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2010.07.02|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年7月2日)

外務大臣会見記録(平成22年7月2日(金曜日)14時30分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)核軍縮・不拡散に関する有識者懇談会の立ち上げについて
(2)外務省顧問の退任について
(3)エスピノサ・メキシコ外務大臣の訪日について
○外務省顧問の退任
○いわゆる「密約」問題に関する調査
○中台経済協力枠組み協定
○東シナ海におけるガス田開発
○日印原子力協定
○日米関係と日中関係
○国連安保理改革
○ロシア軍の極東シベリアにおける軍事演習
○外務省沖縄事務所
○イラン情勢
○米軍再編問題
○外交文書の公開
○メキシコ湾の原油流出事故
○核軍縮・不拡散に関する有識者懇談会
○参議院選挙

冒頭発言
(1)核軍縮・不拡散に関する有識者懇談会の立ち上げについて

【岡田大臣】まず、第1点は、核軍縮・不拡散に関する有識者懇談会の立ち上げであります。「核兵器のない世界」を目指して、我が国が核軍縮・不拡散の問題で引き続きリーダーシップを発揮していくために、私(大臣)に対するアドバイザリー・グループとして、政府外の有識者から構成される懇談会を立ち上げることにいたしました。
 メンバーは、座長に黒澤先生。黒澤先生はご案内のとおり、大阪女学院大学の教授であります。あと、一橋大学の秋山先生、NPO法人ピースデポの梅林さん、拓殖大学の佐藤さん、朝日新聞の論説委員の吉田さんの5名であります。懇談会の委員は、外務省参与に任命をし、守秘義務のかかる非常勤国家公務員といたします。
 原則、月2回程度開催をしようと思っておりまして、第1回は6日(火曜日)午前中に開催することにしております。私(大臣)も適宜出席するほか、この問題について、政務レベルでは徳永政務官に担当してもらおうと思っておりますので、徳永政務官や軍縮不拡散・科学部長が会合に出席するということでございます。
 懇談会メンバーには、中長期的視点から、核軍縮・不拡散外交に係る諸課題と我が国の取るべき方針、それから国際会議の企画立案などの短期的課題についても意見を述べていただくことにしております。
 まずは、9月の国連総会に際して開催を検討しております核軍縮・不拡散に関する外相会合に関して議論をしていただくほか、新たに締結されたSTART条約後の核軍縮の方向性、あるいは核兵器の役割低減の具体化に向けた道筋について議論をしていただく予定であります。

(2)外務省顧問の退任について

【大臣】外務省顧問の退任について、現時点で、外務省顧問を5名の方にお願いしておりましたが、7月1日付で全員にご退任いただくことにいたしました。これは、本年3月から取り組んでおります外務省の顧問・参与の見直しの一環として行ったものであります。ちなみに、参与につきましては、3月現在20名だったものを現在半減しております。全体の見直しをいたしました。質問主意書などでもご指摘いただいたこともあり、全面的に必要性について見直したものであります。特に顧問につきましては、外務省改革に関する「変える会」の報告書の中にもそのことが言及されておりまして、次官ないしはそれに準ずる方が退官された後、10年間顧問を務められるという慣行があったということでありますが、もちろん、それぞれの方は立派な方ですから、これからもご意見を聞くことはあると思いますが、それは別に顧問という肩書である必要は必ずしもない訳でありまして、次官経験者が自動的に顧問になるというのは必ずしも適切ではないと考えて、この度、ご退任をいただいた訳でございます。もちろん、ご退任いただくにあたっては、5名の方の内4名とは、お集まりいただいて、私(大臣)が直接話をし、様々なアドバイスをいただいたところであります。これからもそういう形でのアドバイスというものはいただいてまいりたいと考えております。

(3)エスピノサ・メキシコ外務大臣の訪日について

【大臣】エスピノサ・メキシコ外務大臣が5日から6日まで訪日されます。本年は、日・メキシコ交流400周年という節目の年でありますし、彼女の方は本年だけで3回目の訪日であります。1月のFEALAC、そしてカルデロン大統領に随行して来られ、今回3回目であります。エスピノサ外相は、本年末のCOP16、気候変動枠組み条約第16回締約国会議の議長を務めることになっております。私(大臣)と5日に会談を行い、二国間関係や気候変動問題について意見交換を行いたいと考えております。

