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2011.04.04|記者会見

民主党幹事長としての記者会見(4月4日)

岡田克也幹事長/記者会見要旨
2011年4月4日(月)16時03分~16時38分
編集・発行/民主党幹事長室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
http://asx.pod.tv/dpj/free/2011/20110404okada.asx
http://www.ustream.tv/channel/dpj-channel
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■冒頭発言
○風評被害について
○瓦れきの除去について
○被災地での米づくりについて
○各党・政府震災対策実務者会合について
○民主党が募集した義援金について

■質疑
○風評被害について
○愛知6区補選について
○補正予算について
○原発の地元自治体首長の要望について
○国民新党からの推薦取り消しについて
○特別立法に関する報道について
○三重県知事選挙について
○大連立構想について
○地球温暖化対策について
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■冒頭発言

○風評被害対策について

【幹事長】週末に茨城、福島と回ってまいりました。特に原子力発電所の関係で、農
業はじめ漁業、場合によっては製造業まで、さまざまな風評被害に遭っているという
こと、現場の皆さんの声も聞いてまいりました。
先ほど、今までの基準、暫定規制値を維持することが適当であるということが薬事・
食品衛生審議会で決定されたということです。これは科学の結果ですから尊重される
べきことは当然でありますが、同時に、全県的に出荷停止が行われるとか、そういっ
たことについては改善されるということで、それは喜ばしいことだと思っておりま
す。県単位でやらなければいけない合理的な理由はないわけで、やはり基準値を超え
る地域について、出荷停止の措置をとれば十分なはずであります。もちろん、どうい
う範囲でそれをくくっていくかということはいろいろな考え方があるでしょうが、県
で1つにするという合理的理由はありません。そういう意味で運用が変わることは評
価されることだと思います。
 いずれにしても、この基準が過剰に受け取られないように、かなり安全度を見込ん
だものであることは、正しく消費者に伝えられなければならないと思います。
そのうえで、例えば福島でトマトを栽培している農家を訪ねましたが、トマトやキュ
ウリは福島で出荷停止の品目にはなっていないわけでありますが、やはりそういった
風評被害の中で出荷量が半分になったとか、価格がさらに半分になったとか、そうい
う被害が現に出ております。消費者も何とか被災地を支援したいという気持ちを持っ
ておられる方はたくさんいらっしゃいますので、むしろそういった被災地の農産物で
出荷停止になっていないものは、これは安全・安心なものとして、それを買うこと、
食べることが被災地を支援することにつながると。そういう大きな流れができてくれ
ば大変いいことではないかと思っております。
党としても、どういう形でそういう運動を起こすことができるのか、少し検討を重ね
ていきたいと思っております。

○瓦れきの除去について

【幹事長】昨日も申し上げましたが、いわき市で津波の被害を受けた集落を訪ねたと
きに、小学校低学年と思われる女の子の日記を見つけて、それを市長に私は託したわ
けですが、非常に個人的な思いの詰まった絵とか写真がたくさん含まれるものだった
わけで、瓦れきの処理というのは本当に難しいなということを感じました。
 まだ全く手がつけられていない地域でありましたが、これから瓦れきの除去を進め
ていく中で、財産的な価値のあるものをどうするかという問題もありますが、同時
に、財産的価値はなくても個人としては非常に大事なもの、そういうものは当然ある
わけで、そういったことをどうやって配慮しながら、しかし、急がれる瓦れき処理を
やっていくかと。やはり現場は本当に大変だなということを改めて感じたところであ
ります。

○被災地での米づくりについて

【幹事長】風評被害に関連して、茨城の農家の皆さんの一部からは、今年も米をつく
るかということについて、政府としての考え方を示してほしいという話もありまし
た。まだ原発の問題がある程度、時間がかかる、それは安定的な状況にはまだなって
いないわけですし、安定的な状況になったとしても、それですぐすべてが終わりとい
うわけではもちろんありません。そういう中で、その周辺地域で1年間かかる米づく
りを進めていくべきなのかどうか。あるいは、それをやらないときにはどういうふう
にしてそれに対して補償していくのか。こういう問題について、私は政府が検討を急
ぐべきだと受け止めさせていただきました。
 今日、鹿野道彦農水大臣をお訪ねして、私のこの2日間の茨城・福島で感じたこと
をいろいろお話してまいりましたが、今申し上げたことについても検討が急がれるべ
きではないかということを申し上げてきたところであります。岩手県とか宮城県と
か、県の中での減反の割り振りの問題とか、そういうことは議論されているようです
が、県を超えた減反、つまり生産の割り振り、そういったことも議論が急がれるべき
ではないかと申し上げてきたところであります。

