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2007.06.08|国会会議録

166-衆-政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会-7号 平成19年06月08日

岡田委員 民主党の岡田克也です。

まず、今、我が党の松本政調会長が最後に述べたところでありますが、先般、民主党案と与党案がそろったところで、我々はあえて修正案という形で論点を絞り込んで出し直しをさせていただきました。でき得れば、こういう問題ですから与野党できちんと協議をして合意が得られればいいという思いで、自民党の政治改革本部長である石原さんと公明党の同じく政治改革本部長である東さんに政党間協議を申し入れをしたところでありますが、残念ながら振られてしまいました。

しかし、きょう、それから来週の審議をやりながら論点が明確になったのであれば、やはりきちんと政党間で協議をするということは、私は国民に対する責任ではないかと思いますが、東さん、いかがでしょうか。

東議員 昨日ですか、正式に文書でもってお申し込みをいただきました。私も自民党の石原さんとも協議をいたしまして、審議がもう始まる、この審議の質疑、答弁という状況も刻々と進んでいく、その中でさまざまに問題点や論点というものも浮き彫りになってくる、同時進行、並行してこの委員会の筆頭理事間でよくその中身も含めて協議をまずもってしていただくことがいいのではないかという結論に私どもはなって、そういうことをお答え申し上げさせた、こういうことでございます。

岡田委員 そうしますと、当面筆頭間で協議するとして、将来的には政治改革本部長間での政党間協議ということも視野に置いておられるというふうに考えていいですね。

東議員 そこは、まず筆頭理事間の協議の状況を見てということにさせておいていただきたいと思います。

岡田委員 この問題は、先般、予算委員会の集中審議のときに総理にも申し上げましたが、国民と政治、政党あるいは政治家をつなぐその信頼というところが問われている非常に重要な問題ですから、ぜひこれはそれぞれの党を代表してしっかりと責任を持って協議する、でき得れば合意をする、そのことをお願い申し上げておきたいと思います。

さて、きょうは政治資金規正法の改正について議論したいと思いますが、その前に同じく東さんにちょっとお尋ねしたいと思います。

先般、松岡前農水大臣がお亡くなりになりました。大変お気の毒だと思います。

ただ、予算委員会あるいは国会の場で松岡さんは何度も同じ答弁を繰り返されて、それが果たして説明責任を果たしているのかということが議論になりました。そして、総理もその松岡発言をいわばかばい続けたわけであります。公明党は、東さんも、そして太田委員長も、松岡さんの答弁は説明責任を果たしていないということを何度も言われたわけでありますが、今こういう事態になって、総理のかばい続けた姿勢、それについてどういうふうにお感じか。与党である公明党が説明責任を果たしていないと何度も公の場で言いながら、結局それは総理の耳には届いていなかった、少なくとも総理はそのことを受け入れようとしなかったということだと思いますが、そのことについてお考えを聞かせていただきたいと思います。

東議員 私も、松岡前農水大臣のああいう非業の死と申しますか、これについてはもう本当にいたたまれない思いでいっぱいになりました。私も直接熊本の葬儀に参加をさせていただきました。

確かに、今岡田委員おっしゃっているように、もう亡くなられた後いろいろなことを言うのは大変申しわけない思いでいっぱいなんですけれども、正直、説明責任がきっちり果たされていたかということを思うと、それはやはり少し足らなかったなという思いを抱いております。

そこで、総理がどうしてと今おっしゃいましたが、これは私は総理じゃありませんので、総理の胸のうちまではわかりませんが、恐らく推察するに、農業問題、農政問題については大変な知識と行動力というものを持っている第一人者だろう、こういう御認識を松岡さんに対して総理はお持ちではなかったのかなというふうに思います。世界との農業交渉やさまざま非常に重要な時期が来ているから、ここは経験と見識と行動力を持っている松岡さんに頑張ってもらいたいというような思いがずっと総理におありだったんじゃなかろうかと思います。それ以外に私はお答えのしようがないんですが、だから、もっともっと農政の分野でしっかり力を発揮してもらいたい、そういう思いがあったのではなかろうかと推察をいたします。

