トピックス

2013.03.25|国会会議録

平成25年3月7日 第183回国会 衆議院予算委員会「産経新聞報道、日米同盟、政治改革、社会保障・税一体改革、2%の物価安定目標について」

○岡田委員 岡田克也です。
 まず、きょう午前中の質疑について一言申し上げたいと思います。
 一昨日の産経新聞の記事を取り上げて、私の発言について質問された方がいらっしゃいました。この記事については、事実に反するということで、私は産経新聞社に既に抗議文を出しております。何らかのプラスアルファの根拠があったのであればともかく、そういったことがないのであれば、こういった場で取り上げることは私は適切ではないというふうに考えております。そのことをまず申し上げておきたいと思います。
 その上で、例えば、この記事の中にありました、民主党政権下で、海上自衛隊の艦船と中国軍艦との間に十五海里、二十八キロの距離を置くことを決めていた、そういう事実が民主党政権下であったというふうに御認識ですか、総理は。

○安倍内閣総理大臣 今の岡田委員の御質問は、いわばこちらの態勢の詳細にかかわることでありますから、前政権のこととはいえ、今ここでつまびらかにすることは控えさせていただきたいと思います。
 しかし、安倍政権ができたときに、それまでの対応を全体的に見直した結果、中国に対して過度な配慮をした結果、十分な対応ができていないと私が判断したことは事実であります。

○岡田委員 私の承知している限り、民主党政権下で、十五海里距離をあけるべきだというようなことはなかったというふうに承知をしています。もしあるというのなら、そのことを堂々と言っていただきたいと思います。
 そのことは、総理、きちんと確認したらわかるはずです、事務方に。防衛省の事務方に確認してください。そういうことはなかったわけであります。何かありますか。

○安倍内閣総理大臣 私は、総理になって、まさに事務方から態勢について聞いた結果、今、個々のことについてはあえて申し上げませんよ、それは。これは、いわばこちらの手のうちを明かすことになりますから、過去のこととはいえ申し上げませんが、私は事務方から態勢について聞きました。防衛省と海上保安庁から聞きました。この態勢は明らかに過度な配慮をした結果であろうと思って、全面的に見直しをいたしました。

○岡田委員 私は具体的なことを聞いているわけです。それは確認されれば、すぐ、総理であれば知ることができるはずであります。
 そして、きょう、総理の答弁の中で、過度にあつれきを恐れる余りという表現がありました。政権がかわって、いろいろなことの取り扱いが変わるということは理解できます。しかし、民主党政権下において過度にあつれきを恐れる余りというのは、何を根拠にそういうふうにおっしゃっているんでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 これは、実際、私が確信しているからこの場で述べているんですよ。しかし、それは、今、あえて個々のことについては、手のうちにかかわることですから申し上げませんよ。
 ただ、これは別に民主党を非難するためだけに申し上げているのではありません。いわば対応については、幾つかの対応、これは海上における対応もそうですし、領空あるいは防空識別圏における対応もそうですが、これも含めて全面的に対応を見直しをし、そして、しかるべき対応に変えたわけであります。

○岡田委員 個々のことについてはこれは言えないと言いながら、前政権のことをこういった表現を使って批判するというのは、私はフェアじゃないというふうに思いますよ。総理大臣としてはもう少し公平に物事を言われたらいかがでしょうか。
 もちろん、中国の軍と日本の自衛隊が必要以上に対峙することになれば、それはいろいろなことが起こり得るということは考えて、我々、一つ一つの判断をしてきたことは事実です。しかし、そのことは、私は恐らく安倍政権だって同じだと思うんです。具体的な対応についていろいろ違うところはあるかもしれませんが、そのことを、民主党政権が過度にあつれきを恐れる余りとか、そういう感情的な表現は私は使うべきではないというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 これは、感情的ではなくて、申しわけないんですが、事実を、ファクトを述べているわけであります。
 個別について申し上げることはできますよ。しかし、それは、いわば中国に対して、かつての政権がやっていたこととはいえ、これは手のうちを明かすことになりますから、あえて申し上げていないわけでありまして、何も私がここでそんなものを引き出してきて皆さんを非難する必要なんというのはないわけでありますから、質問に答えて、私は、むしろファクトについて申し上げたわけであります。