○各党・政府震災対策実務者会合について

【幹事長】実務者レベルの会合が今日も開かれました。全体として非常に前向きな議
論が多いということはいつも申し上げているところですが、提言をまとめつつありま
して、それができたところで、今週のどこかで本会議、「本会議」というのは親会議
ですね、幹事長レベルでの親会議(各党・政府震災対策合同会議)を開催したいと。
そして、そこで政府に提言を提出したいと考えております。
 今、統一地方選挙の最中で、各党幹事長もなかなか忙しいわけですが、仮に7日に
(衆議院)本会議が立つことになれば、7日にそういったことを考えたいと思ってお
ります。これはこれから国対での話し合いということになります。

○民主党が募集した義援金について

【幹事長】最後に、わが党としてこの大震災に際して集めてまいりました義援金が3
月末日で1億1800万円となりました。年度末ということもあり、1億を超えたと
いうことで第1次分として、このうちの1億円を日本赤十字社に寄託することにいた
しました。近々、日赤のトップに党を代表する者、たぶん財務委員長になると思いま
すが、お会いしてお渡しすることにしたいと思っております。
 政府の中でも、この日本赤十字社はじめ、集まった国民からの義援金を早く配分す
る、全額ではなくても一部であっても、被災者のもとに届くようにすることの検討を
始めているようですが、私からもぜひそれを急いでいただきたいと。やはり被災して
いる皆さん、収入がない中で、少しでも現金を必要としていることを十分に配慮し
て、国民の皆さんのその気持ち、多くの現金が集まっているわけですので、その一部
であっても早期に配分していただきたいと考えているところです。

■質疑

○風評被害対策について

【フジテレビ・橋本記者】風評被害対策について党で検討していきたいということだ
が、今の段階で具体的に何か救済手段をお考えか。また、風評被害への対策本部な
ど、何か新しく部署を設置することになるのか。

【幹事長】そういう(新しく部署を設置する)ことは特に考えておりません。
どういうふうにして風評被害を防ぐかということは、1つには、やはりこの基準の持
つ意味をしっかりと正しく理解していただくことと、あまり大きなくくりで、県単位
とかそういう形で出荷停止をしない。そのことでかなり範囲は狭まりますので、そう
いうことがまず大事ではないかと思います。いずれにしても消費者の皆さんの過剰な
反応がこういう風評被害を招いておりますので、しっかりPRをしていきたいと思っ
ております。
 こういう風評被害に対してどこまで補償すべきかということは、政府の中でも議論
しておりますが、(党内で)よく議論していきたいと。われわれ与党ですので、政府
と違うことを出しても仕方がないので、よく与党と政府で協議していきたいと思って
います。

【朝日新聞・南記者】茨城・福島の農家に会われたときも、「大手の流通業者が基準
に対してかなり神経質になって、出荷が止まっているケースがある」という声が寄せ
られていたが、大手の業者に対して、政府・与党としてどう理解を求めていくのか。

【幹事長】大手の業者にもよるんですね、これは。そういうことについてきちんと認
識が進むことが大事だと思います。各社によってずいぶん扱いが違う。そういうこと
だと思います。

○愛知6区補選について

【日経新聞・恩地記者】愛知県連のほうでは擁立を断念する動きが伝えられている
が、党本部としての判断はいかがか。今日の役員会ではその辺は議論になったのか。

【幹事長】役員会では議論になっておりません。私が前から申し上げていることは、
県連として最適な候補者を推薦してくださいと。党本部としてはそれを受けて検討し
ますと。県連が反対する人物を党として公認することはあり得ませんと、こう申し上
げてきております。そのスタンスは今も変わっておりません。

【中日新聞・関口記者】報道では、「断念」という言葉が躍っている。実際に既に断
念しているのか、まだ検討しているのか。

【幹事長】いや、党本部として何か断念したとか、そういうことはありません。県連
でそういったことを言っている人はいるかもしれませんが、別に県連で何か決定した
ということはないと思います。

