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2011.04.07|記者会見

民主党幹事長としての記者会見(4月7日)

岡田克也幹事長/記者会見要旨
2011年4月7日(木)16時01分~16時34分
編集・発行/民主党幹事長室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
http://asx.pod.tv/dpj/free/2011/20110407okada.asx
http://www.ustream.tv/channel/dpj-channel
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■冒頭発言
○政治改革推進本部役員会について
○被災地で見つけた女の子の日記帳について

■質疑
○内閣法改正案、国会審議活性化法案の取り扱いについて
○小沢元代表について
○補正予算案について
○海外民間団体からの支援等について
○統一地方選挙について
○大連立構想について
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■冒頭発言

○政治改革推進本部役員会について

【幹事長】先ほど政治改革推進本部役員会を開きまして、内閣法との関係で、2つの
法案について取り下げの方向で検討することを確認いたしました。1つは「政府の政
策決定過程における政治主導の確立のための内閣法等の一部を改正する法律案」(政
治主導確立法案)、これは内閣提出法案であります。もう1つは、議員立法で、「国
会審議の活性化のための国会法等の一部を改正する法律案」(国会審議活性化法
案)。
 取り下げの理由は、「政治主導確立法案」には総理大臣補佐官の増員、5名から1
0名ということが書かれている。それから、「活性化のための国会法等の一部改正法
案」には副大臣の増員、政務官の増員がそれぞれ書かれているということで、今回提
出する内閣法改正案とかち合うといいますか、同様の規定になっていると。しかし内
閣法改正案のほうは、今回出すものは、この震災にかんがみて当分の間ということで
暫定的なもの。今回取り下げ予定の2法案については恒久的なものという違いがあり
ます。内閣法改正案の成立を急いだうえで、この2つの法案についても必要な手直し
を行って再提出する、そう考えております。
 今日は政治改革推進本部の役員会だけですから、担当の部門会議などでもご議論い
ただく必要がありますが、同じ趣旨の内容でお互い矛盾するものが国会にあることは
基本的にはできませんので、そういう形で整理をさせていただいたということです。
 なお、「政治主導確立法案」には、その他にも国家戦略局を設置するとか、行政刷
新会議を設置するとか、そういった規定があります。それから「国会審議の活性化の
ための法案」については、各省の大臣政務官の増員について、つまり内閣府以外の増
員についてもいろいろ規定があります。したがって、こういうところについて何か変
えるということではありませんので、しかも暫定的なものと恒久的なものという違い
はありますので、内閣法(改正案)の成立を待って速やかにこの2つの法案について
必要な手直しをしたうえで再提出する、こういうことであります。

○被災地で見つけた女の子の日記帳について

【幹事長】先般いわき市を訪問した折に、被災地で小学校低学年の女の子の日記帳を
私がたまたま見つけまして、市長に「持ち主に返していただきたい」ということで託
したわけですが、今日いわき市から連絡がありまして、無事に持ち主の手に返ったと
いうことであります。
 聞くところによると、他県からおじいちゃんのところに来ていて被災したというこ
とですが、ご本人は避難してもちろん無事で、自分の家に既に帰っているということ
でありました。ただ、そういう意味で日記帳が失われていたわけですが、無事に返っ
たということであります。非常に些細なことですが、大変よかったなと感じておりま
す。

■質疑

○内閣法改正案、国会審議活性化法案の取り扱いについて

【日経新聞・恩地記者】今回出そうとされている内閣法改正案の提出のタイミング
は、いつごろになるのか。

【幹事長】他党ともよく話をしてみて、と考えております。いつでも提出できるよう
にしておきたいとは思いますが、具体的に「いつ」ということを決めているわけでは
ありません。

【産経新聞・宮下記者】国会法改正については取り下げて再提出するということだ
が、その際、前政権下であった内閣法制局長官の答弁禁止などの取り扱いについては
どのようにお考えか。

【幹事長】現時点では、基本的に法案提出したときと考えは変わっておりません。た
だ、再提出することになれば、もう一度党内で議論をする機会はあるかと思います。

○小沢元代表について

【フリーランス・安積記者】昨日、亀井国民新党代表は会見で、党籍離脱している小
沢さんを復権させて活用すべきだと。これについて幹事長はいかがお考えか。

【幹事長】いろいろなご意見はあるかと思いますが、党籍離脱しているわけではない
んですね。党員資格を停止しているということです。これは常任幹事会で決まったこ
とですから、現時点でそれを変えるという議論は、特にありません。

○補正予算案について

【日経新聞・恩地記者】第1次補正予算を編成作業中だと思うが、財源として基礎年
金の国庫負担2分の1を維持するためのいわゆる埋蔵金2.5兆円分を使うという案
があり、一方、党内では、そうではなくて国債を発行せよという意見もある。今、財
源について党内のコンセンサスはどのようになっているか。

