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2009.12.08|記者会見

外務大臣会見記録(平成21年12月8日)

外務大臣会見記録(平成21年12月8日(火曜日)15時40分~ 於:本省会見室)

○政務三役会議
○米軍再編問題
○日米安保50周年
○米朝協議
○北朝鮮・拉致問題
○米軍流弾事件
○中国人権活動家
○対アフガニスタン支援
○いわゆる「密約」問題に関する調査
○道路にロープ・ミニバイク転倒事件(米兵の子らの逮捕)

政務三役会議
【大臣】本日の政務三役では、閣議、閣僚懇談会、午前の海外経済協力会議についての報告をしました。

米軍再編問題
【共同通信 上西川原記者】普天間基地問題についてです。大臣は「年内で決着することができれば望ましい」という考えを表明されていますが、那覇市での記者会見で「米側が思う日米合意が実現できない時に、その信頼関係がどれだけ維持されるのか、必ずしも自信を持って言えない。そういう場合に、今の日米同盟の現状について強い危機感を持っている」と言われております。これは裏返すと、つまり、日米合意を履行する以外に米国との信頼関係を維持できないということでしょうか。

【大臣】いや、必ずしもそういう趣旨ではないということは、会見録をご覧になっていただければ分かると思います。私(大臣)は、「年内が望ましい」と言い続けて参りましたが、「最終的に決めるのは総理である」ということも言って参りました。総理も言われておりますように、一方で「沖縄の県民の皆さんの気持ち」、そして、「3党連立」があり、他方で「日米の合意」ということがあるわけで、そういう全体を満たすような答えを見い出していかなければなりません。そのために連日、いろいろな議論を交わしているということです。

【毎日新聞 須藤記者】普天間問題の結果、或いは結論がどうなるのかということは別にして、沖縄等の記者会見で、大臣が度々おっしゃられているように、普天間問題を発端にして、今の日米関係において、お互いの関係が厳しい、或いは厳しくなるかもしれない状況にあると思います。それについて、なんとかマネ-ジメントをしていかなければならないという意識を、沖縄ではおっしゃったと理解しています。米側も日米関係を壊したいと思っている訳ではなくて、なんとかマネ-ジメントをしたいと思っていると思うので、外相として、今後、日米関係について、この普天間に留まらず、どのように関係を緊密にしていき、話し合いをしていくのかについて、一般論で構いませんのでお答え頂けると幸いです。

【大臣】今、目の前にある普天間の問題が、非常に大きな問題としてあります。その他、私(大臣)は、日米の抱える問題で、何か懸案があるとか、非常に難しい問題があるという認識をしておりません。ですから、この問題をしっかりと乗り越えていかなければいけないと考えています。

【東京新聞 佐藤記者】総理が、COP15の首脳級会合の際、オバマ大統領と普天間の問題で日米首脳会談をやりたいという意向を示していますが、現段階の調整状況、実現の可能性についてお教えください。

【大臣】私(大臣)が理解していることは、総理がCOP15の場で「会えれば」ということを言われたのであって、「会談」とまでは言われなかったと思います。そもそも、全体のスケジュールが非常にタイトな二人ですから、そう長く時間を取って、温暖化の問題以外で時間が取れるというのは、私(大臣)には考えにくいことだと思います。せっかくご質問をいただいたので、本日の記事にコメントしますと、私(大臣)と総理の間に、見解の相違が今そうあるわけではありません。大体、同じ幅の中で、今、議論しているということは申し上げておきたいと思います。

【テレビ朝日 新堀記者】先日の沖縄で、「非常に日米同盟に危機感を感じている」とおっしゃっていて、今「総理との間にそれ程見解の相違があるわけではない」とおっしゃったということは、沖縄からお帰りになってこの数日間、総理とお話になり、その危機感というものが、大臣の中で変わってきていらっしゃるのでしょうか。それとも、やはり依然として日米同盟に対する強い危機感はお持ちになっていらっしゃるということでよろしいでしょうか。