【Response・中島記者】この件についてはずいぶんずれ込んでいて、もう投票日間近
だが、これだけもたついた理由は、どの辺に課題があったのか。

【幹事長】統一地方選挙もありますし、なかなかいい候補者が見つからなかったこと
に尽きるのではないかと思います。

○補正予算について

【毎日新聞・野口記者】幹事長は常々「4月中にも1次補正を」とおっしゃってい
て、今週中にも与野党で協議を始めないと間に合わないスケジュールになっていると
思うが、もう具体的に民主党なり政府でかなり詰まってきていると思うが、具体的な
項目や規模について、今の時点での幹事長の見通しがあったら伺いたい。

【幹事長】決まるまで何か申し上げることはありません。今、党の中で、さまざまな
議論を行っているところです。これから政府と党ですり合わせをしていくことになる
と思います。

【共同通信・中久木記者】震災対応に向けた特別委員会の設置を野党に提案するよう
だが、そこで補正予算についても議論するのか、あるいは従来どおり予算委員会で議
論するのか。この特別委員会の性格について伺いたい。

【幹事長】まだこちらとしてもアイデアの段階で、何か与野党で合意したとか、そう
いうことではありません。まず、補正予算は予算委員会で当然行われます。その他の
いろいろな法律・法改正について集中的に議論する場と、そうお考えいただけたら結
構だと思います。

【NHK・広内記者】そういった特別な法案の改正は、基本法など議論していく上
で、特別委員会をつくったほうが速やかな議論が行われると、幹事長としてはお考え
か。

【幹事長】党としてはそう考えて提案しているわけです。国対委員長が独断でやって
いるわけではありません。

○原発の地元自治体首長の要望について

【西日本新聞・伊藤記者】先ほど、全国の原発の地元自治体の首長さんたちが来られ
て、民主党に緊急安全対策の実施や原因究明を要望された。それについての党として
の取り組みをお聞かせください。

【幹事長】どこに来られました?誰が受けましたか。

【西日本新聞・伊藤記者】糸川(正晃)さん(陳情要請対応本部事務局長)が受けら
れたが。

【幹事長】私は受けておりませんので、まだ報告を聞いておりません。

【司会・藤本祐司副幹事長】担当窓口として受けたのだと思います。

○国民新党からの推薦取り消しについて

【フリーランス・安積記者】4月2日に国民新党が緊急総会を開き、今回の統一地方
選の民主党公認候補のうち都道府県議員311名、政令指定都市の市議74名の推薦
を取り消した。この影響についてはどうお考えか。

【幹事長】前もここ(記者会見)で話題になったかと思いますが、国民新党の推薦取
り消しは唐突ですし、非常に残念なことだと思います。特に、これは選挙が始まる前
日のことでありましたので、「国民新党推薦」とポスターや選挙はがきに書き込んで
おられた候補者はたくさんいます。それを消さなければいけないという膨大な作業が
加わりました。それぐらいなら最初から推薦されないほうがよかった、と思われた候
補者も多かったのではないかと思います。私は、やり方としてこれはいかがなものか
と思っております。いかに年度末に特別委員会が設置されなかったからといって、選
挙を間近に控えた候補者の皆さんに負担をおかけするようなやり方が適切であったと
は、私は思っておりません。
 ただ、実際の選挙にあたっては、多くの特定局の関係者の皆さんは引き続き民主党
の候補者を応援していただいておりますので、そういう意味での実害はあまりないと
受け止めております。

【中国新聞・荒木記者】国民新党の亀井代表の側からすると、これまで党との約束
だった郵政改革法案がなかなか進展しないという昨年の経緯もあって、「さすがに堪
忍袋の緒が切れた」という表現で言われていた。そのあたりの受け止めと、今後の連
立の関係への影響はあるか。

【幹事長】われわれは4月7日に(郵政改革の)特別委員会を設置することについて
努力することを申し上げているわけで、1週間ずれることが何か決定的なことなのか
どうか、私には理解しかねるところです。

