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2010.02.05|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年2月5日)

外務大臣会見記録(平成22年2月5日(金曜日)18時00分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)報償費について
(2)ハイチへのPKO派遣について
(3)大臣の北海道訪問について
○報償費
○日米地位協定の改定
○キャンベル国務次官補の訪日(民主党議員団の訪米)
○QDR(4年ごとの国防計画の見直し)
○ハイチへのPKO派遣
○政治資金疑惑
○大臣の韓国訪問
○大臣の北海道訪問
○米国におけるトヨタ自動車のリコール問題
○日台FTA
○その他(閣僚ポストへの女性登用)

冒頭発言
(1)報償費について

【岡田大臣】私(大臣)から3点。第1点は報償費についてであります。本日の閣議で鈴木宗男議員よりの報償費関連の質問主意書への答弁書が閣議決定されました。外務省の報償費については昨年以来、これまでの経緯等について私(大臣)の下で確認作業を担ってきましたが、その結果、かつて外務省の報償費が総理大臣官邸の外交用務に使われていたことがあったことが判明しました。なお、現在は外務省の報償費が総理大臣官邸の外交用務に使われていることはなく、また、今後もありません。以上の次第について、本日閣議決定された答弁書で答弁したところであります。外務省としては、報償費の適正な執行に引き続き努めてまいります。

(2)ハイチへのPKO派遣について

【大臣】第2点は、ハイチへのPKOです。これも本日の閣議において、国際平和協力法に基づき国連ハイチ安定化ミッションに自衛隊施設部隊等を派遣することを決定いたしました。この派遣は以前にもお話ししたように、地震によって甚大な被害を受けたハイチの復興支援のために大変有意義なことであると考えております。今後とも我が国が震災国として有する経験・知見を活かしつつ、国際社会と協力してハイチの復旧・復興に向けて積極的に取り組んでまいります。
 なお、派遣部隊は、明日(6日)第1派が本部を出発し、順次本隊が合流することになっております。派遣部隊の行うことは既に申し上げたところでありますが、瓦礫の除去、道路保守、あるいは軽易な施設建設などの支援活動を中心に、ハイチの緊急の復旧に貢献する予定であります。陸上自衛隊部隊約350名に加えて、司令部要員、連絡調整要員、その他輸送機のために海上・航空自衛隊部隊としております。場所については現時点でまだ決まっておりません。首都ポルトープランスからその西方、両岸近郊までのエリアを念頭に、現在国連等と調整しているところであります。実際に活動を開始するのは、明日(6日)出発をするということで、日本時間の8日に到着いたしますので、その後、準備が整い次第、速やかに活動を開始する予定であります。派遣期間は本年11月30日までを期間としております。

(3)大臣の北海道訪問について

【大臣】もう1点、私(大臣)のことですが、3月6日土曜日午後2時から北海道札幌市で「岡田外務大臣と語る」を開催いたします。この催しは従来から行ってきたものでありますが、日本の外交政策について直接国民の皆さんに説明するとともに、講演会参加者からのご質問にもお答えするもので、国民の皆さんとのコミュニケーションを重視した講演会にしたいと考えております。また、この機会に北海道知事、北方領土返還運動関係者等と会談し、北方領土問題や日露経済関係について意見を交換したいと考えております。あるいは本年、札幌で開催されるAPEC貿易担当大臣会合等に関しても意見交換を行いたいと考えております。翌7日(日曜日)、根室市を訪問し、元島民等の北方領土返還運動関係者の皆様と対話を行う予定にしております。

報償費
【NHK 梶原記者】報償費の件ですが、答弁書で外交用務というご説明がありましたけれども、もう少し具体的に金額や使途について教えていただきたいのと、支出されていたのは、平成13年に外務省幹部の使い込みが明らかになったと思いますが、これ以降も続けられていたということになるのでしょうか。

【大臣】私(大臣)の下で調査をいたしましたが、報償費ということでありますので、具体的に何に使われていたとか、金額はいくらかということについてはお答えしかねます。それから、事件後に使っていなかったかどうかということについては、事件が明らかになったあとは、そういうことはございません。

