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2010.02.19|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年2月19日)

外務大臣会見記録(平成22年2月19日(金曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)大臣の豪州訪問について
(2)トヨタ自動車のリコール問題について
(3)政務三役会議について
(4)バンクーバー冬季オリンピック(男子スケート)について
○米軍再編問題
○調査捕鯨(シー・シェパードによる妨害行為等)
○大臣の豪州訪問(核軍縮、日豪安全保障協力)
○閣議後のぶら下がり会見中止
○記者会見のオープン化
○報償費
○観光立国
○米国におけるトヨタ自動車のリコール問題
○民主党の政策調査会

冒頭発言
(1)大臣の豪州訪問について

【岡田大臣】本日は久しぶりに定例の時間に始まります。私(大臣)から何点か申し上げたいと思います。まず、私(大臣)の豪州訪問について改めて申し上げたいと思いますが、今晩発ちまして、20日(土曜日)と21日(日曜日)の二日間、豪州を訪問し、ラッド首相を表敬訪問するとともにスミス外相、フォークナー国防相と会談を行う予定です。また、21日のスミス外相主催の非公式朝食会の際には、バーネット西豪州首相にもお会いする予定になっています。
 今回の訪問は4つの狙いがあります。第一に、日豪の戦略的パートナーシップを前進させたいと考えております。そのためにも、第3回2+2の本年前半の実施に向けて調整をしたいと考えております。それとともに北朝鮮やアフガニスタンなど、地域の安定に関する問題について、意見交換を行いたいと考えています。第二に、資源を中心とする日豪の経済関係を強化したいと考えています。特に鉄鉱石や天然ガス等豊富な西豪州を訪問することで、資源の安定的確保を目指したいと思います。日豪EPAについては、早期妥結を目指して両国が現実的に取り組む、そういう方向性を出していきたいと考えています。第三に地域、グローバルな課題についてです。例えば核軍縮・不拡散や気候変動などについて、日豪の連携を強化したいと考えております。第四に捕鯨問題については、日豪関係の重要性を踏まえて、大局的な見地から外交的解決が重要であることを確認し、同時にシー・シェパードの取り締まりに関し、豪州の協力を要請したいと考えています。以上が豪州訪問についての基本的考え方でございます。

(2)トヨタ自動車のリコール問題について

【大臣】二番目にトヨタ自動車のリコール問題についてです。既に報じられておりますように、トヨタの豊田社長が24日に予定される米下院監視・政府改革委員会の公聴会に出席されるという声明を発表いたしました。このリコール問題は安全に関わる問題でありますので、公聴会などを通じ、トヨタ自動車が米国を含む内外の消費者の安心と信頼を速やかに回復することに繋がることを期待しております。従来から申し上げておりますように、外務省としてもできる限り、もちろん個別の企業ではありますけれども、これは日本全体にも関わる話でありますので、できる範囲でしっかりとバックアップしていきたいと考えております。

(3)政務三役会議について

【大臣】政務三役会議は特に本日発表することはございません。当面の出張日程について、いろいろと役割分担の話し合いをいたしました。まだ具体的に決まっておりませんので申し上げる段階にはございませんが、5月の連休なども一定の目的をもってお互い手分けして各地を回ろうという方針を確認したところであります。

(4)バンクーバー冬季オリンピック(男子スケート)について

【大臣】最後に、今(大臣執務室を)出てくるところで、高橋選手が銅メダルであったということで、男子フィギュアとしては初めてでありますから、非常に嬉しいことだと思いますが、金(メダル)を逃したのは大変惜しいことだと思います。

米軍再編問題
【時事通信 水島記者】普天間問題ですが、政府がキャンプ・シュワブ陸上案を検討していて、米側に非公式に打診したという報道がありますが、この事実関係を確認したいのと、大臣としてはこの陸上案の実現性の見方についてご意見をお願いいたします。