○特別立法に関する報道について

【幹事長】さっき言い忘れましたが、わが党の特別立法に関するいろいろな報道が各
社から相次いでおりまして、これは一言申し上げなければなりません。特別立法検討
チーム、中でも限られたメンバーが議論したと。それが書いたものになったというこ
とはありますが、本来であれば、そのもとに親委員会として復旧・復興検討委員会が
あるわけですから、そこで議論して決めるということになるわけであります。この復
旧・復興検討委員会で議論されたことは一度もありません。したがって、全くの素案
であるということであります。
それが何か党の決定であるかのように報じられていることは間違いですし、よく気を
つけていただきたいと思います。「復旧・復興委員会が決めた」とか、「復旧・復興
委員会が提言する」とか、そういう表現をされている社がかなりあるわけですが、そ
ういう事実は全くありませんので、事実に反したことを言われるのはいかがかと思い
ますし、間違ったものであれば、きちんと訂正していただきたいと申し上げておきた
いと思います。

○三重県知事選挙について

【日刊ゲンダイ・一原記者】三重県知事選では、週末の各社の世論調査では大変な激
戦という報道がされているが、あくまで地方選の1つという位置づけなのか、あるい
は幹事長の地元ということで重視されているのか、そのあたりの位置づけについて伺
いたい。

【幹事長】今回、対決型の知事選挙はあまりありません。そういう意味では北海道と
並んで、三重県知事選挙は非常に重要であると思っております。候補者は、最初は民
主党の推薦を受けられないということで、推薦したのが選挙戦が始まるギリギリだっ
たということもありますが、今、党として全力を挙げて応援しているところでありま
す。今まで民主党系の知事が北川(正恭)さん、野呂(昭彦)さんと4期16年続い
てきたわけでありますので、その改革の成果をぜひ引き継いでいただきたいと、そう
期待をしております。

○大連立構想について

【テレビ朝日・平元記者】谷垣自民党総裁は今日のぶら下がりで、「全くの白紙だ」
と答えている。中曽根元総理は「3月11日まではいかに民主党政権を追い込むかを
考えていたが、震災後は、どうやって与野党でできればいいかご相談いただきたい」
と発言している。今、与野党国対委員長会談も行われているが、大臣の増員なども民
主党として提案されていると思う。大連立に対してまた機運が高まってきている印象
を受けるが、幹事長は大連立についてどのようなお考えか、改めてお聞かせくださ
い。

【幹事長】まず、与野党国対委員長会談は必要に応じてやっているわけです。それか
ら内閣法の改正も、これは大臣を増やすということで、こういったものは大連立とは
全く関係ありません。
 大連立というのは、要するに自民党と民主党が政権を構成するという意味だと思い
ますが、いつかも申し上げましたように、これだけの国家的な危機の状況、大きな災
害、地震・津波に加えて原子力発電所の事故でありますので、これは国を挙げて対応
していくということで、そういった今まで経験のある党にさらに加わっていただくこ
とは、私は十分考えられることだと思っております。
ただ、これは相手のある話ですので、相手が「そういったことが望ましい」とならな
いと進まないことで、私は少し時間がかかるのかなと、個人的には受け止めておりま
す。

【フジテレビ・橋本記者】自民党と民主党が大連立した場合、400議席を超える大
与党が誕生して、国会の審議というものがそもそもないのではないかという話も出て
くる。中曽根元総理も「時限的に」と発言している。どういった形が望ましいとお考
えか。

【幹事長】そこはいろいろな議論があると思います。あまりこちらから何か条件めい
たことは言わないほうがいいと。
大連立の最大の意義は、やはり衆参ねじれを解消する。衆議院で迅速に法案を可決し
ても、参議院でそれが止まってしまうということでは、この災害、大きな事態に対応
できませんので、それをクリアするための手段として考えられていると。そう受け止
めていただければいいのではないかと思います。

【共同通信・中久木記者】大連立というと自民党と民主党との連立が想定されるが、
幹事長は、自民党に限らず、公明党などを含めて野党の協力を得るべきだというお考
えか。

【幹事長】まず、今パートナである国民新党とは、与党として組んでいるわけです。
それに加えて、一緒にやろうという考えをお持ちの政党があれば、それは政策とかお
互いの目指すところをしっかりと調整して、共通性が多いということであれば、どの
党ともそういった連立を構成することはあり得るのだろうと思います。