【幹事長】年金については、いずれにせよ来年度からは2.5兆円、今言ったような
方向で調達することにしておりまして、それが1年前倒しになるということで、この
ことについては、大きな異論が党内にあるとは考えておりません。

【朝日新聞・南記者】年金の財源に充てる部分を補正予算に計上することに関して、
将来の税制改正を担保にした財源になると思う。将来の税制改革は消費増税を念頭に
置かれていたと思うが、被災地の方も負担する消費増税を、震災のための補正予算に
計上する形になりかねない。このスキームについてはどのようにお考えか。

【幹事長】ちょっと私、よく理解できません。つまり年金の問題は、年金の国庫負担
率を2分の1にするために、今まではいわゆる埋蔵金的なものを使おうとしていた
と。これをやめて年金は年金の中で、いわば将来の、現在ある積立金を借りてくる形
で使うということであって、補正予算の歳入に立つわけではありません。補正予算の
歳入に立つのは、年金に一時的に充てようとしてきた「埋蔵金」が補正予算の歳入に
なるわけです。ですから、おっしゃることは当たらないと思います。

【テレビ朝日・平元記者】この補正予算、いろいろな額が言われている。被災者に
とっては瓦れきの処理や仮設住宅が喫緊の課題かと思う。党内で瓦れきの処理と仮設
住宅に幾らぐらい入れようというのが決まっていれば、教えていただきたい。

【幹事長】これはいろいろ議論をしているところで、まだ外に向かって具体的数字を
申し上げるタイミングにはありません。ただ、今議論している規模の、これもまだ変
動する可能性はあるのですが、その中でかなりの金額が仮設住宅や、あるいは廃棄
物・瓦れきの処理に充てられるとご理解いただいていいと思います。もちろん一番大
きいのは、復旧のための公共事業ですね。それから雇用や、自衛隊の皆さんに対する
手当、そういうものが金額としてはかなり大きなものになりますが、瓦れきの処理や
仮設住宅についても必要な額はきちんと計上されている、安心していただけるだけの
額は計上されているとお考えいただきたいと思います。そういったことの結果とし
て、当初よりも規模が膨らんでいるということです。

【東京新聞・関口記者】先ほど輿石会長が会見で、緊急にやらなければいけない問題
として4兆円ぐらい第1次補正で何とかしなくちゃならんと、幹事長も入られた昼の
政府・民主党の会合で確認したということだが、この事実関係はいかがか。

【幹事長】まだ、今議論している最中ですから、規模も変わり得る、そういう状態で
すので、あまり申し上げないほうがいいと思います。ただ、従来2~3兆円といわれ
た部分があると思いますが、それよりは大きい額であるとお考えいただければと思い
ます。

【読売新聞・石川記者】補正予算の財源に関して、ODAを2割ほど削減する案が党
内にある。これについて幹事長はどうお考えか。また、外務省の高橋(千秋)副大臣
が今日の会見で、ODAについてはある程度の規模を維持するべきだ、引き続き着実
にODAはやるべきだとおっしゃっているが、政府との調整はどのようになっている
か。

【幹事長】ODAについては、外務省は当然いろいろご意見があると思います。た
だ、私は外務大臣経験者として、こういう時期ですから、1年間限りであれば一定の
削減は可能だし、むしろそのことが何か日本の海外に対する援助のスタンスを弱める
とか、そういうことにはならない、海外からも理解されると確信しております。
 政府との調整は、外務大臣もいろいろご意見をお持ちですから、よく調整しなけれ
ばいけないと思っています。

【フリーランス・安積記者】先ほど行われた谷垣自民党総裁の会見で、第1次補正の
財源については、いわゆる「4K」と言われる子ども手当などを財源に充てるべきで
はないかと。その主張は変えるつもりはないようだが、これについて幹事長はいかが
お考えか。

