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1999.03.26|国会会議録

145回 衆議院 日米防衛協力のための指針に関する特別委員会

岡田委員 確かに、輸送艦よりも足の速い護衛艦というのもありますので、そういうものを使わなければいけない場合があるだろうというふうに私も思っております。

しかし、護衛艦といいますと、それなりの装備を持っております。魚雷も発射できたり、ミサイルも持っていたり、機関砲も持っていたりするわけでありまして、そこをどう考えていくのかということだろうと思います。

現在の航空機による邦人救出の場合については、まず先ほど問題になりました武器防護のための武器使用というのは、閣議によって、これは適用しないという扱いがされているはずでございます。それから、持っていくのは、小銃ぐらいは持っていくということになっているわけですが、それから比べると、小銃だけから自衛艦、それも輸送だけではなくて護衛艦も入るということになりますと、相当これは変わるわけですね。質的に変わるわけで、そのときに、ここは何らかの歯どめが必要なんじゃないか、武器を使うということについての歯どめが要るんじゃないか、こういうふうに思うわけですが、いかがでしょうか。

柳澤政府委員 確かに、今回法案をお願いしております際に、私ども政府部内の検討を通じまして、その輸送手段の問題と、それからもう一つは、これまでの各国の例等を見ながらその安全の確保の問題、両面から検討をさせていただいておりまして、現在閣議決定で、いわゆる武器の警護任務はつけないということで、九十五条の適用を政策的に外しておるわけであります。

やはりこれも最近の各国の例等を見ましてもそうでございますが、もちろん輸送の経路上の安全が確保されているところで行うことは当然なんでありますけれども、しかしながら、やはり邦人を輸送しなければいけないという一定の緊急事態であることは間違いございませんので、そういう状況で、九十五条、先ほど申し上げた、非常に限定的な制約を課されたもとでの最低限の武器使用はやはり必要であるというふうに考えておるところでございます。

なおその際も、護衛艦は出ますけれども、基本的には、いきなり大きな武器を使うというようなことではございませんで、やはり九十五条の考え方というのは、まず何とか回避を試みるところが最初でございまして、それでも万やむを得ないときの使用の規定だということを御理解いただきたいと思います。

岡田委員 必要性は私も理解をいたします。

しかし、邦人救出ということですから、ほかに助ける手段がないという状況ですと、かなり紛争が近くに迫っているとか、そういう状況が考えられるわけです。そこに自衛艦、しかも輸送艦じゃなくて護衛艦をどっとつけて救出をする。かなり現地の緊張を高める、そういう効果も出てくるだろうと思います。

もう少し何らかの限定ができないか。例えば相手国の同意を条件にするとか、それから、武器使用についても、武器防護のための武器使用ということであっても、それを野方図に認めるということではなくて、もう少し抑制的な工夫ができないだろうか、そういう気がして仕方がないわけでございますが、この点について、総理、何かお考えがありましたらお聞かせをいただきたいと思います。

小渕内閣総理大臣 念には念を入れろという御意思はわかりますが、今お話しのように、緊急事態、邦人を救出しなければならないような事態に当たって、相手国政府というのは実態的にそういう混乱の状況にあるケースというのがかなりあるのではないか。したがって、正統な政府が正統にその国をコントロールしておるという状況の中で邦人を救出するという事態というのは余り考えられないのじゃないか。

そういう中で、今のように、相手国政府の了解を得た上で武器についても限定をしていくということは、実態的にはなかなか困難ではないかというふうに私は考えるわけでございます。

岡田委員 この辺は、先ほどのマトリックスでいいますと、かなり今までとは違う、次元の違う、質の違う話でございますので、なおこの委員会の場でしっかり議論をさせていただきたい、そういうふうに思っております。

もう一つ、この自衛隊法の一部改正の中で、従来、事前の準備行為というものがなされてまいりました。この前のインドネシアの国内が緊張したときにも、シンガポールまで自衛隊機を飛ばして待機をさせたということでございます。

この件については、予算委員会で私も一度質問したことがございますが、あの準備行為というのは法律上の根拠がないわけですね。現在の百条の八の中では読めない話であります。

別に法律に根拠がなくてもいいじゃないか、そういう議論はあると思いますが、百条の八の話でないということになりますと、これは防衛庁長官の意思だけで出せるということになると思います。今は、百条の八では外務大臣との協議ということになっていますが、これは法律に基づいたちゃんとした派遣の場合でありまして、その前の段階ということですから、論理的にはそういう外務大臣との協議も要らないということになるわけです。

一方で、邦人救出というのは、世界のどこでも行くわけですね。先ほどの話で、例えば護衛艦なども含めて出し得る、こういうことになりますと、私は、準備行為であっても法律の根拠をきちんと置くべきではないか、こういうふうに思いますが、この点について、いかがでしょうか。

