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2005.08.31|その他

定例記者会見録 2005年8月


8月26日

○党首討論を自民党が断る、国民の前で議論することからなぜ逃げるのか不可解

○マニフェスト冊子が完成、国民1人ひとりの幸せを実現するための処方箋

○「国家公務員人件費削減の考え方」を発表、3年後2割削減を必ず実現する決意

○郵政だけで判断していいはずないと国民は感じ始めている、政権交代を強く確信

○小泉総裁任期延長論:9月までというのが揺るぎない事実ならはっきり否定すべき

○民主党マニフェストはより具体的に進化、与党は抽象的に後退

○総理の審議会・政府税調のサラリーマン増税を否定するなら自公は説明を

○医療費抑制:数値を決めて押さえ込む前に、効率化などでかなり抑制できる

○イラク、基地:民主党が勝てば国民の意思、同じ民主国家の米がノーと言うはずない

○8月29日の日本記者クラブ党首討論会では幅広い論点についてしっかり話したい

党首討論の申し入れ

【代表】なるべく各地区でぶら下がりや地方での会見をしていますが、東京にいるときはできるだけ会見を行っていきたいと考えています。

今日、皆さまに申し上げることは3点です。

第1点は、昨日、我が党の藤井代表代行が自民党本部に赴き、小泉総理と私との党首討論の申し入れを行いました。お断りの返事がありましたので、今日、再度、川端幹事長に申し入れに行っていただきました。

断る理由がよくわかりません。公平さだとかいろいろ言っていますが、そんなことを言ったら国会の党首討論だって堂々と基本的には2党で行っているわけですから、理由はよく分かりませんが、国民の前でしっかりと政策論を行うことについて、小泉総理がなぜお断りになるのか、お逃げになるのか、極めて不可解であります。

ここで改めてもう一度申し入れをする。川端幹事長に行っていただきました。返事はまだ正式に返ってきていないので、返事如何によっては、改めて申し入れをする。必ず実現したいと考えています。

なお私は昨日、外国人記者クラブ(外国特派員協会)で講演を行いましたが、そのときもアメリカ大統領選挙の例を引いて、この話をしました。終わったあとで、そのクラブの幹部から、「非常に面白いアイデアなので、自分としてはクラブとして総理に申し入れをしたいと考えるので、あなたはちゃんと出てくれますね」と確認されて、私は「もちろん出ます」と申し上げました。

早速、昨日のうちに外国人記者クラブから官邸に申し入れをされたと聞いています。しかし、これも拒否されたということであります。国際的に見ても全く不可解、理解できない総理の行動ではないかと思っています。

マニフェスト冊子完成

【代表】第2点ですが、マニフェストの印刷したものがようやくできました。中身についてはすでに仙谷政調会長や私から説明していますので、繰り返す必要はないと思います。あえて表紙には「500日プラン」も挙げて、全体として私たちのマニフェスト、政権公約であるということであります。

もちろんこのマニフェストというのは、いわば具体策でありまして、この前提にあるのは、何のために政治があるのかということで、私はそれは、国民一人ひとりの幸せを実現するために政治はあると。そのための具体的処方箋がここにあると考えています。

そうした観点からも、国民の幸せを実現するためにも、1つひとつの重要な政策について、しっかりと国民の前で議論して、そして選択していただくことが重要で、郵政の問題1点に絞って、しかも議論を拒むという今の自民党、小泉総理の姿は、国民の幸せからはほど遠いところにあると言われても仕方がないと思っています。

そして、このマニフェストの中で、我々は「年金」と「子育て」を充実することを申し上げているわけであります。「8つの約束」のうちの2番目、3番目であります。

もう一度申し上げておきますと、「大きな政府」「小さな政府」という議論もありますが、これは非常に分かりにくい議論で、我々は「効率的な政府」を目指す。その意味するところは、政府あるいは政治がやるべきことはきちんとやっていくと。

例えば、安心・安全の年金、あるいは子育て支援をしっかりやっていく。あるいは学校、教育にはもっと予算を投入し、ヨーロッパ並みの水準に持っていく。そうしたことを一方でやると。しかし、政府が必要のないものを従来の政官業癒着構造、あるいは単なる惰性の中で続けているものは、思い切って削っていくと。そのように考えています。ムダづかいをなくしていく。それが項目の1番目であります。3年後に10兆円の歳出削減ということであります。

国家公務員人件費削減の考え方

【代表】その具体的内訳として、公務員の問題があります。それが今日お話したい3番目の話ですが、国会公務員の人件費を3年後に2割削減することを、私はマニフェストの中で打ち出しています。そこについてどのような考え方で言っているのかを申し上げておきたいと思います。

この総額5兆円の国家公務員人件費に手をつけることなくして、財政の立て直しということは、私は非常に困難だと思っています。もちろん、小泉総理が時々言われるのですが、あるいは竹中大臣は「役人天国」という言葉を、自ら政府の責任者であることを忘れた表現もされるわけですが、私は公務員の多くは真面目にしっかりと働いていただいていると思っています。

ただ、民間の企業、大企業も含めてリストラや倒産、いろいろなことが10年前だと予想できないことがどんどん起きてきた。そういう中で公務員は、これは当然のことながら安定していますから、民間との比較において、もう少し考えるべきだという声が出るのは、ある意味、当然だと思います。

同時に、国がこれだけの財政赤字を抱えている以上、もちろん我々政治家は先頭を切らなければなりませんが、政府を構成する公務員がそれに一致結束して協力しながら、この財政危機を乗り越えていくことも極めて重要だと思っています。その観点で、我々は3年後に2割、つまり1兆円削減ということを申し上げたわけであります。

具体的には、これは非常措置ですが、3年間は新規採用を抑えると。完全に抑えることはなかなか難しい面があります。したがって、3分の2程度は新規採用を停止して、そしてその分、3年目に約5000億程度の人件費削減効果を見込むということであります。

もちろん、停止することによるいろいろな弊害が出てまいります。そうしたものは業務の効率化や省庁を越えた効率的な人員配置などを行う必要があると考えています。

もう1つが、給与・諸手当の見直し、そしてそのことに加えて地方分権の推進や規制改革による必要とされる人員の削減、ということであります。これにつきましては、基本的には人事院勧告制度がありますので、その枠内で行っていかなくてはなりません。

将来的には、公務員の労働基本権をきちんと認めて、そして交渉できるようにする。人勧制度を廃止するのが私たちの考え方でありますが、ここは今の人勧制度を前提としたとしても、いろいろな工夫の余地はあると考えています。

例えば、比較対象にしている従業員100人以上の企業という比較対象を変えることや、先ほども言いましたように、大企業も含めて倒産・リストラのリスクがある。しかし、公務員の場合には基本的に安定している。そこをある程度反映させることなど、いろいろな工夫の余地があるのだろうと思います。

そういうことについて、今は労働基本権の制約がありますので、私が政権を獲得したあとに、担当大臣を任命して、その担当大臣が中心となり、オープンな場で話をしながら賃金水準についても議論していく。そういう中で、全体として5000億の削減を実現することを考えています。

だいぶ昔になりますが、「池田・太田会談」というのがありまして、これは国家公務員そのものではなく3公社5現業の問題だったと思いますが、そのトップ会談によって、今の人勧制度の枠組みが決まったと私は理解しています。国家公務員の人件費については、やはり最終的には総理である私が責任を持って実現していくことだと思っていますので、もちろん担当大臣にしっかりとやっていただくのですが、この3年後に2割削減ということは私の政権公約ですから、必ず実現すると。その強い決意を皆さんに申し上げておきたいと思います。

それから地方公務員について、民主党はここは触れないのではないかとか言う人がいます。これは制度の基本を知らない人の議論でありまして、地方公務員の給与水準の問題は、これは地方に設けられた人事委員会でありますが、国が直接関与できる問題ではないのです。したがって、そこは国が全部下げますとか、削減しますという言い方は、法律上、できません。

ただ、国が下がれば、それに準拠している地方もその影響というものが出てくるわけで、そういうことも踏まえて、まず国の対応を決めたうえで、同じような取り組みを自治体、あるいは自治体の長に対して要請していくという形で実現していきたいと考えているところであります。

<質疑応答>

国家公務員の範囲/給与水準の引き下げ幅

【記者】国家公務員の人数について、どれを基準にしているのかお聞きしたいのですが。

【代表】基準というと?

【記者】国家公務員の人数は自衛隊の人数とかいろいろあるのですが、多分自衛隊も入っているのだろうと思いますが。

【代表】そうですね。

【記者】給与水準自体を5000億円減らすと、だいたい何%くらい水準として減らすとお考えかお伺いします。

【代表】私が先ほど説明したつもりですが、途中で入って来られたのか、あるいはお聞きになっていなかったのかもしれませんが、給与水準・諸手当の見直し、それに加えて分権推進とか規制改革、そうしたものをトータル含めて5000億ということで、その内訳までを細かく出しているわけではありません。

それを含めて担当大臣を任命して、オープンな場で交渉すると。これは制度上、「切り捨て御免」というわけにはいきません。交渉するということです。その交渉は必ず結論を出す、5000億まで結論を出すということが私の約束です。

代表自らの討論申し入れ

【記者】自民党との党首討論ですが、昨日は藤井代表代行、今日は川端幹事長が申し入れに行きました。幹事長の申し入れに自民党が再度断ってきた場合、代表自らが交渉に行くようなことはあるでしょうか。

【代表】私が行って、自民党から若い方が出てきて対応するというのもいかがかなという感じはしますが、私は別にいといませんが、総理と会う機会もあるでしょうから、そのときにも申し上げるということにしたいと思っています。行って受けるのなら、いくらでも行きますけれども。

人件費削減協議の形

【記者】公務員制度でお伺いしますが、政府も5年間かけて公務員制度改革がなかなか具体化できない理由は、連合を中心とする組合側がすごく抵抗が強いと。この給与削減についても連合の説得が一番重要な要件ではないかと思いますが、この協議の場についてどのような形を考えているのか、また説得できる自信があるか、お伺いします。

【代表】自信はあります。協議の場は公務員の問題を担当する大臣をきちんとつくって、会社であれば労務担当役員というのが必ずいるわけです。

そして、ここに掲げてあるような問題について、全体としてしっかり議論させる。それをオープンにするということであります。それは必ず公務員の皆さんも、交渉し議論するなかで分かっていただけると思っています。

私はマニフェストとして掲げ、そして政権ができたら、それは国民への約束ですから、それは当然実現させるという強い決意を持っています。何が何でもやり抜くと思っています。

【記者】担当大臣は専任で置くことになりますか。

【代表】専任に近い形になるでしょうね。

世論調査

【記者】最近の世論調査で、自民党がかなり強く、民主党では少しそうではないという調査結果がありますが、これについて何かコメントはありますか。

【代表】我々も現状がいいとは思っていません。ただ、国民の世論は大分変わりつつある。郵政だけで判断していいはずがないと国民の皆さんの多くは感じ始めていると思います。したがって、9月11日には私たちは政権交代を実現できる。そのことは強く確信しています。

最低保障年金/年金目的消費税

【記者】年金のことでお尋ねします。月額7万円の最低保障年金について支給年齢については65歳なのか、あるいは60歳で定年を迎えるなかで60歳から支給しなければならないとお考えか。また、年金目的消費税について、現行の消費税との関係をどのように理解したらいいのか。そして、2008年というのが、いわゆる最終的な年金改革の姿という理解でいいのでしょうか。

【代表】年金は改革してもそれで一度に切り替わるわけではありません。そこは一定程度の経過措置ということは当然必要になります。今まで保険料を払ってきた人と全然払ってこなかった人とが同じ扱いを受けるはずがないので、そこは一定の経過措置を置いて不公平感が出ないようにしなければならないと考えています。

年金目的消費税については、考え方としては、我々は消費税3%相当分ということですから、素直に考えればそれを上乗せするということになります。しかし、何らかの都合で大きな歳出削減が可能になって、今の消費税の枠の中でできるというのなら、それも1つの答えです。

しかし常識的には、その分保険料が安くなるのですから、保険料が安くなり消費税が3%上乗せされると。トータルとしては負担増にはならないというのが私たちの考えている道筋です。