○岡田委員 総理、過度にあつれきを恐れる余りというのはファクトじゃないですよ、それは。だから私は申し上げているんですよ。
 大体、総理のパターンは一つあるんですよ。民主党のことを根拠なく批判して、そして、私はそれを変えましたと言って誇る、そういったことを時々やられるんですね。しかし、それは内閣総理大臣として私はとるべきことじゃないと思うんですよ。
 私は、言わないでおこうかと思ったが、では一つ、日米首脳会談について申し上げたいと思います。
 安倍総理は、日米首脳会談後の記者会見で、この三年間で著しく損なわれた日米のきずなと信頼を取り戻し、緊密な日米同盟が完全に復活したと宣言されました。何を根拠にそういうふうに言われたんですか。

○安倍内閣総理大臣 それは、民主党政権の三年において、普天間の移設問題について、最低でも県外、こう言ったわけですね。そして、その間において、大統領に対して、トラスト・ミー、こう言ったわけですよ。でも、結局それは実行できなかったじゃありませんか。これはかなり私は致命的なことであったと思いますよ。失われた信頼というのを回復するのはそう簡単なことではないのだろう、このように思います。

○岡田委員 もちろん、普天間の問題は私も責任を感じております。
 しかし、にもかかわらず、日米間、それぞれの首脳間で、あるいは外務大臣を初め閣僚間で、あるいは事務方で、さまざまな問題について取り組んで、そして信頼関係を育んできたということも事実じゃないですか。そのことをあなたが一方的に否定するということは、私は理解できません。
 例えば、クリントン長官が退任に当たって、日米両国間は、北朝鮮、ASEANといった地域間問題や、アフガン、イランといった国際的課題に取り組んできた、日米同盟を継続して強化してきた、日本国民及び日本国の指導者の皆さんに対して日米同盟への協力と献身を感謝したい、お礼を申し上げたい、こういうふうに最後の会見で言われました。岸田大臣はそのとき同席しておられたから、事実だということは御理解いただけると思います。
 例えばこういう発言と総理の発言の間に、余りにも乖離があるわけですね。これはいかがですか。

○安倍内閣総理大臣 それは、アメリカの国務長官が辞任会見において、日米関係は大変なことになった、そんな発言をしたら、これは大変なことになるというのは誰が考えてもわかることでありますから、当然、外交の責任者としては、責任ある立場で発言をされるんだろう、このように思います。

○岡田委員 クリントン長官の発言が責任ある発言だということであれば、最初に紹介した安倍総理の発言は無責任そのものじゃないですか。日米同盟を、お互い努力をして、さまざまなレベルでこれは育てていかなきゃいけない。
 例えば、キャンベル国務次官補が朝日新聞の記者会見でこう言っていますよね。日米関係の維持、深化は、党派を超え、政権交代を超えた共通の取り組みでなければならない。私はそのとおりだと思うんですよ。
 あなたの言い方は、前の政権はでたらめをやっていた、俺が全部ちゃんとやってやる、そういうふうに聞こえかねない。それはまさしく、日本だけではなくて、米国のこの同盟関係に携わってきたそういう人々に対しても、これは侮辱だというふうに受け取られても仕方がないですよ。
 総理大臣であれば、もう少し国益を考えて、日米同盟をいかに育てていくか、そういう観点でお話しになるべきだと思いますが、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 日米間においては、むしろ、例えば事務方、それを担ってきた国務省、外務省、ありますよ。そして例えば、アメリカの国防省と日本の防衛省、あるいはアメリカの三軍と日本の自衛隊、ここにおいて私は必死に頑張ってきたんだと思いますよ。それは、政治がなかなかちゃんとやっていなかったからなんですね。しかし、それによって守られていたのは事実です。
 そして同時に、国民の中に、日米同盟のきずなはやはり大切だな、そういう思いが強くあった。これが日米同盟を下支えしていたんだと思いますよ。
 しかし、民主党政権において、岡田さんが胸を張って言えるような状況だったんですか。私は、そうではなかった、そうではなかったからこそ、選挙の結果において、こういう政党には残念ながら政権を任せるわけにはいかないという結果になったんだろう、このように思います。

