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2009.12.18|記者会見

外務大臣会見記録(平成21年12月18日)

外務大臣会見記録(平成21年12月18日(金曜日)15時00分~ 於:本省会見)

○冒頭発言-(1)大臣のロシア訪問について
      (2)EPA・WTO閣僚委員会について
      (3)政務三役会議について
○米軍再編問題
○大臣のロシア訪問
○習近平国家副主席の訪日
○来年度ODA予算
○東アジアサッカー選手権北朝鮮籍選手団の入国の扱い
○COP15

○冒頭発言-(1)大臣のロシア訪問について
【大臣】本日は私(大臣)からは2点です。第一点は、まずは私(大臣)自身のロシア訪問の件でございます。12月27日から28日にかけて、正確に言うと29日の朝に戻る予定ですが、ロシアを訪問し、28日にラヴロフ外相と外相会談を行いたいと考えています。鳩山総理とメドヴェージェフ大統領の間では、何度か首相会談が行われていますが、その場でも外相間での議論の必要性が指摘されています。ラヴロフ外相と、領土問題も含めて広く協議をしたいと考えています。それ以外の他の要人との会談については現在調整中です。

(2)EPA・WTO閣僚委員会について
【大臣】第二点は、今朝行われました第2回EPA・WTO閣僚委員会のご報告であります。赤松農水大臣、直嶋経産大臣、それから財務省の藤井大臣はご欠席でしたが、峰崎財務副大臣他関連の副大臣も出席して頂き、第二回のEPA・WTO閣僚委員会を開催いたしました。今日の議題はEPAの対応、特にペルー、インド、豪州、それからWTOドーハ・ラウンドへの今後の対応ということで 約30分間ですが、かなり効率的にいい意見交換ができたと思います。ペルーにつきましては、メキシコやチリといった既にEPAを締結している先例がありますので、それに習ってしっかりと対応すべきだということで、その方向性については意見の一致をみました。通常国会開催前ぐらいのタイミングで考えていますが、次回までにより具体的に、特に農水省の方で様々ご検討頂くということになりました。インドにつきましては、もう少し論点の整理が必要だということで、確定はしておりませんが近々首脳会談の話もございますので、それにも備えられるように論点を明確にしておこうということでございます。豪州は先般、ラッド首相と私(大臣)、或いは鳩山総理との間で議論した際に日豪の行方についても話題に上っています。具体的に豪州関心の4品目について、我が方としてどう対応していくか、これも農水省案件ではありますが、そういったことについて意見交換をしたところでございます。そして、WTOドーハ・ラウンドへの今後の対応ということですが、いずれにしても次回までにもう少し議論を整理しようということに致ました。今回は第二回目だったのですが、かなり具体的に論点を副大臣会議で煮詰めて頂いて、大臣間で方向性についてしっかり議論をするという形が整ってきたかなと思います。こういう問題はやはり政治主導で進めていかなければなりませんので、しっかりと今後とも対応していきたいと考えています。

(3)政務三役会議について
【大臣】最後に政務三役会議ですが、今日は私(大臣)からこのEPA・WTO推進閣僚委員会、或いは昨日の繰り上げ閣議の報告、或いは防衛力整備の方針等々についてお話をし、武正副大臣からは在勤手当の見直し等について、或いは公益法人の見直し作業等についての報告がありました。吉良政務官からは自ら今日出席された成長戦略確定検討チームにおける議論といったことについての説明があったところでございます。西村政務官からは、政策会議を基本的に週一回副大臣を筆頭に開いておりますが、今後のあり方について、もう少し委員会の所属の委員の皆さんと与党の、民主党のと言うべきか、意見交換がしっかり出来るような仕組みをしっかりと整えた方がいいのではないかという問題提起の下でもう少し具体案を煮詰めようとなったところです。

