トピックス

1998.03.10|国会会議録

142回 衆議院・予算委員会

岡田委員 民友連の岡田克也です。

きょうは、まず、公務員倫理の問題から質問したいと思います。

この問題は、きょうも少し議論になりましたし、今までも何度も議論になっているわけでありますが、例えば昨日の質疑の中で、公務員倫理法を昨年の通常国会で提出をしなかったということについて、総理は、大変申しわけないと思っている、もし公務員倫理法があれば今回の大蔵不祥事の抑止力になったと思うという趣旨のことをお話しになったと思いますが、私は、何度お聞きしておりましても、なぜ昨年公務員倫理法をつくろうという気持ちに総理がならなかったのか、そこがひとつ釈然としないわけでございまして、総理の率直なお気持ちを聞かせていただきたいと思います。

橋本内閣総理大臣 確かに、なぜと言われれば、公務員の諸君の良心を信じたいという思いがありました、一言で申し上げるならそういうお答えになろうかと思います。

昨日も議論になっておりましたけれども、たしか昭和五十四年に、大蔵省に対するある特殊法人の接待問題が俎上に上り、それ以外の幾つかのケースも大変大きな議論を呼んで、そのときに大蔵省がルールづくりをしたことを私自身記憶に残しておりました。そして、それがいつの間にかまた緩んでしまったということもある程度私なりに感じておりましたけれども、やはりきちんとした倫理規程というものを政府自身が各省において統一してつくっていく、こうしたものをすることによって、私は、綱紀にもう一度きちんとした歯どめがかかる、また、日本の公務員諸君はそれだけの良心を持ってくれていると信じておりました。ですから、この点はおわびをするしか私にはありませんが、まさにそういう思いだったのです。

ところが、今回、本当に総会屋に対する利益提供という発端から始まりまして、捜査が進むにつれてついに逮捕者を出す事態になりました。そして、その倫理規程制定後においても、それ以前の行動が全く変わっていなかったということを知って、私は本当に大変情けない思いをしておりますし、その意味で申しわけないという思いもございます。ただし、今もなお、私は、公務員の諸君の良心を信じたいという思いは、率直に言って胸の中にございます。

その上で、こうした事件が出てきた以上、倫理法をつくらずに済むものではない。政府としての作業に取りかかりました。そして、今、他の質問者に率直にお答えをしたとおり、その作業を現在進めておりますけれども、果たしてその公務員の倫理について、公務員によって構成される行政府がこれを立法する資格というものについても複雑な思いは今持っております。しかし、政府自身がやはりその倫理法はつくる責任もある、そんな思いでこの問題に取り組んでおります。

岡田委員 私もかつて官僚でありましたが、今の総理のおっしゃったお話の中で、公務員全体をバッシングするような風潮は非常によくないというふうに思います。

もちろん、今回の大蔵不祥事、大変なことであります。ですから、そういうものは徹底的にうみを出す必要がある、そういうふうに思いますけれども、多くの公務員は朝から晩まで一生懸命仕事をしている。民間と比べれば確かに給料も安い、そういう中で頑張っているということも事実でありますので、きょうはテレビ放映されておりますけれども、そういうことも私は国民の皆さんにもわかっていただきたい。その上で、しかし、その多くのまじめな公務員、その信頼を損なうような行為をした者については徹底的にこれを罰していく、そのことが非常に大事だというふうに思うわけでございます。

そこで、総理は昨年、役人の良心を信じたい、そういうふうに思って公務員倫理法を制定しなかったというふうにおっしゃったわけですけれども、昨年この国会でなぜ公務員倫理の問題が取り上げられたか。これは、いろいろ事件がありましたが、最大のものは岡光前厚生事務次官の収賄事件であります。

昨年の三月二十六日にこの岡光前厚生事務次官の初公判が行われまして、検察側の冒頭陳述、東京地裁でありますけれども、行われました。そのコピーを私きょう持ってまいりました。少し読み上げたいと思いますが、この事件では、贈賄側は小山であります。

「小山は、九四年七月」、途中を飛ばしますが、「茶封筒に二千万円を入れ、自ら官房長室において「これ手付け分です。使ってください」などと手渡した。岡光は「悪いね。ありがとう」と言って受け取った。」

同じく小山は、「九四年八月二十三日ころ、官房長室で岡光と会い、「これ、四千万円入っていますから」などと言いながら、かばんに入れた現金四千万円を手渡した。岡光は「悪いね」と言ってこれを受け取った。」

現役の官房長、しかも、その後事務次官まで務める人間が、役所の官房長室で、二千万、四千万、合わせて六千万の現金を受け取ったという、これは大変なショックな事件であります。