【大臣】私(大臣)は従来からそういう危機感は持っております。

【テレビ朝日 新堀記者】総理とお話になっていく中で、少しそれは薄れてきているということではないですか。

【大臣】私(大臣)は変わっておりません。

【フリーランス 岩上氏】実際に米側の当局者と最前線で触れ合って、米側の圧力というか、米側の要望の強さというものを肌で感じて、仄聞ではなく、大臣のお言葉として、「合意どおりに履行してほしい」という米側の要望の強さというものは、如何なるものなのか、ご説明いただけないでしょうか。4日にルース大使は、顔を真っ赤にして怒鳴り上げたとか、マイケル・グリーン(米戦略国際研究所日本部長)、リチャード・アミテージ(元米国務副長官)が来日して、「辺野古という元々の合意案にならなければ、日米同盟は亀裂が入って元に戻らないだろう」とまで言っているシーンが繰り返しテレビに流されたり、或いは、新聞等の日本のマスメディアが、「もし、民主党政権により、元々の日米合意である辺野古案にならなかったら大変なことになる」ということが連日書かれている訳です。それを見ていると、国民は大変不安に思っています。実際のところ、どれほど「年内、辺野古」という米側の要求を丸飲みしなかったら、日米同盟は危機的なものになるのか、直接、国民にご説明願えないでしょうか。

【大臣】議論の前提として、米側が圧力をかけているとか、そういうことは全くありません。ただ、私(大臣)の政治家としての経験の中で、この問題はしっかりと対応しないと、日米関係で双方に深刻な信頼関係の喪失といいますか、そういうことになりかねないという危機感を持っている訳です。ルース大使との議論も、誰かが見ていたようなことを書いていますが、全くの創作です。もちろん、ルース大使もしっかりと自らの主張を言われましたが、別に顔を真っ赤にするとか、怒鳴り上げるとか、冗談じゃないと思っております。私(大臣)、北沢防衛相、ルース大使と通訳しかいませんから、何を根拠にそのようなことを言っているのかと思います。アーミテージさんは知りませんが、マイケル・グリーンさんは、従来からかなり厳しいことを言っておられることは承知しております。共和党の人間ですから、ある意味当然だと思います。グリーンさんが言っていたのではありませんが、昨日も民主党系の人と議論したときに、やはり米国にもいろいろな人がおり、今の日本の民主党や米国の民主党をいろいろと攻撃し、その関係を悪くすることが望ましいと思っている人もいて、様々な意見が出てくるという話を聞いたところです。日本の政界もそうですが、いろいろな意見があることは当然だと思います。それをどれくらい真に受けるのかという問題だと思います。

【フリーランス 岩上氏】ルース大使が怒鳴り上げたというのは、誤報だということですか。

【大臣】(怒鳴り上げたという)そんなことはありません。

【NHK 梶原記者】先ほど大臣から「大臣と総理との考え方にそれほど相違はない」というご発言がありました。確認ですが、大臣のそのお考えというのは「年内決着が望ましく、日米の合意の実現を図る」というスタンスでよろしいのでしょうか。

【大臣】いや、「年内決着が望ましい。しかし、総理が最終的に決めることだ」ということです。私(大臣)は、「日米合意」の実現を図ることが望ましいということを必ずしも言っておりません。しかし、両国政府で約束したことは重いと申し上げている訳です。

【時事通信 高橋記者】引き続き、普天間についてお尋ねします。鳩山総理は「あらゆる選択肢が残っている」、そして、平野官房長官は「辺野古だけではなく、他はないのかという考え方を総理自身が(米側に)出すのではないか」とこのように仰っています。まだワーキング・グループの検証作業の結論が出ていない途中の段階だと思いますが、そういう段階であらゆる選択肢を検討するのでしょうか。それとも、検証を終えた上で、そのための選択肢に入ってくるのでしょうか。嘉手納(基地)統合案は、もう死んでいるのでしょうか。それとも、まだ生きているのでしょうか。

【大臣】この前、申し上げましたが、閣議の後、総理に確認したところ、「他の選択肢を」という指示を出していないということです。ただ、総理は従来から「あらゆる選択肢」ということは言っており、スタンスは変わっていないという説明を総理はされたと思います。その中の一部が引用されたというように思います。嘉手納の問題は、そういう可能性がないかどうかということを検証の対象としてやってまいりました。まだワーキング・グループは終っておりませんので、結論は最終的に出ている訳ではありません。

【読売新聞 村尾記者】普天間基地の問題について、本日の午後、総理と関係閣僚の方にお会いになられたと思います。まだ途中経過だと思いますけれども、出席者の方のお一人が「方向性が見えつつある」という趣旨のことを仰っていたのですが、今後も続くのかということと、いつごろまでに結論を出されるのかについて教えて頂けますか。

