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2012.05.31|夕刊フジ

夕刊フジコラム「ズバリ直球」12年5月31日号

 生活保護制度に対する関心が高まっている。国・地方の財政が厳しいなか、今年度予算の生活保護費は約3兆7000億円で、受給者(今年2月)は過去最多の約209万人(152万世帯)まで膨らんだ。国会でも取り上げられている。

 この問題は、大きく制度面の問題と不正受給などの問題に分かれる。

 まず、制度面では、地域によって国民年金よりも生活保護の受給額が上回るといった現実がある。一生懸命働いて年金保険料を払ってきたのに、生活保護より少なければ、納得できない人も多いかもしれない。現在、厚労省を中心に制度見直しの検討を進めている。

 もう1つの問題、不正受給は絶対に許されない。メディアでもしばしば、その詐欺的手法が告発されている。国民の方々が収めた税金をだまし取るような行為は、厳しく取り締まらなければならない。

 一方で、病気などで生活保護に頼らざるを得ない人もいる。困窮した人を追い詰めることなく、働ける人は自分で働いて生活するという、当たり前の社会にしなければならない。いずれにせよ、バランスを欠いた議論にならないよう、冷静な議論が必要だ。

 さて、人事院の調査で、国家公務員の退職手当(退職金)と共済年金を合わせた「退職給付」について、民間との格差が400万円に達したことが分かった。5年前は格差がほぼなかったので、リーマン・ショックに端を発する経済危機の影響が大きかったと思われる。

 政府の有識者会議は23日、官民格差を是正するため、この400万円分を引き下げるべきとの中間報告を取りまとめた。これから政府の方針を固めたうえで、関係方面との調整を経て、速やかに引き下げを実施したいと考えている。

 衆院社会保障・税一体改革特別委員会は、この1週間、充実した審議を続けてきた。焦点は、子ども・子育てはじめ、いくつかの問題に絞られつつあるのではないか。

 自民党は「超党派の国民会議を作って議論すればいい」と提案している。私も従来、そう主張してきたので賛成だ。ただ、国民会議では中長期的な課題について議論すべきで、法案化している短期的な課題については、ぜひ成立に協力してほしい。

 最後に、自民党の谷垣禎一総裁らが、消費税増税法案に協力する条件の1つとして、増税に反対する民主党の小沢一郎元代表の問題に言及していることに、一言申し上げたい。

 まず、民主党内の問題は、党代表である野田首相や党執行部に任せてほしい。他党があからさまに言及するのはいかがなものか。党内には、消費税の問題についてさまざまな意見があるが、きちんと党内論議を尽くしてきただけに、最後はまとまると確信している。(副総理)




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