣旨の答弁だった。立憲国家として憲法の根幹を一内閣の解釈で変えるべきではない。集団的自衛権を行使するというなら、堂々と憲法改正を国民に問うべきだ。

 悪化したままの日韓関係も取り上げた。

 歴代内閣は、過去の植民地支配と侵略を謝罪した「村山首相談話」を引き継いできたが、私は「安倍首相も同じか?」と聞いた。安倍首相は「安倍内閣として否定したことは一度もない」と答えるだけで、植民地支配や侵略を「認める」とは決して言わなかった。歴代内閣から後退したと思われても仕方ない。

 安倍首相は韓国に対して、「対話のドアは開いている」と言っている。韓国側にも問題はあるが、こちらが敷居を高くしていては、首脳会談が簡単に行われるとは思えない。安全保障や経済面で日韓関係の重要性は極めて大きい。積極的に打開する意識が見えず、残念だった。

 このほか、経済や財政の質問も準備していたが、持ち時間が35分間しかなく、かなわなかった。時間があれば「赤字企業が7割、企業の現預金が220兆円もあるなかで、どうして法人税減税が賃上げにつながるのか」「最低賃金の引き上げこそ、政府が取り組むべきことでは」といった議論をしたかった。

 今回の予算委員会は衆参2日ずつ。重要課題がめじろ押しのなか、長く休んだ後の国会なので、もっと時間を割いてほしかった。

 さて、小泉純一郎元首相が「原発ゼロでも経済成長できる」「政府・与党が決断すべきだ」などと発言している。小泉氏が「今すぐ原発ゼロ」と主張しているのかは、よく分からない。

 民主党は「新しい原発は造らない。いずれは原発ゼロにする。ただ、ただちに原発ゼロは無責任だ」という主張だ。石炭や天然ガスによる火力発電はCO2排出量が多く、地球温暖化を加速させる。再生可能エネルギーも現時点ではコスト面や供給量などで見合わない。

 こうした現状を踏まえて、わが党は「原発再稼働を否定できない」と考えている。小泉氏のきちんとした説明を聞きたいと思う。 (民主党衆院議員)




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