【大臣】なるべく早くというしかないです。ただ、メンバーの中で北澤防衛大臣は既にグアムに向かわれましたし、総理はインドネシアに行かれますので、その間はこの会議は開けないと思います。必要があれば、週内にも再度集まることもあるかも知れませんが、具体的に今、そのことを決めている訳ではありません。昨日、本日と議論の方向性は大体一致しています。ただし、これは、相手のある話であり、先程「三つの問題がある」と申し上げましたが、それをどのようにして、特に連立している二党とも納得をし、そして、米国も納得するような答えを見い出していかなければいけないということで、なお努力が求められていると思います。

【NHK 相沢記者】先週、与党や共産党などの国会議員が集会を開き、「辺野古にはジュゴンが生息している」として、米国の裁判所で行われている訴訟の件が話題になりました。この訴訟では、昨年、米国の文化財保護法に照らして違法であるという中間判決が出ているのですが、今行われている日米合意の検証作業では、この訴訟は考慮の対象になっているのでしょうか。また、この判決に照らすと辺野古の基地建設は差し止めが可能であるという見解もあるのですが、大臣は政府が結論を出す上で何かしら影響を与えると考えていらっしゃいますか。

【大臣】ジュゴン裁判があることは承知をしております。ただ、訴訟の最中で結論が出た訳ではありませんので、特にコメントは控えたいと思います。

【朝日新聞 五十嵐記者】総理は、COP15でオバマ大統領に会えるかどうか別として、それまでに普天間に関する日本政府の方針を伝えて理解を得たいと話しています。その際、政府としての考え方を伝える立場におられるのは外務大臣だと思われますが、どのような形で伝えるのか、ワーキング・グループの場等で伝えるつもりなのか、それとも、電話会談等を考えていらっしゃるのか教えて頂ければと思います。

【大臣】総理は、ご自身が「お会いになって」と仰ったのではないですか。

【朝日新聞 五十嵐記者】「それまでに」と言われていると思います。

【大臣】それは承知しておりません。

【共同通信社 西野記者】前原国土交通大臣が、辺野古に関して、米軍の指導を基に オスプレー(垂直離着陸機)航空機が配備される場合は、環境影響調査がまだ出来ていないということで「米側が言うように『辺野古にすれば早いのだ』ということではない」というような論旨を展開されているというように理解しているのですが、例えば、四閣僚の協議、総理を含めた中では「辺野古が必ずしも早い訳ではない」というような認識は共有されているのでしょうか。

【大臣】そういう議論は、特にございません。

【フリ-ランス 岩上氏】連立と沖縄と米国の要求という三つ全部が納得する連立方程式の解というものを見つけられれば、それに越したことはないのでしょうが、なかなかそうならない可能性があると思います。もし、沖縄に負担を強いるという解になれば、つまりは辺野古をベースにする案になった場合、どのように沖縄を説得して、無事工事を着工していくことができるとお考えでしょうか。もし、地元自治体の長が建設許可を出さなければ、なかなか(工事に)入れません。そうすると、将来的に例えば、特措法を作り、かなり強制的な方法で造っていくという道筋になっていくかと思います。それが、出来ないようであれば、いつまでも、何十年もずるずると引き延ばされるかもしれない、「辺野古は現実的ではないのでは」という懸念も出ておりますが、この辺りについてお考えをお聞かせ下さい。

【大臣】それは、仮定に基づく議論ですので、私(大臣)がコメントする必要はないと思います。三者がある程度納得出来るような案を是非見い出したいと思います。

【読売新聞 川崎記者】先程、大臣はワーキング・グループについて、嘉手納基地統合案の結論はまだ出ておらず、ワーキング・グループもまだ終わっていないというご認識を言われました。ワーキング・グループはどういうタイミングで開かれるのか、一定の結論が出るのか、その辺りの認識をお聞かせください。

【大臣】ワーキング・グループは終わったと決めていないから終わっていないのですが、今後どうなるかは様子を見なければ分かりません。つまり、日本国政府がどのような考え方でやっていこうとするのか、その方向性が出た上でワーキング・グループをどうするかということを議論すべきだと思います。

【NHK 禰津記者】先程、大臣は、「関係閣僚の間で議論の方向性が大体一致している」と仰いましたが、議論の方向性というのは、結論を出される時期について大体方向性が一致されているのか、それとも移設先の考えについて大体方向性が一致しつつあるという意味なのか、お聞かせ下さい。

