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2001.07.31|その他

定例記者会見録 2001年7月

7月31日

○小泉総理に向けられた政治的マグマがなぜ民主党に来なかったの か、検証が必要

○個々の議員がどれだけ支持者を集められるかという基礎体力を強化 すべき

○遅くとも8月中には政府の閣僚と一対一対応になるようなNC大臣 人事を検討

○靖国問題—-内閣の中で閣僚の意見が違えば、閣内不一致だと言わ れても仕方がない

○補正予算—-早急に予算を組み換えて非効率な分野から雇用対策等 に充当すべき

○民主票の大半が党への支持票であり、労組依存は当たらない

参院選総括

【政調会長】まず、参院選も終わりましたので、それについて私から若干申し上げると、選挙だけを捉えれば、今日の選対役員会や常任幹事会 でも少し議論が出ましたが、私はこれだけの逆風の中で、よく凌ぎきったというふうに思っております。

3年前と比べるとだいぶ減ったじゃないかという声は選対役員会でも出ましたが、それはその通りですけれど、浮動票といいますか、無党派層が小泉さんにかなり取られたわけですから、それはそれでやむを得ない結果だったんじゃないかと思っています。

ただ、2、3言わせていただくと、一つは、この小泉ブームが起きるまでの状況といいますか、森政権の下で、なぜこれだけの政治的なマグマというかエネルギーが、小泉政権になってどっと小泉さんに向かったわけですが、なぜ森政権の下でそれが民主党に来なかったのかと。

そこが非常にポイントで、小泉さんが登場して小泉さんに行ったということより、その前になぜ民主党に来なかったのかということをきちん と詰めなきゃいけない、反省しなきゃいけない点だと思っています。

選挙戦に入ってからは、そういう逆風の中でしたが、地力が元々不足 してるといいますか、票が減ったということは、民主党の基礎体力が 弱ったということではなくて、基礎体力の上に乗っていた浮動票的な部分が、小泉さんにやられたということであって、やはり基礎体力そのも のをもっと強くしなければいけないということだと思っておりますし、 そういう発言は選対役員会でもしておきました。

で、基礎体力とは何ぞやということになれば、やはりこれは、個々の議員が自分の支持者をどれだけ固めるかということになるんじゃないかと。そこの部分が、もちろん議員がいないところもありますし、議員がいても必ずしもそれが出来ていないということが今回の結果につながっ たのではないかというふうに思っております。

党としても、そういったことについて、個々の議員の日常活動について、地元で支持者を着実に増やしていく、そのための後押しをしっかりしなきゃいけないし、まず何よりも議員自身がそういう問題意識を持たなければいけないと—-こういうことではないかと思っています。

あと、選挙戦をやっている中で政策面で言えばですね、構造改革に対する民主党の考え方が、後半戦にかけてやや分かりにくくなってたんじゃ ないかというふうに私の回った各県の候補者の、三重県も含めてです が、話を聞いていたり、あるいは三重県に来ていただいた幹部の方の演 説を聞いてまして、そういうふうに感じました。

つまり、小泉政権・自民党との違いを出すという中で、小泉構造改革 の問題点をいろいろ指摘すると。それは我々が当初から意図していたと ころであるわけですが、例えばセーフティーネットが張られていないとかですね、それから構造改革そのものはいいけども、自民党では出来な いとか、そういうことは当初から考えていたことですが、だんだんだんだん勢い余って、構造改革の否定的な面ばかり取り上げていく中で、民 主党が構造改革に対して前向きじゃないんじゃないかという印象をあるいは与えたかも知れないと、そんなふうに選挙戦の間、感じておりました。それが結局浮動票を逃す一因になってるんじゃないかと、そんなふうに思います。

我々は元々、自民党よりも遙かに構造改革ということを主張してきた わけですから、そこははっきり言った上で、こういう問題があるということを言うべきだったんじゃないかと。

戦ってる現場からすると、どうしても違いを出そうとすると、特に一人区なんかで自民党の候補者と戦っていると、やっぱり小泉構造改革を 厳しく言う中で、今言ったようなことになるということは、よく分かるんですが、私自身もそういう感覚を持ちますから。

しかしそのことが結果的に浮動票を、「民主党って構造改革をいろい ろ言ってたけど、本当は後ろ向きなんじゃないか」ということで、浮動 票を失う結果につながったのかもしれないというふうに思っています。