○米軍再編問題
【フリーランス 岩上氏】昨日、大阪府の橋下知事が上京されまして、全国知事会の戦略会議の席上で全国の知事の方々に向かって、沖縄の基地負担の問題を他の都道府県で分かち合おうじゃないかということを提案されました。そして記者会見等でも同様のアピール、もし政府から関西空港に(基地を移転)という話があったならば、きちんと前向きに受けて話し合いに応じるというアピールをされておりましたが、改めてこの件に関して大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】まず知事が基地問題の負担を沖縄だけではなくて全国的に分かち合おうと言っていただいたことは、非常にありがといことだと思います。まさしくこれは国民全体で負担の問題の共有というものを図らなければならないと思います。米軍の抑止力というものを我が国が必要としている以上、単にそれを受益するだけではなくて、その負担についても分かち合っていくというのは正しい指摘であって、それを橋下知事から言っていただいたということは歓迎すべきことだというように思います。関西空港の話は、これからもう少し様々な議論が出てくるものと思いますが、一方で関西空港と伊丹空港、神戸空港との関係をどうするのかという議論もあるやに聞いております。米軍に滑走路を一本貸すということは、伊丹空港の部分を関西空港に集約するという話と明らかにかち合う話でありますので、この辺りをどのように大阪府自身が、或いは大阪の経済界なり、両者の皆さんが考えておられるのかということもこれからよくお聞きをしていきたいというように思っております。まだ税金もかなりつぎ込んで二本目を作ったばかりですから、「それを米軍に使ってください」と言っていただくのはありがたいですけれども、一方で納税者の納得をいただけるのか等様々な問題があると思います。

【毎日新聞 野口記者】普天間基地の関連ですが、沖縄の米軍基地の抑止力について大臣はどのように考えておられるのかをお尋ねします。どのくらい必要なのかと、必要であれば海兵隊がどのくらい必要なのかをまず決めないと、鳩山総理は「他の移転先を」という指示をしていますが、議論が進まないと思いますので、そこの基本的な見解をお願いいたします。

【大臣】定量的に言うことは非常に難しいご質問だと思います。もう少し具体的に言っていただいた方がいいかと思います。

【毎日新聞 野口記者】海兵隊が沖縄に必要か必要でないかという基本的なところをお願いいたします。

【大臣】海兵隊が沖縄に必要かというのは、これまた難しいご質問で、ご質問の趣旨が沖縄に必要だというように言っておられるのか、日本に必要かと言っておられるのかよくわからないのですが、海兵隊は非常に機動性のある存在でありますので、沖縄に必ずなければならないかと言われれば、それは様々な議論があると思いますが、私(大臣)は日本にとって必要な存在であると少なくとも思っております。

【共同通信 上西川原記者】鳩山総理が15日だと思いますが、ぶら下がり(取材)で「辺野古以外の移設先を見つけていきたい。それを実現させる環境を全力で作っていきたい」と発言されましたが、これは岡田外相を含めて政府の中である程度共有できた認識なのでしょうか。

【大臣】この前の基本政策閣僚会議において決めたことは、私(大臣)がこの前にここ(記者会見)で申し上げたように、「三党で協議をしていく」ということです。官房長官も同じことを言われたと思いますが、それ以上のことは外に出せる形のものはないというのがその時の共通認識でありますので、若干それ以外のことを発言された会議の出席者もおられますので、そこは私(大臣)は戸惑いを覚えますけれども、前回その会議、基本政策閣僚会議での確認では、あの会議の段階では「三党でよく協議していこう」ということだけを外に出していこうということでした。それ以上のことは、様々な話し合いはしておりますけれども、基本政策閣僚委員会で内々で決めたことも含めて、そういったことをどういうタイミングで出していくかということは官房長官に一任されておりますので、私(大臣)がその内容の一部をここで申し上げたり、或いはその一部を前提にしてお答えするのは適切でないと思っています。ただ、そう遠くなく方針はきちんと出されるというように確信しております。

【琉球新報 滝本記者】抑止力の件に戻りますが、沖縄に必ずなければならないのかというと様々な議論があると思っているというように仰ってられましたけれども、その意味で大臣は海兵隊が沖縄になければならないのかということについてはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】例えば沖縄でなくて九州ならどうかとか、そういうように聞かれるとそれは色々な答えがあると思います。なければならないかと言うと、なければならないということではないかも知れません。しかし、どちらがベターかという話はあると思います。それ以上はなかなか抽象的には言いにくいと思います。しかし、日本全体で考えた時に私(大臣)は海兵隊は必要であると考えております。

【朝日新聞 鵜飼記者】関連ですが、「日本全土にとって必要だ」ということは、社民党などは「沖縄駐留の海兵隊全てをグアムに移してもらったらいいのではないか」と議論されていますが、大臣としてはその考えに反対されているという議論でよろしいでしょうか。

【大臣】そういう議論になってくると、また議論が混乱しますので、あまり申し上げるべきではないと思いますが、海兵隊の抑止力、もちろん、抑止力というのは、米軍全体の抑止力であります。しかし、海兵隊の抑止力というものを期待したいと考えるのであれば、それは「日本の外に出てくれ」ということは、あまり通用しない議論ではないかと思います。