【フリーランス 畠山氏】報償費のことですが、今、金額についてお答えできないということでしたけれども、全体の、外務省報償費における内閣官房への上納額というか、渡していた額がどれぐらいの割合だったかということも、お答えいただけないということなのでしょうか。

【大臣】外交用務として使われていたこと自身が違法かというと、必ずしもそうであるとは言えないと思います。したがって、報償費という性格上、そのことについて私(大臣)が言及すべきではないと思っております。

【朝日新聞 鵜飼記者】報償費の性格上、額は明らかにできないということですけれども、総理大臣官邸の外交用務に使われているということは、報償費を目的以外に使用していたということにならないのでしょうか。もしそうであるとすれば、本来の目的から外れることになりますので、額を公開されてもよろしいのではないでしょうか。

【大臣】報償費というのは国の事務または事業を円滑に、かつ効果的に遂行するために、当面の任務と状況に応じてその都度の判断で最も適当と認められる方法によって機動的に使用する経費であると考えております。その枠を超えていたとは考えておりません。

【共同通信 斉藤記者】今のお話で、違法ではないという点はわかりました。では、調査結果を実際にご覧になった大臣から見て、違法ではないということですが、適切であったかどうか、使い道として妥当であったかという点については、大臣はどのように受け止められていますでしょうか。

【大臣】詳細については申し上げません。妥当かどうかについては、違法ではなかったということです。それ以上のことは申し上げません。ただ言えるのは、報償費という性格上、それが法の報償費ということの性格を超えて使われるリスクはあるものだと思います。したがって、こういった形で、官邸で外交用務として使うということは望ましくない。今はもう、行っておりませんが、これからも行うつもりはないということです。

【共同通信 上西川原記者】今付け加えられたところを伺おうと思っていたわけですが、この答弁書にあるように、今後において使われることはないということは、望ましくないという評価だと思いますが、そこをもう少し詳しく教えてください。それから、時期的なもの、例えばどれぐらいの時期だというところも言えないのでしょうか。

【大臣】具体的なことは申し上げられません。

【NHK 別府記者】報償費という言葉と、今の定義ですが、もう少し国民一般的にわかりやすく言うと、例えばこういう目的だというのをご説明いただけないでしょうか。

【大臣】報償費というのは基本的に、あらかじめ予算で定めて、具体的な使い道まで決めるというよりは、そういったことができない、例えば具体的に相手が明らかにできないとか、情報を取るために使う。誰に、いつ、いくら払ったかというようなことは公にできない。外交においてそういうことはあり得るというか、そういうことは当然あるわけで、そういったことのために使うということが基本だと思っております。それ以外の本来きちんと予算を立てて行うべきものについては、報償費というのは、私(大臣)は使うべきではないと思っております。

【週刊金曜日 伊田記者】(答弁書回答の)4番目で、外務省文書管理規則に基づき保管しているということですけれども、この保管期間は何年に当たるのでしょうか。

【大臣】文書そのものは、確か5年と理解しています。

【共同通信 西野記者】具体的なことは言えないということで、質問しにくいのですが、官邸の方にお金が行っており、外交用務に使われていたということで違法ではないということでした。それでは、なぜそちらの方にお金が行っていて、事件後に止めて、なおかつそのまま、止めたままでいられるのか。要するに、外交のニーズがある中でお金が使われていたとすれば、その分はどこか他のところに行っていたとか、いろいろと考えなければいけなくなります。実態として運用のやり方は、支出が言えないというのはわからないでもないですけれども、なぜこういうことが起こっていて、問題が解消したからこのように出来たのだというところは国民に伝えにくいので、もう少し分かり易く説明してください。

【大臣】どうしてこういうことが起きたのかということは、私(大臣)にはわかりません。当時の外務大臣なり官房長官に聞いていただくしかないと思います。現在、外務省に認められた報償費の範囲内で、外務省の様々な具体的なニーズについては賄っておりますけれども、そのことで特段不都合なことはございません。

【朝日新聞 鵜飼記者】官邸の方で外交用務に使われていたということですけれども、なぜ外交用務に使われていたということがわかるのでしょうか。他の目的に使われていた可能性は全くないのでしょうか。