いずれにしてもその辺は、これからいろいろな分析をしていかなければいけないところではないかと思っています。

NC人事

【政調会長】それから、選挙が終わりまして、これから本格的には9月 の国会に向けて、政府のほうもいろいろ準備をしていかれると思います ので、我々のほうもそれに合わせてですね、予想されるいろいろな課題 について、党内の議論をしていかなければいけないと思っています。

まあ人事といいますか、これは全部、代表がお決めになることなん で、私もよく分かりませんが、私から申し上げていることは、ネクスト キャビネット(NC)の構成を少し変えたほうがいいんじゃないかということを申し上げております。

それはどういうことかといいますと、この前のNCを作るときにも少し 議論があったんですが、やはり基本的には本来の大臣と一対一対応にし たほうが分かりやすいと。で、そのほうが委員会との関係も上手く整理 できると。そういうことであります。

今ですと例えば、農林水産と環境は我が党は佐藤謙一郎さん一人で、 外交と安全保障は伊藤英成さん一人でやってると。他方で本来の大臣にない大臣、例えば情報通信担当大臣というのが我が党にはいるわけですね。 そういうことで、全くこう、ピタッと一対一対応してないわけですね。 むしろ一対一対応したほうが分かりやすい。本当の大臣はこの人で、民 主党の大臣はこの人っていうことでというふうに。

というようなこともありますし、委員会なんかも内閣委員会なんか は、我が党の中に担当大臣が何人もいるもんですから、非常に対応に 困ったわけです。部門会議を開いてもですね、いくつも開かなきゃいけなくなってくるというようなこともあって、やや混乱しましたので、私は一対一に合わせたほうがいいんじゃないかというふうに代表には選挙 戦に入る前に申し上げておきました。

それについてのお返事を特にいただいているわけではありませんが、仮にそういうことになると、少しNCの構成もメンバーも変わってくることになるわけで、いずれにしても、参議院も改選期の方はNC大臣にしなかったという事情もありますし、いろんなことを考えると、恐らく多少 いじることになるんじゃないのかなと予想しております。

そうであれば、できるだけ8月一杯といいますか、早ければ盆明けぐ らいには、新しい体制に移行していただいたほうが、私としてはありが たいというふうに思っております。

次の国会が9月のいつ始まるのか分かりませんが、まあ半ば前後だとすれば、いろんな課題をこなしておくという意味でも、どんなに遅くて も8月一杯には新しい体制になっていないと、次なる国会で予想され る、議論を呼びそうな論点がたくさんありますので、そういうものにつ いて党内で議論をしておく、準備をしておく時間が十分取れないということになります。

そういう意味で、国会役員会の場でたまたま少し人事の話が出ましたので、代表にはタイミング的にも出来ればお盆明けぐらいにということ は、そういうふうに申し上げておきました。

靖国問題

【政調会長】あとは、小泉総理が選挙後もいろんなことを言われてますが、靖国神社参拝の問題は、本人の心の中の問題というお話ですが、しかし総理大臣ですから、そういう言い方は全く適切でないわけでして、 日本国の総理大臣として、見識ある態度を取ることが求められていると いうことだと思います。

民主党としてはいろんな状況の中で、A級戦犯も合祀されてる中で、靖 国神社に内閣総理大臣が行くべきではないということを申し上げてるわ けですが、是非ここはもう一度考えていただきたいと思っております。

閣内不一致じゃないかということに対して、そうじゃないという話もありましたが、内閣の中で、大臣の間で意見が違えば、これは閣内不一 致であることは間違いないわけでありまして、靖国神社に行くということが個人的な問題だという総理の前提に立てば違うのかもしれませんが、内閣総理大臣として行くということですから、それは閣内不一致だ と言われても仕方がない問題で、しっかり閣内でも議論していただきたいと思っております。

補正予算

【政調会長】あとは、補正予算の議論がだいぶ出てまいりましたが、私は選挙の前から、予算の組み換えということを申し上げているわけで、 塩川財務相の今日のインタビューでも組み換えの話が少し出てたようですが、もっと早くすべきだったと思うんですね。