【大臣】今、検討委員会でいろいろ議論しているところですから、個別のことについて私(大臣)は申し上げません。米国に対して打診したという報道がありますが、私(大臣)は承知しておりませんし、官房長官も明確に否定されていると思っております。

【NHK 梶原記者】普天間の問題を巡って、社民党の福島さんが陸上案に対して反対の意向を表明すると、これに対して国民新党の方からその反発が出る。ある種、閣内といいますか、連立与党内で混乱振りを印象付けるような形になっていますけれども、こうした状況について大臣ご自身どのようにお考えになっていますか。

【大臣】これは検討委員会で、平野官房長官のもとに、他の連立与党も入って議論をしている訳ですから、それが尊重されるべきだと思っています。私(大臣)もそういう観点から「どれが駄目だ」という言い方はしないように心掛けてきたつもりであります。それが、この検討委員会を作ったひとつの意味だと、私(大臣)は考えています。そういう意味では、個別にいろいろ言うことは、検討委員会で一生懸命議論している皆さんに対して、私(大臣)はいかがなものかと思います。

調査捕鯨(シー・シェパードによる妨害行為等)
【共同通信 斎藤記者】日豪関係でお伺いします。間もなく大臣はオーストラリアに出発されますが、そうした中で、本日の報道によりますと、ラッド首相が本日のテレビのインタビューで日本の調査捕鯨について次のように言っております。「外交的な話し合いで止めさせられない場合、次の捕鯨シーズンが始まる今年11月までに国際司法裁判所に提訴する」と述べたそうです。先程、大臣は「できればこの問題は大局的見地から、外交的に解決していきたい」というようなお話があったと私は理解しているのですが、国際司法裁判所に提訴というと、これは少し違うやり方ではないかと、私は受け止めざるを得ないのですが、この辺について大臣の方から所感をお伺いしたいと思います。

【大臣】首相の真意がどこにあるのか、お会いしてよく聞いてみたいと考えています。ただし、首相も「話し合いで解決できなければ」という慎重な言い方をされておりますので、話し合いで解決するということが当然基本でありますので、そう大きな違いはないのではないか、話し合い重視という意味では、首相もそういう考え方を取っておられるのではないかと思います。それから、日本の主張は、我が国の調査捕鯨は国際捕鯨取締条約第8条に従って、公海上で実施する合法的な活動であると考えておりますので、そういった主張をラッド首相との会見でもしっかりと行いたいと、そして意見交換をしたいと思っています。

【共同通信 西野記者】オーストラリアも日本と同じ民主主義国で、国内世論が大きく政治家の判断に影響してくると思いますが、オーストラリア国内にはやはり反捕鯨感情があると。ラッド首相もマニフェストで商業捕鯨を中止するということで選挙を戦われていると聞いております。シー・シェパード問題と、このような反捕鯨感情というものをどのように切り分けて処理していくのか、政府の対応、方針をお聞かせください。

【大臣】今の政権がマニフェストの中で、調査捕鯨について言及していることは承知をしております。そういうことももちろん分かった上で、冷静にしっかりとした議論をしたいと考えております。シー・シェパードの問題はこれとは全く違う、いわば実力行使の話でありますので、そこは全く次元の違う問題であると考えております。人の安全にも及びかねない問題でありますので、その点について、オーストラリア政府の協力もしっかり求めていきたいと考えています。

【オーストラリア新聞 坂上記者】先程のシー・シェパードの問題に関連しますが、日本政府からは取り締まりについて、オーストラリア政府の協力を求めるということですけれども、具体的にどういったことを求められるのかということをお伺いしたいと思います。

【大臣】今回のシー・シェパードの活動家が、日本船舶に乗り込んだことそのものに関しては、オーストラリア政府と直接関係がある訳ではないと思っております。ただ、シー・シェパードの活動全体について、オーストラリアもこの問題について様々な発言もありますので、やはり、そういった危険な暴力的な行為は許されないというとこについて、お互い認識を共有できればと思っています。