【大臣】外交用務に使用するということで支出をしております。

【NHK 禰津記者】今後使わない理由という中で「報償費の性格を超えて使われるリスクがあるから」と先程大臣がおっしゃったと思いますが、これは具体的にどういったことを指しているのかもう少し詳しくお伺いしたいのと、今後において使われることはないということに関して、例えば何らかのチェック機能やその辺りは、今後どのような対策を考えていらっしゃいますか。

【大臣】具体的には申し上げませんけれども、今後使われることはございません。

【NHK 禰津記者】監視していくとか、そういったことは考えていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】報償費の性格上、具体的なことは申し上げない方がいいと思います。

【共同通信 上西川原記者】共同通信の過去の記事を見て質問しているのですが、予算の他省庁への移動が財政法違反に当たるという指摘もあります。さらに、これまで上納問題に対して、官邸、外務省についても「全くそのようなことはない」と全面否定してきたと思いますが、それとの整合性はどうなりますでしょうか。

【大臣】整合性はありません。大臣が代わりましたので、政権交代も行われて、事実を事実として申し上げているわけです。

【共同通信社 上西川原記者】財政法違反については。

【大臣】財政法違反には当たらないと思います。先程言った報償費の性格上、(違反に)当たるということは言えないと思います。

【日刊ゲンダイ 小塚記者】先程大臣は、どうしてそういう使い方になっていたかということは、「私(大臣)にはわかりません。当時の外務大臣、官房長官に聞いてください」ということでしたが、これが違法とは言えないまでも、望ましい使い方ではないと、内閣でこういう答弁書を作っていらっしゃるわけですから、それを国民にわかるように、国民は、報償費についてはかなり疑問を持っていますので、内閣で、過去のことにはなりますけれども、過去の政権にはなりますけれども、内閣のほうでお調べになるおつもりはないのでしょうか。

【大臣】わかる範囲で私(大臣)は調べたつもりです。しかし、残された文書の中では、それ以上のことはわからなかったということです。それから、刑事事件にもなった事件もありました。そういうことが起こり得るということで、その後、外務省としてはこういった使い方をやめたわけです。政権も代わり、大臣も代わってその方針をきちんと維持していくということを省内的にも明確にしております。

【北海道新聞 佐藤記者】先程「報償費の性格上、目的を超えて使われるリスクがある」というお話をされていましたけれども、一方で、官邸に対して支出していたものは、「なぜ外交用務と言えるか」という質問に対しては「そういうことで支出している」というお話でした。これを合わせると、つまり、外交用務として使うということで支出しているけれども、それがさらに目的外に使われた可能性もあるとお考えだということでしょうか。

【大臣】事件になったケースは、まさしくその一つだと思っております。それ以上のことはわかりません。我々としては、外交用務ということで支出をしておりますので、基本的にはその範囲内で使われたと思っております。

【共同通信 斉藤記者】ここに出てくる「総理大臣官邸の外交用務」、この言葉については、具体的な定義はありますでしょうか。例えば、外務省の中で、あるいは内閣官房の中で「外交用務」というのは具体的にどのようなことだという具体的な範囲、定義等があれば教えてください。

【大臣】報償費をどのように使っていたかということの説明ですから、具体的定義をしますと、中身をお話しすることになりますから申し上げられません。最初に申し上げたとおりです。

【朝日新聞 山内記者】先程大臣は「どうしてこういうことが起きたのは私(大臣)にはわかりません」とおっしゃいましたが、そうであれば、当時の外務大臣、官房長官、前の政権の自民党の方になると思いますが、直接聞いて調べる考えはありますでしょうか。

【大臣】違法なことがはっきりしていれば、国民の税金の使い途の話ですから、そういうことも必要だと思いますが、そういうものでは必ずしもありませんので、報償費の性格上、そういうことは一定の範囲で認められるものだと私は思っておりますから、そのことについて、私自身が聞くのはいかがかと思います。ある意味では裁量の範囲内と言えると思います。

【共同通信 上西川原記者】先程整合性の話をしたのですが、やはり国民に対して嘘を言ったのではないか、要するに「ない」という嘘の説明をしたのではないかというところの責任はあるのではないかと思います。政治家もそうでしょうし、官僚も、例えば国会答弁、そういった答弁が具体的にあったかどうかわかりませんが、国民に対して真実でないことを公に話してきたというところに責任があるのではないかと思いますが、なぜそういうことが起きたのか、お調べになるおつもりはありますか。