どんどんどんどん予算の執行が進んでおりますし、今日のような財務 大臣の発言が今頃出ると、じゃあ早く使わなきゃいけないということに なって、1カ月ぐらい経ったら、みんな唾が付いてるということになり かねないわけで、やっぱり参院選の前に組み換えをすべきだった、あるいは少なくとも、非効率な分野についての予算の執行については止めて おくべきだったというふうに思います。だんだん手遅れになりつつあるということです。

非効率な部分を削って、民主党であれば雇用対策に3年間で4兆円というようなことを言ってるわけですが、そういうところに予算を付ける というような全体の額を変えない中での組み換えを目指すべきだという ふうに考えております。そういう意味での補正予算というのは、考えられることだと思っております。

我々はもちろん、需要不足を公共事業等で補うような補正予算には反対しておりますが、今言ったようなことは、かねて民主党も雇用対策4 兆円というようなことは言ってるわけですから、必要なことだと思っております。

選挙の勝敗

【記者】今日の選対役員会で、選挙結果の敗北を認めるべきだというような意見も一部から出たようですけども、その辺は……

【政調会長】それは敗北の定義によりますが、3年前と比べて減ってる ことは事実ですし、それから比例区の得票率が落ちてることも事実ということで、まあ減ってるということは事実ですよね。

それを敗北と言うかどうかですけども、こういう状況の中で他の野党 が軒並み厳しい中でね、よく踏みとどまったと私は思います。

ただ、だからといって何も反省がなくていいということじゃなくて、 先ほど申し上げたような、基礎体力の部分のような話とか、あるいは小 泉総理が登場する前になぜ人気が上がらなかったのか、支持が集まらなかったのか。そういうことについてはきちっと分析をし、そして改善していくということはすべきだというふうに思います。

私は次の衆院選は政権を取りにいく選挙だと思っておりますので、小 泉改革についての先行きが見えてくる中で、やっぱり政権交代しかない という声が高まる、そういう中での選挙だと思ってますので、そのため の次の政権取りに向けてのスタートを早く切ったほうがいいと。

そういう意味でも、まず反省すべきは反省して、月曜日(8月6日) に予定される議員総会でもしっかり議論をして、そして次なるスタートを切るべきだというふうに思っています。

小泉人気

【記者】小泉総理がここまでの支持を集めた理由は何だと思われますか。

【政調会長】難しい質問ですね。それが分かればね、議員でもそれに対する対応をしてるわけですが、一つは小泉さんのキャラクターというの がありますよね。それに対するマスコミの取り上げ方というのもあった と思います。

もう一つは、与党の中で改革をするということが、非常に受け入れやすかったということじゃないでしょうか。

逆に言うと、民主党で本当に政権を任せて大丈夫かということについ て、今一つ確信を持てないという段階だったのではないかと。だから、 そこの部分をしっかりこれから、いや我々が政権を担っていけるということをいかに納得してもらうか、理解してもらうかということが、もう 実力的にはあると私は思うんですけども、それをいかに納得してもらう かということがこれから重要になってくると思っています。

労組依存と選挙戦術

【記者】今回の選挙で、比例区の当選者の8人中6人が労組の出身者と いうことで、やっぱり民主党は労組依存だと言われても仕方のない結果だと思いますが、それについてはいかがでしょうか。

【政調会長】逆じゃないかと思いますね。全体の票の中で労組出身者の 獲得票があれだけの割合しかなかったわけだから、「労組依存じゃな い」ということが今回の選挙で出てきたということじゃないですか。

だから選挙前には言ってなかったけども、結果的に労組出身の方が、 名前を連ねるようなことになったとしても、だから別に民主党は労組依 存ということじゃないと。全体の民主の票の中の半分が「民主」と書いてくれたら、それでもう十分だと私は申し上げてたんです。

実際には半分どころかずっと多かったわけですね、「民主」と書いた 人は。だから、むしろ逆に、労組の皆さんにも頑張っていただいたけど も、全体的に見れば、民主党ということで期待していただいてるということが、はっきりしたんじゃないでしょうか。結果だけで言えば確かに 8分の6だけども、票の数で言えば全然違うんですよ。

ただ、今日の常任幹事会でも出ましたけども、比例区での戦い方をど う支援していくかと課題を残しましたね。我々は非拘束名簿方式には反 対ですけども、これから次回もやられるとすると、確かに特定のバック がない中で戦っていくということはかなり大変なことですから、党とし てしっかりそれを後押しするようなこともいると思うんですね。