岡田委員 仮にそういうことであったとして、しかし、あの答弁を擁護し続けたということが日本国総理大臣として果たして適切な対応であったのかどうかということについて問うているわけです。

東議員 総理もそういう周囲の声、状況というのは当然わかっておられたわけですから、個人的に今は亡き松岡氏にもう少しきちんと説明をできませんかというような話ぐらいはなさったのではないかと推察はします。ただ、私はそのことを確認したわけではありません。

それ以上のことは御当人に聞いていただかないと、私はわからないという感じですね。

岡田委員 この問題は、私は安倍総理の総理としての資質を問われた事態だったと思うんです。同時に、説明責任を果たしていないと何度も公に公明党の太田委員長初め幹部が言われながら、ずっとそのことが実現しなかった。そういう意味では、私は、公明党自身もこのことについて適切な対応ではなかった、党としてのあり方を問われるような、そういうことだったというふうに思っております。

もし何かありましたら、どうぞ。

東議員 党のありようがいかがなものかというのはちょっと言い過ぎじゃないでしょうか、私はそう思いますよ。

公明党が公明党がとおっしゃいますが、自民党さんの中にもいろいろなことをおっしゃる方がたくさんおられたわけで、あるいはまた、我が党幹部のそういうコメントなんかが新聞やテレビを通じて官邸にも届いておっただろうし、それ以上こちらがどうだこうだと言うのは、閣僚任命は総理の専権事項ですからね、だから、あの時点で私どもは党としての主張性というのは精いっぱい出させていただいていた。それを公明党としてどうか、だらしないんじゃないかと言われるのは、ちょっと心外な感じがいたします。

岡田委員 ですから、連立与党のトップが公式に発言しながらそのことが全く実現しない、それをそのまま放置しておいたということは、結局ポーズで言っていたと言われても仕方がないんじゃないかということを私は直截に申し上げたいわけであります。

さて、法改正の問題について議論を進めたいと思いますが、まず先ほど来たびたび議論になっております資金管理団体に限定をしているということについて議論したいというふうに思います。

今回の問題、確かに松岡前大臣については資金管理団体の経常経費の問題でありました。しかし、資金管理団体だけこういったことが発生するんでしょうか。ほかの政治団体についても同じような可能性は十分あるし、今までにもそういうことはあったというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。

東議員 それは、全くないだろう、これからもないだろうというようなことは決して言えないと思います。

その気になれば政治活動費というものを経常経費というところに流し込んでやるということは、それはあるかもしれませんが、しかし、極めて特異な今回の事例だと僕は思いますよ。こういうことが本当にあるんだろうかと私もびっくりいたしました。やはり政治活動は政治活動費というフィールドできちんと支出する、経常経費というのは経常経費のフィールドできちんと支出をするということが当たり前の常識ですから、その常識を覆すようなことが起こったというのはまことに情けない。しかし、そんなに頻発して起こるようなことではないだろうというふうに思っている次第でございます。

したがって、ほとんどの方はまじめに一生懸命政治活動をやっておられる。それから、そういう政治家にかかわる後援団体だとかその他の政治団体というのもある。しかし、同時に、先ほどから申し上げているように全部の七万の政治団体のうち、つまり、政治資金管理団体あるいは政党本部、支部、そういうものを除いたいわゆる政治家がかかわるその他の政治団体と政治家と全く関係のない政治団体、これは例えば思想、結社のいろいろな団体だとか、あるいは労働組合系の団体であるとか企業系の政治団体であるとか、全部ひっくるめて五万あるわけですから、これが混然一体となっているわけですから。しかも、ほとんどのところが多分経常経費ですからきちんと支出をされておられる、政治活動は政治活動費としてきちんと支出されておられる、そこは領収書添付義務はもともとついているということですから、そういうまじめにやっておられるほとんどのところに経常経費というものに領収書をつけることによって事務的な負担を増させてみたり、全部に網をかけるみたいなことは、果たしていかがなものかというふうに思います。

