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2010.03.04|夕刊フジ

夕刊フジコラム「ズバリ直球」10年3月4日号

南米チリで2月27日未明(日本時間同日午後)、マグニチュード8.8の強い地震が発生した。死者700人を超える甚大な被害が出ている。亡くなった方々のご冥福をお祈りするとともに、被災者の方々には心からお見舞いを申し上げたい。

私は当日、地元・三重で月に一度の活動をしていた。発生直後に第一報が届き、その後も逐次連絡を受けた。同日夜には予定を変更して東京に戻り、外務省に入って情報収集に努めた。そして、月曜日にはまず医療チームの先発隊を派遣。また、300万ドルを上限とする資金協力、テントや浄水器など物資の支援も決めた。

チリ政府は、わが国に対して復興支援を求めている。今後、病院や学校、道路や橋などの再建でも協力していきたい。

さて、2月19日から21日まで、オーストラリアを訪問してきた。国会開会中の週末を利用した出張のため、3泊のうち2泊が機中、夕食3回が機内食という「楽しい」旅だった。

シドニーではラッド首相、パースではスミス外相と会談した。核軍縮や地球温暖化など、多岐にわたるグローバルな話をしてきたが、メディアの報道は捕鯨問題で一色だった。

確かに、オーストラリア人の多くは、クジラを特別な存在と考えているようだ。ラッド政権は、同国に近い南氷洋での日本の調査捕鯨をやめさせることを選挙公約に含めて誕生した。そのため、今回も「調査捕鯨は違法だ」「国際司法裁判所への提訴も辞さず」といった意見が出された。

私からは「日本には古来、クジラを食べる文化があり、わが国の調査捕鯨はIWC(国際捕鯨委員会)で認められている。私の故郷にはクジラ漁のお祭りまである。日本人がクジラとともに歩んできた歴史の証だ」といい、「お互い冷静になって、文化の違いを認め合うべきではないか」と伝えた。

オーストラリアには、日本の調査捕鯨船への妨害行為を続ける米環境保護団体「シー・シェパード」の船が寄港している。シー・シェパードは、日本の調査捕鯨船に船体を衝突させるなど、乗組員の生命にかかわる危険な暴力行為を行っており、絶対に許すことはできない。これについては、ラッド政権も「暴力行為は認められない」との立場で一致している。

今回、シドニーで日本人移住者の子供たちが通う学校に立ち寄った。日本人学校とは違い、普段はオーストラリアの学校に在籍しているが、週末だけ日本語や日本文化を学ぶ学校だ。

基本的に日豪関係はうまくいっている。捕鯨の問題は感情的になりやすいが、それで両国の友好関係を損ねてはならない。こうした学校のOBたちが将来、両国関係をさらに深めてくれたらとてもうれしいことだ。

(C)夕刊フジ




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