【幹事長】「4K」とよく言われるのですが、具体的に何で、どう出すべきなのかを
おっしゃっていただいたほうが生産的だと思います。その中で高等学校授業料の無償
化とか農業の戸別所得補償、そういうことについてはあまり具体的な議論をお聞きし
ていないのですね。農業のほうも、自民党の予算組み替え案を見ますと結局よく似た
ものに、近い額が計上されておりまして、必ずしも全部なくすということではないの
ではないかと私は思っております。
それから子ども手当に関して言えば、これは何回も申し上げておりますように、年少
扶養控除の廃止で1兆円以上の増税になっております。それをどうするのかというこ
とを、公明党は年少扶養控除の廃止は維持するという前提に立って、そこで1兆円以
上の増収になりますから、それを児童手当に上乗せする、と主張されているわけです
ね。そうするとわれわれとの違いは、おそらく今回の2100億円を含めても1兆円
ぐらいだろうと思います。あるいはそれ以下かもしれません。
 自民党のほうは、年少扶養控除を復活するということであれば、彼らの言うような
2兆円の財源にはならないのですね。年少扶養控除を復活すればやはり1兆円ぐらい
(の減収)になっちゃうわけです。ある時は2兆円と言い、ある時は年少扶養控除は
復活すると言い、一貫していないのです。その辺をもうちょっと明確におっしゃって
いただいたほうが議論は生産的になるのではないか。
これは新聞でもあるんです。社説などでも2兆円と言われながら、年少扶養控除の廃
止について、じゃあ復活するのかどうかはっきりしない。その辺はもう少しきちんと
した議論をしたほうがいい。
 年少扶養控除の廃止をそのままにして、つまり1兆円以上の増税をしつつ、2兆円
の子ども手当から減額するということは、1兆円以上の子育て世代に対する狙い撃ち
の増税になりますから、いかにこういう大きな災害があるからといって、子育て世代
のみを狙い撃ちしたような増税措置がいいとは私には思えません。もしそれがいいと
言うなら、そういう議論をきちんと展開していただきたいと思います。

【日経新聞・恩地記者】年金の国庫負担分の2.5兆円を積立金から一時的に借りて
くることになると、年金財源、一時的に穴があく形になる。この穴をおそらく将来は
税制抜本改革で埋める形になると思うが、将来どう埋める形を担保するのか。

【幹事長】穴があくわけではなくて、積立金が減ることになると思うんです。それは
将来の収入できちんと埋めるということもあわせて、セットで決めることになるとい
うことです。

【朝日新聞・南記者】将来の収入を確保するという意味で、税制抜本改革を早めるこ
とは幹事長の念頭にあるのか。

【幹事長】特にそういうふうには考えておりません。

【共同通信・中久木記者】野田佳彦財務大臣は国債発行について慎重な姿勢だと思う
が、幹事長はかねてから歳出見直しでやるとおっしゃっていたが、歳出見直しで足ら
ない部分について国債発行も視野に入れて検討するのか。

【幹事長】これは議論が分かれるところですね。おそらく、先ほど言ったような歳出
の規模だといたしますと、年金の2.5兆と、それから歳出のその他の見直しを入れ
ても、やはり金額としてはまだ足らないことになるかと思います。それを予備費、経
済危機対応予備費8000億などを使って埋めるのか、それとも国債を発行するの
か、そういう選択の問題かなと思っております。
 党内いろいろな議論がありますが、私としてはやはり財務大臣が既に基本的な考え
方を明らかにされておりますので、あくまで国債の発行は避けるという方向性を出し
ておられますから、私はその野田大臣の思いといいますか、そういうものはなるべく
尊重してあげたいなと思っております。
 ただ、党内的には議論は分かれるところで、私は、(実質的には)あまり変わらな
いとは思いますね。やがては、経済予備費8000億円を使ってもまだ3000億円
ぐらいありますから、当面は困らないのですが、どこかでまた2次補正で予備費を積
むことになると思いますので、まあ、程度問題かなと思います。
 ただ、財務大臣がそういう方針をお立てになったのであれば、よほどのことがない
限りそのことは尊重されるべきだと思っています。もし国債を出すということでも、
赤字国債は避けるということは議論の前提かなと思っております。

【共同通信・中久木記者】国債発行は避けるべきだという認識だと思うが、発行する
にしても建設国債が前提だとおっしゃったが、建設国債と赤字国債の発行、分けて考
えるべきだというお考えか。

【幹事長】やはりそこは違うと思いますね。ただ、私はできれば野田大臣の思いを尊
重すべきだと考えておりますので、国債なしで、予備費を取り崩してやると。実際ど
こが違うのかと言われると、あまり違いはないかもしれませんが。そして、予備費は
使途が限定されていませんので、大事にとっておくべきものだと私は基本的には考え
ておりますが、それでも一般予備費3000億ありますので、それでしばらく賄える
とすれば、経済予備費8000億を使うのも1つの考え方かなとは思っております。


○海外民間団体からの支援等について

【世界日報・山本記者】これまで海外の政府の支援はいろいろ紹介されているが、例
えば米国の民間団体等もキリスト教的なものとかいろいろ入っていると聞いている。
幹事長は宮城・岩手にもいつか行く予定があるとおっしゃっていたが、その際に民間
支援のシンボルとして、そういう方と会う予定はおありか。