平たい言葉で言えば、本当に一握りのそういう不祥事、政治家の不祥事みたいなものが一気に五万の世界に広がっていくということは、私は多分迷惑だと思いますよ。政治団体でも、小さな政治団体から大きな政治団体からいっぱいある。大きな政治団体にしてみれば、その領収書添付義務、そして同時に項目をきちんきちんと転記をしなきゃいけないんですから物すごい事務的負担が出てくる。そういうことを果たしてやらせていいのか、それが私の率直な思いですね。

だから、ここは政治家にある種のペナルティーという意味と警告効果、こういうことが起こったら直ちにこうなるんですよという意味で経常経費のところも領収書添付をする。それともう一つは、長くなって恐縮ですけれども、時代性を考えて、今はもう情報公開の時代です、例えば今まで資金管理団体で支出されていたお金が経常経費まで領収書添付義務がついたものだから、急にそこは支出金額が少なくなって、自分が関連する後援団体や政治団体の支出がぼんとふえたりしたら、そんなものは一目瞭然で、情報公開の時代なんですから直ちにたたかれますよ、メディアや何かで。また、そういうことを平気でやれるような時代ではないし、そういうことに対する警告の効果も今回の法改正はあると私は思っております。

岡田委員 ですから、まず資金管理団体に限るという前提を置いていろいろ理屈を立てようとすれば、今の東さんのような説明になるんだと思います。問題は、本当に資金管理団体に限るということが合理性があるかどうかということを議論しているわけですね。

それは極めて例外だと言われるかもしれませんが、現にそういったことが起きた。そして、これからも法の網をくぐり抜けてそういったことをしようという政治家が出てこないという断定はできない、むしろ出てくるんじゃないか。何しろ一国の総理大臣がそれをかばうような国ですからね。そういう中で、やはりきちんと国民の理解を得られるように広く網をかけるというのは私は当然のことだと思いますが、いかがですか。もう一回言ってください。

東議員 では、七万の政治団体すべてにかけるんですか。そこから生ずるところの事務的な負担だとか、しかも事は経常経費ですよ、政治活動費は既に領収書は添付義務を課せられているんですよ。僕はそれはちょっと乱暴だと思います、逆に。

岡田委員 これは乱暴でも何でもなくて、政治活動費については領収書を添付しているが経常経費についてはしていないというのは、経常経費というのは、その性質からいって、わざわざ領収書を添付しなくてもわかり切ったことだということですね。しかし、そのことを奇貨としてそこに領収書のとれないお金を流し込んでいるんじゃないかという疑惑が持たれているわけですから、やはりその疑惑にきちんとこたえていかなきゃいけない。

七万の政治団体と言いますが、今だって政治活動費については五万以上とはいえ全部領収書の添付が義務づけられているわけでしょう。政治活動費について、その中身から見ると余り知られたくない、それについて五万円以上について領収書の添付が義務づけられているのに、どうして経常経費について領収書の添付をしたらだめなのか、私は全く理解できないわけですね。

ちょっとお聞きしますが、今の政治資金規正法で、資金管理団体とそのほかの政治団体で入りのところは若干の違いがありますね、先ほど来議論に出ています、私はこれは本当に小さな違いだと思いますけれども。出のところは全く同じ扱いをしていたのに、今回例外扱いすることになるんですよ。初めてだと思いますよ、資金管理団体とそれ以外の政治団体で出のところで区別するのは。そこまでする理由がどこにあるんでしょうか。

東議員 まさにそれが、先ほどから申し上げているように政治家との一体性が一番強い団体という意味です。であるがゆえに、資金管理団体に特化して経常経費のところに領収書の添付義務をと言っているわけでございます。