野呂田国務大臣 自衛隊法百条の八の趣旨は、外国における災害、騒乱等の緊急事態に対し、生命の保護を要する邦人等を外務大臣の依頼に基づいて自衛隊が派遣先国から本邦へ輸送するというものでございます。

現地の情勢が急変して緊急事態となり、同条第一項に規定する依頼を外務大臣が行う可能性があり、かつその場合、邦人輸送を行うのは遠隔地であり、航空機、船舶の速度、航続距離、任務地までの距離等を踏まえると、緊急事態発生後本邦から出発したのでは、同条に定める任務の性質上、その遂行が困難になる、適切に対処し得ない可能性がある、こういうことが考えられるわけであります。

このような場合には、外務大臣からの、依頼をする可能性があるとの判断が示されるのでありまして、防衛庁長官が自衛隊の航空機や船舶を隣接国まで移動、待機させることは今委員が述べたとおりでありますが、さきに述べました同条の趣旨にかんがみ、緊急事態における邦人の救出という任務の性格上、同条を根拠とする準備行為として私どもはなし得るものと考えております。

法律上の根拠がなければ防衛庁長官の判断によって世界じゅうどこでも派遣できるのじゃないか、こういうお話でありましたが、自衛隊法第百条の八を根拠として自衛隊が輸送のための準備行為を実施する地理的範囲については、当然、この法案の趣旨、目的に限界があり、あり得べき輸送任務を適時適切に実施するために必要な範囲に限られると思います。

また、準備行為として、隣接国等までの移動、待機も、外務大臣より当該輸送の依頼をする可能性があるとその判断が外務大臣から示される場合に実施されるものでありますから、防衛庁長官が独断で自衛隊を世界じゅうに派遣するようなことになるとは考えておりません。

岡田委員 大臣最初にお述べになった、こういう準備行為が必要であるということは私も認めた上で申し上げているわけですから、長々と御答弁いただく必要はなかったわけですが、後段の部分についてもう一度申し上げますと、法律上は準備行為というのは書いていないわけですから、外務大臣の協議というのもそれは事実上のものであって、法律に基づく協議ではないわけですね。そういう意味では、それは必ず必要だということにはならないわけです。

だから、非常に極端なことを私言ったかもしれませんが、非常に極端な話をすれば、法律的には防衛庁長官の一存で出せるということになるわけで、そういう疑念が出ないように法律の手当てをきちんとしておくべきではないですかと、私は極めて当然のことを申し上げていると思います。

この点につきましては、新進党時代にそういう法案を用意した経緯もございますので、私は、公明党さんや自由党さんも同じような気持ちを持っておられる方が多い、こういうふうに思います。ぜひこの点について、これは自衛隊法の改正案の修正ということになるわけでありますが、これから御協議をいただきたい、こういうふうに思っております。自治大臣、何かございますか。

野呂田国務大臣 少し関係者とも協議してみたいと思います。

岡田委員 それじゃ次に、国会承認の問題を少し、時間もございますが触れたいと思います。

まず、先般のこの委員会での議論を聞いておりまして、ちょっと私、総理の答弁の中でよくわからないところがございました。これは自由党の東議員とのやりとりの中で、米軍がこの周辺事態において活動しているときに、日本はそれに対して中立的であるということがあるのか、こういう質問がございました。

最初、総理はこういうふうに答えておられるんですね。「違法な武力の行使を行った国や国連の集団的安全保障措置の対象となっている国と米国との間で、我が国が中立的立場を選択することはあり得ないと考えます。」これは私はこれで一つの御答弁だと思います。

しかし、さらに議論が進んでいって、その中で東議員の方が、周辺事態に臨んで米国に対して中立的政策をとることは絶対にないということを確認していただきたい、こういうふうに質問されたのに対しまして、総理は、その点につきましては、我が国としては、そうした中立的対応をとるということはあり得ません、こういうふうにお答えになりまして、このときには、国連の集団的安全保障の対象となっている国であるとか違法な武力行使を行った国であるとか、そういう条件は消えているわけでございます。

この答弁だけ聞きますと、常に、アメリカが周辺事態に当たって活動しているときに日本というのはそれに追随していく。日本独自の国益判断に基づいて、こういうことは余りないとは思いますが、しかし、日本独自の国益判断に基づいて周辺事態においても日本は後方支援その他をしないという可能性を全く排除しているということだとすれば、私はそこはちょっと違うのじゃないかと思いますが、総理、いかがでしょうか。

小渕内閣総理大臣 重ねての、国会での議論について、答弁についてのお尋ねでございましたので明らかにいたしたいと思いますが、さきの国会審議の際、次の二点を申し上げました。