しかし我々は公明党や共産党みたいに、党主導で地区で割って割り当 てるというような芸当は出来ないわけです。トータルの票が分からない わけですから。じゃあ、どういうやり方がいいのかということはこれか らの議論だと思いますね。

一つの参考になるのは、自由党なんかを見ると、一つの県でバカッと 出してますよね、広野さんにしても、西岡さんにしても。それから、和歌山県議の方もそうですね。

そうやって見ると、党が決めるということではなくて、戦い方の問題として、比例区の候補者の全国一律に舐めるんじゃなくて、重点的な例えば出身県とか、非常に縁のあるところをある程度決めて、票を深く掘 り起こすというような戦い方をしたほうが、結果的には票は増えるんじゃないか。そんな感じもしましたね。

それは、党が決めるというよりは、それぞれの候補者が選択する問題 だと思いますけども、今回ほとんどの人がバーッと1県1箇所ぐらいで 演説して回ってたりね、そういう戦い方をしたんじゃないでしょうか。

人事問題

【記者】人事のことで確認したいんですけども、代表が開票のあとに 「改革推進派」みたいなものを党の全面に出したいと。 で、その観点から政策部門も若干の入れ替えをしたいというようなこ とをおっしゃってるんですけれど、政調会長という立場からするとです ね、一般の印象から言うとNC大臣は非常に若い印象があるんですけど も、代表がおっしゃってることも含めて、どういうふうにそれを変えて いくのが……

【政調会長】まず、代表は別に「若い人」とは言ってないでしょ?

【記者】適材適所という中で、若い人の中に改革推進派と言われる人が 多いという言い方でした。

【政調会長】「改革推進派」とは言ったけども、「若い人」とは言って ないんじゃないの?

【記者】言ってました。

【政調会長】あ、そう。まあ、それは代表がお決めになることですけど も、別に私は若い人だけが改革推進派だとは思いませんから、広く人材 を精査していけばいいと思いますね。

ただ、大臣というのはとっても大事で、大臣の力量によって部門会議 がまとまるかどうかが左右されますので、まあ代表がお考えになること ですけども、本当の大臣を選ぶような用意周到さで人選されたらいいん じゃないかなというふうに思っています。それはNCだけじゃなくて、全体の人事についても言えることなんですよね。

代表は人事権をちゃんと行使したほうがいいですよね。規約上、代表 が決めることになってるものについては、いろんなアドバイスは聞いて も、代表が最終的にきちんと決めるというふうにされたほうが、求心力が出ると僕は思います。人事っていうのは非常に大事ですよね。もちろんそのためには反発も出るかもしれませんけども。

【記者】政調会長としては、参議院の人事についてはどのような考え を……

【政調会長】それは今日の役員会で散々議論しましたから、結論は従来 通りということになりましたので、それ以上申し上げることはありませ んが、参議院というのは会派なんですね。

会派の人事ということなんで、代表が決めるのはおかしかろうという ロジックなんですが、当初、所属議員じゃない会派の議員というのは2 人だけですから、事実上一緒ですよね。

ただ、国会役員会なんかに議員会長とか幹事長とか国対委員長という ことで出てくるわけですよね。それは会派の会長であり、幹事長であ り、委員長ではあるけれども、それが党の組織に出てくるんだから、そういう意味で代表が最終的に決めたほうがいいということを申し上げました。

それは前回のときにも、最後は代表が決めるというか承認することに なったんですよね。それは今日も確認しました。報告し、承認すると。 ただ、必要があれば、次回からもう少し議論したほうがいいと私は思い ます。

基本的に野党ですから、衆参別にというんじゃなくて、一体で戦って いくという姿勢がないと損だと思いますね。力が分散されるわけですか ら。

7月10日

○日米地位協定—-長期的な問題と短期的な問題とを分けて議論するのも一案

○小泉総理は自らの歴史認識を示して韓国の誤解を解くべき

○政府の石油公団廃止論と油田買収は全くちぐはぐな対応

○日本は米国のCTBT離脱について明確に反対すべき

日米地位協定

【政調会長】まず、先ほど外務委員会で日米地位協定に関する決議がなされましたが、「地位協定の見直しをも早急に検討し、事態の抜本的解決に取り組むべきである」というふうに書かれたことは、従来と比べれば一歩前進であると思っています。