【記者】最低保障年金の支給年齢についてはいかがですか。

【代表】基本的には今の国民年金と同じと考えています。

小泉総裁の任期延長

【記者】他党の話ですが、昨日、森前総理大臣が、この選挙で自民党が大勝して自公政権が続けば、小泉総理の任期を延長してもいいのではないかという発言をしていますが、これについてはどのようにお考えですか。

【代表】これは私がコメントすることではないと思います。ただ、小泉総理がはっきりと来年9月の任期までだとおっしゃっているわけですから、そのことが揺るぎのない事実なのかどうか、小泉総理ははっきり言う必要があります。

そうでないと、選挙の前に、果たして1年で辞めるのか、あるいはまた数年やっていくのか。これは投票行動に影響があることですから、総理自身がはっきりおっしゃる必要があると思います。森前総理がいろいろ言われたのなら、違うなら違う、間違っていると言うべきだと思います。

国家公務員の地方公務員化

【記者】地方分権の際に、国家公務員から地方公務員に異動してもらうようなことは考慮に入っているのでしょうか。

【代表】そういうこともありうるでしょう。

【記者】公務員の関係ですが、自民党のほうでは、国・地方を問わず「公務員」と一括りに言及しているのですが、先ほどの話だと、地方のことに言及するのは法律違反になるという解釈なのでしょうか。また、自公合わせて過半数届かず、民主党も単独過半数に届かないという状況もあると思いますが、その時に小沢副代表などは他との連立もありうるという言及をされていますが、代表はあくまで単独でということなのですが、これはどちらだと思っていればいいでしょうか。

【代表】私は民主党単独政権をつくると申し上げていますので、それ以上のことはコメントしません。ずっと同じ台詞を繰り返しているのですが。

地方の話はここに書きましたように、国が措置することを、同じような取り組みをしてくださいということまでは当然言えます。しかし、地方の公務員の給与水準を国が勝手に切り下げるとかは制度上できませんから、それができるかのように言っている自民党は、私は仕組みそのものが全く分かっていないのではないかと思います。そして地方の中には、すでに長野県や鳥取県など、知事と組合の代表者との間の話し合いで、独自に切り下げているところもあるわけです。

与党マニフェストの評価

【記者】与党のマニフェストについて、もしご覧になっていたらその評価と、改めてこの選挙をマニフェスト選挙に持ち込む意義を教えてください。

【代表】マニフェスト選挙は、前回の総選挙からかなり定着してきたと思いますが、やはり具体的な財源や期限をなるべく書き込んだ具体的約束を競い合うと。そして、政権を取れば、その実現度でもって次の選挙の参考にすると。こういうことだと思います。

私たちは、初回である2年前の総選挙、そして2回目である参院選、そして今回で3回目。マニフェストは進化を遂げつつあると。より具体的になっていると。そこは非常に自信を持っています。

自民党のほうは逆に非常に抽象的な文書で、政府の方針とほとんど変わらない表現になりました。国民の皆さんに対して具体的に政策を提示して判断していただくという考え方からすると、明らかに後退していると思います。より具体的な提案をしてもらいたいと思っています。

ただ、そういう中で1つだけ具体的な提案が、自民党あるいは与党にはあるのです。それは政府税調のいうサラリーマン増税はしないと。そこだけは際立って具体的なのですが、与党側がしないとか反対とかいう野党的な言い方をされたのは非常に興味深いところですが、しかし、今日、谷垣財務大臣は「政府税調の考え方を頭から否定するのはいかがなものか」という趣旨の発言もされています。

これは当然だと思います。政府の、あるいは総理の審議会である政府税制調査会ですから、それを頭から否定するのなら、審議会の意味はありません。ここはやはりなぜ頭から否定したのかについて、自民党・公明党には説明責任があると思います。

「人件費削減の考え方」の位置付け

【記者】この「国家公務員人件費削減の考え方」ですが、これはマニフェストに沿ったものだと思いますが、これは党としての考え方なのか、それとも代表個人としての案なのでしょうか。

【代表】3年後2割削減というのはマニフェストにも書かれていますので、もちろんそれは党としての考え方です。その内訳をどのように考えているかということについて、私の考え方を示したものです。ただ、私は総理候補ですから、私が総理になれば、これは私の約束、つまり政府の約束です。

【記者】そうすると、党内議論を経たものではないという理解でしょうか。

【代表】ここまで具体的な議論はしていません。ただ関係者にはもちろん、この内容について、こういうことでやるということは分かっているわけですが、全員にこれを示したわけではありません。

医療費削減

【記者】年金が1つの大きな争点だということで、社会保障でいえば医療問題について、民主党としては具体的には医療費削減策についてどのようにやっていくか。それに関連して政府の方針である「マクロ指標」で行うやり方について、どのようにお感じですか。

【代表】政府の方針ですか、「マクロ指標」は?

【記者】方針というか、一応、諮問会議でやって、まだ自民党内にも異論があるので、非常に曖昧な言葉になっているのですが、何らかの指標ということで……。

【代表】だから、極めてそこは「方針」というような立派なものではないと。ほとんど言っていないのに等しいと思います。

そうした、あらかじめ数値を示して抑え込むやり方よりは、やるべきことはたくさんあります。例えば、効率化のための情報化とかですね。マニフェストに具体的に書いてありますが、今の医療を効率化することで、かなりのことが基本的にできると考えています。

その上で、医療制度の改革はしっかりと政府・厚生労働省で議論して、頭から抑えつけるということではなくて、必要なものはきちんとやるというのが私たちの方針ですから、そのために負担増が必要であるということになれば、そのことも含めて考えていかなければならない。

しかしそれは、私は基本的には2期目の課題。最初の1期3年は、徹底的な歳出削減。医療費が増えてお金が足りなくなれば、政府の資産を売却してでも埋めていかざるを得ないと思います。2期目までにはきちんとした制度をつくって、そのための財源についても、もし必要があるのなら、きちんと手当するということになると思います。

いずれにしても、増えないということはあり得ませんから。増え方がどのくらいなだらかになるかという問題ですから、そこの財源について何らかの手当が必要になると考えています。

日米関係/年金一元化

【記者】マニフェストの中の日米関係について、日米地位協定の見直しなど、かなり踏み込んだ部分がありますが、日米関係に関して重要な問題だと思いますが、これは代表も何度か渡米されていて、大方の方向性・感触を得たうえでこれを書かれているのか、あるいは「こうあるべき」という意味で書かれているのかをお聞きします。もう1つは、年金一元化ということについて、自公と民主とは完全一元化と自営業者や農業者などを含めない形とで考え方が違うのですが、その基本的な考え方の違いについて改めてお伺いします。

【代表】一言で言えば、ライフスタイルが多様化しているなかで、かつ国民年金制度が事実上破綻しているなかで、自営業者だけを別にした一元化というのは、私は意味がないと思っています。

そして、小泉総理自身も「できれば国民年金を含めた一元化が望ましい」とはっきり国会でも答弁されています。厚生年金と共済年金の一元化だけなら、ずいぶん前に閣議決定されていることで、何ら目新しい話ではありません。「改革」と言う以上は、もう少し大きなことを考えるべきだと思っています。

アメリカ側の感触ですが、誰もブッシュ大統領と会ったわけではないのでそこは分からないと思いますが、私は昨日も外国特派員協会の場でも申し上げましたが、我々は明確に基地の問題やイラクからの撤退の問題を政策として掲げ、そして選挙があって、民主党が勝って政権を取るということになれば、これは日本国民の意思ですから、その意思を実現することについて、同じ民主主義国家であるアメリカがそれに対して「ノー」と言うはずはない。もちろん説明は必要ですが、これは日本国民の選択であるということで説得したいと思っています。

日本記者クラブ主催党首討論会

【記者】小泉総理との党首討論について、今のところ断られている状況ですが、週明けには日本記者クラブ主催の党首討論会があります。これはテレビ中継で全国民も見られますが、その場をどのような位置付けで臨まれるでしょうか。

【代表】もちろん、各党党首が出揃いますので、時間は限られていますが、小泉総理が基本的に説明責任を果たしていませんので、郵政の民営化だけを一方的にお話になるだけですから、幅広い論点についてしっかりと話をしたいと思っています。

8月20日 マニフェスト会見要旨

○政権公約重点8項目を発表、年金と子育て、それを支え得る財政を特に強調したい

○民主党公認候補287人全員がマニフェスト実現を誓約しサイン

○郵政法案が参院で再否決されない道筋を明らかにできなければ画に描いた餅

○各党マニフェストが出た、国民の前で議論することを総理に申し入れる

○総理の下の政府税調が出したサラリーマン増税を自民が否定するのは自己矛盾

○安保理入り:先制攻撃・国連改革への発信など平和に貢献する国として堂々と訴えを

○控除から手当に切り替えれば低所得層ももらえ、専業主婦世帯も共働き世帯も公平

○若者が希望を持てない、子どもを産めない、二極分化…でも「日本を、あきらめない。」

○年金目的消費税:二段階税率や納税還付など現行消費税を改革したうえで導入

マニフェスト重点項目「日本刷新8つの約束」

【代表】今日は8月20日、解散総選挙スタートから約2週間が経ちました。小泉劇場第1幕、そろそろ終わりになっていると思います。これからが第2幕、本当の政策論争を始めるそのときが来たと考えています。各党のマニフェストも出揃いましたので、改めて私から今日は民主党の政策について、そのポイントをご説明し、今後、各党間でしっかりとした政策論争を行っていくことを期待し、そして、是非国民の前で実りある政策論争が行われることを実現していきたいと考えています。

さて、ここにもありますが、私からは、私の国民の皆さんへの約束「日本刷新8つの約束」を発表したいと考えています。この8つは、先日我が党が発表したマニフェストの具体論の中で、特に民主党として私として、重要であり、是非実現したいと考えているものであります。

個々にはこれからご説明したいと思いますが、その中でも特に強調したいと思っているのが、「年金」と「子育て」について、しっかりとした政策を行っていく。政策を大転換するということであります。

多くの国民の皆さんが、年金制度の将来の持続可能性について、そしてあまりにも貧弱な子育て支援策について、大きな不安・不満を持っています。それにしっかり応えるのが、民主党の今回の総選挙にあたっての政策のポイントであります。そして同時に、そうしたことを可能にするためにも、3年間で10兆円の歳出削減を掲げていますが、財政をしっかり立て直していくということも、いま申し上げた年金・子育て支援策をしっかりと行っていくためにも重要なことだと考えています。

それからもう1点。このマニフェストですが、先日発表した各論(具体論)も含めて、民主党の現時点までに公認した候補者287名全員が、この選挙戦にあたって、この具体的なマニフェストについて尊重し、そして民主党政権ができたときに、このマニフェストを実現することについて協力するという誓約書に、全員がサインしたということもご報告申し上げておきたいと思います。

それでは8つの項目について、それぞれ簡単に申し上げていきたいと思います。8つの約束、ここに書いたとおりでありますが、1つひとつ申し上げていきたいと思います。

まず最初に、先ほど言いました財政の立て直しについて書かれています。3年間で10兆円のムダづかいを一掃すると書いております。

その内訳は、まず「隗より始めよ」で、国会議員自身の問題として、衆議院定数の80人削減、議員年金の廃止。まず自ら身を切るところから始めて、そして国家公務員人件費の2割削減、あるいは公共事業、特殊法人への予算を半分にすることなど、しっかりとした歳出削減の努力を行って、3年後に10兆円の削減をするということであります。

このことは国民の皆さんにも、ある意味での犠牲・負担をお願いせざるを得ないということも申し上げておかなければならないと思います。

一例を挙げれば、国直轄公共事業の半減でありますとか、あるいは公務員人件費の2割削減ということは公務員の皆さんにも犠牲を強いるわけですが、同時に新規採用を3分の2停止するというふうに考えていますので、そういう意味では、これから公務員になろうとしている方々も含めて犠牲を強いることになるということであります。

しかし、そういった国民の皆さんの覚悟がなければ、こうした3年間で10兆円という大きな削減はできません。そのことも改めて申し上げておきたいと思います。国民の皆さんの理解と協力を求めていくことが重要だと思っています。