○岡田委員 これ以上あなたに何か言っても無駄かもしれませんが、私は、やはり総理大臣というものは常に国益を考えて、そして行動しなければならないというふうに思います。あなたのその物の言い方というのは、私は、日米同盟にとって決してプラスではない、アメリカにも戸惑いはかなりあると思いますよ。そのことを申し上げておきたいと思います。
 さて、政治改革について、先ほど幹事長がいろいろお話しになりましたので、私は二点に限って申し上げたいと思います。
 まず、今、自民党で検討中の比例の削減案について、伝えられるところでは、比例を二つに分けて、一つは通常の比例、もう一つは第一党を除いた比例、こういうふうに二段階に分けて対応するという案が報道されております。きょうの新聞には、伊吹衆議院議長が、それは憲法上の問題があるのではないかと指摘をしたという報道もあります。
 私は、少なくとも、これは、一票の価値というもの、第一党に投票した人のその投票権というものをきちんと評価しないことになって、大きな問題があるというふうに考えますが、総理のお考えはいかがですか。

○安倍内閣総理大臣 私は、まだその案について見ておりませんので、論評する立場にはございません。
 いずれにせよ、当時の野田総理大臣と党首討論において、定数削減についてこの国会において成案を得るように努力をしていくということをお約束しておりますので、そのような方向において迅速に進めていくように石破幹事長に指示をしたところであります。

○岡田委員 我々、選挙制度を変えるときは、やはり、憲法上の問題、あるいは投票する国民から見てわかりやすい、つまり、各党が自分たちの利害で制度を複雑にいじっている、そういう印象を与えない方がいいと思うんですね。
 きょう、前回の選挙における二つ目の判決が出ました。札幌高裁です。まだ総理は御存じないかもしれませんが、この札幌高裁の判決の中で、我々が法律として成立をさせた五減案について、これは最高裁が既に判決を出した一人別枠方式を廃止するということになっていないという判示、判断が下されております。
 確かにこれは、一人別枠方式を廃止したら、鳥取は一つになるはずなんですね。それを二つを維持する。鳥取の二つを維持し、真っ二つに割ったそこの二倍以内に抑えるということで五減案ができているわけであります。
 その結果として、例えば東京などは、人口比例でやれば少なくとも五つぐらいはふえるはずなんですね。それが、ふえないまま、変わらない。神奈川も、三つふえるべきが変わらない。鳥取は、一つにならなければいけないところが二つ。こういう形で、かなり異質の区割りになってしまっているということであります。
 もちろん、この五減案がこれから最高裁も含めてどういう判決が出てくるかということは、これは待たなければいけませんが、既に札幌ではそういう判断が下された。やはり、わかりやすい、きちんとした人口割りのそういうものを目指していかなければいけない。
 当面の問題として、我々はこの法案を通しました。それは緊急避難的には認められたことだと思いますが、やはり、より根本的には、きちんと人口比例で考えていくということでなければならないのではないかと思いますが、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 まずは、この違憲状態を一日も早く脱しなければいけないわけでありまして、この〇増五減については、既に法律が通っておりますので、区割り審において審議を進めていただいて、成案を得たら我々は直ちに提出をしたいと思っております。
 同時に、新たな、削減に含めて選挙制度をどうしていくかということについて、今、与党において御議論をいただいているわけでありますが、私としても、なるべくこの国会において間に合うように審議をしてもらいたい、このように思っているわけでございますが、今、岡田委員が御指摘されたことも含めて、さまざまな議論がなされていると思います。

○岡田委員 札幌高裁は、平成二十三年大法廷判決の説示に沿った改正とは質的に異なるものであると、この五減案について判断をしているわけであります。したがって、本当に五減案を、既に法律は通っておりますが、これでずっといくのかどうかということは、これまたしっかりとした議論が必要であるということを申し上げておきたいと思います。
 それから、インターネットの選挙について一言申し上げたいと思います。
 我々、みんなの党と一緒に、公選法の改正案を出しております。与党案との最大の違いは、電子メールの扱いであります。電子メールについて、我々はこれを一般有権者も選挙運動として認めることができる、自公案はそれは認めない、こういうことになっているわけであります。
 この電子メール、つまり、ホームページとかその他のウエブサイトについては認めることにしながら、電子メールはだめだということにする与党のお考えなんですが、総裁として、なぜそういうふうにお考えになったのか、御説明いただけますか。

○安倍内閣総理大臣 選挙制度については、これはまさに国会で議論をしていただくことでございますから、まさに各党各会派において審議を進めてもらいたい、このように思っております。つまり、選挙の仕組みでございますから、私は行政府の長でありますから、これについてコメントをするのは差し控えさせていただきたいと思います。
 いずれにせよ、インターネットというツールを使いやすくしていく、選挙においても使いやすくしていくということは、やはりこれは正しい方向であろうと基本的には考えております。

