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2010.06.22|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年6月22日)

外務大臣会見記録(平成22年6月22日(火曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)大臣のG8・G20サミットへの同行について
○G8・G20サミット
○米軍再編問題
○捕鯨問題
○日米同盟の深化
○菅新政権の外交におけるアピールポイント
○スーダンへのPKO部隊の派遣
○参議院選挙
○財政運営戦略とODA
○民主党の参議院選マニフェスト

冒頭発言
(1)大臣のG8・G20サミットへの同行について

【岡田大臣】私(大臣)からは、1点だけ申し上げたいと思います。
私(大臣)は、6月25日から28日までの日程でカナダを訪問いたします。今回、菅総理の初めての外国訪問であるとともに、G8・G20の2つのサミットが行われる中で、主要国との首脳会談もその合間を縫って行われます。特に日露、そして日米、日中、日韓などの首脳会談に、総理を外交面で補佐するために同行するということにしたものでございます。もちろん、G8やG20そのものは、私(大臣)が出る場面はございません。あくまでもそういった二国間会談に同席をする、或いはその準備ということで、総理よりも1日遅れて出発して、そして帰ってくるのは恐らく同じ飛行機で月曜日の深夜に帰ってくることになるのではないかと思っております。

G8・G20サミット
【NHK 禰津記者】そのカナダでのことなのですけれども、大臣ご自身のバイ会談などを考えていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】外務大臣というのはほとんど来られないのです。ですから、バイ会談というのは考えておりません。

【朝日新聞 鵜飼記者】これまで日本の外務大臣も首相について外遊に同行されるというケースはあまりなかったと思うのですけれども、今後こういったケースは増えていくと考えてよろしいのかどうかということをお伺いします。

【大臣】今回は例外だとお考えいただいた方がいいと思います。昨年も、日中韓の首脳会談のときに私(大臣)は同席をいたしました。それが初めてのバイ会談ということで同席をしたわけです。そのとき私(大臣)自身も初めてだったわけですが、普通は日本の場合、総理と外務大臣が同じ会議に出るということは、まずありません。今までもありませんでしたし、私(大臣)自身も、それは例外的なものだと考えております。手分けをしてやっていかないと、とても手が足りませんので。ただ、日露とか日米となりますと、今までの流れもありますので、そういう意味で、会談そのものに同席するとともに、その前のさまざまな打ち合わせなども、外務大臣がいた方がサポートできるのではないかということであります。それから、バイの会談でも、初日に行われるバイの会談もあると思いますが、例えば日加とかですね。そうなると恐らく予想されますが、そういったものには私(大臣)は出るということはないということです。1日遅れて行くということで、日露(会談)から入っていくということになると思います。

【フリーランス 岩上氏】菅総理の記者会見が2度行われまして、2度ともギリシャのことを引き合いに出しながら、「ギリシャのようになってはいけない。財政の健全化が必要である。そのために消費税の議論を参院選後にも始める。公約と思ってもらって構わない」ということを仰っております。これはG8、G20においても、国際公約のような形で消費税増税、財政健全化ということに取り組むことを語られるおつもりでいるのでしょうか。

【大臣】それは、私(大臣)はG8・G20に出るわけではありませんので、むしろ総理の口から述べられた方がいいと思います。国際公約かどうかというのも、どういう言われ方をするかということはまさにこれからでありますので、私(大臣)があまり予想めいたことは言わない方がいいと思います。ただ、この間、菅政権がスタートして、財政の再建に向けての考え方というものをとりまとめ、成長戦略もとりまとめられたわけですので、そういったことについて当然、少なくともG8の場などでは、ご披露されるのではないかと思っているところです。

【朝日新聞 鵜飼記者】G8についてお伺いしたいのですけれども、これまで「G8の役割が終わった」とか、「これからはG2の時代だ」というお話がありましたが、岡田大臣自身はG8の存在意義についてどうお考えでしょうか。

【大臣】今は役割分担だと思います。特にこういう経済的に非常に難しい時期に、存在感を増す新興国も含めたG20というのは、経済問題を議論する場としては適切だと思いますが、G8というのは基本的には民主主義という価値観を共有した先進国の集まりであると言えると思います。そういった国々が、例えば貧困など開発の問題、或いは民主化といった政治課題を中心に議論する場は必要で、それがG8であると思っております。
経済問題でも、世界全体でとなるとG20がより適切ということになるかと思いますけれども、同じような状況にある先進経済であるG8が議論することも、当然あってしかるべきと考えております。貿易の自由化とか、そういう問題ではなかなかG20では議論しにくいところもあるのではないかと思います。そういう意味でこの2つがうまく補完し合っていくことが重要だと思います。