第2に、社会保険庁を廃止し、年金を一元化するということであります。

これは自民党・公明党のマニフェストを見ますと「あぁ、やっぱりそうか」と思ったわけですが、まず一元化については国民年金は含まない一元化、公務員共済と厚生年金の一元化ということを、自民党も公明党もマニフェストに書いております。しかしそれは、随分前に閣議決定された政府の既定方針であります。それ自身が大きな改革であるはずがないと思っています。

あわせて、例えば自民党のマニフェストの中には16年度、つまり昨年度の参院選前に行った強行採決された案が、持続可能で安心な年金制度改革であると言っているわけで、やはり本当の抜本改革をやる気はなかったのだなということが、自民党・公明党のマニフェストから明らかになったと考えています。我々は、国民年金を含めた一元化、そして最低保障年金という大きな抜本改革を何が何でもやり遂げるということであります。

第3に、公立学校改革に着手し、月額1万6000円の「子ども手当」を支給する。

特に子育て支援、産みたくても産めない人たちの悲痛な声が、与党の皆さんには聞こえていないのではないかと思っています。産みたくても産めない。1つは仕事との両立がかなわない。もう1つは経済的な理由でできない、ということであります。我々は月額1万6000円の「子ども手当」を必ず実現することを約束しています。1万6000円というのは、ヨーロッパの水準から見れば、決して高いものではありません。我々は財源の裏付けも持って(配偶者控除等の整理)、こうした制度を必ず実現するということをお約束申し上げているわけであります。

第4に、地域の工夫を引き出すため、ヒモつき補助金18兆円を、地方の財源に切り換えます。

小泉総理の「三位一体改革」が、全く小さな議論に終始し(3兆円規模)、しかも「省あって国なし」の官僚機構の中で、ほとんど頓挫していることに対して、我々は思い切った改革を申し上げています。そして、いま非常に疲弊している地方あるいは地方経済を再生するために、こうした地方への補助金18兆円を地方の財源に切り換えること、そのための権限・財源を地方に移すこと、このことが地方再生のポイントだと考えています。

第5に、12月までにイラクから自衛隊を撤退させ、日本にふさわしい復興支援に取り組みます。

イラクの問題は、我が党は当初からイラクへの自衛隊派遣に反対してきました。しかし、現に派遣されています。ですから、12月に期限が来る。まず12月には日本に戻すことをきちんと明らかにしたうえで、具体的な出口戦略・撤退戦略を描いていくべきだと思います。もちろん、アメリカの理解も必要で、それで十分分かりましたという答えは期待できないかもしれませんが、しかし少なくとも同盟国であるアメリカに説明する作業は必要だと思います。そのために民主党政権ができて私が総理になった際にはアメリカに行って、我が国の撤退方針について、ブッシュ大統領に会って、きちんと説明したいと考えています。

この自衛隊問題は、基本的にいま(現地サマワで)する作業はほとんどありません。水の供給という最大の仕事が完了しています。そして道路や学校の補修などは、これは別に自衛隊がいなくても、イラク人の手でできるわけであります。我々はそうした状況の中、単にアメリカとの関係だけで自衛隊を置いておく結果として、自衛隊員の皆さんも大きな危険に身をさらさなければならない。そして日本にも、テロが起こるか起こらないかではなくて、いつ起こるかという状況であると私は認識しています。そのリスクを政治の決断で大幅に減らすということも非常に重要なことである。それは別にテロに屈したということではないと考えています。

イギリスのように情報機関も持ち、いろいろな意味でテロへの備えができていた国でも、ああいうテロが起こりました。いまほとんど準備ができていないという無防備な状況で、危険に国民をさらしておくことは許しがたいことだと思っています。

第6に、10年後の自給率50%実現のため、「直接支払制度1兆円」をスタートします。

農業を元気にすることが地方活性化の大きなポイントであることは論を待たないことだと思っています。そして、一方で消費者の側からは「食の安全」ということが強く求められています。きちんと誰が生産し、どういうプロセスでできたかということがはっきり分かる、そういった農業を「直接支払制度」の下で実現していくということが、「食の安全」を確保していくことにもつながると考えています。

これも財源は、私たちはきちんと明示しているところであります。従来の農業土木を中心としたものを振り替えていくということであります。

第7に、官製談合を根絶し、道路公団廃止と高速道路無料化を実現します。

恐らく、「500日プラン」で示した私の下に置かれる「行政刷新会議」の最初の仕事が、この官製談合根絶ということになるのではないかと思っています。これは道路公団の橋梁だけの問題ではありません。道路公団のその他の高速道路建設事業そのものについても、あるいは国直轄の橋梁に関する公共事業、あるいはより広く国直轄の公共事業のかなりの部分に、この官製談合が蔓延しているのではないかと多くの方が疑問を持っていると思います。これを徹底的に、役人を入れない「行政刷新会議」の下で事実を究明していくと。そしてその結果、処罰されるべき人は処罰するし、公共事業全体のコストを引き下げていくことが必要であると思っています。

我が党の菅総合選対副本部長は、これだけで10兆円くらい出てくるのではないかと言っているわけであります。

第8に、郵貯・簡保を徹底的に縮小し「官から民」へ資金を流します。郵便局の全国一律サービスは維持します。

小泉総理は郵政民営化法案を選挙が終われば成立させると言っています。その民営化法案が極めて曖昧で、実現不可能なものであることは、私が何回も繰り返し申し上げているところであります。

いくつかありますが1つだけ申し上げると、郵便局のネットワークを維持する話と、100%郵貯・簡保については民営化すること、つまり民間が自らの判断で採算に合わないところは当然撤退できるということになるわけですから、そのこととネットワークを維持することとは明らかに矛盾するわけで、この矛盾について小泉総理は全く説明していません。結局法案ができても、実際には実行不可能な法案であるということであります。

同時に、昨日の総理の記者会見でも出たようですが、この同じ法案を出しても参議院でまた否決されることは明白で、是非小泉総理には、同じ法案を出して、衆議院では自公が勝てば通るかもしれませんが、参議院をどうやって乗り越えるのかについて、具体的な道筋を国民に明らかにする責任があると。そうでなければ絵に描いた餅であると考えています。

それぞれについてご説明しました。この「日本刷新8つの約束」、これが私の国民の皆さんに対する具体的な約束の最も重要な部分であって、この8つの約束は、民主党政権ができて私が総理になれば、何が何でもこれは3年間の中でやり遂げていくことを、はっきり皆様にお約束申し上げておきたいと考えています。

それから、以上が政策の中身ですが、どうも先週あたりから議論する機会があまりないんですよね。一方的に発信するばかりで、竹中さんと菅さんの議論とか一部は実現しているのですが、基本的に自民党と民主党で議論する機会がありません。

先週の日曜日の討論番組も各党党首ということで、私は当然出るように準備をしていたのですが、「報道2001」「日曜討論」「サンデープロジェクト」いずれも自民党側から、総理はもちろん、武部幹事長も出られないと。あるいは政党間で議論したくないということで、個別インタビューや与党同士、野党同士という極めて奇妙な議論でしかありませんでした。

お互いがマニフェストを出したわけですから、きちんとした議論を国民の前で行うことを求めておきたいと思います。アメリカ大統領選挙ではありませんが、特に小泉総理には、選挙期間前でも期間中でも結構ですから、私と政策論争、1対1で是非やっていただきたいと。国民の前で、お互いの政策についてしっかりとした議論をするということを申し入れをし、小泉総理、政策に自信があるのなら、是非受けてもらいたいと考えているところであります。

<質疑応答>

重点8項目に郵政改革を入れた意味

【記者】当初、代表は小泉総理が「郵政解散だ」と言ったことに対して、「郵政は争点じゃない、小泉総理の土俵に乗らない」という言い方をしていたと思うのですが、郵政改革の案を重点項目の8項目目に掲げた意味をお聞かせください。また、昨日の自民党のマニフェストが郵政を前面に出していることについても踏まえてお話しください。

【代表】私は、いまでも郵政改革の問題がこれからの3年先の日本の将来を決める総選挙の中で、特に大きな項目であるとは思っていません。ただ現実に、自民党がそれのみを打ち出しているわけで、当然、政権準備党としては、その自民党の考え方に対して堂々と議論する必要があります。

したがって、あえて8つの項目の1つに入れて、いつでも議論を受けて立つ用意があることを示したものであります。

同時に国民の皆さんが、自民党のいろいろな宣伝の中で、郵政民営化法案、これも「郵政民営化法案」の話なのか「郵政民営化」の話なのか、よく混同されるのですが、いずれにしてもそのことが非常に重要であるかのような受け止め方をされています。

したがって、我々としては、そうしたことも含めて、しっかりと我々の考え方を伝えるという趣旨で、8つの項目の最後に入れておいたということであります。

サラリーマン増税に対する自民党との違い

【記者】1番目の「サラリーマン狙いうち増税なし」について、自民党のマニフェストの中にも政府税調のことを取り上げて「サラリーマン増税なし」と言っているのですが、自民党との違いを1つ言っていただきたいのと、自民党が政府税調との関係でマニフェストに書き込むというあり方について、何かあればお伺いします。

【代表】非常に矛盾していると思います。今日も竹中さんが菅さんとの議論の中で、自民党のマニフェスト全体が非常に抽象的だという指摘を受けたのに対して、「いや、政府の『骨太の方針』その他、具体的なものはあるのだ、それを前提にしてマニフェストは書かれているのだ」という説明にもならない説明をしていたと思いますが、あるときは政府がやっていることをマニフェストの前提と言い、あるときは明確に否定することは、全く一貫性がないと思います。政府税制調査会は総理の下で専門家が議論するのであって、そこで出てきたことを自民党がマニフェストで否定するのは自己矛盾だと考えています。

私たちは、3年間は徹底的に歳出削減の努力をすると申し上げています。もちろん「子ども手当」を実現するための財源としての配偶者控除や扶養控除の廃止、年金目的消費税を導入するときには保険料がその分減りますから、負担増にはならないわけですが、そうした負担増を伴わない形の増税まで否定しているものではありません。そして、ここでいう「サラリーマン狙いうち増税」、例えば給与所得控除の廃止などは全く考えていないということであります。

直接支払制度

【記者】6番の農業政策についてお聞きします。8つの約束の中に敢えて農業政策の1兆円の直接支払を入れたことについての意義を改めてお聞かせください。また、1兆円の直接支払に対して、島村前農水大臣や自民党がバラマキではないかと批判を繰り返していますが、これに対する反論をお願いします。

【代表】先ほど言いましたように、農業を元気にするということは、地域活性化の非常に重要なポイントなのです。地域がいままで公共事業に頼ってきた。しかし、公共事業はいまの小泉政権の下でも予算額としては減ってきましたし、私たちはもっと削減せざるを得ない、特に国直轄事業を中心に、そのように考えています。

そういう中で、地域が自立的にやっていくために考えたときに、やはり農林水産業は非常に大きなポイントになる。そこを何とか立て直さなければならないと。

同時に、放っておくと後継者もどんどん減っていますから、二度と立ち上がれなくなる。そういう危機感を持って、私たちはこの直接支払制度ということを打ち出したわけです。

何をもってバラマキと言うかは定義の問題だろうと思いますが、私たちはこのことによって、逆に国際的に十分競争できる農業を日本も持ち得るとするなら、それは非常に価値のあることだと考えています。自信を持って、直接支払制度を実現させたいと思っています。

国連安保理常任理事国入り

【記者】5項目目の開かれた国益の関連で国連の常任理事国入りについてお伺いします。自民党マニフェストで、失敗したということもあってか、言及していませんが、民主党はこのような形で膠着した国連改革を根本から立て直すと明確に書いたということで、政権を取った場合に具体的なプランがあればお聞かせください。【代表】まず、大きな失敗を犯したということは言わざるを得ないと思います。私はG4(日本、ドイツ、インド)という形でスタートしたこと自身が間違っていたのではないかと思いますし、ましてやG4でスタートするときにアメリカに対して十分説明し、納得させていなかった。アメリカからですら「ノー」と言われたということは、私は外交の大きな失敗だと思っています。