【大臣】これは政権が代わって明らかになったことですから、旧政権時代のことを私(大臣)がいろいろ言うのはいかがかと思います。それはむしろ私(大臣)の仕事ではないだろうと思います。

【フリーランス 畠山記者】首相官邸の上納は、現在は行われていないということですけれども、その分、外務省の報償費の予算は減ったのでしょうか。減っていないとすれば、首相官邸が担っていた外交用務の役割を、首相官邸から外務省が引き継いだと認識してよろしいでしょうか。

【大臣】引き継いだということはありません。報償費については、一般の予算と同じですけれども、余ればそれは当然国庫にお返しすることになっております。

【日本テレビ 小栗記者】先程「一定の範囲で認められる。ある意味での裁量の範囲内」ということをおっしゃいましたけれども、「一定の裁量の範囲内」であることと、「それ以外に用いられるリスク」があることの差は何なのかということを、改めて教えていただけますでしょうか。「一定の範囲内」のことと、「リスクがあるから使われるべきではない」とされることとの差(という意味です)。

【大臣】外務省報償費ですから、外交用務以外のことに使えば、それは範囲を超えていると私(大臣)は思います。

日米地位協定の改定
【琉球新報 滝本記者】本日の衆院予算委員会で大臣は地位協定の改定についての報告の上で「運用でできる部分もあるが十分になされていなかったという指摘もある」と仰られましたが、現行の地位協定上、十分になされていなかった部分というのは何がその部分か、環境についての部分であると以前お話されたこともあると思いますけれども、刑事裁判権の問題とかありますが、具体的に何の対応が十分でなかったのか、具体的にお伺いしたいのですが。

【大臣】例えば基地の騒音の問題です。時間を決めて離発着ということが確認されても、もちろん例外規定はあったにせよ、嘉手納などでは、嘉手納基地自身の航空機は大体守っているということであっても、外から来て早朝・深夜に離発着するということになると、それはやはり合意違反ではないにしても趣旨から言うとそれが非常に多いというのは如何なものかと、もう少し運用をきちっとやっていった方がいいということになると思います。それから、ここでも話題になりましたが、低空飛行をして、離発着の訓練のような形で行うということも、民間の空港で予告なく行われるということが果たして日米間で合意していることに沿ったものなのかと、そういった点についてしっかりとよく議論をして運用改善をしていくということに関して私(大臣)は申し上げました。

【琉球新報 滝本記者】地位協定の改定のことですが、先ほどの予算委員会について私が引用したのは、「地位協定改定についての動き」ということでの質問だったと思いますが、大臣のお話ですと「よく議論して運用の改善をしていく」ということで、もう一点は前半仰られたのは騒音規制措置のお話だと思いますが、あれは厳密に言うと地位協定とは別の日米間の協定というか取り決めということになりますので、地位協定の改定という部分についての論点ということでの具体的な動きはいかがでしょうか。

【大臣】ご質問が運用の話をされたと理解しましたのでお答え申し上げたのですが、地位協定そのものの改定は国会で申し上げたように、私(大臣)はこれは三党合意にもありますし、必要なことですから、しっかり議論したいと思います。あまり一度にあれもこれも持ち出すというのは、結果を考えた時にあまり良い結果を生まないだろうと、先ず目の前にある普天間の移設問題について日米間でしっかりと5月末までに結論を得ると、そしてその時にできた信頼関係を基にして地位協定の改定について議論を始めると、このように私(大臣)は考えているところです。その旨は先般の外交演説の際にも述べたつもりです。

キャンベル国務次官補の訪日(民主党議員団の訪米)
【共同通信 上西川原記者】日米関係の関連で、キャンベル米国務次官補が4日にワシントンの空港で記者団に対して、民主党の小沢幹事長との会談内容について一部話されました。それによると普天間の話を少ししたということに加えて、民主党の議員団の訪米を要請したと、ゴールデンウィークを考えているということで、報道によりますと、小沢幹事長も訪米の準備というか検討はしているということのようです。5月と言うと、普天間飛行場の決着時期が5月末までということと、深化協議についても前半にできれば「2+2」を開いて中間報告をしたいと言っていますけれども、民主党議員団の訪米の時期とこういった普天間や深化協議への影響は何かあるとお考えでしょうか。

