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2012.12.27|夕刊フジ

早くも言行がブレ始めた安倍政権(夕刊フジコラム「ズバリ直球」12年12月27日号)

 民主党新代表に海江田万里元経産相が当選した。海江田氏はバランスの取れた政治家であり、衆院選の厳しい結果を受けて、危機にあるわが党をまとめるのに適切ではないかと思う。新代表のもと、一丸となって党の存在感を示していきたい。

 同時に、3年3カ月の民主党政権を振り返って、一体、何が不足していたのかを、きちんと総括する必要があると思う。当然、私も政権中枢にいた者として責任は免れない。深く反省し、自分自身や党について見つめ直している。

 一部では「野田内閣だったから選挙に負けた」という声も聞かれるが、内閣支持率は最後まで政党支持率を上回っていた。私はむしろ、「野田内閣にもかかわらず…」という印象を持っている。「コンクリートからひとへ」「チルドレン・ファースト」「オープン・ガバメント」といった方向性も間違ってはいなかった。ただ、それらを十分に有権者に伝えることができなかった。

 何より、いつも物事の決め方などで党内が混乱し、有権者から「政権政党としてまとまりがなく未熟だ」と受け取られた。衆院選では、有為な人材を多数失った。本当に残念だ。日本の未来のためにも、彼らが国会に戻れるよう私も努力していきたい。

 さて、安倍政権は26日にスタートしたが、すでに、衆院選で訴えていたことと、違うことを言い始めている。例えば、「尖閣諸島への公務員常駐」や「竹島の日(2月22日)に政府主催の式典開催」などは、見送る方針のようだ。

 「見送り」という判断自体は間違っていないが、あれだけ激しい言葉であおっておきながら、選挙から1週間程度で方向転換するとは、有権者から「一体、あの訴えは何だったのか」という不満が出ても不思議ではない。

 経済政策にしても、日本銀行とどう折り合いをつけて大幅な金融緩和を行うのか。日銀法改正をチラつかせて、「言うことを聞かないとぶん殴るぞ」というような態度では、とても冷静な政策論議はできない。

 財政出動も問題だ。中央自動車道のトンネル事故を受けて、「老朽化したインフラの補修が必要」と訴えているが、補修・維持管理の必要性は民主党が以前から指摘してきたことだ。だからこそ、新しい公共事業にどんどん手を広げてはならないのだ。国の借金は今年度末には1000兆円を超える。国債の信用が失われる事態になりかねない。一体何のための消費税増税なのか。

 ともかく、民主党は政権を経験した深みと責任を持ちながら、野党として、安倍自民党と国会などでしっかりと議論していきたい。来年夏には参院選もある。2013年を民主党の再出発元年としたい。(民主党衆院議員)




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