【ロイター通信 スイード記者】普天間についてです。先程(大臣は)「そう遠くなく方針を出せると確信を持っている」と仰ったと思います。総理はコペンハーゲンを訪問する前に「即に方針を出せる」と言われましたが、結局「三党で協議する」という方針が出されました。決まったという訳でもないし、何回も決めるということが言われていて、なかなか決められないということが、世論調査などを見ると、国民の中で「この政権は決断力があるのか」という心配が多少出ていると思います。決めるまで言わない方がいいのか、それとも、本当にこの政権は、普天間基地問題だけではなくて、いろいろな難しい問題について決断力を持っているということを国民に見せることができるのでしょうか。

【大臣】前回の基本政策閣僚委員会で確認はされております。ただ、それを直ちに出すことはしないということで、「三党でよく協議をする」という方針だけを出させていただいたということです。それ以上のことは、官房長官が方針を発表される際にご説明があると思いますので、私(大臣)が勝手にお話しないほうがいいと思っています。別に決断できない訳ではなくて、基本的には方針は固まっていると、確認されていると考えて頂いていいと思います。いつ出すかの判断は官房長官にゆだねられているということであります。それから、一部のマスコミの「方針を決める」ということと、「どこにするか決める」ということとは違いますから、その辺は若干混同されているところがあるのかと思います。そして、私(大臣)と総理の間で、二週間ほどずっと議論を重ねて参りましたが、この問題については、認識について全く一致をしているとこ
ろであります。

【NHK 梶原記者】昨日、総理と関係閣僚の協議が普天間問題についてあったと思うのですが、その中で、鳩山総理がキャンプ・シュワブ沖に代わる新しい移設先を見出したいという考え方を示したと承知しているのですが、この点については大臣と考え方は一致しているのでしょうか。

【大臣】中身をいろいろと申し上げると、先取りすることになりますが、昨日、何か新しいことを議論した訳ではありません。もうすでに、私(大臣)と総理、或いは関係閣僚の間で考え方は一致しております。それをどういうタイミングで出すかの問題です。昨日、新たにそういったことで議論したということはありません。

【日経新聞 山内記者】先程の質問と重なるのですが、「辺野古ではない地域を模索する」と、「できれば、『決める』という状況をなんとしても作り上げていきたい」と、一国の総理大臣がそう仰っています。(大臣は)「外相と総理の認識は一致している」と先程仰いました。これについて確認なのですが、現行案で決着するという可能性はどう見ていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】ですから、私(大臣)は、その総理のコメントにもコメント致しません。やはり、決めたことは官房長官がきちんと発表するということですので、その発表をもって私(大臣)はコメントをしたいと思います。

【沖縄タイムズ 吉田記者】宜野湾市長が前から盛んに言っている米国の海軍のアセスの文書ですが、大臣と市長の考えが食い違っていることは、多分、大臣が海兵隊の定数1万8千人を前提に考えていらして、市長は実際にいる数を前提に考えているので、話がかみ合っていないのではないかと思います。大臣は、グアム移転が実現したら、沖縄に残る数が1万8千引く8千で1万人残るという認識ですか。

【大臣】伊波市長と私(大臣)の認識の違いがどこにあるかということは、私(大臣)は必ずしも、今おっしゃったようなことだけなのかよく分かりません。いずれにしても、外務省と防衛省でグアム移転に関する調査について今精査しておりますので、それを待って正式にお答えした方が良いと思います。ただ、今のご質問について言わせて頂くと、確かに今イラクとかアフガニスタンといったところに海兵隊も出ておりますので、現時点で見れば少なくなっているかもしれませんが、それはまた状況が安定すれば、戻ってくる訳ですから、今の状況だけを前提に議論するというのは、私(大臣)は成り立たない議論だと考えております。

【NHK 別府記者】政府方針について、あるけれども三党で決まったということだけを公にしようと、それ以外のことは時期を見て発表して・・

【大臣】三党で協力してやっていくことだけを確認したと。それを出すと言うことだけを確認したということです。

【NHK 別府記者】しかし、それ以外に決まっていることはあるということなのかなと理解するのですが、前回の会見では、政府方針というのは「三党で協議していこうと言うことが決まっただけであって、それ以外のことは、もっとしっかりとした方針を決めたいという可能性を年内に決めたい」という可能性を諦めた訳ではないというご発言と私も理解したのですが、本当はあったのに発表をここまでにしようということだったのか、それともそこまでしか決まっていなかったのかについて、どちらが本当なのでしょうか。