【大臣】キャンベル米国務次官補が言われた中で、「政策の話は基本的にそれは政府の方だと小沢幹事長が言われた」ということもあったと思います。ですから、そこはそのように我々は理解しています。したがって、今いろいろと言われたことについては基本的にはそれとは独立した問題であると考えております。一般論として言えば、小沢幹事長が行かれるかどうかを私(大臣)は確認しておりませんが、多くの議員が直接いろいろな国々に行って、特に同盟国である米国ワシントンに赴いて意見交換をしてくると、特に私(大臣)は議員同士の意見交換というのが最近不足していると思いますので、そのことを申し上げたいと思いますが、政府関係も含めて、そういうことは非常に有益なことだと思います。私(大臣)自身も野党ではありましたが、一時期最低1回はワシントンに行って当時の国務次官補代理であったキャンベル氏とか、毎年のように国防省を訪ねて意見交換したことを思い出しますけれども、そういうことは非常に良いことだと私(大臣)は思います。

QDR(4年ごとの国防計画の見直し)
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読します。今の日米関係について、米国防総省が1日に発表しましたQDRについてお伺いします。今回の指針では多様な脅威に対処していくためとして日本をはじめアジア太平洋の同盟国等に対して、安全保障上の役割の拡大を促しております。この部分に対する大臣の受け止めをお願いします。

【大臣】QDRはまだ発表されたばかりで、現在注意深く分析をしているところです。安全保障上の役割ということですが、かなり幅広い中身を含むことですので、まさしくそういうことを、これから日米の2+2、或いはその下の高級事務レベルの対話の中で議論していくことになると思います。

ハイチへのPKO派遣
【毎日新聞 野口記者】今回、民主党政権になって初めてのPKO派遣で、非常に早く派遣の決定が決められたと思いますが、自民党政権と比較して、自民党の場合は政府与党の了解を得るために部会や総務会等、様々な手続きを経た上で決めたので、かなりこれまでのPKO派遣は決定までに時間がかかっていたのですが、今回は災害を受けての緊急派遣という初めての事態というのはあったのですが、やはり民主党政権になって公の場での意志決定というのが、基本政策閣僚委員会の一つだけだったと、今後もPKOを派遣する場合は、こういった民主党政権での手続きで、簡略化した手続きでされるのか、それとももっと与党との議論を公の場でされる機会を増やすのか、いかがでしょうか。

【大臣】基本的に他の与党との調整はやっている訳です。国民新党及び社民党ですね。今回、早期に決定という結果になったのは、一つは災害ということがあります。そして、手を挙げる締め切りがありました。確か月曜日中でした。それに合わせて動いたということもあったと思います。もう一つは、PKOについて、外交演説でも申し上げましたが、カンボジアや東ティモール等で非常に良い実績をあげながら現状でみるとかなり少ないと、事実上はゴラン高原だけだということです。よりこのPKOについては積極的に考えるべきだと、そういう中でハイチのアンテナミッション、国連が要請を各国に出しましたので、素早く手を挙げたということです。これも外交演説で申し上げましたが、「これに終わることなく、その他にも必要があればPKOについては積極的に対応していきたい」と外務大臣としてはそう思っています。

【北海道新聞 佐藤記者】PKOはハイチだけでなく、今後も積極的に派遣したいというお考えを外交演説でもお話されていましたけれども、一方で現状は少ないということがあります。これから拡大するにあたって障害となるもの、或いは越えなければならない課題というものを、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】5原則の見直し等、いろいろな議論がありますが、それはやや中長期的課題ということで、今の仕組みの中でも派遣できるものはかなりあるだろうと思っています。そういうものを追求していきたいと考えています。

【共同通信 西野記者】メールマガジンを拝読しているのですが、PKOではなくてハイチの関係で地震直後の対応のことについて、まず、調査団を出してから医療チームを出すということで、お考えがまとまったような表現があったと見て取りました。結局、今回の対応について70点より高く出来ることがあるのかないかということを検証していると思うのですが、その辺りは今のところどうですか。