アフリカに対しても、随分経済協力、資金援助の約束もしましたが、ほとんどそのことが政府の狙っていた通りには働かなかったということであります。

しかし、日本のこれからを考えたときに、あるいは国連というものを考えたときに、常任理事国の改革あるいは国連全体の改革ということは避けられないことであります。

もちろん、国連改革自身は常任理事国の問題だけではなく、いろいろな具体的な改革案が提示されていますので、そうしたことについての発信も私はこれから必要だと思っていますが、例えば先制攻撃についての考え方とか、そうしたことについても、当然常任理事国入りを目指すのであれば、日本としての考え方をまとめて発信しなければ、常任理事国の資格が果たしてあるのかと言われても仕方のないことだと思っています。

私は日本が常任理事国になるのは、まず核を持たない常任理事国をつくるということ。5つの常任理事国すべてが核を持っている。そして、同時に連合国である。つまり、60年前の戦争で勝利した国々がつくった国連であると。60年経ちますから、そうした基本的なフレームを変えなければならない。世界の中できちんと力を持ち、そして貢献し役割を果たしている日本が常任理事国になるのは当然のことであって、そのことを正面から堂々と訴えていったらいい。しかも核を持たない、平和に対して積極的に貢献する国としての日本を正面から訴えていくべきだと考えています。

そういう中で、アジアの国々からの共感も得られるし、発展途上国と言われるアフリカやその他の国々からも日本に対する信頼感が高まってくるのだろうと思っています。

「8つの約束」の優先順位

【記者】2点お伺いします。1つは8つの約束の中でプライオリティ(優先順位)があるでしょうか。

【代表】プライオリティということで、いずれも重要な項目ですが、先ほど申し上げたように、この中でも特に重要なのは「年金」と「子育て」です。そして、そうしたことをきちんと可能にするためにも「財政の立て直し」ということも、それを支える意味で重要だと考えています。

将来郵政公社が赤字になった場合

【記者】もう1つは郵政改革の中で、郵便事業と基本的な金融サービスは国の責任で維持すると書かれていますが、国の責任でということは、赤字が出た場合は税金を投入するということでいいのか、また、毎年赤字がでるようであれば、規模を縮小したあとにはあらゆる選択肢があるとおっしゃっていますが、赤字では民営化はできないと思うのですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

【代表】この問題は、小泉民営化案でも同じようにあるのです。先ほど申し上げたように、小泉民営化案では郵貯・簡保について100%民営化すると。ということは、そこで切り離されてしまいますから、そうすると残りの郵便局のネットワークのところと持ち株会社の下に窓口とネットワークとあるわけです。ここの部分というのは自立してやっていかなければならないのです。そこをどうやって自立させてやっていくかについて、私は政府案にも全く答えがないと考えています。

私は、当面は公社の中でやっていくと。公社の中でやっていく限りにおいては、そうした問題は出てきません。やがてその次のステップとして、我々が例えば民営化という方向をとるのか、それとも公社のままで、あるいは公社の経営形態全体を変えるなかで3事業一体でやっていくのか。いろいろな選択肢があり得ると思っています。

違う言い方をすると、国が支えるということですから、場合によっては財政的な支援も含めて考えていくということになるかもしれません。それはそのときの有権者・納税者の判断の問題。つまり、どのくらい税金を投入してどのくらい支えていくのかということは、それは税金ですからはっきり見えますから、「こんなにネットワークを100%維持するために税負担がかかるなら、もう少し効率化したほうがいい」という声がその時点で起きれば、それは整理することもあるかもしれません。ネットワーク全体を維持しながら効率化していくことはあるかもしれません。そうしたことも見えやすくすることが非常に重要だと思っています。

配偶者控除から「子ども手当」に切り替える意味

【記者】税についてお聞きしますが、民主党は政府税調の報告について「サラリーマン増税」と厳しく批判していますが、政府税調の考え方の中に複雑な控除を廃止して中立な税制をつくり、必要な分は手当に切り換えるという基本的な考え方があると思っていますが、先ほど「子ども手当」の中で控除を廃止して手当で見るという考え方があると思うのですが、どのような税の側面を考えていますか。

【代表】税の側面」というのは何ですか?

【記者】税のどのような考え方で控除を廃止するのか。ここに書かれていることは、控除を廃止して「子ども手当」で見るということですけれども、どういう理念で切り換えについて、要するに先ほど負担増にはならないと言いましたが、例えば子どものいない世帯では実質的負担増になるなど、廃止することで恩恵を受ける層が変わってくると思うのですが、そのあたりについてお聞きしたいのが1つ。もう1つは年金目的消費税について、3%ということをおっしゃっているとは思いますが、マニフェストには税率を書き込まなかったことについてお伺いします。

【代表】まず、年金目的消費税について3%ということは、私は申し上げています。これは将来にわたって3%ということでは必ずしもありません。税方式にするときに、当面3%ということであります。しかし、そのときに先ほど言いましたように保険料負担がその分減りますから、これはトータルとしての負担増にはならないことになるわけであります。

それから、最初のご質問について、私の理解では、政府税制調査会は「手当」ということは言っていないと思います。政府税調が子育てについて言っていることは、いまの控除制度について、所得控除から税額控除に変えることを主張しておられると思います。これは確かに1つ、半歩前進ではあると思います。なぜならば、所得の多い人ほど、所得控除だと軽減が大きくなります。しかし税額控除だと、同じ額の控除になるわけで、そういう意味では半歩前進だと私は評価しています。

それをさらに進めたのが「手当」であります。つまり、税額控除制度は所得税を払っている人のみ適用されるのであって、所得税を払っていない所得の低い層の皆さんにとっては、税額控除制度も何の意味もありません。

私たちは「子どもを育てる」というコストを社会が負担するときに、所得の少ない人にはその恩恵がないというのは明らかにおかしいと考えて、これはヨーロッパの多くの国で共通する考え方だと思いますが、手当制度を導入する。そうすると、所得税を払っていないような所得層の皆さんにも、同じ額だけ、1万6000円が行くということであります。

全体としては負担増にならないとしても、個々人を見ればあるじゃないかというのは、その通りであります。例えば、子どもさんのいないご家庭とか考えれば負担増になると思います。配偶者控除を廃止するということは、専業主婦のご家庭から見れば負担増になるかもしれません。これは所得の多さによって違うのですけどね。

それは例えば配偶者控除であれば、私は配偶者控除というのは、ある意味では専業主婦の皆さんを優遇する制度となっています。私は専業主婦も1つの人の生き方として、そのことを否定するものではありませんし、我が家でも専業主婦に近いような状況でありますが、しかし、やはり制度がこれを優遇するというのはいかがなものかと。ニュートラル、中立でなければいけない。働く女性も専業主婦の女性も同じ制度と考えています。そういう意味で、それを廃止して財源に充てることは、十分に合理性があると思っています。

扶養控除については、それがそのまま子育て支援に行くわけですから、より近い関係にあるわけで、私は十分な説得力をもって語ることのできる考え方だと思っています。

重点項目をマニフェスト本体と別途発表する意味

【記者】民主党は先にマニフェストをすでに発表されているわけですが、今日になって重点項目を発表することの意味についてお聞かせください。

【代表】各項目について先般発表しまして、その中で、もちろんマニフェストですから、民主党政権・岡田政権ができればきちんと実現することが当然前提となっていますが、その中で我々がどういったことに力を入れていきたいと考えているのかを明らかにしたものであります。

従来からこういう形で民主党の場合は発表させていただいています。国民に分かりやすくするという意味も大きいと思います。この8つについては、私が総理になって、これが実現できないということでは約束違反ですから責任をとると。特にそのような意味合いの強いものだと思っています。

選挙キャッチ「日本を、あきらめない。」への思い

【記者】内容とは直接関係ないのですが、今回の総選挙の民主党のキャッチフレーズは「日本を、あきらめない。」だったと思いますが、その言葉に対する代表の思いについてお聞かせください。

【代表】最初は「もっと大事なことがある」と。次のステップが「日本を、あきらめない」。これはまだまだ発展していきますから、さらなる発展形が示されるかもしれません。いま我々考えているのは、政策に関していえば「日本刷新」ということです。日本を一から変えるということが、このマニフェストについての私たちのキャッチフレーズであります。

「日本を、あきらめない。」というのは、私の思いが非常につまったものですが、「日本を、あきらめない。」というと何か後ろ向きだとか、いろいろなコメントも返ってまいりますが、私はそのように思う方は、かなり現状に満足している方ではないかと思うのです。しかし現実はどうかというと、例えば若者が希望が持てない、夢がなかなか実現しないという多くの若者から見れば、ほとんどあきらめかけている。あるいは、子どもを産み育てたいと思っているけれど、それが先ほど言いました経済的な理由や仕事との両立の中であきらめざるを得ない。絶望的な気分だと思います。そして、あきらめかけている。

あるいは二極分化がこの間、随分進みました。私は「勝ち組」「負け組」という言葉遣いは嫌いですから使いませんが、というのは、多様な価値観があっていいので勝ち負けで論じる話ではありませんが、現実には所得の二極分化が進んでいる。これは事実です。そういう中で、一生懸命働いても、なかなか働きに応じた所得が得られないと思ってあきらめかけている人もいます。

そういう人々が、国民の中のかなり多くの部分を占めるのではないかと思います。そして、そういう人たちに対して「あきらめなくていい。いまこの政策をしっかりやれば、そこは変わっていくのだ」という、私から送る勇気付けのメッセージです。

キャッチフレーズが今後変わる可能性

【記者】私の理解では、この選挙中通してのキャッチフレーズとして「日本を、あきらめない。」というのを使われると思ったのですが、これからも変わっていくということは、今日もここにある「日本刷新」を今後は使って、また次に変わるかもしれないということでしょうか。

【代表】「もっと大事なことがある」ということも、いまでも私は言っていますし、それは必ず1つに絞らなければならないということでは必ずしもないと思っています。

【福山哲郎・総合選対本部事務局次長】(選挙期間中を)通してのメッセージだと思われたのは、記者さんの受け止め方の問題ですし、「もっと大事なことがある」と言ったときに、国民も「そうだ」と、郵政、郵政と言われたときに、そのように受け止められました。その次に、「君たちは何がやりたいのか」と問われたときに、我々は「日本刷新」で、この8つの項目をやりたいと国民に強くアピールしていく。

だだ「日本を、あきらめない。」と。財政赤字もあって、日本がいろいろなことに問題を抱えることに対して、あきらめないで我々は一生懸命取り組んでいくという代表個人の思いということも出していくということが、選挙戦で我々としては国民全体に伝えたいメッセージですから、「日本刷新」のためのメニューと、代表自身の強い思いを両方掲げて戦っていくとご判断いただければと思います。

年金消費税を導入した際の保険料免除者の負担増

【記者】年金目的消費税で確認したいのですが、トータルで負担増にならないようにするという話ですが、現在、所得の関係で保険料を免除されている人たちには実質負担増になるという考え方もあると思いますが、その点はどのようにご説明されますか。

【代表】それはこれから検討していかなければならない点ですが、我々は年金目的消費税はいまの消費税そのものではないと考えています。我が党は従来から打ち出している消費税の改革案の中に、日常必要な食料品や最低限の生活に必要なお金は還付するという、カナダ方式ですが、そういう発想もあります。税率を2つに分けるという発想もあります。どちらかというと、税率を2つにするよりは、還付方式をとろうと考えていますが、そういったいまの消費税に改革を加えたものが、そして目的を限定したのが年金目的消費税で、そうしたいまご指摘のあった点も含めて十分に対応できるものにしたいと思います。

とにかく、「年金」と「子育て支援」ですから。このことをもって、皆さんにしっかりと訴えていきたいと思っています。どうかよろしくお願いします。

8月16日

○候補者の応援、平和公園での献花などのため長崎を訪問

○宮城地震:自らを本部長に対策本部を設置し、明日幹事長が現地を視察

○マニフェスト各論を発表、各党正面から堂々と政策を議論すべき

○民主党は参院選、前回総選挙でも郵政縮小の対案を示している

○民主は議員年金廃止を主張、自公の反対で参院を通らなければ参院選の争点に

○公明マニフェスト:児童手当の財源、年金改革の認識、政治とカネなど問題あり

○政府・与党が郵政職員を減らさず民営化しようというなら信じがたい、肥大化は明らか

○選挙の争点:財政、年金、分権などが大きなテーマ、郵政も大いに議論したらいい

○有権者の反応:政権交代への期待は強い、郵政ばかりじゃ駄目という雰囲気も

長崎遊説と平和公園での献花

【代表】今日、長崎に行ってまいりまして、基本的には3人の候補者のところに行ったということですが、先般9日に行く予定にしていましたが、前日、突然の解散の中で行くことがかないませんでしたので、今日は平和公園に訪れて献花してまいりました。