「見直しをする」とは書いてないんですが、しかし「早急に検討する」という表現が入ったことは一歩前進であると思っています。

民主党はご存じのように、昨年すでに地位協定の見直し案を作って発表しております。沖縄県からの要請に先だって、昨年の5月16日に地位協定の見直し案をすでに発表しているところでありまして、大体沖縄県のものと共通しているわけですから、早急に政府のほうも沖縄県の要望あるいは民主党の改正案を踏まえながら、地位協定の見直しに取り組んでいただきたいと思っています。

ただ現実的に考えたときに、全面的な見直しに一挙に進むというのは、米国側から見て難しい問題があることもこれまた事実でありますから、そういう意味では、長期的・全体的な見直しの話と、今回の事件のきっかけとなった起訴前の容疑者の身柄引き渡しの問題のような短期的なものとを分けて議論していくということも1つの考え方かもしれません。

いろいろ難しい問題があるということも分かりますが、しかし一方で、もう40年もたつ協定でありまして、冷戦構造の緊張感のなかで、しかも戦争が終わって間もないなかで作られた地位協定と、現在の日米の置かれた状況というのは異なりますから、そういう意味での見直しというのは必要があると思っております。

与党3党幹事長の訪韓

【政調会長】それから、与党3党の幹事長が訪韓をいたしまして、金大中・韓国大統領から門前払いをくらいましたが、これには教科書の問題と靖国参拝の問題と2つあるんだろうと思います。

教科書の問題は、我々もかねて申し上げてるように、検定制度そのものについては、長期的にはこれをやめるという方向ですが、今の制度を前提とすれば、なかなか難しい問題があることも事実であります。

ただ、そこは分かりながらという部分もあるんでしょうが、靖国神社の参拝との相乗効果で韓国において非常に不信感が増してるということだと思います。

したがって、靖国の問題についてきちんとケリをつけること、それから、私は改めて小泉総理の歴史認識というものをきちんと示す必要があるんじゃないかと。そんなふうに思っているところであります。

教科書問題で日韓間で軋轢が生じているわけですから、両国の間の誤解を解くという主旨で、小泉総理自ら歴史認識をきちんと語るということが、そういった誤解を少しでも少なくすることにつながるんではないかと思っています。

石油公団

【政調会長】あと、やや細かい話になりますが、石油公団の問題で、今日の朝刊に、イランにおける油田の買収の話が出ておりましたが、これなども一方で総理は石油公団を廃止・民営化すると言い、一方で石油公団がイランで油田を買うという、全くちぐはぐな行動になっているわけであります。

民営化すれば、これは買えないわけですね。税金で買うしかないんですから。民間で買えないから公団が買うということになってるわけで、一方で民営化あるいは廃止をするということであれば、石油開発に関して国は手を出さないということだと思うんですね。

そこがもう、総理と担当大臣の間で全くちぐはぐな行動になってるのは、非常に憂えるべきことだと思います。早急に閣内の意見をを統一してきちんと対応していかないと、あとで「あれはできませんでした」ということになれば、国際的な日本とイランとの関係を損なうことにもなりますので、出来ないなら早く「出来ない」といったほうがいいと思います。

小泉総理の歴史認識

【記者】小泉総理が歴史認識を語るべきだというのは、具体的にはどういう形で……

【政調会長】例えば村山談話を引用するとかそういうことではなくて、小泉総理自らの言葉で、過去の戦争に対しての認識をきちんと語るべきだと私は思っています。

過去の総理の談話を引用するっていうのは、引用してるんだからそれは認めてるんだと言うのかもしれませんが、やっぱり直接自ら国民に対しても、周辺国に対しても、自らの言葉で語るということが、より説得力を増すんじゃないんでしょうか。

ましてや、ご本人が靖国神社に行くと言ってるわけで、小泉さんに対する疑念というものも非常に高まってると思うんですね、周辺国には。その誤解を解くという意味でも、自らの口でおっしゃったほうがいいというふうに思います。どういう中身を持たれるかは、僕は分かりませんが。