外務省顧問の退任
【朝日新聞 鵜飼記者】外務省顧問についてお伺いします。顧問の方々のこれまでの役割、どういうことをやってこられてきたのかということと、今回廃止するということですが、これまで顧問の方にかかっていた経費とか人件費といったものはあったのでしょうか。

【大臣】顧問は無給でありますので、特にこのために費用がかかっている訳ではありません。役割は、まさしく適宜アドバイスを行うということでありますが、直接私(大臣)が大臣に就任してから、顧問という形でアドバイスをいただいたということはありませんでした。いずれにしても、これからも顧問というものをお願いしないということではなくて、つまり、制度そのものは残す訳でありますが、それは適宜判断してもらっていけばいい。次官経験者だけが、あるいはそれに準ずる方が自動的に顧問になり10年間務められるというのはいかがなものかと判断をした次第であります。やはり、現役から見ても少し重たいですから、いろいろなアドバイスをいただければいいので、わざわざ顧問という肩書を残す必要はないと思っております。

【時事通信 鈴木記者】確認ですが、経費等は余り関係ないということだったのですけれども、部屋とか秘書とか、そういうところは今、この役所はどうなっていたのでしょうか。

【大臣】顧問のためだけの部屋はないと私(大臣)は承知しております。ただ、たしか大使が帰国された際にそのためのスペースがあって、それを共用しておられるということでないかと、私(大臣)もこの目で見たことはないのですが、そのように理解しております。それぞれ職業をお持ちでありますので、外務省に頻繁に来るとか、そういうことはないと理解しております。

いわゆる「密約」問題に関する調査
【共同通信 太田記者】日米密約のことについてお聞きしたいのですけれども、先日来、弊社で報道しているのですけれども、米国の方でまた新たな公文書がいろいろ出てまいりまして、まず1つは、1963年3月15日付けの米国の在日大使館がロバート・フィアリー、当時の北東アジア部の日本担当官ですけれども、こちらに宛てた書簡の中に、フィアリー氏の言葉を引用しながら、1960年の日米安保改定の段階において、機密討論記録2項Cに関しましては、この意味を岸首相と藤山外相が明確に理解していたという記述が確認されました。また、別の書簡、1961年の6月14日付、これは日米首脳会談用に国務省が用意したケネディ大統領宛の秘密メモですけれども、この中においても、船に積まれた核については事前協議の対象としないということについては、日本政府がこれを密かに同意しているというような記述が発見されまして、米国の2つの複数の文書から、やはり60年段階において日本側には密約の認識があったということが文書から確認できるのですけれども、この結論は実は有識者委員会の調査報告の結果とは食い違っております。こういった新たな米側の文書が発見されたことを踏まえまして、今後どのように日米密約の問題をお考えになられるか、改めて調査をなさるか、その点をお聞きしたいと思います。

【大臣】非常に興味深いお話だと思います。ただ、外務省に残された資料を調査した結果が外務省の調査報告書で、その結果はそれを示すようなものはなかった。むしろ逆に、その後、そういったことを知らないということを示唆するようなものはあったということであります。こういった米側の公電といいますか、内部文書でどう書かれているかというのは1つの資料だと思いますが、それが全面的に正しい認識を示したものかどうかということも、検証のしようがない訳であります。例えば、大平・ライシャワー会談の結果についてのライシャワー大使の本国宛の公電なども、果たしてそこに書かれたことがすべて、日本側の大平首相の認識と一致していたかどうかというのは検証のしようがない訳でありまして、そういう意味では、これは有識者によって、学者によって、より検証されるべきものであって、新たな資料が出てきたことは1つの事実だと思いますが、それをもって直ちに何か言えることでは必ずしもないと思っています。いずれにしても、外務省の調査、あるいは外務省がお願いした有識者の皆さんの調査結果でも、1968年にはもう明らかに外務省は認識していた訳でありますので、その8年間、最初からなのか、途中からなのかというところの認識のずれがある訳で、今後、更にいろいろな資料が新たに発見されることによって、事実関係が明らかになっていくのではないかと思っています。

【共同通信 太田記者】したがいまして、現時点においては、特段外務省として、米国で米国の資料を再度調査するとか、そういったお考えは現時点ではないと解釈してよろしいですか。