宮城県地震と民主党の対応

【代表】地震が起きて、幸い現時点で私の理解しているところでは、お亡くなりになった方はいないと聞いていますが、多くの方が怪我をされ、被害に遭われたこと、大変残念なことだと思っています。

いま交通事情がやや混乱していますが、明日、我が党としては川端幹事長に現地に入っていただくことと、私が本部長になり対策本部をつくったということをご報告申し上げておきたいと思います。

マニフェスト各論の発表

【代表】それから私のいない間に、マニフェスト(政権公約)の各論を発表しました。そのときにいろいろとご質問いただいたと思いますが、なるべく早く全体像を明らかにして、しっかりとした政策論争をしたいと考えています。

何度も言っていますが、今度の選挙は、これから少なくとも3年〜4年先の日本の行く末を決める重要な選挙であります。大いにそれぞれの政党がマニフェストを出して、そして正面から政策を議論し合うという形をしっかりとつくっていきたいと考えています。

先般の日曜日(のテレビ番組)を見ましても、自民党のほうは、なかなか議論に参加していただけません。一方的に喋るのはいいが与野党で議論するのは嫌だということでありますが、15日も、たまたま全国戦没者追悼式の始まる前に、自民党の武部幹事長がいましたので、武部さんに「どうして(テレビに)出てこなかったのですか?」と聞きましたら、「議論したら岡田さんに負けちゃうから」と、極めて率直なお話をいただきました。(笑)

しかし、やはり中身に自信があるのなら堂々と出てきて議論していただきたいと。それが少なくとも政治家としての責任であろうと思っています。

もし、マニフェストの各論について私に対してご質問あれば、後ほどお答えさせていただきたいと思っています。

<質疑応答>

歳出削減17兆円の内訳

【記者】マニフェストの中で、経費削減で17兆円カットという項目がありますが、この17兆円の内訳というのは、いま一つ明らかになっていないと思いますが、このあたりはどのような具体性を持たせようとお考えでしょうか。

【代表】その一端は申し上げているわけですが、例えば国家公務員の人件費の3年後2割カット、これで約1兆円とか、国直轄の公共事業、あるいは特殊法人へのおカネの流れを半分にするというようなことは申し上げています。その他17兆円の内訳は、当然あります。これから折に触れて、そういうことも申し上げていきたいと思っています。

民主党の郵政改革案

【記者】先ほどの仙谷政調会長のマニフェスト各論発表の会見でも伺っているのですが、郵政改革の民主党としての独自案を示されたということで、自民党・与党との違い、長所について、代表からも改めて一言お伺いします。

【代表】独自案を示したというか、より具体的なものを示したということであって、基本的な考え方は、すでに昨年の参院選におけるマニフェスト、あるいは一昨年の総選挙マニフェストで、きちんと書かれていることをまず申し上げておきたいと思います。

つまり、「預入限度額の段階的縮小」ということは明記されていますし、国会の中でも、私を含めて、我々は縮小論であるということは申し上げています。

したがって、今回の総選挙を前に突然出てきたものではありません。ただ、700万という数字も党の中でいろいろと出ていましたが、「直ちに700万、そして状況を見て500万円に引き下げる」ということは、これを明確に言ったのは今回ということでありますから、その限りにおいては新しい話ではありますが、基本的に、何か急に民主党が新しい対案を出したということではないということは、一部誤解があるようですが、きちんと申し上げておきたいと思っています。

今日も丹羽宇一郎(伊藤忠商事会長)さんの話が、日経新聞に掲載されていました。私もかなり共通するところがあるなと思って、その丹羽会長の話も読ませていただきました。

我々は、おカネの流れを基本的に官ではなく民に流さなければならないと。これこそが本質であると考えているわけであります。

その基本は、私の理解では2つです。

1つはやはり、特殊法人その他、郵貯・簡保マネーが流れ込む、そこの改革をしっかりしなければいけないということであります。

小泉総理の下で、郵政公社が保有する国債の額が100兆円増えた。正確にはこの4年間で、と言うべきだと思いますが、結局、おカネは流し続けたわけです。それは国の意思でそうしないことはできるわけです。郵政公社の資金運用の仕方として、国債を買わせなければいいわけです。

国債の中には「財投債」という名の特殊法人に実質上直流するようなものも含まれているわけであります。そこを国の意思として制限すればいいし、特殊法人そのものも改革して資金需要を減らせばいい。こういうことが1つであります。資金需要があれば、マーケットから得る「財投機関債」でやればいいということであります。

もう1つは、郵貯・簡保マネーが肥大化するから、その使い道ということでいろいろと議論になるのであって、その肥大化をやめればいい。

これは、1988年に300万円であった預入限度額が、500万、700万、1000万と、短期間で引き上げられてきたと。つまり、「肥大化」と言いますが、肥大化を形づくってきたのが自民党政権であります。そこをもう一度戻すということであって、1000万を700万に、700万を500万に戻すということは、私はそう無理なくできると。

もちろん、いま1000万預けている人が突然500万でないと駄目ですよ、というわけではありません。その期間が来たところで、そうした形で500万円の上限の中で貯金していただくというように書いているということであります。

極めて現実的な話であり、もちろん法改正が若干要ります。1000万を700万円にするときに、(法律の中の)一条文は変えなければなりません。しかし、大きな仕組みを変えずとも、そこまでは確実にできることでありますから、まずはそこから入っていくということは、私は極めて現実的で、実現可能な案だと思っています。

ちなみに政府案のほうは、大きな問題点が2つあると私自身は整理しています。

1つはやはり、できないことを言っているということです。これは修正にも関わる話ですが、基本的に、ネットワークをすべて維持することと、100%民間会社にすることは、明らかに矛盾します。

100%民間会社にするということであれば、それは採算に合わないところから撤退するというのが当然のことであって、それとなぜネットワークを維持することが両立するのか、説明がなされていません。

「いや、採算に合わないところも無理にしなければならない」と政府が言うことができるとしたら、それは100%の民営化は実現しないことに他ならないと思います。基本的な矛盾を抱えているということであります。

そしてもう1つは、これは丹羽さんが言っていたことにも共通する部分がありますが、どうやって210兆の郵貯マネーを運用するのかについて、説得力のある説明がなされていないということです。

貸付も行うとか、いろいろなリスクマネーの運用があるということですが、いまゼロからスタートして10年後にそれができるというのは、私は非現実的であって、特に貸付の部分などは、ある銀行の頭取が、「我が行は戦後60年かけて取引先との関係を大事にして育ててきたと。そして、融資ができる人材やノウハウを身につけてきた。それで40兆、50兆の貸付がようやくできるようになった。とても考えられないことである」としみじみと私に言っていましたが、まさしくそういうことだと思います。

つまり、この小泉民営化法案というのは成り立たない案だと私は確信しています。

郵貯・簡保の民営化プロセス/議員年金の廃止

【記者】郵政法案について、鮫島ネクスト農水大臣が有権者に対して、郵貯・簡保の2年後からの民営化のプロセスに入るということが民主党の中の議論の大勢だということをおっしゃっているようですが、そうした議論はマニフェストを作るうえで議論にあったのかどうかが1つ。もう1点は、マニフェストの中に議員年金を直ちに廃止するということがありますが、議員年金の廃止についてはかなり前から俎上に上がりつつ、なかなか国会内で手続が進まないということになっていましたが、具体的に政権を取った場合、どのような手続で直ちに廃止を目指すのか教えてください。

【代表】郵貯・簡保の民営化を鮫島ネクスト農水大臣が言っていたということですが、私自身は鮫島さんから直接話を聞いているわけではありません。そこでいう「民営化」とはどのような意味でおっしゃっているのかということも把握していませんので、なかなかコメントし難いということであります。

もちろん、いろいろな選択肢はあると。基本はおカネの流れの話ですけれども、経営形態としてはいろいろな選択肢はあると思っています。

ただ、あと2年間は生田総裁の下で、いままで改革を進めてきましたし、人も随分減りました。当初の予定よりもさらに1万人削減するという計画をお作りになったとも聞いています。相当、改革の実は上がっていると思います。

それを踏まえて、2年後にどういった形が、より良い、実現可能性があり、かつ国民の立場から見て良い改革かどうかを判断していくことだと思っています。

それから、国会議員年金の話は、我が党で、この前、両院議員懇談会を開き集約したうえで、廃止ということを申し上げているわけです。廃止するのは、現在現職の議員についての国会議員年金を廃止するということであります。

私のようにすでに10年経って権利を持っている者も含めて廃止することを確認しています。すでにもらっている人にまで全部ゼロにするという発想には必ずしも立っていません。

その我々の改革案について、民主党政権ができれば、もちろん法案の形で国会に出していくということになります。参議院の数が取れない段階で、それが成立するかどうかというところは議論があるかもしれませんが、私はきちんと我々が法案の形で出し、衆議院を通せば、参議院の皆さん、自民党や公明党の皆さんにもご理解が得られるのではないかと期待しています。もし、ご理解が得られなければ、それは参議院選挙において1つの争点になることだと思います。

公明党マニフェスト

【代表】それから、ちょっとすみません。マニフェストの話で、公明党のマニフェストが出ましたので、一言だけコメントしておきたいと思います。

私もまだ詳細に読んでいませんが、1つは公明党がかなり重点を置いておられる児童手当の拡充の話(支給額据え置きで小6まで対象拡大)。我が党(支給額1万6000円に引き上げ、中3まで対象拡大)と比べれば必ずしも私は十分なものではないと思いますが、その財源をどうするのかについて、きちんと書かれたほうがいいのではないかと思っています。マニフェストですから、我々はそのことも含めてきちんと考えているわけであります。

それから、年金がこの選挙の大きな争点だと思いますが、公明党は従来からのご主張でもあるのですが、2004年の改革が抜本改革であったと。そしてこれによって、安心な年金制度が確保されたとお書きになっています。ここは全く認識が違うわけで、公明党のお考えは分かりましたが、しかしこれは抜本改革とはほど遠い代物であると申し上げておかなければならないと思います。

1つ気になることは、「政治とカネ」の問題が触れられていないということで、私は、公明党はクリーンな、つまり「政治とカネ」の問題について非常に厳しい態度をとって来られた。もう1つは「平和」ということだったと思いますが、この「政治とカネ」の問題、与党の中で大きな不祥事が起きた1億円の橋本派ヤミ献金問題や、5000万円の山崎幹事長の問題、そうした問題が現に裁判にまでなり、あるいは検察審査会で「起訴相当」の結論が出ている。

そういう事態であるにもかかわらず、何ら触れられていない、対応について書いていないというのは、公明党という党のかつての姿を知っている者から見ると、今昔の感があるということだと思います。残念です。

民主党郵政改革案の雇用への影響

【記者】郵政の預入限度額の引き下げについて、自民党側の1つの反論として、引き下げると郵政公社の職員がかなりのリストラになると。自民党の安倍幹事長代理などは、それで8万人くらいのリストラになるのではないかと言っているのですが、これについてどう反論するのか。また、引き下げがリストラになるということであれば、それを受け入れるのかどうか、お聞きします。

【代表】まぁ驚きますよね。是非8万人という根拠は教えていただきたいと思いますが、自民党あるいは小泉総理は、人を減らさないで民営化しようと考えておられるのでしょうか。それは信じがたい発言だと思います。

一定程度の人員削減というのは、私は避けられないと考えています。ただ、それが8万人であるのかどうかというと、例えば残高が半分になったから人は半分でいいというようなことではない。それは誰が考えても分かることで、そういう意味ではためにする議論ではないかと。

しかし、その背景なり考え方は、人員は全部抱えて肥大化していく「小泉民営化」の真の姿が明らかになっていると思っています。

我々はもちろん、一度に半分にしたからといって、残高が一挙に急に減るというものではありません。先ほど言いましたように、預ける期間(満期)がありますから、その期間(満期)が来たものから下げていくということで、一遍にということではありません。