そもそも政治資金規正法というのは、政治資金の収支の公開を通じて政治活動が国民の監視と批判のもとに行われるようにするという方法を政治資金適正化の基本的な手段にしています。したがって、仮に、ある政治家の資金管理団体が平成二十年分の収支報告書から急に支出を減らして、関係する後援会がその役割を代替するというようなことがあれば、それは収支報告書で明らかになるわけで、そのような動きは国民の監視と批判に明確にさらされるわけです。もうそういう時代なんですから。したがって、私どもは、総合的に見て資金管理団体の経常経費のところに領収書添付ということが非常に妥当ではなかろうかなと。

おっしゃるように全部やってしまったら、それは確かに安心かもしれませんよ。しかし、何かまるで性悪説のように、もう最初からそうやって、逃げていって経常経費のところを使うんだということを前提にして、そうやって追い込んでいくことが果たしていいことなんでしょうか。しかも、相手は政治家だけじゃないんですよ。政治家と全く関係ない政治団体がたくさんあるんですよ。(発言する者あり)違いますよ、バッジついていませんよ、何言っているんですか。さまざまにありますよ。組合の団体もあれば企業の団体もあれば、さまざまありますよ。そういうところにそういう制約の網みたいなことを果たしてかけていっていいのかというふうに思います。

したがって、これから先また検証ということもあるわけですから、本当に、ここは単に対立点を出すみたいなやり方でやっていくんではなくて、一歩前進ということで、私たちのこの案の方がやはり妥当だと思います。

岡田委員 私は一歩前進だとは全く思わないわけですね。資金管理団体だけ特別扱いをするという悪い先例をつくることになるというふうに思っているわけです。これを一つの突破口にして、同じようにしてさらに見えなくしていくことが起こりかねないということも懸念しているわけです。

それでは東さんにお聞きしますけれども、資金管理団体の指定というのは、これは何か具体的な要件があるんですか。ある政治団体、複数の政治団体の中でこれは資金管理団体にするという指定行為は、何らかの基準があって、その基準に基づいてなされるんでしょうか。

東議員 もともとこの資金管理団体というものは、この制度が導入されたということは、いわゆる政治家にはそれぞれ自分の関係した政治団体はいろいろあるけれども、政治家に直接お金を扱わせない、本人が代表者である政治団体のうちから一つを選んで、その政治家のために政治資金の拠出を受けるべき政治団体として指定をするということで、つまり、平たく言えば政治家の財布といいますか、そういう団体というものをつくることによって、そこにいわば一本化して政治家が政治のお金をいただく、そして使うという形をその資金管理団体というものを通してやりましょうということでできた制度ですから、これは非常に意味のある団体ですよね。であるがゆえに、先ほどから出ているように、特定寄附だとかさまざまな特典があるわけです。

したがって、政治家が資金管理団体というものを通してお金の出と入りというものをきちんとしていく、これは非常に大事なことだと思いますよ。この資金管理団体ができる前というのは、まさに、さまざまに小口の政治団体とかいっぱいある中でお金をある意味で政治家が直接タッチしていた、そういうような状況、その反省の中から生まれてきたのがこの資金管理団体というシステムですから。そのように私は認識しております。

岡田委員 私の質問には答えていただいていないんですけれども。

まず、資金管理団体とそれ以外の政治団体でどこが違うか。これは予算委員会で使った資料ですが、おさらいのために、(パネルを示す)おっしゃるように資金管理団体だけに特定寄附に関する制限がないことと、それから特定寄附と自己資金による寄附について制限がない、ここの部分だけ違うんですね。

しかし、この上限がないというのはそう大きな問題ではないですね。これはほとんどの人は適用はないです。自分の資金管理団体に百五十万円以上寄附しているという人が一体何人いるんでしょうか。あるいは、政党が政治家個人に寄附して、特定寄附ですね、そこから資金管理団体にお金が流れるということがどれだけあるんでしょうか。