【記者】それは、国会とか記者会見とかで……

【政調会長】そうですね。まあ、国会は開いてませんから、どこかの場で記者会見などの形できちんとお話になったほうがいいと思いますね。

参議院選挙政策

【記者】参院選の公示日が迫ってるんですが、それに向けて、まあ公約はたくさんありますけれど、そのなかで特に訴えるべき政策というのは何だとお考えですか。

【政調会長】具体的な話は1号ビラ・2号ビラに書いてあることであります。もっと行けば「7つの改革・21の重点政策」(民主党参議院選挙政策)になるんですが、そのなかで、いろんなことを考えて抜き出したのが1号ビラ・2号ビラでありますから、そこに書いてあることが我々の主張したい点であります。

それから、もう少し一般論として言うと、やっぱり構造改革というものに対して、しっかりそれをなし遂げていくんだということを、きちんとメッセージとして伝わるように言ったほうがいいと私は思います。

小泉改革に対してはいろいろ意見はあっても、構造改革そのものを進めていくということは民主党の依って立つ一番基本のところですから、なんとなくそこが揺らいでしまって、先送りのような印象を与えるのは非常にまずいというふうに思います。

その結果、社民党・共産党とはだいぶ言い方が違ってきますが、そこは各党それぞれ違いが出てくることはやむを得ないというふうに思っています。

景気対策

【記者】株式市場がかなり低迷してますが、株価対策を含めて、民主党としては景気対策としてどういう点に重点を置くつもりなんでしょうか。

【政調会長】まず原点は、循環的な景気の問題と構造的な問題はきちんと分けて考えるべきだということで、これは竹中大臣と認識はかなり共通してると思います。

確かに循環的な景気はかなり厳しい状況になってるということは事実で、それを放置していていいのかという問題はありますが、しかしだからといって構造改革を先送りするということでは、さらに株価も下がるだろうと私は思っています。

補正予算の議論などいろいろ出ておりますが、結局今までの内閣と小泉さんとの一番の違いは、需要不足を公共事業その他で補うという景気対策はやりませんということを明確に主張したところにあるわけです。これは所信表明演説のなかにも出てきます。

それをまた、需要不足だからといって、補正予算を組んで公共事業をやってということであれば、それは森政権あるいは小渕政権と何ら変わらないということになりますので、私はそういう道はとるべきではないと思っています。それがメッセージとして一番申し上げたいことであります。

じゃあ、株価がどんどん下がっていく—-まあ株は別にいいんですけども、これは市場の話ですから上がったり下がったりするものですから—-景気について厳しい数字が出てきてるなかで、どうすべきかということでありますが、これは私はテレビで申し上げましたように、今年度予算の組み換えも含めて、早く手を打つべきだと思います。

同じ予算のなかで、非効率な部分からより効率的な部分に予算をシフトさせていくと。それは来年度の話として、政府のなかでは語られてるわけですが、今年度予算からそれをやるべきです。

もうすでに予算の箇所付けが終わってるからいじれないというような発想に立つべきではないというふうに思っています。

【記者】予算の組み換えというと、例えば……

【政調会長】例えば、地方空港とか整備新幹線とか、あるいは高速道路でも将来採算の取れない部分、まあ高速道路については主として予算じゃなくて、旧財投その他でやられてますからちょっと違うんですけども、そういう部分をカットして、経済財政諮問会議の表現を借りれば、7つぐらい分野が挙げてありましたよね、これから重点的に投資しなければいけないものが。そういう分野に換えていくということです。来年度予算では、それを政府はやるわけでしょ?

【記者】構造改革にプラスになるものとしては具体的にはどのようなものがあると?

【政調会長】研究開発とか、公共事業でいえば大学への投資とか、そんなところでしょうね。

CTBT

【記者】CTBT(包括的核実験禁止条約)からアメリカが離脱する方針だと言われていますが、それについてはどのようにお考えですか。

【政調会長】どうもブッシュ政権というのは傍若無人というか、今まで作り上げてきた秩序を同盟国にほとんど相談もなく壊していく傾向が見えるわけですね。京都議定書もそうです。それから、ABM(弾道弾迎撃ミサイル)制限条約もそうだと思いますね。それに加えて、今回のCTBTということですから。

CTBTをやめて、それじゃあどうするのかという提案がありませんから、各国で核実験がどんどん行われていくということになる可能性が高いわけで、非常に大きな問題だと思います。

