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2002.07.31|その他

「民主党新生プラン」全文

1. 問題意識

小泉自民党政権が、その限界を露呈し、支持が低下する中で、本来代わって政権を担うべき民主党への国民の期待・支持が高まらないことは、民主党が極めて危 機的な状況にあることを明示している。今、民主党はその原因、克服すべき課題と真正面から向き合い、結党の原点に立ち戻って、新たなスタートを切る決意で この危機を乗り越えなければならない。

国民に民主党が政権を担うべき政党として認知されるためには、民主党自身が痛みを伴なう改革を自ら成し遂げ、民主党こそがわが国の構造改革を実現できる政党、新しい国づくりを担える政党であることを目に見える形で国民に示す必要がある。

政権獲得に向けての明確な方向性と戦略を提示し、党が結束してその実現に向けて行動する姿を示すことができなければ、民主党は永遠に政権を担う資格を与えられることはないと覚悟すべきである。

「民主党新生プラン」は国民の信頼と支持を得て、来るべき選挙において勝利し、政権を獲得するために必要な党改革のメニューを示したものである。

2. 戦略目標

民主党にとって最大の使命は、自民党に代わる政権の選択肢を国民に提示することにある。次回衆議院選挙において、比較第一党の地位を獲得することを戦略目標とし、そのためにあらゆる資源と手段を動員する。

3. 民主党新生に向け共有すべき価値

(ア) 日本の政治の本流を担う政党を創造する

自民党との比較や違いの強調ではなく、21世紀の日本のあるべき政党を目指す。

(イ) 常に国民ひとりひとりの利益を第一に考え、行動する

特定の企業・団体の利益にとらわれず、生活者ひとりひとりの目線を重視する。

(ウ) 高い透明性の確保

政治資金はじめ、政策決定・人事等も含めた意思決定プロセスにおいても高い透明性を確保するとともに、必要な説明責任を果たす。

(エ) 自己改革への挑戦

民主党自身が痛みを伴う改革を自ら成し遂げることなくして、政権を担うべき政党として認知されることはないと覚悟し、あらゆるタブー、甘えを排除して自己改革に取り組む。

4. 組織・人事改革

(ア) 政権戦略本部の設置

政権戦略本部(本部長は幹事長が兼任する)を設置し、中期的な政権戦略を専管する。
政権戦略本部においては、専任スタッフを置き、国民意識の調査・分析をもとにしたマーケティング戦略・選挙戦略の立案、自民党との競合戦略の立案、党内の資源配分企画等を行なう。
定期的に政権戦略委員会(党外部からも数名をアドバイザーとして参加させる)を開催し、党の戦略と資源配分について議論する。
(イ) 代表のリーダーシップの強化

代表固有の権限(人事権等)を明確にする。
現在の党役員ポスト・組織を整理、簡素化し、代表の権限を明確化するとともに、機能的な組織を実現する。
代表直属のスタッフ部門を強化し、代表への情報の伝達、分析機能を強化する。
党代表・Next総理大臣としての戦略的行動管理(日程管理をはじめ、フィジカル・メンタル両面でのサポートを含む)を行なう体制を整える。
(ウ) 役員会の改革

役員会を党役員会(代表、幹事長、政調会長、国対委員長、参議院会長)国会役員会(メンバーは、幹事長、政調会長、国対委員長、参院議員会長、参院幹事長、参院国対委員長)とに分け、党運営の基本を党役員会で決定する。

役員会の党規約上の位置付けを明確にする。

(エ) 地域ブロック担当の機能強化

中期的に県連組織の役割を縮小することを展望し、地域担当常任幹事が地域内の組織・議員を統括する体制に移行する。
上記を踏まえ、地域内の候補者擁立の責任者も第一義的には地域担当常任幹事とする。
(オ) 衆参の一体運営の確保

参議院会長、参議院国対委員長についても、党代表に任命権があることを確認し、代表のもと衆参の一体運営を確保する。
現在の代議士会、参議院議員総会を簡素化するとともに、両院議員総会または懇談会を週1回開催する。
(カ) 代表と他の役員との役割分担の明確化