まず、違法な武力行使を行った国や国連の集団的安全保障措置の対象となっている国と米国との間で、我が国が中立的立場を選択することはあり得ない。この点については岡田委員も今、相手が悪い場合に当然のことだろうと、こう思います。

そして、そもそも周辺事態とは我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態でありますので、その際に、国連憲章及び日米安保条約に従いまして事態の拡大を抑制しあるいはその収拾を図るために行動しております米軍に対し、法案に基づく諸活動を通じて我が国が協力することは、我が国の平和と安全の維持及び日米同盟関係の本旨に照らして当然のことでありまして、その意味でも、我が国が中立的立場を選択することは考えられない、日本の国益に対処するということです。

我が国は、国益確保のために、主体的な選択として米国との間で安保条約を締結し、これを安全保障政策の柱の一つとしておりまして、私の答弁は、同盟国たる米国の軍隊が我が国の平和と安全のために活動しているときに我が国が当然とるべき最も基本的な姿勢について述べたものでありました。これまで累次申し上げておりますとおり、ある事態が周辺事態に該当するか否か、及び我が国が対米協力を含むいかなる活動を実施するかについて、国益確保の見地から、その時点の状況等を総合的に見た上で我が国が主体的に判断するものであります。

したがいまして、我が国が国益に基づいて自国の立場を決定する余地がないとの御指摘は当たりません。そのような決定で、さきにも述べた最も基本的な姿勢を前提として行うものであり、同盟国としてとるべき姿勢と我が国の主体的判断とは何ら矛盾するものでない。この点、委員の御理解はいただけるものと思っております。

岡田委員 総理が最初に答弁された、国連憲章に基づいてやっている、そういう場合は比較的いいわけですが、そうでない場合も当然出てまいりますしね、これはいつかも予算委員会で申し上げました。

今回のユーゴの件も、これは国連決議はない。ないけれども、NATOとしては、コソボの、そこのアルバニア住民の権利を守るためにはやらなきゃいけないということでやられた。そういうケース、国連決議がない状態で米軍が動くということは当然あるし、あるいは拒否権が明確に発動されて、そして安全保障理事会ではノーと拒否権が発動されているにもかかわらず米軍が動くことも、あるいはあるかもしれない。そういう非常に重い話だ、そういうふうに私は思います。

いずれにしましても、そのとき一番重要なのは、日本は日本の国益、もちろん日本の国民の命と財産を守る、そのためにしっかり判断していく、こういうことだと思います。

さて、そこで、周辺事態に関して国会承認の問題が出てまいりました。資料もお配りしておりますが、周辺事態法四条で、たくさんのことが一遍に書いてあるわけですが、それをあえて分解をいたしますと、四条の中で四つのことが書いてあるんですね。

一つは、周辺事態ということを認定するというか認識をするということがございます。そして、その周辺事態を認識した上で、ここで国益判断というのが入ってくるんだと思いますが、我が国として措置を実施する必要があるかどうか、そういう決定があります。その上で、では措置を実施する必要があるということになれば、その具体的中身について基本計画を策定する。この、措置を実施する必要があるかどうかの決定と基本計画の策定というのが、閣議決定の中身になってまいります。恐らく、そのときには周辺事態の認定というのもあわせてされることになると思いますが、法文上はこの二つ。その基本計画ができれば、それに基づいて自衛隊の活動などが始まる、こういうことになるわけでございます。

私どもは、この基本計画の策定について国会承認ということを言っているわけですが、先般のNHKの討論では、自由党の藤井幹事長は、周辺事態の認定を国会承認にしたらいい、こういうふうに言われました。それから、自民党の池田政調会長は、自衛隊の活動についての国会承認じゃないか、その趣旨は私もはっきりいたしませんが、そういうことを言ったという報道もございます。

そもそも政府の方は、国会承認は要らないということを先ほども言われたわけでありますが、これだけ各党、与党も含めて国会承認ということを言っているわけでございますので、ここで国会承認についての基本的考え方、そして、今言った中のどこの部分を、国会承認するとすれば対象にすることが適切なのか、政府の、総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。

小渕内閣総理大臣 いろいろガイドラインをめぐっての御議論が非常に深度を深めております中で、この国会承認につきまして、今ほど自由党並びに自民党の政策責任者の御発言がございました。実は、私もちょうど韓国に行っておりましたので、その討論会をお聞きしておりませんでしたが、極めて重要な視点についてお話があったんだろうと思います。

ただ、政府といたしましては、原案を今国会にお諮りをいたしておるところでございまして、国会承認にかかわる部分については、今、国会でのいろいろ御議論を通じながら、政府としてもそれぞれの政党並びに委員の御意見等も拝聴しながら最終的には判断していかなきゃならぬと思っておりますが、現時点におきまして、我々としては、提案し、一年余りこの問題について議論をいたしてまいりましたので、ぜひ原案について御理解をいただきたいということを申し上げておるところでございます。