これはアメリカだけで決めることではなくて、同盟国ときちんと協議すべき問題だと思います。日本としてはもちろん、明確に反対だと言うべきだと思います。

7月3日

○骨太の方針—-国の基本方針について国会の場で議論がなされないことは問題

○財務相発言—-市町村の能力がないから分権できないというのでは永久に分権は無理

○日米首脳会談—-京都議定書をつぶしたのは日本だと言われかねない

骨太の方針

【政調会長】今日はネクストキャビネット(NC)がありませんでしたので報告事項はありませんが、私から2つほどお話ししたいと思います。

まず、経済財政諮問会議の基本方針がちょうど1週間前に閣議決定されまして、国対(国会対策委員会)のほうでもいろいろやっていただいたんですが、国会で議論する場がなかったというのは本当に残念なことだったと改めて感じております。

閉会中審査ということも私どもは求めておりますが、いろんなテレビ番組で、いわゆる「骨太の方針」について野党を入れないかたちで評論家の方とかいろんな方が政府と議論してるという姿は本当はおかしなことだというふうに思いますね。

まさしく国の基本方針ですから、本来国会でしっかり議論すべき話でありまして、なぜ小泉総理は国会で議論することを避けたのかということは、やっぱり問われなければいけないことだと。

しかも、参議院選挙の前に国民にきちんと選択肢を示すという意味で言ったときに、非常に問題のある対応だったというふうに思っていま す。

今からでも遅くありませんから、是非国会で議論する場を作っていただきたい、とご要望申し上げておきたいと思います。

ただ、NHKのテレビその他を見てまして、政府のなかでもまだ、か なり議論が残っているんだなと改めて感じました。

特に、塩川財務大臣の発言を私も聴いていて非常に驚いたんですが、例えば地方分権の話のときに、「市町村の能力が十分じゃないにもかかわらず、財源の移譲を議論するというのはチャンチャラおかしい」と彼は言ったんですよね。

まあその辺も、もし国会開会中なら大問題になってるところなんですが、結局そういう放言もそのまんまになってるということであります。

もし、市町村の能力がない、だから分権できないという論理に立ってしまうと、それは永久に分権できないということになるだろうと思いますね。

それだったら、従来政府が言ってきた論理と何ら変わらないので、地方分権を積極的に進めるという方向にはならないんだろうというふうに 思います。

日米首脳会談

【政調会長】それから、日米・日英両首脳会談が行われました。我々の情報は限られておりますが、日米の首脳がお互いいい雰囲気のなかで議 論できたということは良かったというふうに思いますが、ただ話の中身は、伝え聞くところでは、非常に一般的な話に終始したということであ ります。

ミサイル防衛の問題とか沖縄基地の問題も、何か具体的な前進があったというふうには聞いておりませんし、ましてや京都議定書の問題などは—-アメリカ側も言ってることですが—-これで議定書の発効はなくなったと思われても仕方がないだろうと思います。

まあ、日英間で議定書の中身を修正するということも議論されたということですが、しかしCOP6(気候変動枠組条約第6回締約国会議) には間に合いませんから、結局、京都議定書をつぶしたのは日本である ということになりかねないんじゃないかと、大変懸念をしているところ であります。

我々がかねて主張しておりますように、むしろブッシュ大統領を説得して、そしてそのためにも日本が批准をするんだということをきちんと まず述べたうえで、話を進めていくべきであったと。そこはもう、完全に間違ったというふうに思っております。

この京都議定書の問題は、これからCOP6もありますので、参院選 を通じての1つの大きな争点になる—-そんなふうに考えております。

高速道路でのオートバイ2人乗り解禁

【記者】今日の午前中、高速道路でのバイクの2人乗りを認める法案が 提出されたそうですが、この法案の狙いというのはどういったところにあるんでしょうか。

【政調会長】大事だから出したんですけども。(笑)

これは前からいろいろ議論されてきたことで、必要だという認識を持っていたんですが、そういうなかで、他の政党も出すという動きも あったし、我々も歩調を合わせて出しましょうということにしたところ です。 まあ、やや駆け込み的に思われるかもしれませんが。

【記者】これは野党共同で?

【政調会長】他の政党という意味では、確か自由党が同じようなものを 出してたんじゃないですか?「防衛庁の省格上げ」より筋はいいで しょ?(笑)

【記者】あれは防衛庁に対する参院選上の意味もあるんだと思います が、この法案の参院選上の狙いは何でしょう?(笑)

【政調会長】まあ、それはご想像にお任せします。




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