【大臣】米国の資料を調査しても、それが事実であるかどうかということは確認しようがありませんので、そういったものがたくさん出てくれば、その事実である可能性は高まるということになると思いますけれども、もちろん、新たに出てきた過去の資料について、それを確認することはやぶさかではありませんが、だからといって何か断定できるということでは必ずしもないということだと思います。

中台経済協力枠組み協定
【琉球新報 仲井間記者】先日、中国と台湾が関税をゼロにすることに向けての協定を結びましたが、それに対する大臣の評価をお聞かせください。

【大臣】それに対して、特に評価することではないと思います。それは中国と台湾がそれぞれの判断に従って合意されたことでありますので、第三国である日本が何かそれに対してコメントするということではないと思います。

【琉球新報 仲井間記者】今の件に関連して、民主党政権というのは東アジア共同体というのを掲げていると思うのですけれども、中国と台湾がこのように経済的な結びつきを強める一方で、中台の緊張というような安全保障上の懸念とかも指摘されることがあると思うのですけれども、経済的な関与、関係が深まることで、北東アジア、東アジアにおける安全保障環境の変化へ今回の件は影響を与えるとお考えでしょうか。

【大臣】なかなか難しいご質問だと思います。もう既に台湾と中国との経済関係というのは、相当依存関係が深まっておりますので、今回のことによってそれが一層深まるとしても、質的に何か異なるのかどうかというのがなかなか難しいご質問だと思います。

東シナ海におけるガス田開発
【共同通信 斎藤記者】中国のくくりでお伺いします。東シナ海のガス田交渉の関係ですが、5月31日に温家宝首相が来られて、条約締結交渉に前向きな姿勢を示されて、日本側もそれを評価した訳ですけれども、あれから1か月経ちました。現時点では、まだ具体的な日中間の締結交渉の日程が入ったという話を私は聞いておりませんが、1か月経ちましたので、そろそろやってもいいのではないかという気もするのですが、その見通しと、政治的理由で開けない要素があるのかどうか、それがもしあれば、ご紹介いただきたいと思います。

【大臣】温家宝首相が来られたときに、そういった確認が行われました。その後、特にそれが障害があって止まっているという事実はございません。

【共同通信 斎藤記者】その関係でおさらいとしてお伺いしたいのですが、条約締結交渉は当然、共同開発がテーマになります。共同開発がテーマになれば、それはいわゆる東シナ海の北部海域が共同開発の対象ですので、そこが当然、協議の中心になるかと思いますが、もう一つ、白樺があります。白樺は2008年6月の日中合意では共同開発ではなくて、中国の国内法に基づいて日本企業が出資するという中身だと認識した訳ですが、これについてもきちんと協議の俎上にのっていくかどうか。そして、それ以外に断橋、天外天、つまり、白樺以外に東シナ海にいくつかガス田が点在していまして、中国が既に先行開発をやっています。その部分は2008年6月の合意では、協議事項になっていると私は理解しております。断橋、天外天です。日本名で言うと「樫」とか何とか言いましたけれども、それについての扱いはどうやっているのか、実際にこれは議論をしていくのかどうか、その点を併せて教えてください。

【大臣】温家宝首相が来られて確認されたことは、国際条約交渉ということでありますので、それは基本的に北部海域の共同開発と、白樺(春暁)に対する出資、この2つがテーマになると考えております。そのほかの問題については、前回の合意の中で扱われている線上の問題として、それは切り離して議論が行われていくということだと思います。

【時事通信 鈴木記者】東シナ海のガス田そのものを開発する日本にとっての経済的なメリットといいますか、なかなかこの事業化は、実際は難しいのではないかとか、そういうことも長らく言われておりますけれども、その辺については大臣はどういうご認識を持っていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】事業化が難しいかどうかというのは、それはいろいろな意見はあるかと思いますけれども、事業開発を行う会社があって、開発したいということであれば、国としてそれに対して何か言うことはございません。

【時事通信 鈴木記者】では、経済的にも日本にとって、東シナ海のガス田は大切なものだと、簡単に言えば、そういうご認識ということでよろしいでしょうか。

【大臣】基本的には、これは民間が開発する話でありますから、開発したいという企業が出てきたときに、それに対しては日中両国政府で合意した線に沿って行われていくということであります。