かつて、二〇〇〇年より前は企業・団体献金が認められていましたから、企業・団体献金が認められるのは資金管理団体だけでしたから、これはそれなりの違いがあったんですね。しかし、政党以外に企業・団体献金は認められなくなって、今や政治団体、その中の資金管理団体と資金管理団体以外の政治団体の違いというのはほとんどなきに等しい。

それで、私の先ほどの質問ですけれども、指定がえというのは簡単にできちゃうんです。ある政治団体を資金管理団体にしていた、ある日突然気が変わって違う資金管理団体に指定がえする、これだって自由なんですよ。そういう実態がある中で資金管理団体だけ厳しくするというのにどれだけ意味があるんですかということを私は東さんに問うているわけです。いかがですか。

大口議員 指定がえも、岡田委員がおっしゃるとおり、もちろんできるわけであります。政治家本人が代表者であれば、その政治団体について資金管理団体と指定すればいいわけです。

ただ、政治家がこれは政治家の資金の受け皿として指定するという意味は政治的に非常に大きいんです。いろいろな政治団体のうちでここを資金管理団体として指定するその重みといいますか、それは政治家も自覚をしている、こういうように思っています。そして、そういう指定した資金管理団体については、特定寄附において、そしてまた個人の寄附について、総枠あるいは個別の枠というものが外されるということによって政治資金規正法上もこれを資金の受け皿というふうに、法律上そういう位置づけをしているということですので、それ以外の政治団体とは法律上の位置づけが違う、こういうことです。

岡田委員 寄附する個人から見ると、それが資金管理団体であってもそれ以外の政治団体であっても、基本的にそこに差はないわけです。これは資金管理団体だからここに寄附しよう、ここは資金管理団体じゃないから寄附するのはやめよう、そういう話は基本的にないんです。しかも、その資金管理団体以外の政治団体の長が政治家本人であれば、もうほとんど区別はないということになりますね。

だから、そこをわざと違うように言っている、政治家との一体性があるとかそういうことを言っているのは、私はそれは国民に対してごまかしていると思いますよ。ちゃんと説明していないと思いますよ。いかがですか。

大口議員 私どもは、政治資金規正法上、資金管理団体とそうでない政治団体の扱いを異にしているわけですね、法律的に資金管理団体とそれ以外を区別しているということをしっかり重視している、こういうことでございます。

岡田委員 公明党にばかり聞いてもいかがかと思いますが、自民党はどうですか、今の議論を聞いていて。

後藤(茂)議員 政治団体と政治資金管理団体のそれぞれの区分の考え方等につきましては、たびたび発言が続いているところで、同様に考えております。

実を申し上げますと、政治団体の中には政治家とは全く関係のない、いわゆる政治上の主義主張を行うような、専らそういった活動を行うような政治団体もあるわけでありまして、こうしたところにまで本当に今回の政治家と政治家の金というような観点で議論がされる中でこうした規制を加えていくということになりますれば、よく注意して見ないと、七万ある政治団体の中に例えば主義主張を行うという意味での政治活動、あるいは結社の自由、そういうことについてやはり問題が起こることもあるのではないか。

確かに、その他の政治団体の中に後援会とかいろいろな団体もありまして、政治家との関係の深い団体もあろうかとも思いますけれども、しかし、こうした政治家と関係のあるその他の団体と政治資金管理団体をはっきりと区別していく、政治団体と政治家と関係のあるその他の政治団体を区別していくということも法律上難しい、そういうふうにも思っております。

確かに、おっしゃいましたように最初は法人寄附があった、それがなくなってからは政治資金管理団体とその他の政治団体の差が大分小さくなっているのではないかという御指摘も、それはそのとおりかとも思います。しかし一方で、政治資金管理団体というのが、政治家との一体性ということで特定寄附についての特別扱いあるいは政治家個人の寄附についての歳入面における特別な扱いが認められていることも事実でありますので、そういう意味では、政治家と一体として考えられる団体として政治資金管理団体をまず規制の対象として拡大していくという御提案を与党としてさせていただいております。