【大臣】例えば、医療部隊の前に、瓦礫の下に閉じ込められた人々を助けるための救出部隊を派遣する余地はなかったのかと、今回は非常に遠いということもあって、そのワン・ステップを飛ばした訳ですが、結構時間が経ってから救出された人はいます。これはやはり、気候も影響したと思いますし、瓦礫の性格といいますか、隙間があったとか、いろいろなことが言われています。ですから、それ(救出部隊)を諦めずに出すべきではなかったかという議論はあると思います。それから、調査団を出して、その調査結果が完全に出るまでに本体を派遣したのですが、例えば同時に出してマイアミなどで待機をしていて、ゴーサインが出たらすぐに入れるということも考えられたかもしれません。そうすると、1日ぐらい、あるいは2日かもしれませんが、前倒しに出来た可能性はあります。もちろんブログにも書いておきましたが、この前の土曜日に緊急支援隊の皆さんと話をしたときには、実際に治療するときには、「言葉の問題があって、ハイチの人の9割は現地語で仏語を話す人は1割しかいない。だから、仏語と現地語の通訳を確保しないと医療行為ができなかった」とか、それから「基本的には、自己完結型で食料や水を確保しなければいけない。そのあてがなければ行けなかった」とか、「スリランカのPKO部隊に24時間交代で守ってもらった」とか、外にはカナダか何かの部隊がいたと思うのですが、敷地の中には、そもそも寝泊まりできる敷地があるかどうかということを、ある程度見通しをつけないまま、いきなり現地に入れるということは、PKO部隊が展開している状況ですから、やはり安全の問題とかをいろいろ考えたときに、私(大臣)はそれはないのだろうなと思いました。ですから、(ハイチに)行かれた緊急医療支援隊の方からは、「いいタイミングで、或いは早く行っても、いろいろと出来なかったのではないか」という話がありました。しかし、より完成度の高いものを求めて検証作業を今、行っていることろです。

【共同通信 西野記者】原口総務相が「(ハイチ地震)発生直後にハイパーレスキューに待機命令を出していた」と国会答弁する際に言っております。「自己完結型」ということで言えば、自衛隊が想定される訳ですが、そういった要員を予めこういった災害派遣に備えて国内で準備しておくとか、そういった他省庁との連携を深めておくとか、というようなことも検討課題になるとお考えではないでしょうか。

【大臣】もちろん準備はできている訳です。ですから、医療の緊急支援隊も、総務省のハイパーレスキューも同じだと思いますが、名前が登録してあって、何かあれば募集をかけて、手を挙げた人にチーム編成して行っていただくということです。それ以外の専門の部隊を持つということは、「では普段は何をしているのか」ということになりますから、あまり現実的ではないと思います。もう一つの論点は「もっと早く自衛隊を出しても良かったのではないか」ということで、別に民間の緊急支援隊をいろいろな病院から手を挙げた方でチームを作るのとほぼ同時期に、自衛隊を出すという考え方もあっていいのではないかという見方もあります。しかし、自衛隊は大きな組織ですから、そのために時間がかかるという説もあり、その辺も含めてよく議論したいと思っております。後は、医療行為の性格によっても変わります。大体、日本から医療部隊が行く時には、普通はその事件があって(緊急医療支援隊の)お医者さんへ最初にかかるということは、今までの経験では少ない。しかし今回は、多少時間がかかって行ったにもかかわらず、初めて医者にかかるという人が何日も続いたということでした。例えば、傷口が化膿してウジがわいているような患者さんもどんどん担ぎ込まれたと。普通であれば、震源地そのものではなくて、国の中で医療機関がその周りにある程度は残っていて、そういうところで本当に(傷が)重い人は対処できる、或いは診た後にそういうところに送りますが、今回は全体が崩壊してそういうことが全くできない状態であり、今までにないことだったということが、私(大臣)が医療緊急支援隊の皆さんから聞いた話です。しかし、そういうことも起こり得るので、そういうことも少し想定に入れながら少し検証しようということです。

【NHK 別府記者】初期動作の判断の部分ですが、大臣ご自身、あの日はハワイでクリントン米国務長官と会っていたときに最初に(一報が)入り、そのあと飛行機に乗られたと思うのですが、もう少し、例えば「飛行機に飛び乗る前に指示ができればよかったのではないか」等、ご自身の部分で自分に対して、こういう面があったのではないかという部分はございますか。