日印原子力協定
【読売新聞 川崎記者】本日午前中に外務省の大臣の下に広島の秋葉市長がいらっしゃいまして、日印の原子力協定について「NPT体制の崩壊にもつながりかねない。核廃絶を進める上で極めて重大な支障である。あるいは被爆地の訴えを踏みにじるもので理解しがたい」という、かなりきつい内容のお話があったかと思いますが、これについての大臣のご所件と、これについて、どのようにご説明をされたかということについて、お伺いします。

【大臣】私(大臣)がお話ししたのは、前回ここで皆様にお話ししたのと同じことであります。もちろん、インドがNPTに入っていないことは事実でありまして、それを認めることになりかねないという問題はあります。しかし、他方で全く野放しではなくて、一定の枠の中に入れるという効果もあるということであります。NPTに入るように求めていくということもいいのですけれども、核兵器を既に持っているインドがそれをすべて放棄してNPTに加入するというのは、目指す理想としてはいいですけれども、現実の可能性としては非常に厳しいものもあります。そういう中できちんと、緩やかであっても一定の枠組みの中に入れるという効果はあると思います。併せて地球温暖化とか、さまざまな要素を考慮した上での非常に厳しい決断をしたところであります。もう既に国際社会の中では結論が出ている話でありますので、日本としてはそれを慎重に見極めながら、最終的に決定をしたということであります。そういったことについて、ご説明させていただきました。併せて、やはりNPTに加盟していない核保有国について、これからどういう形で制約を課していくのかということについて、先ほどの核の有識者懇談会のテーマの一つでも実はある訳ですけれども、そういったことについて、しっかり議論をし、方向性を出していかなければいけないと思っています。

【共同通信 太田記者】今の日印の関係ですけれども、1つの交渉入りの判断というのは、2008年にインドが示した「約束と行動」、これがある程度履行されているということがあったと思うのですけれども、この中には、たしかカットオフ条約の条約交渉を進めていくというようなインドの前向きな姿勢があったのですけれども、現状としては、カットオフ条約、CDで全くパキスタンの反対で進んでいないという状況がございますから、この点については、インドについて、やはり被爆国としてプラスアルファ、すなわちFMCT交渉が進んでいないならば、せめてモラトリアム、生産停止を求めていくとか、そういう個別のスペシフィックなベンチマークをお求めになっていくお考えはございますか。

【大臣】交渉はこれからですから、様々なことが議題に上ると思います。特に核実験について行った際の扱いとか、そういったことについて、これから具体的に交渉を行っていくにあたって、いろいろ議論していく必要があると思っています。まだ交渉は始まったばかりでありますので、具体的中身について、今、申し上げるつもりはございません。

【共同通信 太田記者】濃縮再処理に関しましては、これはやはり個別のことをお答えになるおつもりはないと仰られたのですけれども、大変、核軍拡、垂直拡散を論じる上では非常に重要なファクターであり、また、水平拡散を論じる上でも非常に重要なファクターですから、この濃縮再処理については、日本としては、ここはインドには認めていかないのだというような、日本とのディールにおいては、そこは許さないのだというお考えはお持ちですか。

【大臣】これもこれからの議論ですけれども、ただ、日本だけがそれを言ったところで、どれだけの意味があるのかという問題もあると思います。既に他の主要国は、原子力協定を結んで民生用の核についての協力の話が進んでいる訳でありますので、そういったことを全体的に判断しながら進めていかなければいけない問題だと思います。インドの核の問題は、私(大臣)、国会議員としては最もこだわってきたテーマの1つでありますので、非常に最後までいろいろ考えるところが多かったのですけれども、余りメディアの皆さんも取り上げることはなくて、原子力協定がスタートすることになったら、社説で皆さん書かれたので、もう少し早くからいろいろ言っていただいた方がよかったのではないかという思いがしない訳ではございません。

【中国新聞 荒木記者】被爆地では、今回の外務省の方針については、かなり強い反発があって、被爆者は即刻やめてほしいという声が上がっているのですけれども、本日、市長からも要望を受けて、これまでの方針はやはり全く変える考えはないということでよろしいのでしょうか。

【大臣】もちろん、日本が唯一の被爆国であるということも含めて、さまざま慎重に考えて、今回の決断に至ったものであります。核なき世界を目指すという思いにおいては、私(大臣)は非常に人一倍強い、そういう気持ちを持っているということは、知る人は知っていることだと思います。