【大臣】いかに私(大臣)が真面目かということなのですが、もう一回きちんと決めるというセレモニーをするというのも1つの考え方です。ただ、それだと時間がかかるので、官房長官が発表することでいいのではないかという方向だと理解をしております。ですから、前回の段階では、もう一回やる可能性もありましたし、とにかく出していいのは「三党でよく協議をしよう」と言うことだけであると、決まったのはそれだけであるという確認をしておりますので、その通り申し上げた訳であります。ただ、もう一回新たに基本政策閣僚会議を開いて、事実上確認されたことをセレモニーするまでもないのではないかということが今の方向です。こうやって馬鹿正直に決めた方針に従ってやっているのは、私(大臣)ぐらいかもしれません。ぞろぞろといろんな意見が出てきますから。

【共同通信 上西川原記者】普天間基地問題の政府方針の件ですが、一応確認されているということですが、米国にとってみても非常に強い関心を示しているというか、大事な日米関係の中でも大事な話ではないかと思います。政府としてある程度決まった段階、公になった段階で、外交当局のトップとして、きちんと向こう(米側)の外交のトップと会われて説明されたいというお考えはおありでしょうか。

【大臣】会わなくても、説明はきちんとできると思っております。但し、説明はきちんと尽くしたいと思いますが、会うことが必然ではないと思います。

【朝日新聞 倉重記者】先程のお話で、政府としての方針は「基本的には決まっていて、いずれ官房長官の方から発表があるだろう」と仰いましたが、その時に「どこにするかを決めるとはまた別の話だ」ということを大臣は仰っています。一番、国民からすれば移設先が最終的にどこになるのか、というのが最終的な決断だと思います。この見通しというのは政権の中で、その決断がなされる見通しというのがあるのかどうか、教えていただけますでしょうか。

【大臣】もちろん、どこに移設するかということは、やがて決めなければいけません。それは当然のことです。

【朝日新聞 倉重記者】次の官房長官会見でも、そこまでの話はないということでしょうか。

【大臣】私(大臣)もずっと「政府の方針」という言い方を、この場でもしてきたと思います。どこに決める、というのを今決められると考えられるほど、私(大臣)は楽観的ではありません。

【琉球新報 滝本記者】抑止力の話ですが、「沖縄には、なければならないということではないかもしれないが、ベターなという選択で」と仰いましたが、それは「沖縄に、なければならない訳ではないかもしれないけれど、沖縄に基地を置くのはベターな結果」という意味で仰られたのでしょうか。他のところに行ってもいいはずなのだけど、政治的決着とか、いろいろなファクターも含めてベターな結果として、今まで沖縄になってきたということでしょうか。

【大臣】今までの議論をしているのではなく、ご質問が一般的な質問ですから、白地で考えたときのお答えを申し上げただけです。地理的には沖縄の方が、例えば、北海道や本州に置くよりは、おそらく良いという判断はあると思います。そういう意味で、沖縄の方が戦略的な視点から見ると優位性があると思います。もうひとつは、今まで(基地が)あったということですから、全部根こそぎ移すということは、かなりのエネルギーを要することであります。そういう意味でも沖縄というのが、より考えられ得るということです。しかし、沖縄にはあまりにも多くの基地がありますから、そのようなことも考えて、これからどうするかということを議論していくということだと思います。

【NHK 別府記者】「実は決まっているけれども、まだ明らかになっていない」というその政府方針ですが、この問題の外交上のパートナーである米国に理解を得るために、この間、どのような外交努力を行ってきて、これからも行っていきたいというお考えでしょか。

【大臣】私(大臣)は、そういったことをいちいち話す立場にはありません。しかし、私(大臣)が成すべきことはきちんとしていると考えております。

【琉球新報 滝本記者】日本全体として海兵隊の抑止力が必要であるとのお考えですが、何に対しての抑止力か、具体的にどのように考えているのかをお聞かせ頂きたいと思います。

【大臣】日本を取り巻く安全保障環境を見たときに、有事が発生した際、機動的で、そして様々な能力を持った海兵隊の抑止力というものが紛争が発生すること自身をまさしく抑止することに繋がりますし、或いはその機動力が日本の安全にとって有用であるという場面が当然考えられると思っております。