○岡田委員 総理も随分インターネット解禁ということで言われたわけですから、そこはぜひお考えいただきたいと思います。
 例えば、今、選挙期間中に電話で、この人に投票しようということを一般に言うことは、これは公選法違反でも何でもないわけであります。それがメールになっちゃうと違法だということだと、それはやはり常識から見ると非常に違和感がある。今ももちろん違法なんです、ぎりぎり言えば。だけれども、メールで、この人いいから投票しようということを通知したらこれはアウトで、電話で言ったらセーフだというのも非常にわかりにくいので、ここはよく、各党間で議論することですけれども、総理もぜひ主導権を発揮していただきたいというふうに思います。
 次に、社会保障・税一体改革について。
 私は、総理の施政方針演説、それから国民会議における、政権交代後初めて、つまり第三回の、総理出席のもとでの御挨拶を見て、総理は社会保障制度改革で何をやりたいのか、何をやろうとしているのかということが全くわからないわけであります。
 具体的に、社会保障制度の何を議論し、どうしたいというふうにお考えなんですか。

○安倍内閣総理大臣 この税と社会保障制度の一体改革において、社会保障というのは、いわば生きていく上においてお互いが助け合っていく、自助自立を基本として、共助そして公助によって社会を成り立たせていくということであります。いわば、生活を営んでいく上においても、人生においても、つまり、この社会保障制度がしっかりと持続可能な制度であることによって、安心して一歩を踏み出していくことができるわけであります。
 また同時に、社会保障というのは給付と負担のバランスがあるわけでありまして、給付を確保するためには、負担をしていただく方々にとってこれは納得していただける水準でなければならないわけでありまして、そこで給付と負担の調整も必要であろうということであります。
 そこで、例えば年金、医療、介護、それぞれありますが、年金について言えば、既に累次の改正を行ってきている中において、さらに低所得者、低年金者に対する手当ても進めてきているわけでありまして、そういう中においては安定性は確保されているということで、民主党政権の内閣においても、当時の岡田大臣も安定性についてはそう答弁をしておられる、こう記憶をしているわけでありますが、さらには、この改革、不断の改革が必要であって、基本的には、持続可能なものにしていくという不断の努力が必要なんだろう、このように思います。

○岡田委員 抽象的なことをお聞きしているのではなくて、これは一年以内、つまり八月二十一日までに、国民会議できちんと結論を出して、そして法的な措置を講じなきゃいけない。一年以内に、社会保障制度改革国民会議における審議の結果等を踏まえて、社会保障制度改革を講じるということになっているわけであります。
 もう残された時間は余りないので、そういう一般的なお話ではなくて、総理として、今の社会保障制度改革の中で、特にこの国民会議を通じて議論をして、そしてしっかり実現しなければいけないものは一体何なのかということについてお答えください。

○甘利国務大臣 社会保障と税の一体改革、社会保障は、まさかのときの安心、将来の安心を培うものでありまして、総理から答弁がありましたとおり、この持続可能性をしっかり図っていく、効率化と重点化をしっかりとっていくということであります。
 八月の二十一日までに、推進法で決められている国民会議の有識者のメンバーによって、法的措置につなげることができることの中身、年金、医療、介護、そして子育て、その大きな四項目につきまして、方向性、結論を出していただく、その中身を政府としては閣議決定するということになろうかと思っております。

○岡田委員 手続を聞いたんじゃないんですね。それから、手続については多分認識が違うと思うんです。この条文の読み方として、我々は、これは、国民会議が審議を行う、その審議を踏まえて政府は法制上の措置を講じる、施行後一年、つまり八月二十一日までに法律上の措置を講じるというふうに考えているわけです。ここは水かけ論になってもいけませんから、ここでは議論しませんが、私たちはそう考えているということです。
 問題は、一体何を議論するのかということです。そのことについて、もちろん具体的な細かい議論はありますよ。だけれども、今、国民会議を見ていても、ヒアリングを繰り返しているばかりで、大きな議論になかなか至っていないというふうに思うんですね。
 ですから、まず総理がきちんと国民会議に対してこういうことを議論すべきだという方向性を出さない限り、国民会議としても非常に困ってしまっているというのが現状じゃないかと思います。社会保障制度改革として、一体何を議論すべきだというふうにお考えですか、総理は。