【大臣】その辺りを言ってしまうと議論の中身が分かってしまうので、コメントしません。

【共同通信社 西野記者】ワーキング・グループについて、今後どうなるか分からないということは、日本政府の方針を早急に決めて日米で再開したいという思いはないということでしょうか。この検証は「どうして辺野古になったのか」ということを検証、その結論を得ることによって、どのような日本政府の対応を決めていくかということに資するものだと理解していたのですが、ワーキング・グループをきちんとやっていくことは、「もう無理だからどうなるか分からない」というのが大臣の真意なのでしょうか。それとも、新しい方針を早く作って日米で話し合いを再開したいというのが真意でしょうか。

【大臣】ご質問の前提として、ワーキング・グループというのは何かということの認識の問題があると思います。ワーキング・グループというのは現在の普天間基地の辺野古への移転、こうなったことの経緯を検証するということです。そういう前提の基で様々な議論を行ってきました。嘉手納基地統合案なども、そのプロセスで検討された案の一つですから、取り上げてきた訳です。今、政府の中で議論されている結果として、何らかの方向性が出れば、ワーキング・グループの問題ではなくなってしまうかもしれません。そこはまだわかりませんが、どのような方向性が出るかによるので、現時点では将来のことについてはお話し出来ないということを申し上げておきます。今のワーキング・グループは、何でも議論する場ではありません。

【NHK 別府記者】確認ですが、議論の方向性は一致しているということなのですが。

【大臣】概ねです。

【NHK 別府記者】それが答えだったのですが、もう収束に向かっている段階なのか、まだもう少しかかるといった段階なのでしょうか。

【大臣】いろいろな議論が途中で、また新しい要素も入るかも知れませんので、特に私(大臣)からコメントすることは避けた方が無難だというように思います。しっかりと方向性を出さないといけないというように思って真剣に今議論をしています。

【フリーランス 岩上氏】先程の質問と回答の中で、嘉手納(基地統合)案について完全に断念したわけではないというようなご趣意のことを仰られたように思うのですが、沖縄に行ったときの報道では一斉に主な新聞報道はほぼ「岡田外相嘉手納統合案断念」というような書き方をしておりました。改めて、外相の口から、これ(記者会見)はYouTubeとかで実際に外相のお答えがそのまま聞けますので、それはまだ残っているのか、それとも本当に断念したのかをお答えいただければと思います。

【大臣】 これはワーキング・グループの中で議論しているわけですから、私(大臣)個人が断念するとかしないとかそういう問題ではそもそもありません。ですから、私(大臣)が断念したというように書かれたのは少し違うのではないかというようには思います。いろいろな難しい問題があるということは、ワーキング・グループの議論の中で出てきたことは承知しております。ワーキング・グループ自身が閉じた訳ではないので、まだやっている最中ですから、そういう意味ではこれだけ駄目だったとか、これは良いとかそういう結論が途中で出るわけではありません。

【フリーランス 岩上氏】大臣ご自身が断念したということではないということですか。

【大臣】断念したという事実はありません。ただ様々難しい問題があるということは前から申し上げておりますし、何が難しいかと言えば騒音レベルを今よりも下げなければならないということは、かなりの機能を他所に持っていかなかければならないということです。それが短期間で出来るかどうかということについて、そう簡単なことではないということはよく分かっております。

【朝日新聞 五十嵐記者】先程のワーキング・グループについてですけれども、ワーキング・グループというのは辺野古への移転の経緯を検証するというものだというように先程大臣は仰られました。11月の段階では、辺野古への移転の経緯の検証が必要だというように日米で認識された結果、ワーキング・グループが作られたと思うのですが、12月の今の段階になってその必要がなくなったというように判断されるのであれば、それは何が変わったのですか。

【大臣】いや、必要がなくなったということは一言も言っていないと思いますが。

【共同 上西川原記者】最初の質問に戻りますが、先程日米同盟の現状について強い危機感というのは、強い言葉だと私は思うのですが、これは戦後ずっと続いてきたものですから。これについて具体的にアメリカのどういったところについて大臣として危機感を持っているのかをもう少し詳しく教えていただけますでしょうか。