そして、私の記憶ではすでに2万人くらい、公社職員の数はこの2年間、生田総裁の下で減っていると思います。加えてもう1万人削減というプランが出されたと、若干数字が違っているかもしれませんが、大体それくらいのことで、人員数は減っていると。

すでにそういう意味では、4年間で3万人ということが現実になっているということで、公社の中だけでそれだけのことができていることも、あわせて申し上げたいと思います。

総選挙の争点設定

【記者】小泉総理は郵政民営化を争点にし、民主党は年金や財政健全化を前面に打ち出して戦うということで、このまま争点がすれ違って選挙戦が終わってしまうのではないかという懸念があるとお感じかどうか。また、議論をかみ合わせるために、民主党はどのように訴えていくかについてお聞かせください。

【代表】もちろん、郵政の問題もいろいろな討論会になれば、大きな争点になることは間違いありません。もちろん、小泉総理のほうはそのような議論を出されるでしょうから、我々はそれを拒むものではありませんし、大いに議論したいと思っています。

日本にとって何が大事かという視点から言うと、私は郵政の民営化の問題は、年金や地方分権や財政の立て直しと比べると大きなテーマではないと判断しますが、しかし、この選挙戦の中で議論するということは避けられないし、大いに歓迎したいと思っています。

いままで国会の中で、同じような議論は度々提起されてきました。参議院での審議の中でも出ました。しかし全部、それをまともに答えずにきたのが小泉総理でありますから、大いに議論したいと思っています。

有権者の関心と反応

【記者】日曜日に神奈川県内、今日は長崎と回って、地方の遊説での有権者の関心と反応について、感じたことがあればお伺いします。

【代表】もちろん、聞いていただいている方の中には総体的には民主党支持者が多いでしょうから、全体を見ていることにはならないかもしれませんが、ただ政権交代に対する期待感というのは非常に強いものがあると思います。

それから、いまメディアなどでは話題の小泉さんの民営化、この「民営化」と「民営化法案」とは違うのですが、小泉さんの言う民営化の問題などは、ほとんど関心がないというのが現実だろうと思います。特に、地方に行けば、そうしたことについての関心は非常に低いということだと思います。

神奈川は都市部ではありますが、私の感覚では、「やっぱり郵政ばかり議論していちゃ駄目だよね」という流れというのは出てきているなと、神奈川を回ったときには実感しました。

「やはり総選挙だから、もっと大事なことがたくさんあるよね。そういうことをきちんと政治家、政党は提起してもらいたい」という雰囲気は、国民の間にできつつあるのではないかと思っています。

8月9日

○長崎原爆の日:総理の挨拶は形式的で心こもらず、核不拡散への意思が見えぬ

○核保有国がしっかり軍縮し、核を持てるが持っていない国が連携・発信することが重要

○総選挙の争点は郵政ではない、無駄遣いの排除などもっと大きな問題がある

○「郵政反対者は公認せず」と総理は言うがこれは偽装、なぜ除名しないのか

○抵抗勢力と闘っているかのような総理の演出、しかし「2匹目のドジョウ」はいない

○総理は年金改革をやる気がないとはっきりした以上、年金協議会はなかったものに

○ずっと負担増なしでは済まぬが物事には順序がある、まず徹底的に無駄を排除

○細川政権の政治改革から12年、ようやく自民党を超える存在ができた

○「政治とカネ」も選挙で問われる、党ぐるみの迂回献金を許しているのは総理

○マニフェストにサインしなければ民主党は候補者を公認せず

○抵抗勢力のレッテルを貼る総理自身何も改革していない、4年間の結果が示している

○郵政公社の中期計画4年で改革を進めたあと、あらゆる選択肢を検討すればよい

○政権を取れなければ代表に留まるつもりはない、何が何でもこの国を変える

○米国の小型核開発には反対、結局時間を置いて世界に拡散する

○靖国を争点にしないとの総理発言は誤魔化し、見解を明確に述べるべき

○感覚的に「小さな政府」「大きな政府」と議論しても無意味、小泉改革こそ官の肥大化

長崎原爆の日

【代表】まず、今日は長崎に原爆が投下された日であります。私は昨年、長崎に参り、今年も行く予定にしていましたが、突然の解散になりまして出席できなかったこと、誠に申し訳なく思っています。小泉総理が出席されて挨拶されたようであります。

私は広島のときに間近で総理を見ていまして、毎年感じることですが、昨年の広島、長崎とも同じ感じを持ちましたが、極めて形式的で心のこもらない挨拶、これは一体何なのだろうかと思っています。

硫黄島に行ったときや、あるいは特攻隊の基地に行ったときの総理の感情のこもった表現と、広島、長崎、あるいは沖縄での発言とは、どうしてこれほど差があるのだろうかと常に思っています。

総理は「核不拡散の努力をしていく」ということを言われたようですが、あるいは広島ではそう言われましたが、日本に欠けているのは、外務省はそれなりにいろいろな国際会議の場などで努力はしているとは思いますが、最も欠けているのは指導者の、総理の意思がどこにあるのか分からないということであります。

「不拡散の努力をする」というのはいいですが、それならば、なぜインドに行ったときにそのことに触れなかったのか、あるいはG4でそうした不拡散体制に対して明らかに、もともとNPT(核不拡散条約)に加盟していないわけですけれども、それを壊す方向に向いているインドと、G4の仲間として常任理事国入りを目指しているのかと。そうしたことについて何の説明もありません。インドに行かれたときもそのことについて何か発言したということは、私は記憶がありません。

やはり重要なことは、1つは核を持っている国々がしっかりと軍縮していくということがなければ、不拡散という今の世界の動きに対して歯止めにならないということであります。特に、アメリカの小型核の開発などについて、しっかりとした発信が必要だと思います。

同時に、核を持っていないが核保有国に準ずる国力のある国、例えば日本、スウェーデン、カナダなどの国々が連携して、きちんと発信していくことが重要だと思っています。とりわけ日本は被爆国でもあります。その発信が非常に弱いということは大変残念に思っています。

総選挙の争点

【代表】第2点、第3点は選挙に関することですが、昨日、衆議院が解散されまして、小泉総理は「郵政解散だ」「郵政が唯一の争点」であるかのごとき発言をしています。もちろん郵政の問題は、この選挙の大きな争点ではありません。解散というのは、これから3〜4年、日本の行く末を決める選挙であります。

あるいは私はもっと危機感を持って、「いま日本は崖っぷちだ」と。本当に日本がしっかりとした改革をして、将来、夢のある日本を築けるかどうかが問われる選挙だと思っています。総理の(残された)任期1年、総理からすれば、郵政の問題は重要なことだという認識をしているのかもしれませんが、やはり日本国総理大臣として、もっと大きな問題に対してしっかりとした発信をし、そして民意を問う責任があると思っています。

その上で、私があえて「この選挙の争点は?」と言われれば、まず無駄遣いをなくしていく。3年間で10兆円の無駄遣いをなくしていくということが、まず必要なことだと思っています。

そして、10兆円の無駄遣いをなくしていく前提は、政治家自身が身を正していくということでありますから、国会議員年金の廃止、あるいは議員定数の削減、そこから始まって、そして次に公務員の問題、公務員の人件費を2割削減していく。あるいは、いま国家公務員が「省あって国なし」の状況になっていますが、しっかりと国民のために働けるような制度改革をしていくこと。そうした小泉総理が全くなおざりにしてきた問題をしっかりやっていく。その上で国民の共感を得て、10兆円の削減をしていくということだと思っています。

郵政法案反対者の非公認

【代表】もう1点申し上げたいのは、総理は今回の選挙で衆議院において郵政民営化法案に反対した人たちは公認しないということを言われました。しかし、これは相当まゆつば物であります。

まず、公認はしないというが、なぜ除名しないのか。そこに透けて出るのは、武部・自民党幹事長の発言なども見ていると、対抗馬を立てられるかどうか分からないという発言をすでにしています。あるいは森前総理は、小泉総理の任期が切れたらまた一緒になるような話もしています。

そういう意味ではこれは全くの偽装であります。つまり、いまはそうした形で敵を作って、反対勢力・抵抗勢力と闘っているという「2匹目のドジョウ」を狙っているわけですが、(前回の)総選挙でやった構図をもう一度再現して何とか選挙で勝ちたいということだと思いますが、選挙が終われば、そうした反対した人たちもまた自民党の中で一緒にやっていこうということが透けて見える。

それにもかかわらず、とにかく敵として徹底的に公認しないという発言だけが独り歩きしているのが現状で、もし本当に反対した人が抵抗勢力だと言うなら直ちに除名すべきだと。それができないなら、全くそれはウソだと言わざるを得ないと思っています。

<質疑応答>

内閣支持率の上昇

【記者】先ほど選挙の構図について触れていましたが、実は内閣支持率が上がる傾向にあるようなのですが、これについて今日までの一連の流れから、そうしたことになっているようですが、そうしたことについて何か関連でご発言がありますか。

【代表】ですから、小泉総理が抵抗勢力と闘っているという演出をしましたので、それに影響されていると思います。

ただ、「2匹目のどじょう」はいません。国民もそれは分かっています。ですから、いまのいろいろなメディアの報道などを通じて、支持率が若干上がっている部分もあると思いますが、それは長続きしないと確信しています。

もし、こんなことで選挙の結果が決まるということでは、私は日本に将来はないと思っています。国民は賢明ですから、賢明な判断をされると思っています。

10兆円規模の歳出削減

【記者】3年間で10兆円削減という話についてですが、これまでも何度かおっしゃっていましたが、その内訳はどうなっていますか。

【代表】内訳はマニフェストの中で発表します。中心は、1つは国家公務員人件費総額の2割削減、それから国直轄公共事業の半減、この2つが中心になって、その他私のビジョンの中でも述べていますが、まだ発表していませんのでマニフェストに書きますが、「行政刷新会議」というものを総理直属の下に設けて、そこに専門家に入っていただき、つまり「霞ヶ関」外の人に入ってもらって、徹底的に各省庁の無駄を洗い直す作業を集中的に最初の3年間で行い、10兆円の削減をするということです。

これは政・官・業の癒着構造の中で小泉改革ができなかったことです。

年金合同会議の取り扱い

【記者】年金の社会保障合同協議会についてお聞きします。設置した際、(衆議院が)解散したときどうなるかという明確な決まりを作っていなかったと思うのですが、解散によって、この協議会はどのような扱いになるとお考えでしょうか。

【代表】これはもうはっきりしました。つまり総理は、この解散は郵政解散だと、この1点だと言っているわけですから、年金改革をやる気がないということがはっきりしたと思います。したがって、協議の場はなかったことになると考えています。

【記者】そうすると、総選挙が終わったあとの国会で、当然人員は変わってくるのでしょうけれども、今のベースでもう一度話し合うというのではなく、今までの流れから一旦断ち切って、また新しく次の協議会でどうするか、ということでしょうか。

【代表】基本的には選挙がありますから、そこで我々は年金の改革案を正面に掲げて選挙を戦いますので、民主党単独政権ができれば、それを公約通り実現するということです。

総理の関心の中には年金はないわけですから、その総理が野党になったとして、どうしても話を聞いてほしいというのなら、話くらい聞くことはあるかもしれませんが、協議の場というのは私はないと考えています。やる気があるならもっと前に、真摯に真面目に協議しているはずだと思います。

民主党単独政権時の参院審議

【記者】その場合、民主党が単独政権を取っても、法案を提出しても参議院で必ず否決されることが確実ですが、それでも話し合い路線というのは?

