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2010.09.14|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年9月14日)

外務大臣会見記録(平成22年9月14日(火曜日)16時30分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)民主党代表選挙
(2)尖閣諸島周辺領域における我が国巡視船と中国漁船の接触事案
○民主党代表選挙
○尖閣諸島周辺領域内における我が国巡視船と中国漁船の接触事案
○米軍再編問題
○ボズワース米国政府北朝鮮特別代表の来日

冒頭発言
(1)民主党代表選挙

【岡田大臣】私(大臣)からは2点申し上げます。
 第一点は先ほど終わった代表選です。結果は少し差がつきましたけれども、党員サポーターは票数で言うと6対4、地方議員も6対4、菅さん6の小沢さん4ということでありました。
  党員サポーターは小選挙区ごとに300それぞれ集計をいたしますので、比例で言うと6対4だけれども、そういった小選挙ごとの集計をする結果として、かなり大きな差になったということであります。議員票はわずかに菅さんが上回ったということで、議員票は非常に接戦であったと思います。
 菅さんを応援した立場から言いますと、議員票がかろうじで上回ったことは本当によかったと思いますが、いずれにしてもこの選挙、まず私(大臣)はやってよかったと思います。ときにはやや激しい議論もありましたけれども、二人の候補者がさまざまなメディアを通じて、お互い議論する姿を国民に見ていただいた。そういう議論の中で深まったものもありましたし、私(大臣)はそういう党首選挙を通じて民主党の政策も深まり、国民の理解も増したと考えております。
 大事なことはこれからでありまして、しっかりと、もう選挙は終わりましたので、全員野球で協力をして、我々政権政党としての責任を果たしていくということだと思います。ここで何かもめるとか、ごたごたするということであれば、それは国民の皆さんから今度は民主党が”NO”を突きつけられるということだと思っております。そのために私(大臣)も及ばずながら、党が一丸となってやっていけるように努力をしたいと考えております。

(2)尖閣諸島周辺領域における我が国巡視船と中国漁船の接触事案

【大臣】もう一点は、例の尖閣諸島周辺領域での中国漁船と我が国巡視船との接触事案であります。中国側からはいろいろな要人が来なくなったり、あるいは予定されていた交渉が流れたりということが続いておりますが、この事案は事案として、そのほかの問題とは直接関係ありませんから、冷静に対応していくということが重要であると思いますし、外務省としては、そういう考え方に基づいて対応しているところであります。
 ただ、1点非常に残念なことは、前提となる事実の認識において、基本的な違いがあるということであります。言うまでもなく、中国側は我が方の海上保安庁の巡視船が中国漁船に追突したと報じているわけであります。これは事実に反するということをはっきりと申し上げておきたいと思います。
  これは現時点では公開できませんが、私(大臣)もビデオを見ましたが、ビデオによっても明らかでありますし、ビデオを見るまでもなく、海保の巡視船に付いた傷を見れば、1つは船尾近くに、もう一つは横っ腹にその傷があるわけで、追突するというのは先頭から追突する以外に考えられないと思いますが、もし海保が追突したということであれば、巡視船の船首に傷があるはずであります。横にあったり、後ろにあったりするのは、海保の巡視船が中国漁船に追突したという議論が全く事実に基づいていないということを示すものだと、これはだれが見てもそうだと思いますが、そういうふうに考えております。
  そういう事実関係をまずしっかりと明らかにして、その上で議論がなされませんと、恐らく中国の国民の皆さんの中には、中国側の発表を前提にして、いろいろな議論をされていると思いますので、それは違うということを申し上げておきたいと思います。
  この点については、是非日本のメディアからも、もちろん日本でなくてもいいのですが、さまざまなメディアからも、日本政府は巡視船が中国漁船に追突したとは考えていないということを伝えていただければ、いろいろな誤解が解けるのではないかと考えているところでございます。

民主党代表選挙

【日本テレビ 野口記者】代表選のことでお伺いしますが、先ほど大臣は、議員票がわずかに菅さんが上回ったことはよかったというふうに仰いましたけれども。

【大臣】菅さんを応援した者としてね。

【日本テレビ 野口記者】その理由といいますか、もし下回っていたらどういったよくないことが想定されたのかということを教えていただきたいのです。

【大臣】もちろん、最終的な決着は全体の得点で決まるわけですけれども、しかし、国会議員というものは一人2ポイント与えられているように重要な位置づけをされているわけで、せっかく全体では上回ったとしても、議員票で下回るということになると、やはりそれだけ力がそがれるということは言えると思います。
 いずれにしても、今回、先ほど言うのを忘れたのですが、選挙をやって、そして、党員・サポーターも含めて、地方議員の方にも入っていただいて、選ばれたということですから、私(大臣)は菅総理が、国会議員だけで選んだ前回と比べて、より正当性を持って力強くリーダーシップを発揮できる。そういう基盤ができたというように考えております。

【琉球新報 仲井間記者】代表選を通じての議論の中で、普天間に対する見解も小沢さんと菅さんで若干の違いが見られたと思うのですけれども、小沢さんは、このままではなかなか合意の実行が難しいのではないかというような見解を示されたこともありましたが、改めて菅さんが選ばれたという結果を受けて、今後、どういうふうに進めていくのか。党の中にはいろいろな考え方があるということが明らかになったという印象も持っているのですけれども。