幹事長は党務全般に、政調会長は政策に、国対委員長は国会運営にそれぞれ責任を持つことを確認し、代表は3部門を統括する最高責任者であることを明確にする。
党の意思決定機関である党役員会、常任幹事会、NC、国会役員会における最終的な意思決定は多数決によることを明記する。ただし、多数決で一任方式をとることは認める。
(キ) 人材の発掘と育成

次期衆議院選挙で政権を獲得するために必要な人材の発掘を戦略的・計画的に行なう(選挙候補者のみならず、ポリティカル・アポインティー候補者も必要)。
基本的に次回選挙の候補者が2回の選挙を戦い抜くためのサポート体制を構築する必要がある(「次の選挙で必勝」という精神論だけでは議席倍増は不可能)。 例えば、財務支援、継続的な研修、選挙運動のアウトソーシング、落下傘候補者への中期的インセンティブ等。
政権獲得に向け議員数が急増するタイミングは、新しい民主党の組織文化を作り上げるチャンス。候補者が旧来の政治風土に染まる前に「透明性」や「説明責任」を第一に重んじる党風を築き上げる。
(ク) 地方組織の改革

旧来の地方組織のあり方を含め、県連組織の役割を縮小する方向で見直す。中期的には党本部と選挙区支部を直結し、組織をフラット化することを展望する。
地方組織への女性幹部の登用や地元NPOの参加の数値目標を設け、開かれた組織への変革を目指す。
(ケ) 定年制の導入

議員定年制を導入し、70歳を超えて公認しないことを明確にする。

5. 選挙戦略

(ア) 次期衆議院選挙で政権を獲得する選挙戦略とロードマップの策定

100議席程度を上積みするためにはこれまでの選挙とはまったく異なるアプローチが必要になることを認識する必要。
50~100ヶ所程度の重点選挙区を設定し、党本部で直轄するとともに重点的な資源投下を行なう。重点候補については、現職議員及びスタッフの中から「コーチ」を選任し、肌理細やかな選挙活動支援を実施する。
予備選或いはそれに準ずる候補者選定手続きの実施により、透明性をアピールする。
候補者選定に関し、党本部としての総合的な戦略が反映できるシステムを導入する。
選挙区、候補者に応じた戦略的資源投下を行なう。例えば、公認された候補者は選挙戦略・活動方針のプレゼンテーションを行ない、党本部は活動に関するアド バイスを行なうとともに、戦略実行に必要なだけの資金を援助するなど。(各候補者一律にはしない。また、資金供与とともに「民主党議員会計基準(仮称)」 に沿った資金管理と情報公開を義務付ける。)
一旦公認を得た場合でも、その後の活動状況次第では公認取り消し、差し替えもあることとする。
(イ) 調査分析機能の強化(政権戦略本部内)

徹底した他党分析の実施と競争戦略の立案
女性支持獲得のための戦略の立案
中期的なブランド構築戦略の立案
国民のニーズの把握とこれに対応するアウトプットの立案
6. 財務・経理改革

(ア) 透明性の徹底

自民党と最も差別化しやすいのは透明性のはず。所属議員の政治資金に関しては直ちに「民主党議員会計基準(仮称)」を策定し、それに沿った情報開示を義務付ける。
とりわけ次期衆院選で急増する新人議員の総務・会計サポートは重要。事務所業務の一部アウトソーシング或いは秘書業務の複数議員による共有等の検討を行なう必要。
議員の公設秘書について、一定範囲の親族については、党への登録を義務付ける。
(イ) 現状の歳出の徹底的な見直し

税金の無駄遣いを批判する政党でありながら、自らの歳出管理は役人以下であることを恥ずべき。党の戦略に見合った支出体系になっているかをゼロベースで徹底的に見直す必要がある。
第三者(外部)を含めた「歳出評価プロジェクト」を立ち上げ、全支出について徹底的な見直しをかけ、過去からのしがらみ、組織間の縦割り等で歪んでいる支出構造を改革する。
(ウ) 政党助成金依存体質からの転換

歳入面では、長期的な視点ですそ野を広げていく継続的な努力が必要。まずは、党会計の透明性の向上と効率的な経営によって国民の理解を得ることが第一段階。




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