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2014.02.06|夕刊フジ

問題点多い13年度補正予算案 効果疑わしいものも(夕刊フジコラム「ズバリ直球」14年2月6日号)

 予算審議が始まり、5・5兆円の経済対策を盛り込んだ2013年度補正予算案が4日、衆院を通過した。審議時間が短すぎるうえ、中身を精査すると、14年度本予算に書けないものを押し込んだようなものもある。「特に緊要となった経費の支出」という補正予算の財政法上の趣旨からも、問題が多い。5・5兆円という規模がまずありきのなかで、政策効果の疑わしいものが盛り込まれており、民主党は反対した。

 こうしたなか、私は1月31日、同委員会での質問に立ち、まず、核兵器の持ち込みに関する日米間の「密約」を取り上げた。日米双方で「持ち込み」の解釈が異なり、核兵器を搭載した艦船が日本に寄港している可能性が高いと知りながら、自民党政権の歴代首相が「事前協議がない以上、寄港の事実なし」と虚偽の答弁を続けてきたことをただした。国民の政治に対する信頼に関わる問題と考えたからだ。

 安倍晋三首相は「ずっと国民に示さずにきたのは間違いだった」と過ちを認め、安倍政権として、核密約に関する見解をまとめる意向を表明した。この姿勢は率直に評価したいと思う。

 特定秘密保護法については、秘密指定の妥当性をチェックする第三者機関として政府が位置づける「情報保全監察室(仮称)」を、どのように制度設計するのかを尋ねた。同室は首相を長とする内閣府の中に設置され、各省庁から集められた20人ほどの公務員が、首相自身が指定した特定秘密も含めて数十万件をチェックするという。独立性にも実効性にも大きな疑問があり、きちんと制度設計し直す必要がある。

 安倍首相が昨年末、靖国神社に参拝したことについても聞いた。私は「靖国神社は、A級戦犯の合祀と遊就館の展示に見られるような先の戦争に対する戦争観がネックだ」と指摘し、「首相の参拝は自重すべきだ」と問うたが、「遊就館に行ったわけではない」などとして、安倍首相は明確に答弁しなかった。

 靖国参拝やA級戦犯の問題は、私は、中国や韓国、米国がどうということではなく、日本自身の問題だと考えている。

 安倍首相が「感動した」という大ヒット映画「永遠の0」を私も観た。最も印象に残ったのは、特攻隊員が搭乗したゼロ戦が、米艦船の艦砲射撃で次々に撃墜されるシーンだった。「日本の再建に必要な若い人材を…」「どうしてこんな無謀なことを…」と胸が詰まった。

 私は、日本に誇りを持っている。だからこそ、過去の事実を直視し、過ちは過ちとして認める勇気を持つべきだと思う。最近、若い人たちの間に「狭いナショナリズム」が広まっていることが気になる。安倍首相の靖国参拝が、それを助長したとすれば極めて残念だ。

 とにかく、衆参で2カ月にわたる予算審議が始まった。私も予算委員として、安倍政権の問題点を国民の方々に分かりやすく指摘するとともに、民主党の考え方や政策が伝わるよう、骨太の議論を挑みたい。 (民主党衆院議員)




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