【大臣】私(大臣)が20年間政治家を続けていて今肌で感じていることです。

【共同 上西川原記者】現行案を受け入れるかどうか、その一点についてでしょうか。

【大臣】いや、そういうことではなくて、やはり同盟というのはそれぞれの信頼関係に基づいて細心の注意を払ってやっていかなければいけないことですが、若干そこは揺らいでいると、またそういうようにしてはいけないと思っております。一部のオバマ政権や鳩山政権が弱くなった方が良いと思っている人たちが色々発言しておられることとは全く違う次元で申し上げております。

【朝日新聞 内田記者】ワーキング・グループについて重ねて確認なのですが、これまでワーキング・グループはワーキング・グループの結論を踏まえて、この普天間問題を総理が判断するという方向性で進められていたと思うのですが、現在ワーキング・グループの結論に関わりなく日本政府で結論を出す状況に変わったという認識なのでしょうか。

【大臣】必ずしもそういうわけではありません。ただワーキング・グループで議論をしながら、他方で連立の話も出てくる中で、先送り論のようなものも出てきましたし、他に探すというような話も出てきましたので、そういう話はワーキング・グループを超える話です。ですから、ワーキング・グループというのはいったん停止をして、状況がまたワーキング・グループに戻して議論すべき状況になるかどうかを、今待っているという状態だと思います。

日米安保50周年
【毎日新聞 野口記者】大臣は予てから、日米同盟は30年、50年続けていくような深化をしていきたいということをおっしゃっていました。来年の50周年に向けて、閣僚級で、そういった深めていく作業をしようと合意していているのですが、今回、普天間の問題が決着しない場合、その作業に与える影響は、どのようにあると見ているのでしょうか。もしくは、米側から、何か懸念が伝えられているのでしょうか。

【大臣】まず、米側からは何か言われているということはありません。あと、「決着しなければ」という仮定の議論にはお答えしたくありません。ただ、私(大臣)の思いとしては、目の前の懸案をしっかり解決する中で、より信頼関係を増し、そして本質的な議論をしっかりと行いたいと思っています。

【朝日新聞 内田記者】来年の日米安保50周年に向けた新たな協議のことについて、大臣は今、「米側から何か言われたことはない」と仰いましたが、一部報道で、先の普天間のワーキング・グループで、米側が延期の意向を日本側に伝えたというのがあるのですが、この事実関係を教えてください。

【大臣】私(大臣)の記憶にはありません。ただ、私(大臣)自身、そういう状況ではないと自覚しておりますので、私(大臣)自身が、この普天間の問題をきちんと解決せずに、安保50周年、これからの日米同盟のあり方みたいなことの議論に入るという気持ちになれないということです。

米朝協議
【フリーランス 上杉氏】米朝協議についてお尋ねします。本日、ボズワーズ米特別代表がピョンヤンに向かい、オバマ政権初の米朝協議が始まります。この情報に関して、日本政府に対してはどのような形で入ってきたのか、また、日本政府として、この協議に対してどのようにコミットしていくのか教えてください。

【大臣】「コミット」ということの意味にもよりますが、日本政府が米朝間の協議にコミットすることはありません。それは、米朝間で行われていることであります。ただ、米側はあくまでも6者協議を前提に、まずは米朝間でということであります。そのスタンスは我々は確認しておりますし、やがて6者協議の場に戻ってくると考えております。ボズワーズ米特別代表が北朝鮮に行くことに関しての日米間の連携といいますか、或いは情報の問題ですが、それは従前に日米間で連携が取れております。

【フリーランス 上杉氏】米側から直接情報が(来た)という理解でよろしいのでしょうか。

【大臣】詳細は申し上げません。

北朝鮮・拉致問題
【朝日新聞 東岡記者】北朝鮮問題について、国連の人権理事会で、北朝鮮側が拉致問題は解決済みであるという立場を表明しました。昨年8月の日朝協議では、拉致問題の再調査について合意しているにもかかわらず、こうした立場を表明したことについて、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】これは、昨年8月の合意に明らかに反するものであり、全く認められません。昨日、お話になった方のレベルの問題もあると思いますが、我々としては、昨年8月の合意がもちろん生きており、早くそれを履行すべきだと考えております。