岡田委員 実態は全く違うわけですね。

例えば、今お話の中で政治家と全く関係のない政治団体がたくさんある、それは事実であります。しかし、そういったことも含めて政治資金規正法は全体に対して少なくとも政治活動費については網かけをしているわけですね。だから、国民の浄財である政治資金について不断に国民の監視の目のもとにさらすことで公正さを確保していこうと。これは別に政治家が中心になった政治団体だけではなくて、政治団体すべてについてそういう考え方に基づいて政治資金規正法があるわけですから、ここで突然、いや、政治家に関係ない政治団体についてはそこまで網をかぶせるのはおかしいという議論というのは、今の政治資金規正法の考え方とは全く矛盾する考え方だというふうに私は思うわけですが、いかがですか。

東議員 経常経費というのは、そもそも、先ほどから申し上げるように、その性質から見て政治団体にとって必要不可欠な生活費、内容について詳しく報告させてみても余り意味がない、通常、支出に大きな変動がないというところから、もともと政治資金規正法で経常経費には領収書添付義務がないわけです。それが今回あり得べからざることが起こったということで、政治家に対するペナルティーで資金管理団体だけおかしな話だけれども経常経費のところを特例として領収書添付義務を課そう、こういう考え方ですから。それを七万の全団体に広げるということは、これは不自然だと思います。

それと、仮にもし政治活動費として本来計上すべきものを経常経費として計上した場合は、当然のごとく違法で、虚偽記載とかいろいろなことで刑罰の対象となり得るわけですから、その政治活動費をこれを奇貨に何でもかんでも経常経費でやろうなんていう、そういう流れにはなりませんと私は思いますよ。

岡田委員 虚偽記載で違法になりかねないようなケースについて日本国総理大臣はそれを守り通したわけですから、そういうことだから私は言っているわけですよ。

そして、今、資金管理団体の指定がえが容易にできるということを申し上げましたが、もう一つ、お金の流れも自由にできるということですね。資金管理団体とそのほかの政治団体の間ではお金が自由に行き来するという問題です。

予算委員会で使った資料をもう一度使わせていただきますが、これは別に悪いことをしているということではもちろんなくて、たまたま総理の収支報告書を絵にしてみたものであります。(パネルを示す)

総理の場合は、この晋和会が資金管理団体ですね。それ以外に、東京政経研究会、これは当時の秘書さんが代表をしておられる。同じ事務所にありますね。お金が五百万、この政経研究会から来ている。この資金管理団体から地元の政治団体三つに対してそれぞれお金が直接あるいは間接に行っている。つまり、お金の行き来がこれだけあるわけですよ。これは別に総理だから、安倍さんだからということじゃなくて、そういうことは結構日常的に多くの政治家の中であるんだと思うんですよ。

こんなにお金の行き来があるということですと、経常経費もこれはそれぞれ計上されているんですけれども、晋和会では八千二百万、東京政経研究会では千百万。ところが、同じ事務所にあるというんですね。すると、経常経費の例えば光熱水費なんかどうしているんだろうか。まあ、総理は一定のルールで分けているとおっしゃいました。それはそれで一つの正しい判断でしょう。しかし、やり方によっては、そういうことについて恣意的にどちらかに一方的に計上するということがあるかもしれない。領収書の添付があれば、そういうことについておかしなことをしていればわかるけれども、結局、そういうこともわからなくなっている、そういう問題があるわけですよ。こういう実態がある中で、資金管理団体だけやっているということはごまかしだということを私は申し上げているわけです。いかがですか。

大口議員 今回、資金管理団体については五万円以上という形で領収書添付または明細を明記する、こういうことなのでその資金管理団体の経常経費というのは明らかになってくるわけですね。政治団体とその資金管理団体について、例えばつけかえをやるというようなことがあれば、これはやはり政治資金規正法の虚偽記載になるわけですよね。