【大臣】私(大臣)はハワイでは聞いておりません。クリントン国務長官はそこ(ハワイ)から直接(ハイチに)向かったのではないかという人がおられますが、日米外相会談の後、クリントン国務長官は、たしか東西センターで講演をされて、ハワイにかなりおられました。そういう中でニュースが入って決断されたと思います。私(大臣)が飛行機に乗ったときは、その地震が起きた1時間後です。まだ(現地とは)電話もまともに通じない状況で、外務省にもきちんとした情報が入っていない状況でした。そのまま飛行機に乗ってしまいましたから、成田に着いたときに、第一報を私(大臣)は受けました。この辺をどう考えるかですが、外務大臣は飛行機の中でも常に電話が通じるような状態を確保すべきなのか、そういうことが可能なのか、そもそも外務大臣の専用機が必要なのではないかとか、いろいろな議論があると思いますが、日本として可能な範囲でやっていくしかないと思います。

政治資金疑惑
【時事通信 水島記者】小沢幹事長の政治資金団体に絡んだ問題ですが、先日東京地検が小沢幹事長は不起訴処分、石川衆議院議員は起訴処分としました。小沢幹事長は続投されますが、道理的責任を問う声もあります。これに対する岡田大臣の見解と、それから石川議員に対しては、福島社民党党首は「議員辞職に値する」という趣旨の国会答弁が本日ありましたが、これについても岡田大臣の見解をお伺いします。

【大臣】まずは、石川議員に関しては、これからご自身で考えて自らの意思を明らかにされるという時間は与えるべきだと私(大臣)は思います。その時間を与えられないまま、何か本人の身の処し方に対して、いきなり言うのは、私(大臣)は同じ党の人間としていかがかと思います。まずはそれを見定めて、その上で、党としてきちんと必要な機関がありますから、そこで意思決定をするということだと思っています。それから、小沢幹事長ですけれども、幹事長続投ということを自ら言われたというように聞いております。基本的に幹事長ご自身のご判断、あるいは任命権者である党代表である鳩山さんのご判断、それ以上のことは、私(大臣)は言うべきではないと思います。私(大臣)自身は鳩山内閣の外務大臣として、何度も申し上げておりますけれども、自分自身の意見を言うということは控えたいと考えております。必要があれば、それは党の常任幹事会という場がありますから、そこで議論されるべきことだと思っております。

【共同通信 西野記者】大臣はこの件について答弁する内容をほとんどお決めになっているとの印象を持っているのですが、一方で各社の世論調査を見ても、説明責任が果たされていないとか、辞任論についてはいろいろなことがあるのでしょうが、説明責任は尽くされていないのではないかという声が国民の中にはあると思います。政権交代という時にこの問題があった訳ではありませんが、民主党政権ができる時はこういった問題というのはなくなった方がいいのではないかという期待も含まれていたと私は思っています。そういった観点から、何かコメントすることはありませんか。

【大臣】私(大臣)はこれまで幹事長とか、或いは副代表という役職にあった時は、いろいろ申し上げて参りました。控えめですけれども、元々。党で議論する場というのは、役員会とか、或いは常任幹事会という場があります。必要があれば、そういうところで議論すればいいことであって、私(大臣)は党にあって、そういった責任ある立場にある訳ではありません。したがって、軽々しく言うべきではないと思います。

大臣の韓国訪問
【読売新聞 村尾記者】来週に韓国を訪問されますので、その件でお伺いします。改めてどういった議題が取り上げられるのかということと、経済連携の話も当然されると思いますが、その点も含めてお願いします。

【大臣】様々なテーマがありますので、今、議論すべき項目を整理しているところです。日韓関係は、鳩山政権がスタートして、鳩山総理及び同夫人の活躍もあって、非常にいい状態だと思います。そうは言っても、今年は特別な年で、日韓併合100周年ということでありますので、この1年を如何にしっかりと乗り越えていくかということについて、(韓国の)外務大臣と議論をしたいと思います。経済連携協定の話も、是非我々は結びたいと思いますので、交渉再開ということをしっかり合意できればと考えております。