米軍流弾事件
【琉球新報 滝本記者】12月10日で、沖縄金武町伊芸区で銃弾が見つかって1年を迎えます。この間、県警が基地の中に立ち入るということは認められたりということで、捜査が1年経っても、地元としては、その銃弾が米軍の演習による蓋然性が残念ながら高いということで、改善を求めている訳です。米側の対応というのは、「日にちが違う」とか、「演習によるものではない」というような見解を崩していない中で、1年経っても、まだ解決に至っていないという状況です。捜査は捜査で別にして、対米、対米軍という観点から、外務大臣のお立場で、この問題が1年経過して未解決ということについて、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】未解決の状態のまま、1年が経ったことについては残念なことだと思います。先般、沖縄に行きましたときに、米軍の方からは説明がありました。物理的にも、銃弾が飛ぶギリギリの距離です。そういう中で、米側としては、米国から専門家も呼んでいろいろと検討させたが、演習に伴うものであるという可能性は、ほとんどないという結論を持っているようです。とはいえ、現にそれがナンバープレートに突き刺さった訳でありますので、誰かということはわからない訳ですが、しっかりと事実関係を解明できるものであれば、解明努力をしてもらいたいと思っております。その後、金武町の儀武町長とお会いして、いろいろなお話をさせてもらいましたが、今後、こういうことがないように、もう閉じたということですが、レンジ4の視察もしましたし、様々な意見、その他を通じて、県民、町民の皆様の生活に悪影響が出ないように、更なる努力が求められていると思います。

【琉球新報 滝本記者】先ほど仰られた「努力してもらいたい」ということは、米軍とのやりとりの中で直接お伝えになられたのでしょうか。

【大臣】全体の安全の問題として、集会があった上でのことですが、米側もレンジ4を閉じるとか、様々な努力については、私(大臣)の方からもお願いしておきました。

中国人権活動家
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読致します。成田空港に留まっている中国の人権活動家の方について、馮正虎(フォン・チョンフー)さんという中国の人権活動家の方が祖国中国への帰国を拒否され、帰国を求めて成田空港のターミナルに一ヶ月以上留まっておりますが、この件につきまして、ご対応のお考えはありますか。

【大臣】すみません。私(大臣)はその話は承知しておりません。先ず、事実関係を把握したいと思います。

対アフガニスタン支援
【ニコニコ動画 七尾記者】アフガニスタン民生支援の具体策について、カブール首都圏開発構想を軸に政府内で検討しているとの報道がございました。一部のインフラだけでも、25万人の雇用、元タリバン兵士の雇用等を生み出す巨大プロジェクトになるとのことですが、治安悪化の中、可否も含め、実際の推進の判断のタイミングにつきまして、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】私(大臣)も報道を見ましたが、これは既に行っていることです。今までかなり進めてきたものを、ある意味では、更に規模を拡大してやっていこうということです。現時点では進捗に何か重大な問題な出てきているということではありません。これだけがアフガニスタン支援策ではなく、その内の一つとお考え頂きたいと思います。

いわゆる「密約」問題に関する調査
【朝日新聞 倉重記者】前回の会見で大臣に質問をして、改めて確認するというお答えでしたので、本日改めて質問させて頂きます。外務省の密約の調査について、藤井財務大臣が会見で前向きな話をされ、その真意について岡田大臣が確認すると仰っていたので、もしされたのであれば、お願いします。

【大臣】特にまだしておりません。外務省自身の密約の問題、これは私(大臣)がコメントする段階にはありませんので、その内の一部を切り出して具体的に財務大臣なり、財務省にどうかというのは早すぎます。将来必要があれば、そういうことはあるかもしれませんが、特に考えておりません。ただ、テレビ等を見ておりますと、大平元総理の秘書官をやっておられた森田さんがいろいろ語っておられます。そういったことを裏付ける資料が財務省にあるのか、ないのか(分かりません)。現時点では自分のところ(外務省)がきちんと出来ていないのに、他省庁にお願いする訳にはいきませんが、必要があればお願いすることがあるかもしれません。

道路にロープ・ミニバイク転倒事件(米兵の子らの逮捕)
【琉球新報 滝本記者】武蔵村山市で米兵の子らが道路を横断するようにロープを張り、通行中の原動機付き自転車に乗った女性が転倒、大怪我をされた件ですが、あの事件で逮捕状が出た後、逮捕に至るまでのブランクというか、そこでの地位協定の問題という議論が一部で出ているのですが、現行の地位協定での身柄の引き渡しについて、大臣としては、問題というか支障があったとお考えになられておりませんでしょうか。

【大臣】私(大臣)は、そういう認識を特に持っておりません。本人以外だと、そもそも地位協定の対象外ですから、地位協定に基づき、何か問題があったと思ってはおりません。




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