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1998.10.13|国会会議録

143回 衆議院・本会議

岡田克也君 私は、民主党提案の金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案は、金融機関等の資本の増強に関する緊急措置の制度を設けることにより、我が国の金融機能の早期健全化を図ることを目的として、自由民主党が提出したものであります。しかし、その内容は、最終的には国民の税金により担保された公的資金を投入するにもかかわらず、投入の基準や条件があいまいであり、国民に対する十分な説明もなされず、しかも、またしても問題先送りになるという極めて問題の多い法案であります。

そこで、民主党としては、これらあいまいな点を明確化、具体化し、問題先送りをやめて、思い切った解決を図るため、所要の大幅な修正を施すこととし、修正案を提案させていただくものであります。

以下、修正案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

第一に、金融機関に対する資本増強を行うに当たって、行政による裁量をできる限り排除するため、金融再生委員会による株式等の引き受け等の承認の要件を明確に定めることとしました。

第二に、資本の増強を申請する金融機関の自己資本比率の算定において、その保有する有価証券の評価を低価法により行うものといたしました。

第三に、著しい過少資本の銀行、国際統一基準に係る自己資本比率が〇%以上二%未満、国内基準に係る自己資本比率が〇%以上一%未満の金融機関については、収益性等に照らしてその経営を維持することができない場合は、金融機能再生緊急措置法に基づいて、金融整理管財人による管理または特別公的管理に移行することといたしました。

第四に、預金保険機構が行う借り入れ及び預金保険機構債券の発行の限度額について、国会の議決を経た額とすることとしました。

第五に、金融機関の真の経営実態を明らかにするため、金融機能再生緊急措置法の一部を改正し、金融機関の資産査定の基準及び引き当ての基準を明確にすることにしました。

以上が修正案の趣旨であります。

自由民主党提出の法案は、行政による裁量にゆだねる部分が多く、不透明な方法による巨額の公的資金の投入を可能とするものであります。しかも、金融機関の真の経営実態を明らかにせず、見せかけの数字に基づいた資本増強を行うことから、その効果は全く不十分であり、またしても問題先送りになることは明らかであります。

その上、特に著しい過少資本の状態にある金融機関に対して、当該金融機関の存続が特に必要と認められる場合については資本増強できることとなっており、破綻した金融機関は救済しないとした金融機能再生緊急措置法と明らかに矛盾するものであります。自由民主党、自由党など三党派の共同修正案が成立し、目先の危機を乗り切ることができたとしても、来年三月までにはそれが場当たり的、その場しのぎの策であることが確実に証明されるでしょう。

これに対し、民主党の修正案は、何よりも国民に対する説明責任を果たし、問題の先送りをせず、思い切った問題解決を可能とするものであります。

何とぞ、民主党の修正案に対し御賛同くださいますようにお願いを申し上げます。(拍手)




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