【代表】否決されるかどうかは分かりません。それはそのときの状況で、野党だから常に反対するというものではないと思います。現に民主党も野党である現時点において、いろいろな法案について賛成しています。したがって、必ず否決されると決め付ける必要はないと思います。

憲法調査会の後継機関

【記者】憲法調査会について、今国会でポスト調査会どうするかという話について、これも解散によって一旦切れてしまうのですが、今後どのような形で進めていくべきとお考えでしょうか。

【代表】本来であれば、解散する前に重要な問題についてどうするかをきちんと決めなければなりません。それを全部断ち切って総理は解散したわけです。したがって、その責めは総理にあるということです。

郵政の賛否を問う解散だと言っていることの意味は、そうした重要問題について、すべて中途半端で放り出したことの裏返しに過ぎないということです。こうした今回の郵政のみに焦点を絞った解散のマイナスがどれだけ大きいかということを、いまのご質問の中で、年金の問題、憲法の問題、明確に示していると思います。

サラリーマン増税

【記者】都議選でサラリーマン増税反対ということを訴えて、それなりに有権者の票を受けたと思うのですが、反面、日本の将来を考えたときに、そういう姿勢でいいのかという指摘もあるかと思いますが、今度の総選挙ではどのようにサラリーマン増税問題を扱いますか。

【代表】いまご質問いただいた方は、私の都議選のときの演説を聞きましたか?

【記者】具体的に代表の都議選の演説を聴いていませんけれども。

【代表】少しそれを確認してからご質問していただきたかったと思いますが、私は常に都議選の中で「将来の日本を考えたときに、ずっとこのまま負担増なしで済むとは思わない、そのことははっきりと申し上げる」ということを申し上げました。

「しかし、物事には順序がある。まず増税する前に徹底的に無駄を排除することだ。そのために3年間、我々に10兆円の無駄を排除することをやらせてもらいたい。その上でもう一度、負担増について国民の皆さんに信を問う」と申し上げています。

もう1つだけ申し上げておくと、「負担増」というときに、例えば保険料が税に置き換わるとか、例えば我々は「子ども手当」をつくることにしていますが、そうした減税が手当に置き換わるとか、そうしたものは、そこでいう「負担増」には当たらないということも、あわせて申し上げています。

政治改革の流れ

【記者】この選挙の意義付けについてお伺いしますが、昨日代表は、細川政権樹立から12年の選挙であると言っていましたが、まさに政治改革から12年になりますが、政治改革の文脈で、どのような意義を持つか、お考えを聞かせてください。

【代表】政治改革ということについていえば、まず選挙制度が正式に細川政権のときに大きく改革されました。それから政権交代可能な小選挙区制度中心の制度になりましたが、残念ながら、なかなか政党が育たなかった。

ようやく民主党結党7年にして、人が育ち、政策にしっかりとしたものができ、そしてまとまりもできて、自民党に取って代わる政党ができたと。これは1年2年でできるものではありません。ザクッと言えば12年経って、ようやく自民党を超える存在ができたということだと思います。

もう1つ申し上げると、とはいえこの前の国会の争点の大きなものとして「政治とカネ」の問題がありました。特に、迂回献金の問題が取り上げられましたが、小泉総理は橋本元総理の証人喚問、あるいは当時の山崎幹事長の証人喚問について、一貫して「ノー」ということで認めてきませんでした。

山崎氏に至っては、検察審査会から「起訴相当」という結論が出ましたが、全くそれを顧みることなく、最近はメディアにもいろいろ登場しているようです。それは本当に堪え難いことであって、迂回献金は党自身の問題でもありますから、そのことについても、この選挙で問わなければならないと思っています。

そうした「政治とカネ」の問題があるからこそ、あえて郵政に一点集中して総理は言っているのではないかとすら思えるわけです。

誰が幹事長室に3000万か5000万か知りませんが、1カ月間ロッカーに入れて置いておいたという説明を信じるでしょうか。久間総務会長は検察審査会の決定の直後に、「それは一般の感覚と違うのだ」という言い方もされましたが、まさしくそういうことが問われていると思います。

そして最終的には、自民党ぐるみの迂回献金を許しているのは小泉総理その人である、ということは言っておかなければならないと思います。

マニフェストの位置付け

【記者】1次公認するにあたっては、マニフェストを完成させてそれにサインをもらうというお話のようですが、今回の総選挙におけるマニフェストの意義付けと、前回の衆院選・参院選とマニフェスト選挙として位置付けましたが、今回はいかがお考えでしょうか。

【代表】いま自民党のマニフェストの検証作業をしています。いかにそれがいい加減であったかという結論になると思いますが、私はやはり、国民にしっかり具体的政策を示して戦う選挙でなければ、政治の質は高まらないと考えています。

したがって、一昨年の総選挙、昨年の参院選で定着しつつあるこのマニフェスト、私は徹底的にこだわって、全部目を通すつもりでいます。私のビジョンも下敷きにして作るわけですが、しっかりしたものを出したいと考えています。

タイミングの問題からいって、公認の作業のほうが先行するかもしれませんが、その際にはマニフェストにサインしない限り公認は取り消すことを明確に謳って、公認作業を進めることにしています。前回の総選挙の時には全員にサインしてもらいました。サインしないということになれば公認は取り消す。当然のことだと思っています。

「郵政民営化反対=抵抗勢力」というレッテル

【記者】民主党の今後目指す改革の中身は、マニフェストや先ほど言われた無駄遣い削減など今後出てくると思いますが、イメージの上で、郵政民営化法案に民主党は反対したということで、一部有権者から民主党は自民党の抵抗勢力とどう違うのかと思われてしまうイメージが定着するおそれがあるかと思いますが、そうならないように、今後どのように取り組むお考えでしょうか。

【代表】それが総理の最も目指すところだと思うのです。抵抗勢力と民主党とを一緒にして、それと闘う改革勢力が自分であると、こういうことだと思います。まさしくふざけた話で、小泉総理が改革派であるかどうかは4年間の結果が示していることを、まずそのことは申し上げなければならないと思います。

三位一体の改革にしても、財政の構造改革、30兆円の国債発行も1年で放棄してしまいました。「三位一体の改革」はわずか4兆円の問題で、しかも「省あって国なし」という、各大臣が勝手なことをしていることに対して、総理は何もリーダーシップを発揮できませんでした。年金改革も途中で「超党派でやりましょう」と言うことはいいのですが、現実には何もしませんでした。

そうした小泉改革が全く進んでいないということは申し上げておかなければならないと思います。その上で郵政問題について言えば、民主党の主張ははっきりしています。

公社法をつくったのは2年前です。実はこれは小泉総理のときにつくったわけです。もし公社では駄目で、すぐ民営化が必要であるというのであれば、公社法をつくらなければよかったわけです。しかし公社法をつくった。その公社法の中で、4年間が当面の期間として設定されています。まだ2年しか過ぎていません。

したがって、我々は4年間、生田総裁の下で改革を進めるべきだ、そのように考えています。生田総裁も「公社の中で改革できることはたくさんある」ということを昨日も述べていますが、ずいぶん人も減りましたし、効率化もされました。そのような作業を進めていくことが重要。4年間見通しが大体できたところで、次のステップどうするかということは、あらゆる選択肢を念頭に置きながら考えていけばいい、ということであります。

私は実は通常国会冒頭の本会議で総理に対して、郵貯・簡保の350兆円をどのように運用するのか具体的考え方を示してくれと申し上げましたが、結局明確な答えはありませんでした。

そして、同時に「出口の改革」が重要であると。いまは郵貯・簡保で集めたお金がそのまま財投に流れる仕組みではなくなっていると。昔は総理の言ったことは一理あったかもしれないが、今は違う。特殊法人に郵貯・簡保のお金を流す・流さないというのは、政府の意思でできることですから、公社に国債や財投債を買わせなければいいわけです。それを実はこの5年間で、30数兆円が120兆円くらいに公社の持つ国債が増えたわけですが、それを許してきたのが小泉総理その人ですから。

そういうことをしっかりやめて、同時に特殊法人の改革を本気でやっていくことが重要だということです。そういうことは、選挙戦を通じて訴えていきたいと思います。

総理の責任論、自身の責任論

【記者】小泉総理は昨日の会見で「自公で単独過半数取れない場合は退陣する」という言い方をしていますが、これに対する代表の受け止めと、一方で代表も、「政権交代が唯一最大の使命」だと。それができないと判断したときにはいつでも辞めるという言い方をこれまでしていましたが、今回の総選挙にあたっての決意を改めてお聞かせください。

【代表】まず総理が言われたこと、「自公で過半数を」という、その自民党の意味が、先ほどから言っているようにはっきりしていません。除名していないのですから。

県連の推薦や、あるいは選挙が終わってから推薦するとか、あるいは事後で公認するとか、そうしたことが入っているのか入っていないのかすらはっきりしていない。だから私は「まやかしだ」と申し上げているのです。きちんと全員除名して復党を許さないと言われたうえで言うのなら、まだそれなりの意味があると思いますが、極めてあやふやで、ごまかしの多い物の言い方だと思っています。

そして、今度の選挙は日本の将来を決める極めて重要な選挙であります。私は代表として、その重い責めを負っています。何が何でも民主党政権をつくって、この国を変えていかなければならないと考えています。したがって、民主党が政権を取れないということになれば、私は代表に留まるつもりは全くありません。

米国の小型核開発

【記者】代表は先ほど、アメリカの小型核の開発についてもきちんと発信していく必要があるという話をされましたが、これは岡田内閣、民主党政権ができた場合、アメリカに対し小型核の開発には明確に反対していくという意思の表明として受け止めていいでしょうか。

【代表】その通りです。これは、私は技術というものは必ず時間を置いて流出すると。これは核の問題を顧みたときに、最初に作った原爆の技術がソ連にも流出したのではないか。あるいは最近のカーン博士の「闇の市場」。

結局、技術というものは時間を置けば伝播していくわけで、そうしたことも含めて、アメリカが小型核の開発をして技術を持つこと自身も問題ですし、結局そのことは時間を置いて、それが世界に拡散していくことは避けられないと思います。したがって反対だということです。

靖国問題

【記者】昨日、小泉総理が会見で、靖国問題は選挙の争点とする意思はないと言われましたが、民主党として、代表としては、靖国問題について選挙でどのように対応するお考えでしょうか。

【代表】靖国については、私は総理になったときに靖国神社に行かないと。それはA級戦犯が合祀されている、あるいは靖国神社の戦争観、そういうことを理由に行かないことを明言しています。

小泉総理が争点にしないというのは、またこれは非常に論理的であるようで全く非論理的なのです。つまり、総理が争点にするかしないかの問題ではなく、現に争点になっているということですから、総理は争点にしないということは、自分はこの問題から目をつぶって、あやふやにしておきたいということだと思います。

しかし、現実に小泉総理が靖国に行くということが国際関係の中で大きな影響を持っているわけですから、明確に総理の見解を述べるべきだと思っています。

従来から、総理は「いつ行くかは適切に判断する」と。「いつ行くかは適切に判断する」ということは、行くという前提のようにも聞こえます。そういうことについて、行くのか行かないのか、行くとしたらいつ行くのか、ということを明確に述べる責任があると思います。

民主党マニフェストの特色

【記者】先ほどのマニフェストの話題が出ましたが、他党も作っている状況ですが、政党が作るマニフェストの元祖として民主党が始めたと思いますが、他党との違い、「ここが民主党の個性だ」というところを教えてください。

【代表】まだ他党との中身を比較しているわけではありません。ただ、我々のマニフェストは党の中で議論してきたもの、その具体的議論の結果としてできたものであって、もちろん、どこかの役所が作ったとか誰かが作ったというものではありません。いままでの議論を通じ、そして最終的には代表である私の考え方を中心に据えて作られるものであります。

そして、先ほど言いましたように、このマニフェストで我々が政権を取ればやるのだと。その前提で内容を吟味しています。したがって、いい加減なものは入っていません。私も改めて、そのような目で精査しようと思っています。そのマニフェストに同意できない方は公認しません。是非、自民党もそういう形で徹底していただきたいと思っています。

「大きな政府」と「小さな政府」

【記者】TVなどを見ていると、自民党は郵政民営化を反対する民主党を「大きな政府」を志向していると、自民党は「小さな政府」だと言っていますが、それについて代表のご見解をお聞かせください。

【代表】これは「大きな政府」というものが何を意味しているのかと。やや専門的な議論になって恐縮ですが、そういう議論からしていかないと、極めて感覚的な議論になってしまうわけであります。

「大きな政府」というときに、基本に中身は2つだと思っています。1つは社会保障その他について政府が積極的に関与していくもの。もう1つはケインズ主義といいますか、経済についてマクロな視点から公共投資や減税、あるいは金利というもので景気の波を緩やかにしていくことに政府が関与していく。この2つの中身になるのです。そして、どっちの話をしているのだということも、きちんと分けて議論しなければならないと思っています。

