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2012.11.29|夕刊フジ

増税だけでない一体改革に理解を 社会保障の充実もセット(夕刊フジコラム「ズバリ直球」12年11月29日号)

 衆院が解散となり、公務の合間をぬって、各地を応援に回っている。私は街頭演説などで、社会保障と税の一体改革について「4年間は消費税を上げない」と言ったことを心からおわびしたうえで、欧州経済危機や東日本大震災という状況の変化を受けて、「これ以上、借金で社会保障を続けていくことはできない」と率直に説明している。

 今後のさらなる少子高齢化を考えれば、働く世代の負担に頼るのではなく、すべての世代が公平に支払う消費税での負担をお願いするしかない。もちろん一体改革は増税だけではない。子育て支援や年金制度の改善など、社会保障の充実もセットで進めている。

 行政改革にも取り組んでいる。国家公務員の給与を平均約7・8%削減するなどして、年5000億円以上を捻出したうえ、約400万円の退職給付の官民格差を是正して、年600億円を削減した。国家公務員宿舎を現在の約半分に減らし(約1700億円の売却益)、家賃を2倍弱に引き上げることも決めた。

 「日本維新の会」の橋下徹代表代行は増大する社会保障について、「財源不足は相続税を中心に考える」「社会保障の保険料負担増と給付削減を検討する」などと述べているが、民主党は、こうした意見にはくみしない。相続税では財源不足はまかなえない。

 経済問題では、自民党の安倍晋三総裁が「お金をどんどん刷ればいい」「建設国債を全額日本銀行に引き受けてもらう」などと発言している。株価が上がっているが、一時的な要因で上がったものは、必ず反動がくる。

 安倍氏は「自分が首相時代は、経済成長して税収も増えていた」とも語っている。しかし、当時は米国に世界の資金が集まり、日本から米国への輸出が伸びていたことが背景にある。その後、米国の住宅バブルは弾けて、「もう、あのような成長はない」というのが、世界の共通認識だ。

 政府・民主党は今週にも第2次経済対策を発表する。「グリーン」(省エネ・自然エネルギー)、「ライフ」(医療・介護、健康関連)、「農林漁業」が3本柱となっている。例えば、現在、メガソーラーの建設が全国的に伸びているが、これは菅直人前首相が自らの退陣と引き換えに実現させた「固定価格買取制度」のおかげだ。民主党は、地に足が付いた経済成長を実現させる。

 外交問題では、安倍氏や維新の石原慎太郎代表が、過激な発言を続けていることも考えものだ。もちろん、領土・領海に関して他国に一歩も譲る気はないが、過激な発言の応酬で、いたずらに緊張を高めることは百害あって一利なし。外交交渉は冷静かつタフに対応すべきだ。

 戦後、われわれの先輩たちは額に汗して働き、少しずつ経済を豊かにして、現在の平和な日本社会を実現した。日本がさまざまな試練に直面しているのは事実だが、戦後価値を全否定するような「憲法破棄」「米国からの押し付け憲法」といった議論は理解しがたい。国民の方々には、本当に日本国民の未来を託せるリーダーは誰であり、どの政党なのか、真剣に考えていただきたい。 (副総理)




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