【読売新聞 石川記者】大臣はかねがね方針が決まったら、再度沖縄に行って説明をするというお考えを示してらっしゃいましたが、官房長官がその方針を示されたら、再度沖縄に行かれるご予定があるのかということと、現在止まっている日米閣僚級のワーキング・グループの扱いをどうされるお考えでしょうか。

【大臣】方針が示されたら、私(大臣)はいつでも行く用意はあります。率直にお話を申し上げて、様々な意見を頂くのは私(大臣)の仕事だと思っています。ただ、少し役割を整理した部分もありまして、沖縄は沖縄担当大臣がおられますので、前原大臣が中心になって、勿論われわれもそれを補佐して、やっていきたいと思います。勿論、外交交渉は外務大臣の本務でありますので、私(大臣)がやるということで、少し整理をさせて頂いたところであります。官房長が全体をしっかりと把握をして、言わば司令塔になるということだと思っております。 それから、今あるワーキング・グループは、現在のプランを、つまり辺野古への移転ということを前提に、なぜそうなったのかということを検証するというのがワーキング・グループに与えられた命題であります。それと必ずしも一致しない方針が示されるということになれば、このワーキング・グループをそのまま動かすということはならないと思います。しかし、多少、このワーキング・グループで行うべき目的を拡大して動かすということはあるかもしれません。特に、沖縄の負担軽減のために個別にいろいろと議論されていることについては、どこかできちんと日米で議論できる場があった方がいいと思っております。

○大臣のロシア訪問
【共同通信 西野記者】ロシア訪問についてお伺いします。領土問題、それから、様々な問題について意見交換していきたいということだったのですが、領土問題というのは、どのようなことを確認していきたいのか。それから、その他いろいろと経済関係等もあると思うのですが、それについてもう少し詳しく、意気込みと抱負、獲得目標等も含めてお願いします。

【大臣】あまり気負わない方がいいと思います。冷静に議論したいと思います。領土問題も含めて、私(大臣)は、これはやはり短期間で劇的に進む話ではないと思います。少しずつ積み上げていく話だと思っていますので、外相レベルでも何回もやる必要が出てくると思いますが、今回はそのためのスタートであるというように考えております。

【北海道新聞 佐藤記者】ロシア訪問に関連して、北方領土問題の現状認識についてお聞きします。鳩山総理は早期の解決に非常に意欲を示していますけれども、現状としては日本政府側の発言に対して、ロシア側が反発したり、或いは、ロシア側は4島での経済交流を求めてきて、日本側がそれは難しいと言ったりと、いろいろと溝もあるかと思うのですが、大臣はどのようにご覧になっていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】目の前のいろいろな混乱はありますが、大局的に見れば、やはり極東ロシアにおいて、日本の技術なり、資本なりをできれば求めたいという考え方はあると思います。それから、今、ロシアは、メドヴェージェフ大統領、プーチン首相という比較的安定した強い政権が存在しており、そういうことはいろいろな交渉をする際に、プラスの要素だと基本的には考えております。ただ、これは随分時間のかかっている話でありまして、それぞれ国民感情がございますから、そういう意味であまり楽観的にならずに粛々と一歩一歩進めて行くということが、私(大臣)は正しい方向性ではないかと思っております。

○習近平国家副主席の訪日
【フリーランス 安積氏】習近平副主席の来日の関連についてお伺いします。丁度、習副主席の来日と重なる形で、ウルグアイのバスケス大統領夫妻が来日されました。双方とも実務訪問賓客ということで、街路旗の掲揚は必然的ではなかった訳ですが、ナンバー1のウルグアイの国旗は掲揚されなくて、ナンバー6の中国の国旗は掲揚されたという判断の基準というのは、どういうものなのでしょうか。また、その件につきまして、中国から、何かアドバイスと言いますか、申し伝えといいますか、「何かしてくれ」というようなことはなかったのでしょうか。

【大臣】私(大臣)が承知している限りございません。どうして中国であってウルグアイでないかと(いうことですが)、本来どちらも掲揚しなければいけないというルールにはなっておりません。言い方が難しいのですが、「どっちが良くてどっちが悪い」というように、私、外務大臣が言う立場にありません。しかし、日中は隣り合う国でありますし、やはり、習近平氏は将来のリーダーと言われている人ですから、裁量の中でそういうことが念頭にはあったかと思います。

【共同通信 斉藤記者】習近平副主席と天皇陛下との特例会見について、一つ質問をお伺いします。「天皇陛下が外国賓客と御引見される」という行為は、国事行為でしょうか、それとも国事行為ではないのかについて、その点とその理由についてお伺いします。