私は基本的にケインズ主義、つまり景気が悪くなれば公共事業を一生懸命やるというのは、自民党としては基本的な考え方ではないかと。小泉総理がそれをどこまでやるかということは別として、自民党としてはそのような考え方でいると思います。我々はそのような考え方は立っていません。むしろ公共事業をヨーロッパ並みの、いまの半分程度に持っていかなければならないと考えています。

社会保障のほうは、やや細かい具体的な議論をすると、年金とその他のものとは違うわけです。年金は所得分配の話です。私はその部分はしっかりとやったほうがいいと考えています。もちろん社会保障の部分もそうであります。自民党がそうしたことをどう考えているのか、はっきりしません。したがって、感覚的に「大きな政府」「小さな政府」という議論は、私はほとんど意味がないと思います。

郵政に関して言うと、我々は小泉改革こそが「大きな政府」につながりかねないということで反対してきました。つまり、現在の郵貯・簡保を民営化するという考え方は、ビジネスモデルとして成り立たない可能性が高いと。最終的には国の関与はなくならないし、つまり100%民営化するということはできないし、あるいは最終的には国が支える形で資本注入せざるを得ない事態になる。

そうした、結局、官が肥大化する、郵便局自身もコンビニやったり不動産仲介をやったり損保・生保の商品を売ったり、そういう意味で郵便局自身の役割も肥大化するわけですが、その郵便局は3分の1以上は国が資本を持っているということは、これはずっと続くわけですから、我々はそれこそが官の肥大化になりかねないということで反対してきたわけであります。

我々、郵政公社のままで当面この2年間行くというのは、郵貯・簡保の規模を減らしていくということ、そして新しい事業は基本的には認めないと。そういう前提ですから、その意味では我々こそが「小さな政府」であるという見方もできると思います。

あまりシンボル政治に惑わされないように、中身でしっかり勝負していきたいと思っています。国民は賢明ですから、そのことはご理解いただけると確信しています。

8月2日

○特殊法人改革や財政改革など出口改革をやってこなかったのが小泉総理

○山崎氏は起訴相当との検察審の決定は重い、国会の場でも真相解明を

○朝日新聞の情報流出したとされる月刊誌記事が事実なら重大な問題

○常幹で資金管理団体への監査導入を確認、第三者を入れることで透明に

○民主党政権では看板倒れではない本当の改革を行い、未来に展望を開く

○郵政採決:民主党は一致団結している、造反者が出るといった話は相手にせず

○戦後60年決議:10年前の決議を前提にほぼ全会一致、前進があった

参院郵政特別委審議と総理答弁

【代表】まず第1は今日、参議院の特別委員会で総理出席の下で、郵政法案の質疑が行われています。私もまだ一部しか見ていませんが、桝添議員の質問のときには、だいぶ激しい答弁ぶりも垣間見えたわけであります。

昨日から総理は「小泉潰しに対して私は屈しない」という表現を使って、何とか抵抗勢力と闘う改革派の総理という構造をつくりたがっている、意図してそうしておられるようにも受け止められます。今までそういう形で浮揚力を付けてきた総理ですから、2匹目、3匹目のドジョウということも分かりますが、現実は郵政の問題というのは、総理がいろいろ言われているような「これができないで財政構造改革ができるのか、特殊法人改革ができるのか」という次元の問題ではなく、財政構造改革は郵政改革とは無関係に出口の問題としてしっかりとやらなければならない。それをむしろやってこなかったのが小泉総理であるということは、はっきりと言っておかなければならないと思います。

いずれにしても、審議は半ばでありますから、なぜ郵政改革が必要なのかについて、多くの国民がまだ納得・理解していない状況の中で、国会審議をしっかりやっていくことが重要だと思っています。

山崎元自民党幹事長の起訴相当

【代表】2番目に「政治とカネ」の問題ですが、(山崎拓氏の不起訴に対して)検察審査会において、起訴相当という決定がなされました。これは非常に稀で珍しいことが行われたわけで、これを自民党の総務会長のように「素人が何言ってるんだ」というような問題として切り捨てることは全く間違いで、これは国民の普通の感覚から言えば、5000万円のおカネが自民党幹事長室のロッカーに1カ月も放置されていたということが説明として成り立たないということは、普通の人間なら誰もが感じることだと思います。

この問題は一方で収賄、つまり具体的な時期等から見て、個人で受け取っていれば、これは収賄事件の可能性が非常に高いということになります。そして同時に、党ぐるみの隠蔽工作ということも、その疑惑が深まったわけで、私は以前から、この歯科医師政治連盟の問題はリクルート事件以上の根の深い問題の可能性があることを申し上げてきましたが、改めてそのことを感じさせる検察審査会の決定だったと考えています。

これは国会できちんと解明していかなければなりません。橋本派の(1億円ヤミ献金)事件も含め、裁判所には呼ばれて行くけれど、国会には来ないというのは理解しがたいことであります。是非、国会の場で真相解明しなければならない問題だと思っています。

ちょっと皮肉っぽく言いますと、そうは言っても橋本派のほうは、不十分とはいいながら1人、元政治家が逮捕されたわけであります。そして、事件として大きく裁判の中でも取り扱われていると。小泉総理に極めて近い山崎さんのほうは検察が全く動かないと。そこに国民感情として、非常な不公平さということを感じるのは、私は当然だと思っています。是非、検察審査会の決定を重く受け止めて、検察としては公正なる対応をしっかりとやってもらいたいと考えています。

NHK・朝日新聞問題

【代表】3番目ですが、この前も若干取り上げましたNHK・朝日問題に対して、自民党がしばらく朝日新聞の出入禁止ということを決めたようであります。非常に大人げないし、政権与党としての自覚を欠いたものだと受け止めています。

今回の事件について、月刊誌にそのやりとりと思われる記事が出たことに関して、もちろん取材したデータが何らかの形で流出したということであれば、これは大きな問題ですから、朝日新聞社側にもしっかりと説明する責任があると思っています。

ただ、その中身を見ますと、もし雑誌に載ったものが正しいと仮定すると、了解を得ずに録音したとか、そういう問題を超えて、非常に大きな問題提起をしています。あれが事実かどうかは確認のしようがありませんが、例えばあのやりとりを見れば中川(昭一)議員が明らかに事前に会って言っていると、つまり「直せ」ということですから、事後に「直せ」ということはあり得ないわけで、事前に会ったのではないかという疑念を深めるものであります。

そういう意味で、これは中川議員、安倍(晋三)議員のほうも、朝日新聞社に対してデータをちゃんと出せと、テープを出せと求めるべきだと思いますし、朝日新聞社も、こうした大きな問題になった以上、それを出す責任があると思っています。もし事実だということになれば、明らかにどこかに嘘があるわけですから、これは非常に重大な問題を提起しているということになると思います。

<質疑応答>

資金管理団体に対する監査導入

【記者】今日の常任幹事会で、資金管理団体に対する監査導入が決まりましたが、そのねらいと、現状の方針を見ると、監査人の資格について比較的緩やかな条件にしていますが、これを将来的に公認会計士なり税理士のような資格面など、より客観性の高いものに変えていくお考えはあるか、お聞かせください。

【代表】今日決めたのではなく、今日は確認したと受け止めていただければと思います。昨年の9月に、党大会だったと記憶していますが、方針を出して確認はその場でされています。今日、具体的に確認したということであります。

我が党は党本部、各都道府県連については、監査法人による監査を義務付けています。資金管理団体については、そこは各政治家に委ねて、監査法人であってもいいし公認会計士でもいいし、それに準ずる場合でもいいと、例えば税理士とかですね、少し緩やかにしてあります。

これは党としてどこまで強制力を持って言えるかと。つまり政治家の資金管理団体と党とは違う存在でありますので、そういう中で今回の決定になっていると思っています。大きな流れとしては透明性を高めることは大事なことですが、できることからしっかりやっていこう、ということで受け止めてください。

【記者】先ほどの質問ですが、ねらいについてですが、透明性を高めることによって何をねらっているのか、お聞きします。

【代表】透明性を高める、つまり第三者の目が入ることで、政治資金の流れをより透明性を高める、つまり実際にないような、現実と記載が違うということが起こらないようにしていくと。基本的にはこれは政治家、資金管理団体の責任者の責任において行うことですが、第三者を入れることでより客観性を高めていくということです。

【記者】その資金管理団体の話ですが、第三者を入れるというのは、代表はどのような方を想定されていますか。

【代表】基本的には監査法人、公認会計士、税理士といったところを考えています。具体的に書いてありませんでしたか?

【記者】そこは必ずしもそうする必要がないと文面上ありまして、公認会計士、税理士を外した場合、それについてどういった方を想定されているのか、もう一つ分からないのですが。

【代表】ちょっとそれは私に聞かれても……。いずれにしても、客観性を高めるためのものでなければならないことは事実だと思います。幹事長から説明を受けましたが、ちょっと詳しく見ていなかったのですけれども、必要であれば確認します。

民主党政権でなすべきこと

【記者】別件ですが、先日の講演で、総選挙を想定されて、勝つときには大きく勝つのではないかとおっしゃっていたと思いますが・・・

【代表】「その気がする」と言ったのです。

【記者】できればその根拠と、もう1つは少し気の早い話ですが、民主党が単独過半数を取った場合に、岡田政権になってまずこれをやりたい、例えば小泉総理は郵政民営化をやりたいと。仮にそういうイメージで挙げるとすると、どのようなものになるでしょうか。

【代表】今のようなご質問は非常に気をつけなければいけないので、昨日も私は(講演で)「勝つチャンスは十分にあるし、勝つときには大きく勝つ気がする」と言ったのですが、メディアによっては「大きく勝つと言った」というように報じられたりしていますので、こういう微妙な時期に、そうしたことは否決があって初めて出てくる話でありますので、あまり先走りして物を言わないほうがいいと考えています。

ただ1つだけ、解散・総選挙ということとは関係なく、我々が政権を取ったときにどのような政治をしていくかといえば、基本的に小泉総理が看板倒れの改革をしてきました。我々はこれから2期8年の間、本当の改革を行って、それを行うことで未来に展望を開いていくということであります。

郵政関連法案採決における民主党議員の造反

【記者】郵政関連ですが、特に与党側は参院での採決の際に、民主党内からも造反予備軍がいるのだという趣旨のことが流れていますが、まずこの点について現状認識をお願いします。

【代表】我が党は一致団結しています。

【記者】造反者はいないと。

【代表】団結しています。ですから、そういうふうに言うならちゃんと言ってもらったらいいと思いますよ。こういう時期ですから、あの手この手で動揺させるという、いつもながらの古い政党の手法ですから、一々相手にするつもりはありません。

戦後60年決議

【記者】今日の戦後60年決議に関連して、党内でも今日の代議士会で反対だと公言される方がいて、実際に棄権という形でしょうか、採決の場に立ち会わなかった方が何人かいるようですが……。

【代表】そうですか?

【記者】あの(代議士会の)場でも幹事長から党議に従ってくれと、団結を強調したにもかかわらず従わない方がいたということですが、その点について何かコメントをいただけますか。

【代表】欠席された方がどのような事情で欠席されたかは分かりませんので、疑わしい事例があれば幹事長のところで把握されると思います。そして党則に従って対応することになると思います。

ただ、私の見ているところ全員がちゃんと賛成したと思っていますので、よくまとまって、いろいろな議論があるのだろうと思いますが、あの決議に賛成してくれたと評価しています。

原案ではやや言葉足らずなところがあって、10年前の決議よりも後退した印象を与えるのではないかということで、こちらから申出して「10年前の決議を想起し」という一文を入れたわけですが、そのことによって、10年前は西村議員も言っていたように過半数ない、非常に変則的な国会決議であったものが、今回は共産党の反対はありましたが、ほぼ全員が一致して賛成した決議になったと。そしてそれは「10年前の決議を想起し」ということで、それを前提にしているという意味で、私は前進があったと評価しています。

具体的な1人、2人の方がいろいろなことを言ったり行動を取ったのかもしれませんが、そうしたことは幹事長にお聞きいただきたいと思います。代表がそれについて、まだ調べもしない間にコメントすべき話ではないと思います。




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