日米関係と日中関係
【グローバル・チャイニーズ・プレス チャン記者】菅総理は、かつて米国との信頼関係をしっかり維持しながら、中国の関係も同様に重要視していくと語られましたが、民主党の参議院選挙のマニフェストに盛り込まれた文言は、日米同盟はアジア太平洋地域の平和と安全の礎ということです。つまり、優先順位はどうですか、日本政府はもう決められたのですか。米国が第1位ですか、アジアが第1位ですか、米国と中国は平等的に扱っていますか、教えていただけませんか。

【大臣】この点については、私(大臣)はたびたび申し上げておりますが、日本にとって中国は非常に重要な国であると、そのように思っております。ただ、米国との関係は、これは同盟国、安全保障上の同盟国でありますので、中国も含め、他の国々との関係とは質的に異なる深い関係が日米間にはあるということであります。どちらが大事だとか、大事ではないという次元の問題ではなくて、質的に異なるものがあるということをご理解いただきたいと思います。

国連安保理改革
【共同通信 比嘉記者】国連の安保理改革についてお伺いします。日本は2010年末で、非常任理事国の任期が切れますが、連続再選ができませんので、2012年まで動けないかとは思うのですけれども、安保理の改革、常任理事国入りも含めて、今後の戦略を教えてください。

【大臣】いろいろ中で検討を行っているところです。今、私(大臣)から申し上げる段階には至っておりません。

ロシア軍の極東シベリアにおける軍事演習
【フリーランス 安積氏】6月29日からロシアがボストーク2010を実施していますが、8000人規模であった2008年のものと比べて、今回は2万人と大規模なものになっています。これが極東の安全保障に与える影響について、ご所見をお伺いしたいのですけれども。

【大臣】ロシア側が極東シベリアで軍事演習を行うということは承知をしております。軍事演習を行うこと自身を取り上げて、何か批判をするとか、そういうことではないと思います。これは日本も、あるいは米国も軍事演習そのものは行う訳でありますので、そのこと自身がけしからんとか、問題があると言うつもりはございません。

【フリーランス 安積氏】今回は、太平洋艦隊のほか、北方艦隊、それから黒海艦隊の艦隊が参加して、かなり大規模なものになっております。それで、ロシアの将校の方も、直近15年で実施されたことのない大規模なものとコメントもしております。こういった大規模なものを今回、今年、特に北朝鮮による韓国の哨戒艇の爆破事件とか、そういった感じで、今、極東の方が少し不安定な状況になっていますけれども、この時点において、ロシアが、こういう大規模なものを敢えて行ったことについて、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】韓国の哨戒艇の撃沈、沈没事案というものが、今回の演習とどういう関係にあるのかということは、承知をしておりません。したがって、コメントすることはできません。ただ、一部に報じられておりますように、もし、この演習の範囲が択捉島にある演習場も含むというように一部報じられておりますが、もし、そういうことであるとすれば、北方四島に対する我が国の法的立場にかんがみて、到底受けられないということであります。

外務省沖縄事務所
【琉球新報 仲井間記者】外務省沖縄事務所についてお伺いします。二週間程前に弊紙のインタビューで樽井大使にお答えいただいているのですが、外務省沖縄事務所に暗号化する機械が存在するということでした。暗号化して公電を送るのがルールということになっているのですが、在外公館に暗号化する機械があることは理解できるのですが、国内の事務所に暗号化する機械があるというのは少し違和感を感じるのですが、その理由についてどのようにお考えでしょうか。

【大臣】これは、保秘、秘密を守るということを考えたときに、いろいろな情報を外務本省に送る際に、その過程においてそれが外に何らかの形で出るリスクはある訳ですから、暗号化するということが何か問題であると私(大臣)は考えておりません。

【琉球新報 仲井間記者】樽井大使は「何故あるか」という理由の一つとして、「米軍基地があるから。安全保障上の情報のやりとりもあるから」というような説明をされています。情報の秘密を守るという意味では、沖縄だけに限らず、日本国内の他の米軍所在の都道府県とのやりとりも外務省はされていると思うのですが、そうなると、あらゆるところと国内同士のやりとりも暗号化されてやっていると理解してよろしいのでしょうか。