【オーストラリア新聞 坂上記者】先程のシー・シェパードの取り締まりの件ですが、「具体的な」というのは、例えばシー・シェパードがオーストラリアの港を使えないようにするとか、そういった具体的なこととかは、ないのでしょうか。

【大臣】シー・シェパードの船舶については、オランダとトーゴとそれぞれ船籍が決まっている訳です。そういう船籍を持った船に対しては、船籍のある国に対して意見をいろいろ申し上げるということは当然できると思います。

【共同通信 西野記者】その関連ですけれども、シー・シェパードの船は、事実認定の問題はあるのですが、他国の旗を立てて日本の船内に近づいたという報道もあります。こういった行為は海賊行為に当たるというのが一般的な見方だと思いますが、海賊行為をやっているような団体に根拠地を与えている場合は、何らかオーストラリア政府に具体的に言っていく可能性もあると思うのですが、そういったことも念頭に置かれているということでしょうか。

【大臣】他国の旗というのは、私(大臣)は事実を確認しておりません。しかし、寄港地になっていたりということであれば、関連はある訳ですので、そういったことについても話し合いをしなければならないと思っております。
 また、先程申し上げましたが、トーゴ政府に対して我が国としてしかるべき申し入れを行ったところでありますが、トーゴ政府はボブ・バーガー号の船籍をはく奪したと聞いております。

【AFP通信 小沢記者】オーストラリア政府はこれまでも反捕鯨の立場を明確にしてきたところですが、大臣がオーストラリアを訪問される前日にこのように非常に強い形で首相が発言されていることについて、このタイミングとそれからその発言の強さについての受け止めを教えてください。

【大臣】いろいろ背景もあると思いますが、率直に申し上げてよくわかりません。ですから、直接会った時にお話を聞いてみたいと思います。

【NHK 禰津記者】先程、トーゴ政府に対して日本が申し入れを行った結果、トーゴ政府が船籍をはく奪したとのことですが、それについてもう少し詳しくお伺いしたいのと、トーゴ政府は今回そういった措置をとったことに対する評価というものをお伺いできますでしょうか。

【大臣】我が国政府としては、「旗国として然るべき措置を取るように」要請をしたところであります。そのことも一つも理由だったというか、そのことがきっかけになったと思いますが、トーゴ政府としては、ボブ・パーカー号の船籍をはく奪するということを決定されたと聞いております。我が国としてその要請に対して結果を出していただいたことに対しては、感謝申し上げたいと思います。もう一隻のスティーブ・アーウィン号についてはオランダ籍でありますが、船籍はく奪について今、法改正を審議中であると聞いています。

【読売新聞 川崎記者】日本政府がトーゴ政府に要請していた内容は「旗国として然るべき措置」と今仰いましたが、その然るべき措置とは今回の船籍はく奪、これを明確に挙げてそれを要請していたという意味なのでしょうか。

【大臣】具体的に外交の内容まで立ち入ってお話しするつもりはありませんが、我々としては、然るべき措置を取るように要請したということであります。

【共同通信 西野記者】捕鯨の関係ですが、調査捕鯨が国際法的に何の問題もないということはご認識として先程表明されたと思うのですが、一方で調査捕鯨の必要性、それから日本にとってのニーズについてはどのようにお考えでしょうか。食文化の問題等も絡めていろいろな問題があると思うのですが。

【大臣】食文化の話と調査捕鯨の話は次元の違う問題です。ですから、調査捕鯨については、個体数をきちんと認識することが種の絶滅とかその危機とか、そういうこととの関連で、きちんとした調査が必要であるということで元々こういう調査捕鯨が行われているものだと考えております。そういう調査は必要であると思っておりますし、きちんと条約の中にそれは位置づけられているということです。食の文化は次元の違う問題で、もし鯨を捕ることそのものがいけないという考え方があるとすると、それはそれぞれ食文化というものをお互い尊重し合うことが必要ではないかと、頭から鯨を捕ること、鯨を食べることに対してそれが間違っていると言われると、お互い多様性を尊重し合うということは重要な価値だと私(大臣)は思っておりますので、それは少し違うのではないかと思っております。