○田村国務大臣 昨年の八月の三党協議の中において、御承知のとおり、年金に関してはいろいろな部分がございましたけれども、これは対応をしたわけですよね、一定の。それから、子育て三法、これも実務者で成立をさせていきました。
 国民会議の方では、やはり、医療とそれから介護、この部分がまずは早急にやらないといけない部分だということで議論をしていただいて、今現状、ヒアリングをしておる最中でございます。

○岡田委員 担当大臣としてはそういうお考えかもしれませんが、基本的に、公的年金制度、高齢者医療制度については法律で明記されているわけであります。
 いろいろ具体的なことは、年金の受給、二十五年を十年にするとか、そして共済と厚生年金を一つにするとか、そういう改革は確かにやりました。しかし、大きな議論として、まだ公的年金制度について問題があるんじゃないかというふうに我々は考えているわけで、そういったことについて、きちんと各党間、三党間でも議論しなければいけないし、それを踏まえつつ国民会議でもきちんと議論する、そのことが求められているんじゃありませんか。
 国民から見たときに、やはり今の年金制度についていろいろな議論があります。
 この社会保障・税一体改革の中でも、当時の自民党や公明党さんは、百年安心プラン、今の案で基本的には大丈夫だとおっしゃった。我々は、それは今の制度に加入している人だけ見れば百年いけるかもしれないけれども、加入していない人、加入できない人もたくさんいる中で、やはり制度を根本的に変えなきゃいけないということを申し上げた。
 もちろん、我々の制度もバラ色では決してありません。いろいろな問題があります。だけれども、お互いどちらがいいかということをきちんと国民にわかるように説明し、最終的にそろそろこれは合意していかなきゃいけないんですよ。
 それからもう一つは、積み立て方式がいい、これはみんなの党が主張しているわけですけれども、そういう議論もあります。若い人にはそういう意見は多いです。
 それだけ国民世論も分かれている中で、きちんと議論して、これがベストではないけれどもベターであるということについて国民にきちんと理解していただく、そういう場としてもこの国民会議というのは位置づけられると思うんです。総理、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 年金制度については、先ほど答弁をさせていただきましたように、既に累次の改革が行われて、改正も行われてきたわけでありますが、既に持続的に運営していくことのできる仕組みになっているというふうに我々は認識をしております。
 このことについては、社会保障・税一体改革の審議の中において、当時の野田総理と岡田副総理も御答弁をいただいているわけでありまして、認識を共有しているというふうに我々は理解をしているわけでございます。
 その際、最低保障機能の強化については、昨年の社会保障・税一体改革の三党協議において、年金制度の枠外で対応することで合意をして、そして、低所得、低年金の高齢者に対する給付金制度を創設することとなった、そういう経緯があるわけであります。したがって、年金制度においては、最初から抜本的な改革が必要と決めてかかるということは間違っているんだろう、このように思うわけであります。
 いずれにせよ、年金制度、そしてまた医療制度、介護制度もそうなんですが、そうした社会保障の改革について三党での協議を進めていただきたい、このように思っております。

○岡田委員 先ほども申し上げたように、これは各党間で意見が異なっているんですよ。ですから、それをきちんと国民の前で議論して、最終的に一つの答えを見出さなければだめだということを申し上げているわけです。
 総理は、今のお話を聞いても、この社会保障制度改革を何が何でもやり遂げる、そういう熱意というのは感じられないんですよね。我々は消費税の引き上げをお願いしました。国民の皆さんに社会保障制度の抜本改革をきちんとやるということとセットでこれをお願いしているわけですから、これは何が何でも社会保障制度改革をやらなきゃいけないんですよ。それは当然の政治家としての責任だと思いますよ。しかし、残念ながら、総理の今の御発言も含めて、社会保障制度について大きな議論をしよう、そういう意欲が感じられないということは残念です。
 総理、この国民会議の主管大臣は誰ですか。

○甘利国務大臣 国民会議は、御案内のとおり、推進法の中で位置づけられました。そこで、四項目についてそれぞれ基本的な考え方、基本方針が、もう釈迦に説法ですけれども、法律に書いてありますね。(岡田委員「そんなことは聞いていない。担当大臣は誰か」と呼ぶ)担当大臣。私が担当するように言われております。