【大臣】事務所という形であるところというのは、限定されていますので、それを一般化するということでは必ずしもありません。

【琉球新報 仲井間記者】そうなるとやはり、沖縄だけにもちろん事務所があって大使も置いてあると、そして基地がたくさんあるから、このような施設が必要であるというような判断だと思うのですが、いろいろと沖縄から情報をあげる際、安全保障上の情報、米軍からもたらされた情報以外に、沖縄県民の民意だとか要望、沖縄県での世論の状況、そういったものも暗号化されて送られているのでしょうか。

【大臣】私(大臣)は承知しておりません。そもそも樽井大使が何を言われたのかということを私(大臣)は承知しておりませんので、この場合、即答はできません。必要があれば、確認してみたいと思います。

【琉球新報 仲井間記者】大使が何と言われたか分からないとか、沖縄のいろいろな報道の状況だとか、即座にはもちろん把握されないと思うのですが、一般的に大臣は沖縄で大使が何を言ったかとか、どのように対応されたとか、どういう報道がされているかとかいう情報というのは、どのような頻度で、どのような方法で確認されているのでしょうか。

【大臣】大使が本省に対して、電報の形で報告されたものについて、必要なものが私(大臣)のレベルまで上がってまいります。その判断というのは、一定程度、事務方が判断する訳でありますが、私(大臣)のところには毎日、厚さにすると5センチ~10センチぐらいの電報が上がってまいりまして、それを読むだけでも最低1時間はかけておりますので、重要度に応じて私(大臣)のところに上がってくるということであります。もちろん、沖縄タイムスと琉球新報のコピーは大体目を通しております。

イラン情勢
【共同通信 斎藤記者】イラン情勢についてお伺いします。米国のオバマ大統領が、イランに対する米国独自の制裁法案に署名されました。内容については、ガソリン金融などと聞いております。オバマ大統領はオーストラリアとEUの名前を挙げて、「それぞれ独自制裁に踏み切った」と評価しております。このオバマ大統領の対イラン制裁法への署名と、足並みを揃えていると言っていいオーストラリア、EUの対応について御所見をお伺いしたいと思います。

【大臣】EUの方もまだ最終的な決定ではありませんので、それについてコメントする段階ではありません。我が国としては米国及びEUの対応を確認しながら、日本として何ができるかということについて検討していきたいと思います。

【共同通信 斎藤記者】オバマ大統領、米国がこのタイミングで独自制裁に乗り出すという米国の判断を同盟国である日本としてどう捉まえるか、そしてどのように評価するか、この点についてはいかがでしょうか。

【大臣】米国の議会の判断ですので、そのことについて日本政府が何かコメントするのは適切でないと思います。しかし、イランに対してしっかりした制裁が必要であるというのが、議会の意思であるということはよく理解しています。

【共同通信 斎藤記者】我が国として6月の安保理追加制裁決議とは別に、新たな措置を採るべきかどうかという点について、現時点で大臣自身はどのようにお考えになりますでしょうか。

【大臣】これは慎重に検討しなければいけない問題であります。慎重にという意味は別にやらないということではないわけであります。なるべく、米国やEUと歩調を併せてとも思いますが、他方で日本の経済的な利益もかかった話でありますので、簡単に答えが出る問題ではありません。全体的な状況について十分把握しながら、国際社会と協調して対応していきたいと考えているところです。

米軍再編問題
【NHK 禰津記者】米軍再編のロードマップの件でお伺いしたいのですが、本日、一部報道でグアムへの米軍の海兵隊8000人の移転について、米国側が移転部隊の構成を見直すことを日本政府に伝えてきたという報道があり、その中でヘリコプター部隊等を指揮する第一海兵航空団司令部を沖縄に残して、代わりに歩兵部隊は移転することをを検討ということでありますが、このようなことが今、検討されているのかどうかということを先ずお伺いできますでしょうか。

【大臣】5月28日の2+2の共同発表において、「米側は地元の懸念に配慮しつつ、抑止力を含む地域の安全保障全般の文脈において、沖縄に残留するⅢMEF要員の部隊構成を検討する」となっている訳です。それ以上の中身については現時点で申し上げることは特にございません。米国政府としては、共同発表の範囲内において、地元の懸念に配慮しつつ、抑止力を含む地域の安全保障全般を含む文脈において、沖縄に残留する第3海兵機動展開部隊の構成について検討を行うことになるということであります。その検討は現在、米国政府の中で行われているということでありまして、その後日米間で協議をしていくことになると思います。

