トピックス

2004.11.15|その他

毎日21世紀フォーラム

次の総選挙で政権交代を

透明性旗印に党改革、具体的な政策を練る

異業種交流組織、毎日21世紀フォーラムの第37回例会が15日、大阪市中央区のホテルニューオータニ大阪で開かれ、民主党代表の岡田克也氏が講演した。岡田氏は、次の総選挙で政権交代を実現する意欲を表明。また、年金制度改革、日米関係とイラクの自衛隊派遣問題、政治とカネの問題などについて、民主党の方針を説明し、支持を訴えた。【山口透、写真・飯ケ浜誠司】

政権交代

私の唯一最大の仕事は政権交代を成し遂げることです。次の総選挙で政権交代することが、民主党だけでなく日本に絶対必要だと申し上げています。

昨年の総選挙で、民主党は比例では第一党になりました。今年の参議院選挙では選挙区も含めた議席数も自民党を上回り、比例代表では自民党を400万票上回り、完全な第一党になりました。私の任期中(2年間)に総選挙があれば必ず勝つ、2年間で選挙がなければその後いつあっても勝てるだけの基礎体力をつけておくのが私の役割だと思っています。

党改革

政権交代に向けて具体的に何をしなければならないか。一つは党改革をしっかり実現していくことです。残念ながら政治、政党、政治家への国民の信頼が極めて低い。政治家はうさんくさい、政党は何をやっているかわからない。時には国民の皆さんに厳しいことを言いながらこの国を改革していくには、政治と国民の間に信頼関係がなくてはなりません。透明性をキーワードに党改革をしっかり進めていきたい。

選挙戦術

2番目は戦術的な話になりますが、選挙で勝たねばなりません。総選挙で単独過半数が私たちが目指していることです。そのためには300小選挙区で170勝つという具体的な数値目標を掲げています。衆議院で勝っても参議院で負けたら話になりません。私は3人区、4人区には複数候補を立てるという原則を主張し、東京、神奈川、愛知では2人当選を果たしました。次回は大阪で2人を立てて2議席取っていくことが必要と考えています。

マニフェスト

3番目は一番重要なことですが、政策です。昨年の総選挙以来、民主党がイニシアチブをとってマニフェスト選挙を実現しました。具体的に期限、財源を明示した選挙ということです。まだまだ本格的なマニフェスト選挙とは言えませんが、それなりの意味はあったと思います。

自民党も自ら出したマニフェストに縛られざるを得ない。例えば独禁法は、自民党が今年度中に改正するとマニフェストに書いたから、党内にいろんな意見があってもこの国会に提出せざるを得なかった。(国と地方の税財源のあり方を見直す)三位一体改革も3兆円という数字をマニフェストに書いてあるので自民もやらざるを得ない。次回総選挙では本格的マニフェスト選挙をやりたい。そのためのビジョン、具体的な政策をこれから1、2年でしっかり練り上げていくということです。

日米同盟と国際協調

世界は今大きな試練に直面しています。ブッシュ大統領が再選され、単独行動主義、先制攻撃という考え方がさらに進むのか、それとも国際協調の方に揺れ戻しがあるのか、注意深く見ていく必要があるし、日本は米国が国際協調路線に戻るよう努力すべきだと思います。

日米同盟の重要性自体は否定しませんが、日米同盟一辺倒でなく中国はじめアジアの国々との外交、交流が重要です。懐深いアジア外交を展開しなければなりません。中でも中国との関係は日本にとって最も重要な外交課題だと思います。

年金・財政

内政面では、「持続可能な社会保障」「持続可能な財政制度」でしょう。私は年金制度について本当に真剣に議論するつもりがあるなら、与野党でいっしょに議論していいと思っています。党首討論で小泉首相にいくつかの点で注文をつけました。まず国民年金を含めた一元化が必要であるということ。同時に若い働く世代だけに負担させる年金制度ではもたないわけですから、広く消費税のような税に財源を求めることを組み込んだ制度にしなければなりません。