○岡田委員 私が今質問したのは、国民会議の担当大臣は誰ですかというふうに申し上げたわけです。
 これは十四条にはっきり書いてあります。国民会議の責任大臣は内閣総理大臣とすると書いてありますよ。ですから、総理がこれは責任者なんです。社会保障・税一体改革の担当は甘利大臣かもしれません。しかし、この国民会議については、内閣総理大臣が直接責任を負うという非常に重い会議なわけですよ。そういう認識も総理にはないことが今はっきりしましたけれども、もう少し自覚を持って、しっかりとやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 我々、この社会保障・税一体改革を議論する中で、五%をどう使うかということをさんざん議論してきました。一%は、新しいこと、つまり充実のために使います、四%は、今の制度の安定化のために使いますと。具体的には、基礎年金の国庫負担二分の一とか、それから後代への負担のツケ回しの軽減というようなことを説明してきました。
 この後代への負担のツケ回し軽減というのは、これは毎年毎年、税ベースで、社会保障経費が何もしなければ一兆円ずつふえていきますね。それから、今、かなりのものを赤字国債を発行してそれで賄っている。そういうものを置きかえていきますということで説明してきたわけです。全部新しいものでできたらいいけれども、今の財政状況を考えたら、それは無理。だから、こういう苦渋の決断をして、国民の皆さんにも正直にそのことを説明してきました。
 そこで私は、今の総理の、きょうの答弁もそうなんですけれども、余りにも公共事業をふやそうと。例えば、当初ベースで見ても、補正は横に置いても、二十五年度は七千百億円のプラスですよね。そういったことを見てくると、結局、我々は消費税を上げるのは社会保障のためだと説明してきましたが、現実には、消費税を上げて公共事業をやっているというふうに国民からは受け取られかねないんじゃないかと。
 何か反論はありますか。

○安倍内閣総理大臣 それは岡田委員がそうおっしゃっているのであって、それは違うということは岡田委員も御承知のとおりだと思いますよ。つまり、社会保障費のために、介護、年金、医療、そして子育てのために消費税増税分は充てるということになっているわけであります。
 今回、公共事業、公共投資を行いました。そのための大型の補正予算を組んだわけでございますが、これは、繰り返しになりますが、まさに国民の安全と安心を守るために、そして被災地の復興を図るために組んだ予算であります。同時に、機動的な財政政策として、デフレから脱却して経済を成長させていくために組んだ予算でもあります。
 そのことによって経済が成長していくことによって、デフレから脱却をしていくことによって税収増を図っていくことができるわけでございますし、そして結果として最終的には国民の収入もふえていけば、社会保障費というのは、これはもちろん税金もありますが、保険料からも賄われているわけでありまして、当然、保険料もふえていくということになって、より財政的な基盤は安定的なものになっていくということも申し上げておきたいと思います。

○岡田委員 それは総理の楽観的な見通しですけれども、少なくとも私たちは、私たちというのは民主党だけではなくて三党、自民党も公明党も含めて、消費税の引き上げは、これは社会保障のために使いますということを説明してきました。
 お金に色はついていませんから、結局、消費税を引き上げることで出た余力を使って公共事業をやっているというふうに、そう言われても仕方がないじゃないですか。それは私が勝手に言っているんじゃないですよ、多くの国民の声ですよ。そのことについてどう説明しますかということを申し上げているわけです。いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 そもそも、まだ消費税は引き上げていないんですから。引き上げたと同時にそういういわば公共投資をぐんとふやしたんだったら別ですよ。そうではない段階で、笹子トンネルの事故もありましたね、ああいうことが二度と起こってはいけませんよ。ですから、老朽化した施設はしっかりと補強していく、改修をしていくということはとても大切なことです。
 国民の命を守っていくことも私たちの責任ですから、その中において、やるべき公共投資、公共事業は行っていくということと同時に、先ほど申し上げましたように、いわばデフレから脱却をしていく上において、そして安定的に経済を成長させていく上において、さらにはその恩恵を日本の隅々まで広げていく上においては機動的な財政政策が必要であって、その役割を担っているのがあの補正予算であった、まさに二本目の矢であったわけであります。
 そして、そのことによって、楽観的とおっしゃったけれども、しかし、私は株価の上昇に一喜一憂するつもりはありませんが、例えば御党から我々に政権がかわっただけで、年金の運用は五兆円プラスになりました。これは短期的に考えるわけではなくて、二十年、三十年のタームで考えるべきだとは思っていますよ。しかし、大切なことは、経済が上昇していくということは社会保障にとってもとても大切なことになっていくんだということは申し上げておきたいと思います。