【NHK 禰津記者】安全保障環境というのは、昨今の北朝鮮情勢等が緊迫している状況など、そういった状況を受けて米国側が部隊編成を見直しているというように、大臣はご認識でしょうか。

【大臣】もう少し先の話ですから、8000名の第3海兵機動展開部隊の移転、それから、9000名のその家族の移転というのは、これから行われることで、若干タイミング的には少し先を睨んだ話です。もちろん、その時に朝鮮半島情勢がどうなっているのかという問題はあると思いますが、したがって、あまり目の前の短期的なことではなくて、もう少し全体を見ての判断と考えた方がいいと思います。

外交文書の公開
【大臣】外交記録の公開に関して、時を置かずして、この場で申し上げたと思いますが、多少遅れております。公開にあたって他省庁との調整が必要なものがあり、その調整が今まだ、整っていないということで、私(大臣)が最終的に決裁することができないと状況にあります。なるべく早く調整を終えるようにと事務方とは意見交換も行い指示もしているところですが、相手のある話であって、もう少し時間がかかると思います。調整がすぐにつかない場合には、その他の大部分については来週のなるべく早い段階で公開を開始するということにしております。念のために、これだけ申し上げておきたいと思います。

メキシコ湾の原油流出事故
【ビデオニュース 竹内記者】メキシコ湾の原油流出事故について、先日、米国政府が、他の複数の国と一緒に日本の支援の受け入れを決めましたが、その具体的な支援の支援内容を教えていただきたいのと、この日本の貢献でどういった効果を期待しているかをお聞かせていただけたらと思います。

【大臣】この非常に深刻な影響を与えておりますメキシコ湾の原油流出事故に関しましては、我が国から「支援をする用意がある」ということを申し上げてきた訳ですが、米国側から、「オイルフェンス及び沖合油回収装置2台を提供するとの我が国の申し出を受け入れる」という連絡があったところです。今後、オイルフェンス及び高速大容量沖合油回収装置の貸与について詳細を米国側と調整する予定です。

【ビデオニュース 竹内記者】具体的にどういった貢献で、効果を期待しているのでしょうか。

【大臣】ですから、オイルフェンス及び沖合油回収装置を貸与するということでありますので、油の回収、それから油が広がっていくことに対して一定の効果があるということです。

核軍縮・不拡散に関する有識者懇談会
【中国新聞 荒木記者】先程ペーパーが配られた有識者懇談会についてですが、外相会談のこととか、核軍縮の方向性について議論してもらうということでしたが、今の段階で、それ以外に想定しているテーマがあれば教えていただきたいのと、どういった時期に答申を順次受けていきたいか、今考えているところがあれば教えて下さい。

【大臣】外相会談は9月に予定しておりますので、それに向けてということになります。その他の問題につきましては、様々なテーマが想定されますが、そのことも含めて有識者の皆さんにしっかり議論してもらおうと思います。先程お話ししました、NPTに加盟していない国々について、どのようにしてそこに制約を課していくのかというような問題も一つ大きなテーマであると思いますが、具体的なことはこれからよく相談していきたいと思います。少し骨太の議論を期待したいと思っております。

参議院選挙
【伊勢新聞 中森記者】参院選についてお聞きしたいのですが、公務の合間を縫って全国遊説をされていると思うのですが、情勢認識と手応えみたいなものを聞かせて頂きたいと思います。

【大臣】サミットへ総理に同行して行っておりましたので、まだ告示の日、それから昨日、地元を除くと、その2回です。明日、明後日は九州を回ることになっておりますが、参議院選挙ですから、衆議院ほど細かい選挙にはなっていないということもあるかも知れませんが、まだ十分に盛り上がっていないのではないかなという感じがしない訳でもありません。私(大臣)が回っておりますのは、比較的に県庁所在地とかというところではなくて、むしろ人口密度の低いところを中心に回っておりますので、よけいにそういう感じがするのかもしれませんが、もう少し熱気が上がってきていいのではないのか、これからこの週末を挟んで、そうなることを強く期待しているところです。




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