岡田委員 つけかえというとそういうことになるかもしれませんが、例えば同じ事務所を共有している場合とか、それから、そもそも領収書がなければチェックのやりようがないということを申し上げているわけです。だから、ちゃんとチェックできるように、資金管理団体だけの領収書を添付したって、それだけではチェックのしようがないわけですから、ほかの政治団体も含めてきちんとチェックできるようにするのが私は当然のことじゃないかというふうに考えるわけです。もう一度答弁してください。

東議員 先ほどのパネル、今お持ちですか、私もこの間予算委員会でその議論を伺っておりましたが、結論として、安倍総理も、結局その資金管理団体の晋和会のところにほとんどのお金がどんと集まっていますね。当然行き来はあるにしても、やはり主たる政治団体という、いわば代表的な意味合いを持った資金管理団体という位置づけがその図の中ではっきりしていますよね。だから、資金管理団体というのはそもそも他の政治団体と違うわけですから、政治家との資金的、人的一体性というものを持っているというのが図らずもその図がしっかり示していると私は思いますよ。

それと、とにかく政治家というのは細かく網をかけておかなきゃみんな何をしでかすかわからないぞという、いわば性悪説的な感じで見ていきますと、もう一方で政治活動の自由という、本当に担保されなきゃいけない非常に大事なその活動の自由ということを侵しかねませんよ、余りそうやって細かく細かくやっていくということは。私は、率直にそう思います。

岡田委員 私は、これは安倍さんの例を挙げましたが、安倍さんの金の流れが問題であるというふうに言っているわけではないんですね。ただ、自由にお金が行き来するという一つの例として挙げたわけで、ほかの政治家だと資金管理団体に集中していない政治家もいるかもしれません。ただ、制度上はそういうことができるということを私は申し上げているわけです。

やはり説明責任ということをどう考えるかという問題だと思うんですよ。今、政治活動の自由が妨げられると言いましたけれども、経常経費について領収書を添付したらなぜ政治活動の自由が妨げられるんですか。たしか公明党の中でどなたか、東さんたちじゃなかったかもしれませんが、こういう発言をしていましたよね。経常経費について領収書添付を義務づけないということを自民党は強調するけれども、それを余り強調されると、実は経常経費に領収書のとれないようなお金がたくさん入っているんじゃないかというふうに疑いを持たざるを得ないと。これは公明党の議員さんの発言ですよ。ですから、今あなたは同じことを言ったんだけれども、つまり、政治活動の自由がこれで制限されかねないと。そんなことはないはずでしょう。いかがですか。取り消しませんか、発言を。

東議員 私は、そういう制度上のことで先ほどの言葉を使ったわけじゃないんです。そうやって、いわば性悪説的な感じで、法の目を細かく細かく網羅させない限りは何をしでかすかわからないというような、そういうことを前提に法改正みたいなことを考えていき始めると、やがて一番大事な政治活動の自由ということを侵しかねないんじゃないですかという意味のことを言っているわけです。そういうことなんです。

だから、今回のことも、事は経常経費なんですから。それを、一部の人の本当にびっくりするようなことが露見したわけですから、それが全部に蔓延するというふうに考えることは乱暴だと先ほどから私は申し上げているんです。

それで、政治活動費のところはもうすべて領収書添付義務が七万全部についているわけですから。重ねて恐縮ですけれども。

岡田委員 ですから、資金管理団体に限定するという大前提を置いていろいろ説明を考えれば、今この議論の中で東さんがいろいろおっしゃったことになるんだと思うんです。しかし、公明党はもともと政治と金の問題については非常に厳しい党だったはずですね。ですから、私は東さんのその答弁を聞くと非常に残念だし、東さんとは平成二年の初当選以来、政治改革に一緒に取り組んできた仲ですから、その東さんにそういう発言をされてしまうと、与党、野党というふうに分かれてしまった今とはいえ、大変残念な思いがするということを申し上げておきたいと思います。