米軍再編問題
【琉球新報 滝本記者】昨日、普天間問題について、日米間での専門家協議が開かれたという形ですけれども、今後の進め方として、工法について、日本側からこういう工法があると複数の案を出して、米国側に検討を託す形になるのか、それとも米国側からこういう形がいいという形なのか、どういうようなやり取りになっていくのかをお伺いできればと思います。

【大臣】それはこれからですので、今、何か決めているわけではありません。

捕鯨問題
【オーストラリアン新聞 坂上記者】昨日、6月21日からモロッコでIWC総会が開かれていますけれども、捕鯨国、反捕鯨国の間で、また主義、主張の違いがありまして、難航が予想されていると見られています。特に豪州については、もうご存じかと思いますけれども、南極海での捕鯨中止を求めて、国際法廷にまで訴えるという強硬な姿勢を示していますけれども、大臣はこうした状況の中で豪州はもう少し歩み寄り、妥協をした方がいいのではないかと思われますでしょうか。何か豪州に対して、ご意見がありましたら、教えていただきたいのですが。

【大臣】まず、IWCは今、個別会議を行っているということです。そのために休会中であると理解をしております。是非合意に向けて、粘り強く協議をしてもらいたいと思っています。豪州が提訴をしたということは、残念なことであります。むしろ、こういうIWCの場で議論をして、一定の合意を目指していただきたかったと思いますが、今回の提訴については2つあります。1つは、このことが豪州と日本の関係全体に悪影響を及ぼさないようにするということで、そのことは日豪間で確認をしているところであります。2番目に、とはいえ、提訴がなされた以上、日本としては日本の主張をしっかりと行って、その正当性を主張していくということです。

日米同盟の深化
【時事通信 水島記者】日米のことが出たので、明日ですけれども、改定日米安保条約が発効して50年になると思います。それで、同盟深化の協議の進捗状況はどんな具合なのかということと、今年前半に2+2を開くという米国側との確認があったかと思いますが、その目途についてお聞かせいただけますでしょうか。

【大臣】同盟深化に関しては、高級事務レベルでさまざま議論を重ねてきております。ただ、大臣レベルとなりますと4人の大臣が一堂に集まらなければならないということですので、参議院選挙が終わるまでは、3人までは何とかなっても4人目が難しいのではないかという気がしないわけではありません。選挙を終えた上でどうするかを考えるということになると思います。
 この話と、それから、普天間でも2+2ということをやっておりますので、その辺のタイミングの取り方はなかなかいろいろなことを考えなければいけないということですが、いずれにしても、選挙が終わった上でどうするかということを考えたらいいと思います。

【北海道新聞 島田記者】今の関連で、日米安保の今の課題とか、今後、日米関係で、より更に深く話し合っていったらいいというような点があれば教えていただきたいのです。

【大臣】日米でですか。

【北海道新聞 島田記者】日米安保とか日米同盟に関してです。

【大臣】それは、議論すべきことはたくさんあります。ですから、先般も電話でクリントン長官と話したのは、イランの問題、北朝鮮の問題が中心だった訳ですけれども、そのほかにも核の軍縮・不拡散の話もあれば、気候変動の問題もありますし、或いはミャンマーの問題、さまざまな課題がありますので、今度、多分ベトナムでまた日米の外相会談が行われるのではないかと思いますが、その際もそういった問題についてしっかりと意思疎通をよくしていきたいと思います。

【NHK 禰津記者】それに関連してなのですけれども、同盟深化協議では、例えば11月にオバマ大統領が再び来日されるときに何らかの成果物、共同宣言なり、そういったものを目指すという方向性に関しては、今のところ変わらないという理解でよろしいのでしょうか。

【大臣】総理も替わりましたので、よく御相談しなければいけないと思っています。いずれにしても、日米首脳会談も予定されておりますので、そういうものを踏まえながら今後のことを考えていくことになると思います。

菅新政権の外交におけるアピールポイント
【マガジンX 島田記者】菅内閣に代わりまして、外交面で、ここがよくなるというようなアピールポイントみたいなものがあれば、教えていただければなと思います。

【大臣】よくなるというのは、どういう意味ですか。

【マガジンX 島田記者】ここを見てくれとか、つまり、内閣が変わったことで、外交方針とかは、ある程度若干変わるでしょうし、引き継ぐ部分もあると思うのですけれども、新たにというところで、よりアピールしたい日本の外交というものについて教えていただければと思います。