【NHK・広内記者】自民党は谷垣総裁がいろいろ意見を聞いて回っているが、民主
党内では何か議論をするお考えはあるのか。

【幹事長】総理の意思は既に一度は示されたわけで、それ以上に特に議論する必要は
ないのではないかと私は思います。もちろん、より話が具体化すれば、役員会等でも
議論する場面はあると思いますが、現時点で何か、相手の動きがまだはっきりとはな
い中で、与党の側が動くことは、私はあまり考えられないことではないかと思いま
す。

【朝日新聞・南記者】民主党代表である総理の意思が一度示されていると幹事長は
おっしゃったが、民主党として大連立を望んでいるという意思決定をされている、一
度集約はされているという認識か。

【幹事長】いや、総理としての考え方が示されているということを申し上げただけで
あります。

【朝日新聞・南記者】総理としての意思が、我々から見ると若干唐突に示された印象
がある。それをもって党内の意見集約をしなくていいという理由は、どういうところ
にあるのか。

【幹事長】先ほど申し上げたように、野党の皆さんがどういう考え方に立つのかとい
うことがないままに、こちらが何か方針を示すことにはならないと私は思っておりま
す。

【産経新聞・宮下記者】今回の事態であれば(大連立を)与党から投げかけるものな
のかなと思っていたが、野党がどういう考え方に立つのか示されてから民主党として
考えるということであれば、民主党としてまとまらなければまたできなくなるという
展開も予想される。その辺はいかがお考えか。

【幹事長】党として正式に決定するのは、具体的オファーがあったときに党の機関に
諮って決定することになります。それまでの話は水面下の話であって、そういうこと
までこの場で私はお話しするつもりはありません。

○地球温暖化対策について

【毎日新聞・野口記者】民主党が衆議院選のマニフェストで掲げ、今も政府の方針に
なっている温室効果ガスの1990年比25%削減、これはクリーンエネルギーとし
ての原発を前提にしたものだったと記憶している。今、この原発事故があったことに
よって、この25%削減という目標について民主党としてどのように考えているの
か。修正もしくは考え直すことが必要か。

【幹事長】2020年25%減という話と、それから2030年30%減でしたか、
ちょっと記憶が定かでありませんが、閣議決定したもの(エネルギー基本計画)と両
方あります。特に閣議決定したものは内訳もあって、原子力発電所にかなり依存する
ことになっていましたので、今回の事故で福島第1原発については、今の方向性とし
ては廃炉も言われる中で、あるいは新規建設もそう簡単にはいかないことになるかも
しれませんので、そういうことを踏まえて検討が必要かと思います。
 ただ私、前から申し上げておりますように、こういうまさしく緊急事態の中で原子
力政策をどう見直すかということは、もうちょっと冷静になって議論したほうがいい
と。私、方向性を何か言っているわけではないのですが、もう少し冷静な場で議論し
たほうがいいと思います。そこで議論していく中で、じゃあ原子力がここまでしかで
きないのであれば、その数字も変えなければいけないとか、あるいは逆に自然エネル
ギーをより大胆に取り入れていくとか、いろいろな議論があり得るのだと思います。
こういう事態であまりあわてて結論を出さないほうがいいのではないかと思っており
ます。
 この関係で、どこかの新聞が、私が経済産業省にいたので、なにか原子力に対して
前向きだという報道をされたことがありますが、これは全く事実に反することで、私
は実は原子力については非常に慎重な態度を長年とってまいりました。これはお調べ
いただければわかることですが、私が党代表のときには「原子力エネルギーは過渡的
エネルギーである」と位置づけていました。その後、代表を退いて、より積極的な考
え方に党としては変わりましたが、私としても途中の段階で、原子力について積極的
な姿勢に転じたわけであります。
その理由は温暖化問題。温暖化という人類が直面している大きな危機を乗り越えるた
めには、原子力に対して多少リスクがあったとしても、温暖化のリスクのほうがより
大きいと判断したためであります。その温暖化のリスクは今もそのままあります。
そういう中で、しかし、原子力のリスクは今回顕在化したといいますか、非常に大き
なものとして立ちはだかっておりますので、全体としてどう考えるかということはこ
れから冷静に議論していかなければならない。そう思っております。




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