○岡田委員 私はいつも気になるんですが、笹子トンネルの話をよくされますが、あれは株式会社の責任ですよね、笹子トンネルをきちんとメンテナンスするということは。国じゃないですよね。ですから、そこは何か、こういうところで話が出るのはよくわからないわけですね。高速道路株式会社の責任。
 そこで、総理のお話の中で、例えば施政方針演説を見たときに、財政健全化について、財政健全化目標の実現を目指しますという一言しかないんですね。行政改革に至っては全く触れられていない。そういうことを見ると、本当に大丈夫なのか、財政の再建、健全化についてどこまで総理が熱意を持っておられるのかということは、私は大変疑問に思うわけです。
 そういう中で、総理は、財政健全化のための立法措置の可能性について、藤井孝男議員の代表質問に対して言及されましたね。具体的に説明していただけますか。

○安倍内閣総理大臣 藤井議員からは、いわば立法の必要性があるかないかについて質問をいただいたわけでございまして、政府としては、今後、経済財政諮問会議において、財政健全化と経済再生の双方を実現する道筋について検討を進め、年央の骨太方針の取りまとめに向けた検討状況も踏まえつつ、財政健全化目標を実現するための中期財政計画の具体化の検討を進めていくこととしております。その上で、財政健全化の実効性をどのように確保していくかについても検討をしてまいります。
 さきの答弁についてでございますが、その一例として述べたものでありまして、現時点において、法制化等々に、立法をしていくということについては具体的な検討は行っていない、こういうことであります。
 施政方針演説においても、私は、プライマリーバランスについて、GDP比について二〇一五年に半減し、そして二〇年に黒字化していくということについて申し上げているわけでございますし、第一次安倍政権においては、プライマリーバランスについては、かつてマイナス三十兆円近かったものを六兆円まで縮めたという実績はあるわけでございます。
 今回も、あのときと同じように、しっかりと税収を上げて無駄遣いをなくすことによってプライマリーバランスを黒字化していくことを目指していきたい、このように思っております。

○岡田委員 確かに、国会答弁の中で総理は、財政健全化を、立法を含め、どのような形式と仕組みで確保していくかについて検討してまいりたい、こうおっしゃったわけですね。立法を含めということをおっしゃったわけです。
 私は、財政再建、健全化のために立法するかしないかというのは、それは例示で言うか言わないかの話じゃなくて、立法するということは非常に大きなことだと思うんですね。そういうことについてまだお決めになっていないということであれば、単なる例示としてでも私は言うべきじゃないと思うんですよ。
 ですから、そういうことを聞いていると、本当に総理が財政健全化ということをどのぐらい真剣に考えておられるのかということについて、ますます疑問が深まるわけであります。何かありますか。

○安倍内閣総理大臣 これは、こちらが例示として挙げたというよりも、質問者が例として挙げたものですから、それも含めて考えていく、そういう答弁をしたところであります。

○岡田委員 財務大臣は、その直後の記者会見で否定されておりますけれども。
 では、もう一つ、二%の物価目標についてお聞きしたいんですが、総理は、この二%の物価目標について、日本銀行において責任を持って実現していただくというふうに、これは二月七日、石井委員に対して答弁されています。
 他方で、麻生財務大臣は、日銀だけに押しつければ甚だ偏る、共同責任を負っていると思って頑張っているというふうに答弁されました。
 これは一見して考え方が違うというふうに思えるんですが、いかがですか。

○麻生国務大臣 一義的には日本銀行にあるというのは、それは法律で決まっていますから、もう御存じのとおりです。
 しかし、これまで、日本銀行がお金をたらたら刷って市中銀行に渡しても、市中銀行から先に全然お金が散らなかったという例があるでしょうがと。我々はそういう経験をしていますから、したがって、きちんと上げていくためには、日本銀行だけに押しつけるのではなく、この際、政府もやるべきことがあるのではないかといって、三本のうちの残り、二本、三本目は政府としてもやらなければならぬ。
 しかし、一義的には日本銀行にあるというのは、はっきりしております。