【大臣】率直に申し上げて、この代表選挙の中で普天間の問題が大きな争点になったかというと、事実はそうではなかったと思います。もし、どちらか一方が「県外・国外」と明確に言っていれば、それは争点になったということだと思いますが、小沢さんの言い方も県外とか国外とか言ったわけではありませんし、日米合意についてもそれを否定したわけではありません。
 そういう意味では、ほとんど同じ主眼、共通基盤の上に立っていたと、菅さんもこれは沖縄の理解がなければ前に進まないと、そういう趣旨のことは言っておられたと思いますので、ほとんど違いはなかったと思います。
 いずれにしても、「県外・国外」とどちらかが言われたわけではありませんので、普天間の問題はかなりの部分共通の認識に立って議論されていったと、そういうふうに考えております。それが沖縄の皆さんから見て、理解できたかどうかということは、これはまた別の話でありますが、客観的に言えば、そういうことだと、私(大臣)は思います。

【毎日新聞 西田記者】代表選の後のことですけれども、事前に菅さんが勝っても、小沢さんが勝っても、どちらが勝っても挙党態勢を組むと両方は仰っているのですが、そこで、挙党態勢というのをどう築くかということで、何らか人事で、そういったことをする必要があるというように大臣はお考えでしょうか。

【大臣】挙党態勢をどう築くかということは、まさしく当選をされた菅さんが基本的にお決めになることであります。もちろんアドバイスは周りであると思いますけれども、基本的には菅さんが決めること。特に人事ということになれば、政府であれば総理、党であれば代表の専権事項でありますので、私(大臣)が何かコメントをするということは控えるべきだと思います。

【西日本新聞 斎田記者】改めて、この代表選で菅さんがこういう結果で勝ったということですが、勝因もしくは小沢さんの敗因、そこら辺はどういうように分析されますか。

【大臣】それは、それぞれの人がいろいろな思いを持って投票していることですので、簡単に総括するのは難しいのですが、やはり菅さんが少し前に選ばれたと、鳩山総理、そして小沢幹事長が責任を取る形でお辞めになって、そして、菅総理が選ばれたと、それからまだわずかな期間しか経っていない、本領発揮はこれからだというように期待された方が多かったのではないかと思っています。

尖閣諸島周辺領域内における我が国巡視船と中国漁船の接触事案

【フリーランス 安積氏】尖閣諸島の漁船の問題についてお伺いいたします。先ほど大臣は、残念なことに、前提となる事実の認識の違いがあるということで、中国側が巡視船が追突したと認識していると、それは事実ではなく日本の認識とは違うとおっしゃいましたが、むしろ我が国の領域に対して中国漁船が違法行為を行ったというのが、日本の認識である。中国漁船が日本の領域で違法行為を行ったかどうかというところが、事実の認識の違いではないかと思うのですが、その点についてどうでしょうか。

【大臣】今回、船長が逮捕されていますが、その理由は公務執行妨害です。ですから、どちらが、我々の主張は、公務の執行が中国漁船によって妨害されたと考えて、これを立件しようということですから、それが事実関係です。

【フリーランス 安積氏】それでは、今回のトロール漁船の事件について、中国のトロール漁船は日本の領域を侵していないとお考えなのですか。

【大臣】そういうことを言うつもりは、全くありません。ただ、今回問題になっていることは、船長が身柄を拘束されたということは、その理由は今申し上げたことであるということです。
 先程、正確さを欠いたかもしれませんが、「中国側の発表」と申し上げましたが、これは、「政府」ということではなくて、中国の「報道」が、我が方巡視船が中国漁船に追突した(と報じた)ということです。中国側の報道と私(大臣)は申し上げたつもりですが。

【フリーランス 安積氏】そうしたら、中国の方は、日本大使を4度にわたって今回の件について呼び出しをして抗議をしたということですが、これは中国政府からの抗議ということではないのでしょうか。

【大臣】まず、4回とも呼びだされたというのは、たぶん事実ではなくて、正確には私(大臣)は覚えておりませんが、大使から抗議に行ったという場面もあったと思います。但し、楊潔チ外相、それから戴秉国氏から呼び出されたのは事実であります。その前は確か、大使の方から今回の事案に関して抗議に行ったということだと思います。1回(と)3回なのか、2回(と)2回なのか、ちょっと自信がありませんが、いずれにしても全部が向こうから呼ばれて行ったということでは、必ずしもありません。

【フリーランス 安積氏】報道によりますと、大使は最初に2回の呼び出しが2日続けてあって、それで最後に午前0時に呼び出しがあったと報道ではありました。これはかなり大きなことだと、私は認識しているのですけれども、大使の呼び出しがあったということは認識しているのですが、対して日本国政府は、参事官を呼び出したぐらいで、あとは電話で抗議をされたということでした。国の抗議の仕方のバランスとしては、こちらは、日本国政府としては、要するに侵害された方なのだから、もう少し強く言ってもいいのではないかと思うのですが、バランスが欠いているのではないかということが一点と、中国はこの件について、ずいぶん問題を大きくして国際世論を喚起しようとしているのではないかというような見方もできると思うのですが、日本がこれについて、大臣は「冷静に対処したい」とおっしゃっています。これは、日本が黙っているということは、国際世論に対してどのように大臣は配慮されている訳でしょうか。

