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1999.02.17|国会会議録

145回 衆議院・大蔵委員会

岡田議員 私どもは、先ほど古川さんの方からも説明いたしましたが、児童手当の拡充と扶養控除の見直しということを言っておるわけですが、これは少子・高齢化対策の一つの切り札として、もちろん当面の景気対策もありますけれども、より中長期的な視点で提案をさせていただいております。

扶養控除と児童手当の議論というのは、私は二つ切り口があると思います。一つは理念的問題であります。扶養控除を現在とっているその理由として、子供を育てるための最低限の生活費用というのは担税力がないわけで、そこに課税するのはおかしい、恐らくそういう税の世界での議論があってのことだと思いますが、実際に現在の扶養控除の額では子供一人育てることはできないわけでありまして、いわばこれは一つのフィクションだと思います。

理念的に言えば、やはり子供を育てるということが、これが個人の分野の話なのかあるいは社会的な問題なのかということに私はなると思います。個人であればそれは税額控除ということになじむ。しかし、社会的にやはり子供を育てるということを応援していかなければいけないということになれば、むしろ税ではなくて手当だ、そういうふうに思っております。

少子化社会というのは、私どもが抱える、日本が抱える非常に大きな問題でありまして、これに対して政策的に何とかしていこう、これは非常に大きなテーマだと思います。そういう意味で私は、社会全体として、つまり手当制度でやっていくというのが本筋だ、理念的にはそういうふうに考えております。

それからもう一つは実際的な理由でありまして、税でやった場合には、先ほど来御指摘ありますように、所得の多寡に応じてその控除の額が変わる、減税の額が変わるということになります。手当ですと、そういった所得にかかわらず、もちろん上限などを設けることはありますけれども、基本的には同じ額ということになるわけであります。そこで私どもは、これはやはり、所得の多い人がより控除される、減税されるという考え方はなじまないだろう、そういうふうに考えているところでございます。

念のために申し上げますと、政府案と民主党の案を比較したときに、年収が二百万の三人子供がいる世帯ということを念頭に置いてみますと、政府案では減税額はゼロであります、つまり所得税を納めておりませんから。私どもですと年間四十八万であります。七百万ですと、政府案では十五万、我々の案ですと四十八万。一千二百万で所得の上限を入れておりますので、例えば三千万の世帯を考えますと、政府案ですと五十九万の減税になりますが、私どもでは手当はゼロ、こういうことでございます。私どもは、私どもの考えた案の方がすぐれている、そういうふうに確信を持っているところでございます。

中川(正)委員 児童手当については、最近方々から、いわゆる民主党だけじゃなくてほかの党からも、これを創設すべきだという案、あるいはその幅を広げるべきだというような議論が出てきました。私は、これは元祖は民主党だというふうに思っておりまして、そういう意味では、みんながそういう流れになってきたというのは非常にいいことだというふうに思っています。

その上で、今の民主党案の他党との違いといいますか、それぞれこれから話し合いをしていく中でどのような特徴を持っているかということ、これを説明していただきたいというふうに思います。

岡田議員 実は、公明党さんが非常に似た提案をされておられます。どちらが先かというようなけちな議論は私はしない方がいいと思いますが、たしか十一月の景気対策のときにそういうことを申し上げたわけであります。もとはといえば旧新進党時代に、ともに勉強しながらそういう方向がいいのではないかということで、私も年金や医療問題中心に責任者をさせていただいておりましたが、そういう議論の中で出てきた話だというふうに承知をしております。

公明党さんと私どもの違いというのはさほどございません。あえて言えば、私どもは三歳から十八歳だけではなくて、十八歳以上二十三歳未満についても手当がもらえるという仕組みを入れているというところが違うところかなというふうに考えておりまして、基本的な考え方あるいは骨格、そういうものについては私は同一であるというふうに考えております。

中川(正)委員 さらなる論議は同僚の山本議員が後引き受けてやっていただくというふうに心得ておりますので、この所得税に関しては、私からは以上にさせていただきたいというふうに思います。




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