【オーストラリア放送協会 浅田記者】先ほど、日本の食文化と調査捕鯨の立場を教えて頂いたのですが、こちらは、オーストラリアに行かれたときに、ラッド首相に直接説明される予定はございますか。また、捕鯨問題というのは、日豪関係に、また今回の訪問にも影響を及ぼすとお考えですか。

【大臣】ラッド首相、それからスミス外相とは、当然これは議論になると思います。ただ、日本と豪州というのは非常に重要な二国間関係でありますから、そういう中でお互い冷静な議論をしたいと思います。

【大臣】あと、ご質問が出なかったのですが、ニュージーランド大使館の方から発表されたということで、皆さんご存じだと思いますが、在京ニュージーランド大使館員によるシー・シェパード活動家ピート・ベスーン氏に対する領事接見が行われました。昨日の夜8時、在京ニュージーランド大使館の領事が外務省の会議室にて、第二昭南丸に現在、乗船しているベス―ン氏に電話連絡をし、安否確認を行ったところであります。その電話の詳細については、私(大臣)から申し上げるべき話ではございませんが、その結果4点が確認されました。第一点は、ベスーン氏は、肉体的にも精神的にも良好な健康状態にある。第二点は、乗組員の監視の下、同氏には船上で一定の行動の自由が与えられており、個室が与えられている。第三に、同氏は然るべき内容の食事を一日三回提供されている。第四に、同氏は第二昭南丸に乗船したままでの日本への移送を望んでいる。こういった会話の内容については、ベス―ン氏の家族にニュージーランド政府から説明されたと承知をしております。

大臣の豪州訪問(核軍縮、日豪安全保障協力)
【NHK 禰津記者】オーストラリア訪問の中で、今回核軍縮というのがひとつ大きなテーマになると思いますけれども、5月のNPT再検討会議に向けて、今回のオーストラリア訪問は、核軍縮の話し合いはどのような位置づけで考えていらっしゃるか、改めてお伺いします。

【大臣】議論はこれからですので、まだ中身に立ち至った話はできませんけれども、日豪間で例の川口・エバンズ委員会というものも、これは政府とは切り離れた存在ではあるにしろ、報告書をまとめたという経緯もありますから、その委員会の様々な提案の中で注目すべき点について、お互いなるべく認識を共有して、できれば両外相で共同ステートメントなるものを出していきたいと考えております。

【共同通信 斉藤記者】オーストラリアの関連です。捕鯨とは別に、2+2を含めて、今後オーストラリアとの安全保障協力がひとつの大きな課題になっているということですが、改めて訪豪を前に日豪安全保障協力の意義、今後どういった点でこの協力関係が重要になっていくのかということを、できれば分かり易く解説をお願いします。

【大臣】これは実際に会談をやった上で申し上げた方がよいと思いますが、例えば災害時における協力とか、日豪間で協力できる分野というのは私(大臣)はあると思いますので、そういったことについてどういう協力ができるのかということをよく話してみたいと思っています。

閣議後のぶら下がり会見中止
【J-CASTニュース 亀松記者】昨日の夜、MSN産経ニュースのサイトに掲載された記事についてお尋ねしたいと思います。「岡田外相が閣議後の取材拒否へ」という見出しで、「院内でのぶら下がり取材を今後応じないと記者クラブ側に通告した」という記事が載っておりますが、まず事実関係についてこのとおりであるかどうか、お伺いします。