【大臣】日本は黙っている訳ではありません。船長を拘束した訳ですし、それから、先ほど申し上げたように、中国で報じられている追突ということも意味が事実と違うということも申し上げている訳です。あとは、皆さまがどれくらい報じるかということにもよるのではないかと思います。先ほど言いましたように、4回とも呼ばれて行ったということでは、私(大臣)はないと思うのですが、1回(と)3回なのか、2回(と)2回なのか、ちょっと承知しておりません。「大使が呼ばれたのだから、日本も呼んだらいいのではないか」というお声もあるかと思います。私(大臣)は別に、そうしなくてもこちらとしては、法に基づいて粛々と進めておりますので、それで十分ではないかと考えております。

【テレビ東京 秋山記者】尖閣諸島の問題ですけれども、先ほど大臣はビデオがあるというように仰っていて、現時点では公開できないというように仰っていましたけれども、この理由をまた教えてください。

【大臣】これは外務省が持っているわけではなくて、海上保安庁が持っているものですが、当然これから裁判において使用されるということになれば、それは公開ということには直ちにはならないということです。訴訟の際の証拠資料になるわけですから。ただ、へっこみ具合を見たら、誰が見ても明らかだと私(大臣)は思うのですが。追突して横がへっこむというのはどういう場合なのか、私はよく想像できないのですが。後ろもそうです。追突されたという意味であって、追突したではないでしょう。

米軍再編問題

【琉球新報 仲井間記者】普天間問題について伺います。今朝の官房長官の会見で官房長官が「8月末に発表された専門家会議の検討結果はオスプレイの配備を前提に検討結果が出されているものだ」というようにおっしゃったのですが、公表された報告書はオスプレイについては特に明記されてはいないと思うのですが、何をもって官房長官はそのような前提に検討したものだというように認識しているのかということと、また大臣も同様のお考えなのかということをお聞きします。

【大臣】その官房長官の会見は私(大臣)も承知しておりますけれども、事実関係についてわかりませんので、官房長官によく問い合わせてみたいと思います。別にオスプレイが前提になって専門家同士が議論したというようには必ずしも思っておりません。

【琉球新報 仲井間記者】同じ会見で、もしオスプレイが配備されるとなったら、追加アセスの必要性が焦点になってくると思うのですが、そのアセスの必要性についても官房長官は、追加アセスをすることでアセスの日程がずれ込む、という認識は持っていないというようにお答えになっています、これは追加アセスは必要ないというように理解できるのですが、その辺りも政府内で見解は統一されているのでしょうか。

【大臣】官房長官が「追加アセスが要らない」とまで言ったかどうか、そのようには私(大臣)は必ずしも受け取っていないのですが。いずれにしても埋め立ての面積とか、滑走路の長さの変化とか、そういう基準で言うと、追加的なアセスが必要でないという、一定の枠の中に入ってくる可能性があるのです。しかし、これはアセスそのものだけではなくて、騒音とか危険性とか、そういう問題も当然伴うわけですので、アセスをどうするかということは別にして、そういったことについてきちんと具体的にどういう飛行経路になって、その時に騒音がどのくらいになるのかということについては、しっかりと事実関係を明らかにすると、もしオスプレイがきちんと配備されるということになって、どのくらいのタイミングで何機入ってくるかによって変わってくると思いますが、そういうことがはっきり決まってきたところで、そういうことについて調査を行って、アセスの調査とは違う意味で申し上げておりますが、調査を行って、そして地元にも当然説明をしなければいけないと思っております。

【日経新聞 山内記者】先日、名護市長選での結果について、受け入れ反対を掲げる市長派が勝利する結果になりました。これについて菅政権にとっても普天間問題は引き続き最大の外交課題の一つになると思いますが、今後、何に対して優先順位をつけて取り組んでいくのかをお願いします。

【大臣】市議会議員選挙の結果は名護の皆さんの民意ですから、それは重く受け止めなければいけないと思います。しかし、具体的な説明というのは、まだこれからであります。理解を求める努力というのは、これからですので、それは粘り強くしっかりと行っていきたいと思います。

ボズワース米国政府北朝鮮特別代表の来日

【共同通信 比嘉記者】本日、米国のボズワースさんが外務省にいらして、アジア大洋州局長と会談をされています。ご承知の範囲で結構ですので、会談の目的、意義と日本政府の立場を改めてお願いします。

【大臣】まだ、私(大臣)は会談の結果を確認しておりませんので、特に申し上げることはありません。やがて報告が上がってくると思います。ただ、日米韓の三カ国の間で今、考え方に開きがあるわけではありませんので、新しい話が出るというよりは最近の北朝鮮の動き、例えば中国に行った件とか予定される大会の見通しとか、そういうことについて、いろいろ有益な話が伺えるのではないかと思っております。




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