公務員であれ、民間であれ、派遣であれ、パートであれ、一つの制度ということになれば、所得の捕捉が重要な課題。納税者番号制は避けられないテーマだと思います。小泉さんはそこを踏み切れない。ここを踏み切らないと年金制度の一元化はできません。

財政の立て直しの話は、ほとんどどうしようもないところに近づいているのではないか。国債暴落という可能性があるんじゃないかと感じます。40兆円の収入で80兆円使っている現状を改めるため、徹底した歳出の合理化が必要です。その上で歳入増も考えていかねばならない。きちっとした姿を示して、国民に堂々と問うていきたい。

自由で公正な社会

持続可能の問題以外で重要なことは、自由で公正な社会を作っていくことだと思います。特に公正ということが最近薄らいでいる気がします。1億総中流と言っていた時代から急速に変わりつつありますが、政治的安定という意味からみても、多くの人が中流だと感じている社会は非常に重要です。所得税制や社会保障制度に的を絞った政策が必要だと思います。

政治とカネの問題は、数多くの人の証人喚問を求めています。この国会中に必ず実現して、より良い政治資金規正法の改正案を作り上げていきたい。

イラク問題

イラクからの自衛隊撤退の問題は、日米関係に影響を及ぼすことを我々も考えないわけではない。しかし本当に自衛隊の人の命の危険を冒してまでイラクに送る意味があるのか、その根本を議論すべきです。小泉首相は自衛隊のいるところが非戦闘地域だというとんでもない答弁をしたが、非戦闘地域にしか(自衛隊を)送れないというのは憲法上から来ている問題であって、いいかげんな答弁で済む話ではありません。イラクで1月に選挙が行われて、いい方向に進むなら結構だと思いますが、現実は逆ではないか。ファルージャへの攻撃も、スンニ派の選挙ボイコットを招き、さらに治安が悪化し、自衛隊は日米関係の中で帰ることが出来ない、そんなことにならないよう、お互い知恵を出して出口を考えていかねばならないと考えています。

関西は元気の手本を

高校時代3年間お世話になった大阪ですから、元気出していただきたいと思うんです。空港の問題なんか、経済界が中心になって少し整理したらいいのではないでしょうか。誰が見ても関西地域にとって望ましくない方向で、つまり集中と選択の時代に発散(の方向)に行っているんじゃないかと。やっぱり、関西の中で空港は一つにして、国内ハブ(拠点)の役割を果たすというのが、本来あるべき姿ではないか。いずれにしても東京だけが強い、ということでいいわけはありませんので、大阪が中心に関西の経済界の皆さんにもっともっと頑張っていただいて、日本が元気になるお手本になっていただきたい。

質疑応答

質問 小沢一郎前代表代行との関係はどうなっているのですか。

岡田氏 仲はいいです。どういう関係かと言われると、過去15年間、熱愛期間というのは余りなかったかもしれないが、仲良く、尊敬する政治家ですが、いい関係が継続してきたと思います。現在もそうです。マスコミはよく「けんかしている」と書きますが、二人の関係は外野の声に惑わされず、堅実に続いております。

小沢さんとの関係をことさら言うこと自体、私にはよくわかりませんが、今民主党は非常にまとまっていると思います。世の中の受け止め方も大体そうなっているのでは。マスコミが(けんかしていると)書きたがるが、余り惑わされないでと私としては願っています。

人物略歴

◇岡田克也氏

1953年三重県生まれ。流通大手イ

オングループ創業者の岡田卓也氏の二男。大阪府豊中市に転居し、大阪教育大学付属池田高校から東京大学法学部へ。76年通商産業省(現経済産業省)に入り、マクロ景気対策、先端技術開発政策、日米間のエネルギー交渉などを担当した。88年同省大臣官房企画官を最後に退職し、90年三重県の選挙区から衆議院選挙に立候補し初当選(現在連続5期目)。自民党、新生党、新進党を経て、98年民主党結党に参加した。00年9月党政策調査会長、02年12月党幹事長を経て、04年5月から党代表。




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