【大臣】私(大臣)は記事の中身は、そう間違っていないと思いますが、表題は非常に誤解を与えるものであると思います。拒否をしている訳ではなくて、記者クラブとも話をしたところであります。なぜそうなったかということは記事にも書かれておりますが、閣議後の記者会見というのは「閣議における発言を紹介する」ということで、最低限のところを行うということです。基本的にはこの場できちんと時間をとってやると、しかもオープンの場で。閣議後のぶら下がりと言うことになりますと、どうしても官邸の中とか国会の中ですから、なかなか事実上入れない記者の皆さんも多い訳ですから、それは最低限の発言の紹介に留めるということでスタートしたものであります。ただ、先日の閣議において「自らの発言も含めて、閣議におけるやりとりは対外的に公表しない」ということが改めて官房長官から言われました。ただ、唯一例外は、一定の発表文、発表に関わる部分については良いということでありましたので、それは発表に関わる部分というのは、速やかに外務省として、文書で発表するということでありますので、そうすると、ぶら下がりをやっても何も発言できないということになります。それは、お互い負担になるだけで「何もありません」と毎回言うのもいいのですが、実質的にそういうことであれば、止めてもいいのではないかということであります。なお、何と言いますか、「いろいろな出来事があったときに週二回の会見だけでは十分ではない」という記者の皆さんからのお話がありましたので、それは必要に応じてぶら下がりはやりますと。ただし、ある程度時間的な余裕を見ないと、そこにすぐに来れない記者もいますので、そういうことは考えながらやらせて頂きますと申し上げたところであります。これが事実関係であります。

【読売新聞 村尾記者】今の発言の関連ですが、一方で、取材機会が減るという指摘もありますし、そもそも発信する機会が減るのではないかという懸念もあると思うのですが、それについての見解をお聞かせ下さい。

【大臣】お約束は「閣議での発言をお話しする」ということでありましたので、それ以上の発信はない訳です。それはお約束と違う訳ですから。「閣議の発言は対外的に公表しない」という改めての申し合わせが閣内で行われましたので、そういう意味では論理的に考えても、何もものを言えないということでありますから、私(大臣)が毎回行って「何もありません」とだけ言って去るということも可能ですが、それは全く形式に過ぎませんので、止めるということは、私(大臣)はそれ以外に答えはないのだろうと思います。

【読売新聞 川崎記者】閣議後の会見ということで、他の閣僚の方々は閣議の直後にずっとやっていらっしゃいます。結局大臣だけが閣議後のぶら下がり会見も含めて取材の機会がなくなるということで非常に記者として残念なことですが、閣議後の会見というのは、この会見もそうですが、あらゆる重要政策、或いは政局についてタイムリーな話についても政治家としての大臣の見解をお伺いしたいということも非常にある訳です。その中で、閣議後のぶら下がり取材の機会は我々の貴重な機会として、削減をして欲しくなかったという点では非常に残念です。「閣議のこと以外は発言しない」という括りを最初にされたのは大臣のお考えですが、閣議以外のことも是非聞ける機会として閣議直後のぶら下がりは是非続けて欲しかったということですが、閣議直後に他の閣僚の方々全員に対してお話をお伺いしたいときに岡田大臣だけ(話が)聞けない、或いは岡田大臣だけが「発信がない」となることについて、改めて大臣の見解をお伺いします。

【大臣】今のお話だけ聞けば何か取材を制限しているように聞こえますが、全体を見て考えて頂きたいと思います。どこの省庁で、オープンで、そして1時間近く毎週2回、こういう形で会見をしている、そういう大臣がいるだろうかということです。閣議直後が良いか、それとも改めてこういった形で行ったほうが良いかということは、最初に随分議論を致しました。閣議直後に官邸内や国会の中であれば、それは一部の人しか参加出来ない、端的に言えば記者会の皆さんしか参加出来ない、後の人はなかなか入るのが容易ではない、そういう中で取材の機会が偏ってしまうので、それよりはこのような会見の場で、オープンで取材機会に偏りがない中でやるべきだというのが私(大臣)の基本的な考え方です。そういう(会見を)オープンにしていない大臣が国会の中や官邸でされるのは、それは一つの考え方だと思いますが、私(大臣)が見ていても、長くても10分か20分で(会見が)終わっている大臣が多いと思います。これだけ長時間、いろいろな質問に答えている大臣はあまりいないのではないかと思います。どちらが良いかという選択の問題、特にその選択というのは、それは聞き手である国民の皆さんにとってどちらが良いかという観点で決められるべき問題だと私(大臣)は思います。