【幹事長】実は今晩から岩手に向かって出発することにしております。明日は岩手、
明後日は宮城ということで予定は立っておりますので、その中には日本のNGOの皆
さんと少し意見交換する予定は入っておりますが、おっしゃるようなことは特に現時
点では入っておりません。また将来、機会があればそういったことも考えたいと思い
ますし、今回ちょっと残念だったのは、自衛隊の皆さんのご意見をお聞きしたり、私
なりに激励させていただく機会とか、あるいは米軍の皆さんに対してという機会が
入っておりませんので、また別の機会にそういうことも考えたいと思います。
 それから海外のそういった支援ではないのですが、被災された方の中には外国人の
方もたくさんいらっしゃるわけで、先般ルース駐日米国大使にお会いしたときに、被
災地で亡くなられた、JETプログラムで日本に教えに来ていたアメリカ人の若い女
性のお父さんとルース大使がお会いしたときの話をされていました。子どものときか
ら日本が好きで、日本で語学を教えることに非常に誇りを持っていた、そのお嬢さん
を亡くされたお父さんの話だったんですが、日本人だけではなくて、いろいろな海外
の皆さんも今回の震災の中で命をなくしたり被災されていることも、忘れてはならな
いことだと思います。

○統一地方選挙について

【伊勢新聞・中森記者】三重県知事選の現状の認識と、10日の投票日に向けた読み
について伺いたい。

【幹事長】現状は、わかりません。むしろ教えていただきたいと思います。伊勢新聞
は読んでいますが。ちょっと状況は、私も最近の調査結果など見ておりませんのでよ
くわかりませんが、精いっぱいやるしかないということで、各議員も支援団体の皆さ
んも一生懸命にご支援いただいていると思います。
私も、こちらからできることは電話ですので、合間を見て電話したりはしておりま
す。それから選対本部からのご要望に応じて今日から家内も入りましたので、決起集
会などで私に代わってあいさつ、お願いをするということで。今、幹事長をやってい
る以上は、それ以上のことはちょっとできないということです。

【朝日新聞・南記者】統一地方選の投開票日が近づいているが、党本部としての目標
を改めてお聞かせいただきたい。

【幹事長】目標というか、これはそれぞれの県連ごとのその集積でありますので、党
本部としては「1人でも多く」ということが目標です。

【東京新聞・関口記者】今おっしゃった「それぞれの県連ごとの集積」が民主党総体
としての評価を示す、という認識はお持ちか。

【幹事長】もちろん県連も民主党の候補者として戦っているわけですから、それは民
主党全体への評価だと思います。

【伊勢新聞・中森記者】三重県知事選は、岡田幹事長の地元ということもあるので、
そこの勝敗が幹事長の責任に結びつくのかどうか。

【幹事長】いろいろな見方はあると思いますが、結果は結果として率直に受け止める
しかないと思っています。自民党のほうはシャカリキになって要人が次々に詰めかけ
ておられます。総理経験者の安倍さんとか麻生さんとか、石原幹事長、塩崎さん、み
んなの党の渡辺代表、最近だけでもそういった人が連日入っております。ただ、われ
われは「三重県の知事選挙は、三重県でしっかりと県民に訴えていこう」ということ
で、そういう外部からの応援は今回頼まずに、三重県の議員だけで戦っている。その
構図を有権者の皆さんがどう判断されるかということだと思います。

○大連立構想について

【共同通信・中久木記者】今日、谷垣自民党総裁が会見で、民主党との大連立に否定
的な見解を示された。岡田幹事長はかねてから「自民党の対応次第だ」と。谷垣総裁
の否定的な姿勢を受けて、大連立は実現が遠のいたという認識か。

【幹事長】私はもともとすぐにできるとは思っておりませんので。こういうものはあ
る程度、信頼関係を築き上げる中で、機運が熟せばそういうこともあるだろうという
ことで考えておりますので。すぐにできるというのは、そもそもメディアの皆さんが
つくり上げた幻想ではないかと思っています。

【時事通信・近藤記者】大連立によって衆参で3分の2を占める巨大与党ができる
と、国会のチェック機能がなくなるという見方もあるが、それについてのお考えをお
聞かせください。

【幹事長】できてもいないものをコメントすべきではないと基本的には思いますけれ
ども、おっしゃるような批判は当然あると思います。ただ私、前から申し上げており
ますように、この大震災という未曽有の事態のもとで、迅速に対応するためにそうい
うものができるということ、これが基本ですので、そういう例外として認め得るかど
うかということだと思います。私は、そういうことがあってもおかしくないというこ
とは前から申し上げております。

【産経新聞・宮下記者】幹事長はしばらく前は「外部から閣僚に入ってもらうような
大胆な発想には立っていない」と言われた。その後「1つの選択肢である」と。若干
ニュアンスが変わったと思うが、変わった理由についてお聞かせください。

【幹事長】ニュアンスは変わっておりません。それはどういう質問に対して答えてい
るかということですが、すぐにそういった閣僚が入るということについて聞かれたと
私は記憶しております。それに対して私は「そういうものは考えていない」と申し上
げたわけです。




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