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2013.03.28|夕刊フジ

1票の格差「違憲」判決 党利党略でない抜本的改革を(夕刊フジコラム「ズバリ直球」13年3月28日号)

 1票の格差が最大2・43倍だった昨年12月の衆院選をめぐる全国訴訟で、広島高裁に続いて広島高裁岡山支部が「選挙無効」判決を出した。全国14の高裁・高裁支部では、小選挙区の区割りを「違憲」「違憲状態」との判断が続いている。この問題は極めて重大だ。

 背景には、1票の格差をめぐり、立法府の対応が遅く、不十分過ぎたことへの国民の怒りがあると思う。無効判決が最高裁でも認められれば、今国会で成立した予算や法案の効力に疑義が出かねない。真摯に反省して、迅速に格差是正に取り組むべきだ。

 国会は昨年11月の解散当日に「0増5減」の緊急是正法を成立させたが、これについても札幌高裁や福岡高裁が憲法違反との判断を示している。現在、区割り作業中だが、今後、これらも違憲となりかねない。

 自民党は、区割り法案の早期成立を求めるとともに、比例区を30減として、中小政党向けの優先枠を設けて議席配分を二分する案を提示している。これには「投票価値の平等を崩しかねない」との批判が出ている。

 民主党と日本維新の会、みんなの党の3党は22日、自民党案について「極めて複雑で分かりにくい」「憲法上の疑義が拡大する」「比例区30減では少なすぎる」といった認識で一致した。党利党略ではなく、国民に分かりやすい抜本的な選挙制度改革、定数削減に取り組まなければならない。

 さて、政府の中央防災会議の作業部会が先日、南海トラフ巨大地震による被害想定を「死者・行方不明者32万人、想定被害額220兆円」と発表したことで、私の地元・三重県も含め、被害が予想される府県の方々が懸念を強めている。

 東日本大震災の経験から、高い堤防を延々と築くことが現実的でないことは、ほぼ理解されているようだ。このため、地元の会合では「津波が来ても逃げる所がない」「4階以上の高い建物(=避難所)を作ってほしい」「避難道路が狭すぎる」といった意見をいただいた。

 国と自治体が一体となって、被害を少なくするハード面の準備を早急に進めなければならない。加えて、地域の人々が中心となって、いざというときに高齢者や子供をどう誘導するかなど、普段から話し合い、訓練することも大切だ。

 岩手県釜石市では、適切な避難行動のおかげで、釜石小学校の全員が無事となり「釜石の奇跡」と呼ばれた。大震災の悲しい記憶だけでなく、こうした教訓も全国に広めなければならない。 (民主党衆院議員)

<関連記事>
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