【大臣】総理が代わったことによって、首脳外交のニュアンスがどのように変わるかということについては、これは、これからよく総理と意見交換をしなければいけませんので、今、私(大臣)が直接そのことに言及するのは、いかがかというように思います。それは、むしろ、総理ご自身が語るべき話だと思います。外務大臣としては、そういった菅総理のご意向を十分に踏まえながら外交をしっかりとやっていきたいと考えています。

【マガジンX 島田記者】その辺りのニュアンスが理解できる時期というのは、選挙後ぐらいなのですか。

【大臣】G8・G20が終われば、そして、それに伴う首脳会談をやれば、大体の方向性が出てくるのではないかと思いますが、非常にお忙しい中で、これから組み立てていくわけですから、ちょっといつまでにということを、私(大臣)がお約束する立場にはございません。基本的なところは、もちろん変わらないわけです。

スーダンへのPKO部隊の派遣
【読売新聞 村尾記者】本日、防衛大臣と官房長官とお会いになられたようですけれども、それでスーダンのPKOについて話が出たと聞いているのですけれども、防衛大臣が記者会見で、なかなか準備が間に合わないというようなことを仰っていたのですけれども、今後の見通し、外務省のご見解をいただければ。

【大臣】準備が間に合わないということは、私(大臣)は承知しておりません。スーダンにPKOを出すべきかどうかということを検討するために調査団も出したわけでありますので、間に合わないということはないと思います。日本として出すべきかどうかという議論は、真摯に行っていかなければいけないというように思います。結論は、まだ出しておりません。

参議院選挙
【伊勢新聞 中森記者】明後日、参院選が公示されると思うのですが、改めて参院選に向けての意気込みと、あと、三重選挙区の地元の感触についてよろしかったら教えてください。

【大臣】三重は、先週末、土曜日と日曜日、私(大臣)の選挙区も含めて3つの選挙区を回ったのですが、一時と比べると、少し上向きかなとは思いますが、決して予断を許さない状況だというように考えております。芝候補にはしっかりと頑張っていただきたいし、俗に言う三重方式で、県連と県議団を始め地方議員、連合と、これが一体となってしっかりと闘っていかなければいけないというように思っています。参議院全体は、私(大臣)は選挙区で、これは三重だけではないのですけれども、できるだけ民主党で単独で過半数をと、これは高いハードルですけれども、そういうことを訴えているところです。それは、相当な努力を要するということだと思います。

財政運営戦略とODA
【NHK 吉田記者】本日、財政運営戦略が閣議決定されましたが、この中で三年間事実上一般歳出にキャップをはめるという内容になっているかと思うのですが、大臣はかねてからODAについては質・量ともに増やしたいという意見をお持ちでした。これからシ-リングの議論が本格化しますが、ややもすれば各省前年並みということでキャップをはめられかねないという状況になると思うのですが、これについて大臣の考えをお聞かせいただけますか。

【大臣】そんなことはないと思います。本日まとめたものも、あらかじめ枠を決めてその中でやりくりするということでありますが、枠を決めるにあたって、一律でやると決めたわけではありません。必要なもの、必要でないものをしっかり区別しながら、必要なものについては、重点的に増やしていくということだと考えています。一律にODAも含めて減るとは理解しておりません。

民主党の参議院選マニフェスト
【フリーランス 岩上氏】鳩山政権から菅政権に代わったわけですけれども、その新しい内閣の誕生によって、外交がどのように変わるのか、或いはどの部分が引き続き継続されるのか、その違いというものをお聞きしたいと思います。民主党の2009年のマニフェストと今度の参院選のマニフェストを比較しますと、主体的な外交戦略という文言が抜け落ちています。どうもニュアンスとしては、菅総理の記者会見等の言葉を聞いていますと、日米同盟を基軸ということをまずは訴えられておりまして、日米同盟から外れるような主体的な、日本が独自の外交を展開するということには、少し慎重になられているような印象を受けました。この点、どうお考えでしょうか。ご見解をお聞かせいただきたいと思います。

【大臣】それはちょっと考え過ぎだと思います。日米基軸というのは鳩山政権においてもそうでありましたし、菅政権においても同じであります。日米基軸だから主体的外交ができないとか、やらないとか、そういうことではありません。そういう二者択一のことではもちろんないわけで、その部分について、菅政権に関して主体的外交はなくなったとか、より小さくなったとか、そういうことは全くございません。