岡田委員 与党の政策責任者がかなり明確に言っておられるにもかかわらず、政府は、建前論といいますか、もとの議論に固執するというのは、国民から見て非常にわかりにくい話でございます。ぜひ、しっかりとした中身の議論に入っていただきたいというふうに思います。

そこで、一つ確認しておきますが、総理は先般のこの委員会の場でも、なぜ国会承認が要らないかということで三つの原則ということを挙げられました。一つは武力行使でないこと、もう一つは国民の権利義務に直接関係しないこと、三番目は迅速な決定を行う必要がある、この三つを挙げられたわけでございます。

しかし、実はこの国会承認に関しては既に平成三年九月三十日に政府の見解が示されております。これは「政府のシビリアン・コントロールについての考え方」という中で明確に示されているわけでありまして、そこで防衛出動、治安出動の例を挙げながら、「これらの事態は、そもそも我が国にとって重大な事態であり、また国民の権利義務に関係するところが多い面もあることから、慎重を期して、行政府の判断のほか、国権の最高機関である国会の判断を求めることとしたものである。」こういう統一見解が出ております。

ここでは二つしか言っていないのですね。我が国にとって重大な事態か、それから国民の権利義務に関するところが多いか。大分総理の言われた三つの条件とは違うと思うのですが、従来の平成三年九月三十日の考え方を総理は修正されたというふうに考えるべきなんでしょうか。それとも、やはり基本的にはこの平成三年九月三十日の考え方に基づいて国会承認が必要かどうかを決めるべきだとお考えなんでしょうか。

小渕内閣総理大臣 この周辺事態安全確保法に基づく対応措置につきまして三つの事由を挙げましたことはそのとおりでございますが、御指摘の平成三年九月の政府見解におきまして、シビリアンコントロールの観点から、PKOの協力と防衛出動及び命令による治安出動の間の違いにつきまして、今御指摘のような二つのポイントを申し上げました。

これらは、PKOの協力について、防衛出動及び命令による治安出動の両者を比較して、その共通の違いを述べたところでございます。一方、今般は、政府が基本計画の国会承認が必要でない理由として、防衛出動の比較から武力の行使を含むものでないこと、命令による治安出動との比較から国民の権利義務に直接関係するものでないことを挙げておりまして、これを比較対照の相違から御指摘の政府見解と異なる表現となっておることは事実でございますが、政府としては同政府見解を変更する趣旨のものではないということを御理解いただきたいと思います。

岡田委員 従来の平成三年の見解を変更する趣旨のものではないという御答弁だったのですが、そうすると、この中で、我が国にとって重大な事態である、これは、今回の周辺事態法の目的に、我が国の平和と安全にとって重要な事態であると、まさしくそのものずばりの表現が書かれているわけですね。だから、この要件には該当している。

国民の権利義務に関係するところが多いかどうか、こういうところが国会承認を必要とするかどうかの判断の大きなポイントになると思うのですが、先ほどの自治体の話もございました。いろいろその自治体とか民間に対する協力については、書き方としては非常に緩く書いてありますが、しかしこの法律以外のそれぞれの法律の体系の中では、場合によっては強制という場合も出てくる、つまり権利義務に非常に関係する場合も出てくるわけでございます。

なおかつ、先般外務大臣もお認めになりましたように、後方支援をしているときに紛争に巻き込まれる可能性はあるということは外務大臣お認めになったと思うのですね。私は、それは非常に率直にお認めになったというふうに思うのですが、そういうこともいろいろ考え合わせると、やはりこれは国会承認に係らしむるケースである、この法律を改正して国会承認というものを要件にすべきだ、そういうふうに思うわけですが、もう一度総理のこの国会承認についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。少しは、国会承認を認めるという、そういう協議の励みになるような御答弁をいただければありがたいと思います。

小渕内閣総理大臣 岡田委員の御主張はわかりましたが、しかし政府としては、この見解で対応することが望ましい、こう考えておるところでございます。

岡田委員 ちょっと味もそっけもなかったような感じがいたしますが、いずれにしても、先ほど言いました政府の従来の考え方に基づいても、私は、国会承認を義務づける、もちろんその際に、私どもは必ず事前でなければいけないというつもりはございません。状況によっては、緊急の事態の場合には事後的にということもあり得るだろう、そういうふうに思いますが、しかしやはり従来の防衛出動や治安出動とのバランスからいっても国会の承認というものは必要なことである、そういうふうに考えていることを改めて申し上げて、時間でございますので、ここで質問を終わらせていただきます。

ありがとうございました。




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