○岡田委員 一義的か二義的かというのは非常に抽象的な話ですが、もちろん、日本銀行がまず責任を負うということは私は否定いたしません。
 しかし、政府みずから三本の矢と言っておられるわけです。つまり、金融だけでこういったデフレ脱却とかあるいは二%の消費者物価上昇ということが確実にできるかといえば、やはりそれは、三本の矢が合わさって初めてそういうことが可能になる。
 そういう意味では、これはやはり、日銀だけの責任だ、こういうふうに言い切ってしまうのは、私はむしろ政府の責任逃れだというふうに思いますが、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 これは、どの責任が誰にあるかということをはっきりしておく必要があると思うんですね。
 そこで、二%のインフレターゲットを設けたからには、これはしかし、ターゲットを設けたのに、全部あなたの責任ではありませんよ、こっちにも責任がありますよと言ったら、それは責任がどこにあるかわからなくなってしまうんですよ。
 これは日本銀行の責任なんですよ、基本的に。そこで、やはり日本銀行はその責任を、責任というのは、まさに、これを果たさなければいけないという強烈な責任が彼らそれぞれに生じるわけですね。まさに、総裁においても副総裁においても、新たに任命していただきたいと思っておりますが、黒田さんにしても二人の副総裁の方々においても、そういう使命感、強烈な使命感を持ってちゃんとこれを達成していくということをおっしゃっているわけであります。
 そして、政府としては政府としてやるべきことがあります。それは、いわばこの二%の物価安定目標に向けて進んでいく中において、デフレ脱却の波が地方に隅々まで早く伝わるように、そして雇用にも収入にもあらわれてくるように、このスピードを上げていくためにも私は財政政策を進めていくべきだろうと。
 国が率先して需要をつくっていくということが必要ですから、その期間を短くしていくためにも財政政策を行い、同時に、これは何回も財政政策を行うわけにはいきませんから、まさに三本目の矢である、一般の民間企業の投資を喚起する成長戦略を行っていく、これが極めて重要であろう、このように思っているわけであります。

○岡田委員 総理は、デフレというのは貨幣現象だというふうにも言っておられますよね。そういう考え方は、一つ、学者の中にもあります。ですから、全て金融で解決できる、そういう立場に立っておられるようにも聞こえる。しかし、三本の矢と言っておられるところから見ると、そうではないようにも聞こえる。
 やはり、私は、もちろん日銀に第一義的な責任というのはわかりますけれども、同時に政府も責任を持っているということをはっきりしないと、何か全て日銀に押しつけて、そして、実際に、二%まで消費者物価が上がらなければ何でもやれということになったときに、いろいろな弊害も出てき得るわけでしょう。
 例えば、前回のバブルのとき、どうでしたか。消費者物価が上がるより先に、不動産の価格が高騰したじゃないですか。そういうことを繰り返してはいけないわけでしょう。ですから、そこは全体的に考えてやっていかなきゃいけない、その責任は日銀だけにあるんじゃないということを私は申し上げたいわけですが、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 先ほどから申し上げておりますように、私がここで答弁したように、デフレというのは貨幣現象ですから、まずは日本銀行がしっかりと大胆な金融緩和を行って、二%という物価安定目標を設けたんですから、この物価安定目標に向かって、ちゃんとしっかりと金融政策を展開してくださいねということであります。
 その上において、今まさに岡田委員が指摘されたように、これはさまざまな弊害もあるかもしれませんし、そして同時に、その恩恵をみんなが享受できるように、これが均てんされるようにしていくためには、その期間も短くしていくために、金融政策だけでは、インフレ期待が起こってから企業が投資をするまで、あるいは給料が上がるまで相当な時間がかかる場合がありますから、その期間を短くしなければいけませんし、そして、投資で起こるだけの現象にしてはいけませんから、これを全国に均てんさせるためにも、我々は財政政策をしていく。何回も財政政策をしていくわけにはいきませんから、成長戦略において企業が投資をするという分野をつくっていく。これがまさに三本の矢であります。
 我々は、この三本の矢をいわば同時に射込んでいくことによって、デフレから脱却をし、そして、間違いなく経済を成長させていくことができる、このように確信をしています。

○岡田委員 総理の御答弁をお聞きしていると、果たして総理御自身が責任というものをどう考えておられるのか、よくわからないんですね。やはりそれは、もちろん日銀は一義的責任がある、しかし、政府全体も責任を負っているということを明確にして、そしてしっかりとやっていただきたいと思います。
 終わります。




TOP