大臣の北海道訪問
【北海道新聞 佐藤記者】先程大臣が発表された北海道訪問についてです。北方領土返還運動関係者との対話を行うということですが、今領土問題を巡っては漁船の銃撃事件等動きもありますが、まだ1ヶ月先の話ではありますが、今回の関係者との対話を行う狙いと、そこで北方領土問題についてどのようなメッセージを伝えたいかをお聞かせください。

【大臣】メッセージを伝えることも大事ですが、私(大臣)は話を聞きたいと思います。実際に元島民の皆さんの御意見ですね。一度外務省に来ていただいて代表者の方と意見交換をさせていただいたのですが、やはり現場に行って聞くということを前々から是非やりたいということを思っていたのですが、なかなか機会がありませんでしたので、この北海道に行く機会を利用したいということであります。

米国におけるトヨタ自動車のリコール問題
【日経新聞 山内記者】トヨタの品質問題についてお伺いします。トヨタが大規模なリコールを発表して、米国では政治問題に発展する可能性も指摘されています。今回の問題が日米外交に及ぼす影響も含めて、大臣の御所見をお伺いします。

【大臣】心配しています。ある意味では日米の経済関係は今、非常にセンシティブな時期でもあると思います。特に自動車についてはGMのこともありましたし。その中でこの問題が起きました。もちろん日本における輸入アメリカ車に対する補助金の問題も一時は大分話題になりましたが、もちろん今もなっておりますが。ですから、基本的にはトヨタ自動車が対応されることですので、政府として余り言うべきではないと思いますが、トヨタブランドは非常に信頼されているので、アメリカのユーザー調査などでもトヨタ車、或いはレクサスに対する信頼は非常に高かったと思いますが、それがきちんと今後とも維持されるようにトヨタ自動車には迅速に努力していただきたいと思います。

【日経新聞 山内記者】日米関係に与える影響はどうでしょうか。

【大臣】議会でも色々取り上げられています。基本的にはそれはトヨタ自動車がどう対応されるかということですが、もちろん外交的にも、これは一企業の話ではなくて、日本の自動車業界、或いは日本の製品に対する信頼感の問題ですから、しっかりとバックアップしていきたいと思っています。

日台FTA
【ニコニコ動画 七尾記者】台湾の馬英九総統が4日、日本と台湾との間で早期にFTA問題について協議したい旨の意向を示したとの報道がありました。これが事実であるかどうかという点と、総統は早期に討論をと仰っられていますが、その求めに対してどのようなスタンスを取っていかれるのか、お答えください。

【大臣】早く質問に短く答えると次に難しい質問が来るということですかね。なかなか難しい微妙な問題だと思います。まず馬英九総統がそういうことを言われたか、ということを私(大臣)は確認しておりません。台湾との間で基本的には我々、「中華人民共和国、中国はひとつ」という考え方に立っておりますので、台湾と日本国政府との関係というのは非常に微妙な問題であります。中国の考え方も聞かなければなりませんし。余り無いのですね、そういう経済的(関係は)。全く無いわけではないのですが、例えばAPECなどには台湾は入っているのですが、地域として入ってというか、国ではないということです。そういったこともありますので、簡単に答えの出る問題ではないと思います。

その他(閣僚ポストへの女性登用)
【J-CASTニュース 亀松記者】ブログについてお尋ねしたいのですが、メキシコのエスピノサ外相との会談の時の(ブログの)回で、「日本にももっと女性閣僚が増えると良い」と書かれておりますが、なぜそう思われるのか。また、もし増やすとすれば具体的にどのような方策があるとお考えでしょうか。

【大臣】私(大臣)は任命権者ではありませんから、なかなか言えないのですが。メキシコの外相は非常に有能だと思います。お話していても非常にはっきり物を言われますし、バランスも取れていると。そういう姿を見ていると、「日本にももっと女性の閣僚がたくさんいて良いじゃないか」と単純に思っているわけです。もちろん、今の閣内にも女性閣僚がおられますが、今後のことですけれども、新しい政権ですから、少しずつでも増えていくということがあっても良いのではないかと思います。外務省の政務三役の中に必ず女性を少なくとも一人は入れようと思っておりましたので、西村さんに政務官をやっていただいている訳です。




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