【読売新聞 川崎記者】今、選択の問題だと仰られましたが、時間をとってきちんとやるということに関して、この大臣のお考えには敬意を表します。午後に時間をとって会見を開くのと同時に午前中もと、両方を両立するというお考え方は出来ないでしょうか。

【大臣】それは、回数を増やすという以上の意味はないのですが、つまり「閣議のことを話してはいけない」ということになれば、他の大臣で1日に2回記者会見をやっている人がどこにいるかということです。

記者会見のオープン化
【フリーランス 畠山氏】記者会見のオープン化について、先程、大臣は「どこの省庁でオープンで1時間近く会見を開いている大臣がいるだろうか」と発言をされました。この発言の根底には、ご自身が一番、会見のオープン化を進めているという自信の表れだと理解してよろしいでしょうか。

【大臣】他にもいくつかの省庁がオープン化を目指してやっておられると聞いております。私(大臣)は、外務省は元々、海外のメディアに対してオープンであったり、その職責上と言いますか、他の省庁とは少し違うところがあったと思いますが、目指すべき方向としては、ひとつのモデルになればいいと思っております。

【フリーランス 畠山氏】「ひとつのモデルになればいい」ということですが、他の大臣に「うち(外務省)はこれだけオープンにしているのだけれども、今のところ何も問題がないので、皆さまもやられたらどうですか」というような提言をされるおつもりはございますでしょうか。

【大臣】それはそれぞれの大臣の判断ですから、私(大臣)があまり押しつけがましく言う必要はないと思います。

報償費
【週刊金曜日 伊田記者】外務省の報償費に対する件でお伺いします。本日閣議決定された鈴木外務委員長に対する答弁なのですが、外務委員長の方で「例えば書類がなくても上納の慣行に直接携わっていた者等の関係者に話を聞く等の方法により調査をすることは可能であると考えるか、平野長官の見解如何」ということなのですが、答弁では「過去の政権に関わる事項でもあることから、現内閣としてこれ以上の調査結果を期待することは困難であると考えている」という決定があります。鈴木外務委員長の方としてはこの問題についてかなり積極的であると考えるのですが、国会の場で「これはきちんと調査したい」というような動きになれば、大臣の方としても協力する意思はあるのでしょうか。

【大臣】まず、報償費の性格上、非常に難しいと思います。今まで報償費のその使い道について政府の側から明らかにされたことはないと思います。そういうものについて、ましてや時間がたっているものについて、何か結果が出てくるというようには私(大臣)は思えません。もしあるとしたら、この前平野官房長官が言われように「当時の関係者、或いは官房長官経験者にお話をいただく」ということしかないのではないかと思います。

【週刊金曜日 伊田記者】国会の場でこういった調査をするということになれば、大臣として協力されるようなお考えはありますでしょうか。

【大臣】協力するもしないも、私(大臣)としてはわかっていることについては、基本的に質問主意書の中でそういった外交用務に使っていた時期があったということについてお話をさせていただいたところであります。

観光立国
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読します。以前にもお伺いしました「観光立国」についてです。昨年679万人だった訪日外国人数を、2013年には2500万人と2.2倍の増加を掲げています。中国人観光客の招致が重点の一つかと思いますが、個人観光ビザの制限の緩和などで、この大きな目標の実現にどれぐらい貢献できる見込みでしょうか。また、これ以外の外務省としての政策がありましたらお聞かせください。