【フリーランス 岩上氏】文言が抜けた件に関してはどうでしょうか。

【大臣】私(大臣)もあまり細かくはフォローしていませんが、それが何か大きな意味があるというようには考えておりません。

【毎日新聞 西岡記者】北朝鮮外交についてお尋ねします。菅総理の所信表明や民主党のマニフェストを見ておりますと、「日朝平壌宣言に基づく」というこれまで北朝鮮政策の中にあった主要な言葉、ワーディングが抜け落ちているように思うのですが、これは現政府内で北朝鮮政策に対して何らかの変更があったということの現れなのでしょうか。

【大臣】違います。「日朝平壌宣言に基づく」というのは、日本の対北朝鮮外交の基本でありますので、そこについて変更はございません。

【毎日新聞 西岡記者】抜け落ちているというのは。

【大臣】それは色々な字数との関係とかいうことなので、書いていないかもしれませんが、考え方は変わっておりません。

【琉球新報 滝本記者】民主党のマニフェストに関連してお伺いしたいのですが、外交の部分で「日米地位協定の改定を提起する」というのがまた盛り込まれていますが、これは今後の日米間の協議でどのように進めていかれるのか、当面の課題として普天間の8月末までの工法(に関する)専門家の協議というのが別途走っていて、日米同盟の同盟深化の協議というのがハイレベルな部分であってというのが、いろいろなチャンネルというのがあると思うのですが、どのような形でその中に日米地位協定の改定の提起というのが絡んでくるのかというのを教えて頂きたいと思います。

【大臣】全体に戦略を組立てていくのはこれからですので、今、あまり申し上げるべきではないと思います。ただ、日米合意の中に環境については、新たな合意ということで書いてありますので、これが地位協定の改定になるのかどうかということは、その中には何ら触れられていないのですが、環境に関する何らかの合意というものは、日米合意の中で認められたものですから、そういうものは具体化していく必要があると思います。それ以上のことについては、全体の日米合意と別の話でありますので、どうのような順番で物事を進めていくのが結果的に一番良い結論になるのか、沖縄の負担軽減につながっていくのかということについて、慎重に検討していきたいと思っております。

【琉球新報 滝本記者】今、仰られた環境についての部分というのは今の直近の日米共同声明に基づいた日米間協議という中で、まずは議論されていくということになるのかなというイメージですが、それは具体的にいつまでに、それも8月末までのものの中に入っているという理解でよろしいのでしょうか。

【大臣】いつまでにということは、期限は切っておりません。しかし、それはなるべく早く結論が得られるように議論していかなければいけない問題であると思います。沖縄の理解を得るためにも、必要なことだと思っております。

【フリーランス 岩上氏】先ほど衆議院と参議院のマニフェストでの違いについて一回質問させていただきましたが、それ以外の外交以外の項目を見ても、両マニフェストにはずいぶんいろいろな違いがあります。例えば捜査機関の取り調べの可視化というような文言については今回また抜け落ちています。こういったことはどう考えたらいいのか一般の有権者は困惑しております。菅総理にこないだの会見でこのことについて質問が出ますと、「それは完全にやめました」ということは仰りません。今回の参院選のマニフェストに書かれていることは全てではないという言い方をされています。ということは、その前回の衆院選のマニフェストで票を取ったのですから、衆院選で過半数を制したわけですから、その公約というか有権者との約束は生きているというように考えるべきなのかどうなのか非常にわかりづらくなっております。これについてご見解をお示し頂きたいと思います。

【大臣】総理も仰るように書いていないからやめたということでは必ずしもありません。限られたスペースの中で何をより強調するかという問題だと思います。可視化の問題がどういう状況なのかというのは私(大臣)は承知しておりませんけれども、いずれにしても総選挙においてはマニフェストに書いたわけですから,次の総選挙までには、この問題をやるのかやらないのか、やらないとしたらどういう理由でやらないのかということはきちんと説明をして、そして次の総選挙に至ると、こういうことだと思います。マニフェストに書いても全てができるわけではありませんが、同じ総選挙の間、4年間なら4年間の間にできなかったものについては、なぜできなかったのか、或いはやらなかったのかということの説明責任は当然求められるわけです。

【フリーランス 岩上氏】4年後の、今からだと3年後になるわけでしょうけれども、その総選挙の時に説明するべきものなのか、それとも今回、参院選という、これで、先ほど大臣が仰られたとおり単独過半数をとることがあれば、安定政権を形成することもできるわけですし、この節目で、本来だったらば説明責任を果たすべきなのではないかという声もあると思うのですが、その点はいかがでしょうか。

【大臣】マニフェストというのは次の選挙までにこれだけのことをやりますというお約束ですから、まだ1年しか経っていませんので、今できていないからそれはできないとかやれないとかということではない訳です。ですから、そのことについていちいち説明するということは必ずしも求められていないというように思います。




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