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2010.03.18|夕刊フジ

夕刊フジコラム「ズバリ直球」10年3月18日号

日米のいわゆる「外交密約」に関する外務省の調査結果と、北岡伸一・東大教授を座長とする有識者委員会の検証報告書を9日に公表した。調査対象は、核兵器持ち込みの黙認など4つの「密約」。2つは1960年の日米安保条約改定時のもので、残り2つは72年の沖縄返還時のものだ。

有識者委員会は、このうち3つを「密約」と認定した。詳細は外務省のHPに掲載している。外務省の調査結果が約30ページ、有識者委員会の報告書が約100ページと読み応えがある。331点の機密文書も同時公開した。戦後日本外交史が分かる第一級資料なので、御一読いただきたい。

私は昨年9月の外相就任直後、この問題の徹底調査を行うよう大臣命令を出した。外交は国民の理解と信頼がなければ成り立たない。米国では密約を裏付ける資料がかなり公開されており、国民の多くも「密約はあったはず」と感じていた。「ない」と言い続ける首相や外相の姿が、国民の不信感を高めていた。

加えて、私は野党時代から「事実を明らかにすべきだ」と主張してきた。もし、国会で「密約があったのか?」と聞かれて、「ない」と答弁すれば、歴代大臣と同じことになる。政権交代した今こそ、絶好の機会だと確信したのだ。

当然、外交には表に出せない「機密」もある。時代背景を踏まえて報告書を読むと、安保条約改定時の岸信介首相や、沖縄返還時の佐藤栄作首相の苦悩が伝わってくる。私がその立場でも、同じ判断をせざるを得なかったかもしれない。断罪できるものではない。




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