【大臣】国事行為とは、憲法に規定されたものですから、国事行為ではないと思います。公的行為というものが、普通の解釈だと思います。

【J-CASTニュース 亀松記者】習近平国家副主席と岡田大臣が16日に会見されていると思います。その時に話し合われた内容と、習副主席に対する印象について、どのような人だと感じられたのかをお聞かせ下さい。

【大臣】私(大臣)の前には、(習副主席は)東京での会見を、各党を含めて、全部終えられた最後でしたので、その感想をお聞きしながら、外務大臣として、どうしてもしっかり議論しておかなければならないいくつかの点については、提起させていただきました。一つは少し広報にも掲載させていただいておりますが、東シナ海の油ガス田の話です。他にもありますが、表には出しておりません。かなり、日中双方共に人が多かったものですから、詰めた議論という状況にはなりませんでした。引き続き、日本がそういう問題に大きな関心を示しているということは伝えられましたので、もう少し、例えば外相レベルとか、或いは局長レベルで詰めていきたいと思います。
 「習副主席と私(大臣)は年齢が同じです」という話をしましたら、「いや、私の方が一ヶ月早いですよ」と言われましたので、向こうもよく調べていると思いました。6月15日の誕生日だそうです。私(大臣)は7月14日で、私(大臣)より1ヶ月早いです。(習副主席は)非常に落ち着いた、話し易い方だと思います。中国の指導者の一つのスタイルを感じることができました。

○来年度ODA予算
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読致します。削減化傾向にありますODA予算についてです。2010年度予算は、民主党政権が誕生してから、初の本予算となりますが、16日、政府はODA予算につきまして、今年度に比べて6~7%削減する方向で検討に入ったとの一部報道がございました。近年のODA予算の削減化傾向に対する大臣のお考えや外交面での影響などについて、改めてお聞かせ頂ければと思います。

【大臣】来年度予算については、今、政府の中で検討中であって、一部の憶測を持った報道については、私
(大臣)はコメントいたしません。もちろん、事業費ベースで考えるのと、予算で考えるのとでは、大分違います。例えば、アフリカに対するODAなども、一時期は日本が世界1位だったのですが、今やそのウェイトは次第に下がってきているということは事実であります。国民の中には確かに、これだけ国の中が苦しい中で、或いは困っている人が多い中で、どうして外国にそんなに支援するのだという声があるということは私(大臣)もよく認識しております。しかし、例えば、アフリカなどで、本当に病や飢えに苦しむ人に対して、同じ人間としての共感を持って、最低限のことはしっかりやっていくと、それが日本という国のあり様だと思っておりますので、そういうことはもっとしっかりと外務大臣として伝わるようにしていきたいと考えております。

○東アジアサッカー選手権北朝鮮籍選手団の入国の扱い
【フリーランス 岩上氏】北朝鮮の女子サッカーチームの入国の問題についてお聞きします。この入国問題で、武正副大臣が(北朝鮮チームを)「入国させてくれ」と要請したと報道が一部であり、そして、その報道に関して、「それは事実と違う」ということを昨日の記者会見でご本人が否定されたということを伺っています。昨日、金融庁の記者会見で大塚副大臣がその副大臣会議に出席していて、「全く、一切そのような発言はなかった。この報道は捏造である。抗議したい。」とかなり強い調子で否定されておりました。結構由々しき問題なのかと思いますが、大臣の方からこの問題についてのお考えをお聞かせ下さい。

【大臣】私(大臣)は副大臣会議に出席しておりませんので、そこでどのようなやりとりがあったかということは承知しておりません。いずれにしても、この問題はサッカー協会が「そういった北朝鮮の選手も日本に入国させてもらいたい」とお考えであれば、意を提して、文部科学省の方で、政府の中でよく説明をして、はたして制裁の例外たり得るのかどうか、ということについて意志決定をしなければいけない問題だと考えています。

○COP15
【時事通信 鈴木記者】コペンハーゲンで開かれているCOP15ですが、交渉の現状をどのように把握なさっているのかと大臣のお考えや方針をお願いします。

【大臣】午前中に福山副大臣から電話がありまして、明け方の午前4時だと言っていましたが、徹夜で作業しているということでありました。総理の簡単な演説といいますか、考え方を述べられる場面もあるので、その準備もしているということでしたが、状況はかなり混乱しているということが言えると思います。しかし、世界から首脳が集まって議論している訳ですから、最終的には一定の結論に至ると私(大臣)は確信しているところです。




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