最後に、不動産の問題について、国税庁を呼んでいますので、国税庁にお聞きしたいと思います。

予算委員会でもお聞きしたわけですけれども、不動産の所有をこれから資金管理団体については制限されるということですが、政治団体に不動産の所有を認めると、適正な課税がなされないままそれがいつの間にか個人のものになってしまうおそれがある、こういう議論があるんですが、国税庁はそういう議論を認めるんですか。

加藤政府参考人 税法に則して申し上げますと、通常の政治団体、これは税法上人格のない社団に該当します。この人格のない社団が解散などをいたしましてその財産が個人に移転する場合は、その移転する利益は個人の一時所得となります。したがいまして、税法に従ってその一時所得については個人に申告義務が課されるわけでございます。この申告について、もしいろいろな資料や情報等で適正な課税上問題があるということですと、それは税務調査などを行うというのが私どもの基本的な方針でございます。

岡田委員 国民の中には、いや、政治家の政治団体について非常に国税庁は甘く対応しているんじゃないか、適正な課税をしていないんじゃないか、こういう見方があるわけですけれども、そういう見方に対して国税庁はどういうふうにお答えになりますか。明確に否定されますか。

加藤政府参考人 私ども国税庁といたしましては、税務の適正な執行という使命のもとで、いかなる状況においても公平に適正に課税を実現する努力をするつもりでございます。

岡田委員 私は、政治団体の不動産所有を制限するという案を民主党も出したわけで、そのことに反対しているわけではないんですけれども、それの理由というのは、先ほど来議論されていますように、国民の浄財である政治資金について、それはリスクの高い運用を許すべきではない、得することもあれば損することもあるわけですからね、結局、国民の浄財がせっかく集めたのに無駄になってしまうかもしれない。そういう意味で、不動産、私は当然株もそうだと思いますよ、そういうものを制限するというのは一定の合理性があると。したがって、そういう案を私どもは出しているわけであります。

ただ、不動産所有を認めると、適正な課税がなされないまま不動産がいつの間にか個人の所有になってしまうおそれがあるという物の言い方は、国民にすごく誤解を与えるし、もしそういうことがあるのなら、これは大変なことですよね、政治家だけ特別扱いするという。

ところが、実は、不動産所有を認めると、適正な課税がなされないまま不動産がいつの間にか個人の所有になってしまうおそれがありますというのは、さきの予算委員会での安倍総理の答弁なんですよ。私はこれを聞いて本当にびっくりしたんですけれども、一国の総理大臣です、国税庁も当然総理のもとにあります、その総理が、政治団体について、いつの間にか個人財産になっちゃうおそれがあるんだというふうに言うというのはいかがなものか、これまた資質を疑わせる発言じゃないかというふうに思うわけですけれども、いかがなんでしょうか。適正な課税をしないままという。いかがでしょうか。東さん、どうですか。そういうことはあるんですか、ないんですか。

東議員 あのときの総理とのやりとりというのは私はつまびらかにしておりませんが、そういうおそれというものがあるために、私は、個人にはそもそも資金管理団体の名のもとに不動産を所有すること自体でそういう疑念やそういう声を惹起させること自体が問題なので、不動産は所有すべきではないというふうに考えているわけです。そう思いませんか。それで民主党さんも不動産は所有すべきではないというふうに修正されたんでしょう、考え方を変えられたんでしょう。

岡田委員 それは違うんです。我々が言っているのは、そういうリスクの高い運用を政治資金ですべきではない、そういう視点から不動産や株は除外すべきである、制限すべきであるということを申し上げているんです。いつの間にか何か適正な課税がなされないまま個人財産になってしまうというようなことをもし政府が認めたら、これは大変なことだと私は思いますよ。

ですから、きょうは安倍総理がいませんから私はこれ以上申し上げませんが、やはり責任ある立場にある者はもう少しわきまえて発言すべきじゃないか。あの後、財務大臣はそれを打ち消す発言をされましたからね。いわば閣内不一致であったわけですけれども、もう少しそういったことについてきちんとした答弁を総理であればされるべきだというふうに申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

以上です。




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