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2011.11.10|夕刊フジ

夕刊フジコラム「ズバリ直球」11年11月10日号

西岡武夫参院議長が先週末、急逝された。あまりに突然のことで驚くとともに、大変お世話になったので残念でならない。西岡先生は、自民党や新自由クラブ、新進党、自由党、民主党などで活躍された。新進党時代には、西岡先生が幹事長を務められ、私は副幹事長として仕えたこともある。私が民主党幹事長に就任してからも、時折訪ねてご指導をいただいてきた。

「政治を変える」という強い信念を持たれていた方だった。最近は特に、参院の選挙制度改革に力を注いでおられた。また、天皇陛下や皇室に対する思いが強い方でもあった。つい先日、私が幹事長を降りた後にも、議長公邸にお邪魔して、お話をうかがっただけに、信じられない思いだ。心から、ご冥福をお祈りしたい。

さて、今週から予算委員会が始まった。最大の焦点は、被災地を本格復興させるための10兆円規模の2011年度第3次補正予算案だ。規模のわりに窮屈な審議日程をお願いしているのは、「復興予算を早く被災地に届けたい」という思いからだ。建設的な審議を通じて、国民や被災者の方々に補正予算案の中身が伝わるよう努力したい。

連日、予算委員会が終わった後、夜遅くまでTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への交渉参加をめぐる党内議論を行っている。侃々諤々の議論だが、12日から始まるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議までに意見集約する必要があるという点は、党内の共通認識といえる。

大きく分けて、党内には「国を開く」ことに賛成の立場と慎重な立場とがある。しかし、「国を開く」ことでアジアの活力を日本に取り込んでいくということは、政府・民主党の方針としてすでに確認されていることだ。

また、「国を開く」ことに賛成の立場の中にも、「国を開くのは賛成だが、TPPは反対だ。米国主導が強すぎる」という意見がある。そうであれば、早く交渉に参加して、主張すべきことを主張し、しっかりと国益を確保すればよい。

「ブロック経済化する」との意見もあるが、そうは思わない。日本はTPPだけでなく、日中韓、ASEAN(東南アジア諸国連合)プラス3(日中韓)、ASEANプラス6(日中韓印豪NZ)の経済連携も目指している。これらはTPPと二者択一ではなく、同時並行的に進めるべきものだ。そして、将来的にはアジア太平洋全体で自由貿易圏がつくれるよう、日本が米国とアジアの結節点になるべきだ。

もちろん、TPPで日本の農業が壊滅することがあってはならない。衰退を続ける農業をどうすれば再生できるのか、同時にしっかり議論し、対処していく。

ともかく、日本は大きな分かれ道に来ている。貿易自由化では、韓国に比べて10年後れをとっているが、TPPは大きなチャンスだ。野田首相には大きな政治判断をしていただき、APECの場で、分かりやすく明確なメッセージを発していただきたい。




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