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2011.06.09|夕刊フジ

夕刊フジコラム「ズバリ直球」11年6月9日号

菅直人内閣に対する不信任決議案が先週、圧倒的多数で否決された。野党提出の不信任案に与党議員が反対するのは当然のことだが、同僚議員の中にはさまざまな思いがあったことだろう。採決前日まで「結果がどうなるか分からない」と報じられたことに、また、残念ながら賛成・欠席した一部議員が出たことに、幹事長として責任を痛感している。
 
ただ、今回の不信任案について、私は「大義も決意もなく、可決されない」と確信していた。1993年、私は宮沢内閣不信任案に賛成し、自民党を離党したが、「政治改革をやらねばならない」という大義と、「10年間、野党暮らしでも構わない」という強い決意があった。今回はそれが全くなかったし、不信任案可決後の展望も示せなかった。
 
菅首相の代議士会での発言と、その後の記者会見での発言をとらえて、「政権居座り」などと報じたメディアがあったのは残念だ。明確に言うが、菅首相は長く続ける気はない。震災復興のメドがつけば後進に道を譲る、そのことは菅首相が述べているとおりだ。
 
代議士会の直前、菅首相と鳩山由紀夫前首相の会談が官邸であった。その時に交わされた文書や会話の解釈をめぐり、食い違いが問題視された。私は突然呼ばれて同席したため文書作成の経緯は知らないが、文書や会話の中で「辞任」という言葉は一切出ていないということだけは確かだ。
 
ともかく、採決結果は、民主党の良識が示されたと思う。
 
さて、衆参ねじれを克服するため、永田町では民主党と自民党中心の「大連立」が検討されている。衆参ねじれの政局の中、現在、赤字国債発行のための特例公債法案は通らず、震災関連以外の審議は止まっている。こうした衆参ねじれは、自公両党が与党になっても続く。民主党は参院選で負けたが、参院議員の数は自公両党より多いのだ。
 
現在、与野党のいろいろなレベルで信頼関係の構築が進められているが、大連立は簡単なことではない。野党は政局に乗って、一気に政権を奪取したいだろう。民主党から見ても、選挙を考えると、ライバルの自民党も与党となる大連立は決して得策ではない。ただ、国民のため、被災地のために、党利党略を超えて決断しなければならない。お互い、決意と度胸が必要だろう。
 
今週末で震災から3カ月となる。先日、宮城県松島の離島を訪ねたが、いまだに体育館で寝泊りしている被災者の方々にお会いして、心から「申し訳ありません」と詫びた。仮設住宅の建設は現在、急ピッチで進んでいる。一日も早く、被災者の方々が落ち着いた生活を取り戻し、仕事にも取り組めるようにしなければならない。それが政治の責任だ。

民自両党が、協力して被災地復興に取り組める体制ができるよう、幹事長として精一杯努力したい。




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