【大臣】ビザの発給の条件を緩めるということは、観光客を誘致するための大きな手段であると思います。ただ、一方で緩めた結果の弊害も予想されますので、そういったことについて外務省として観光立国の重要性は当然賛同しつつも、そういったマイナスの面についても気を配りながら、最終的にどうするかということを決めていかなければいけないと思います。もう一つ、物理的になかなかビザの発給がタイトと言いますか、かなりの事務量になっていますので、そういうことについてもきちんと対応していかなくてはならないと思います。たしか今中国の中で北京と広東と上海の3カ所だったと思います。それを増やすということも一つですが、そのためには人が必要になりますので、そういったことについてもよく議論していきたいと思います。

米国におけるトヨタ自動車のリコール問題
【日刊ゲンダイ 小塚記者】トヨタの問題に関してですが、以前大臣は日米関係において「心配しています」と仰っていたと思うのですが、現状を見ると、社長が公聴会に出席するかどうかの問題を巡って、状況は悪化していることはあっても、良くなっているようには見えない部分があるのですが、まず現状を心配していらっしゃるということをどうお考えになっているのかということと、先程、「バックアップをしたい」と公聴会に向けて仰っていましたけれども、具体的にバックアップとはどういったことがあるのかについてお願いします。

【大臣】バックアップというのは、もちろんトヨタは私企業ですから、それからトヨタは大きな会社ですから、自分で出来ることが多いと思いますけれども、しかし日本政府として、例えば外交ルートで大使館の機能を使って出来ることがあると思いますので、そういったことについてバックアップしていきたいと思います。もちろん、これは安全に関わる話ですので、無条件にトヨタをバックアップするということではなく、意思疎通が、コミュニケーションがきちんと行われ、誤解というものがないようにバックアップしていくということです。トヨタの豊田社長は17日の記者会見で「公聴会の出席は先方からの指名が来た段階で考えたい」と言われて、今回、「正式に招致されたので、喜んで伺いたい」と言われた訳で、私(大臣)はその間豊田社長の主張というのは一貫していると思いますが、一部の報道ではそれが「出ないと言って、出ると言った」などど伝えられているのは非常に残念なことだと思っています。

【NHK 吉田記者】トヨタの関連で、大臣冒頭に「この問題は日本全体に関わる問題だ」というような発言をされましたが、その具体的な意味合いを教えていただけますか。

【大臣】これはトヨタ自動車という個別の企業の安全に係わる問題でありますが、やはり、「メイド・イン・ジャパン」という、トヨタはメイド・イン・USAもありますが、日本の技術とか商品に対する信頼に響きかねない問題だと思います。それから、トヨタの関連の企業などを含めると非常に裾野が広い訳ですから、もちろん事実として様々な減産を余儀なくされたり、或いはリコールすると、それが必要なことについては当然ではありますが、もしミス・コミュニケーションに基づいて、そういうことが必要以上に拡大するということであれば、なるべくそういうことは防ぎたいと思うことは、私(大臣)は日本政府として当然のことだと思います。

民主党の政策調査会
【NHK 禰津記者】今、民主党で政策調査会を復活させようという動きがあると思うのですが、今の政策会議では十分な議論が出来ていなくて形骸化しており、国会議員の意見が届いていないという意見が背景にあると伺っています。こういう政策調査会を復活させるという動きについて、大臣はどのようにお考えですか。

【大臣】これは、民主党の中で、或いは政府の方でもよく議論したらいいと思います。確かに「議論の場が非常に限られている」という声がよく聞こえてきます。外務政策会議も開いていますが、我々もなるべくそれを数多く開いて、いろいろな意見を言っていただく努力はしていますが、やはり組織として、いわば外務政策会議というのは外務省が開いている会議ですから、党の方で何らかの組織が必要だという議論は当然あると思いますし、例えば、議員立法等はどうするか、また、マニュフェストはどこで議論するのかとか、そのような問題が提起されておりますので、党の中で、或いは政府の中で議論したらいいと思います。ただ、最終的には「政策については政府で」ということでありますので、どういう形で行うのが一番いいのかということは、様々なアイデアがあり得ると思いますので、そういったアイデアの中で何が一番いいのかをよく議論すべきと思っています。




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