総理は、この事件についてどのように認識しておられたのか。先ほど、公務員の良心を信じたい、だから法律をつくらずに倫理規程で何とかなると思ったと言われましたが、総理もこの岡光という男をよく御存じだと思いますが、こういう事件が起きたことについて、やはり事態の認識が甘過ぎたのじゃないか。もっとあのときに物事の重要性を認識して、そしてきちんと法律をつくるべきでなかったか、そういう思いがするわけでございますが、いかがでございましょうか。

橋本内閣総理大臣 今の御指摘は、私は素直にそのとおりに受けたいと存じます。

なぜなら、確かに私は、多分課長になるかならないかぐらいのころから、当時、厚生委員会と労働委員会が合体しておりました社会労働委員会の理事として、彼と仕事上触れ合う機会は何遍もありました。その後においてもよく知っている人間でございます。ただし、そのような問題を抱えているとは全く存じませんでしたし、もしそれがわかっておりましたら、官房長からその後の経路をたどって事務次官にというコースも歩まなかったでありましょう。同じ省内のほかの人たちもわからなかった。私どももそれはわかりませんでした。

そして、余りにこの事件は強烈な事件でありましたから、むしろその強烈な事件というもの、個人の属性に類する部分をすべての公務員に当てはめて考えるということは、本当に私はいかがなものかという思いがあった。それは先ほど隠さずに申し上げたとおりです。

ただ、それが今回の捜査の中から、根広く、しかも継続し、倫理規程をつくってもなおかつそれが継続しているという状態の中で、私は本当に公務員というものを信じておりましたけれども、それを裏切られた思いを持ちました。

同時に、議員も触れられましたように、すべての公務員がそんな人間ばかりでないことを私も知っているつもりです。そして、いたずらに善良な公務員のお子さんが学校でいじめられるような風潮というものを、私は本当に情けないと思います。

ただ、その汚名を晴らすためにも倫理法が必要ではないのかという思いで、作業を命じたところであります。

岡田委員 実は、私どもは、前国会、通常国会では新進党でありましたけれども、公務員倫理法を提出しております。通常国会に提出をいたしました。この法律が、野党第一党が出した法律であるにもかかわらず、一度も審議を経ないで廃案になっているわけですね。

私は、これはこの法律に限らず一般論として申し上げたいと思いますが、国会の場で野党第一党が、別に第一党でなくてもいいと思いますが、ある程度の議員がまとまって出した議員立法というものを審議もしないで葬り去るというばかげたことはやめるべきだ。

国会というのは、国民を代表して出てきているわけであります。選ばれて出てきているわけであります。そして、そこで、一人二人が言うならともかく、一定の人間がきちんと議論をし、努力をして法案を出す。法案一つつくるのは大変な作業であります。役所がつくる閣法は、公務員の皆さんが膨大な時間をかけてつくられるわけでありますが、議員が本来の仕事の時間を割いて法案を詰めていくというのは、大変な作業であります。それを審議もしないでやめてしまう、そういう慣行はやめるべきだ、私はそういうふうに思うわけでございますが、総理、いかがでしょうか。

橋本内閣総理大臣 これは、私は、政府の立場としてお答えをすべきことではないように思います。

その上で、私は逆に、終始自由民主党所属の議員でありますけれども、むしろ政府と対立をしながら、当時における与野党が協力をして、何本かの議員立法を自分で書き上げ、成立もさせてまいりました。

例えば、たしか昭和五十二年から三年にかけての特定不況産業、特定不況業種という言葉がありました当時、特定不況業種離職者臨時措置法は私自身書きました。この解説書も自分で出版をしております。あるいは、今の障害者基本法の土台になりました、たしか昭和四十五年ぐらいに、むしろこれは私が委員会を去りました後、超党派で成立をいたしましたが、障害者基本法、心身障害者対策基本法の素案づくりを書き上げましたのも、私自身で書き上げてきました。あるいは水道法改正法。幾つかの議員立法を与野党が協力をしながら、むしろ政府とぶつかり合って、あるときは政府の協力を得て、議員立法を私はいたしてまいりました。

ただ、その当時を振り返って申し上げますならば、特定の党が特定の政党として議員立法をというのはなかなかその当時でも難しかったように思います。与党の私どもの立場で、与党だけで単独での議員立法という考え方ではなく、むしろ私どもは、与野党がそろってそうした考え方を、どこの党がイニシアチブをとる、それはそのときそのときでありました。しかし、そうした体験は私自身が持っております。

岡田委員 総理は上手にちょっと論点を変えられたと思うのですが、私が申し上げましたのは、この国会に、これは野党でも与党でもいいのですけれども、議員立法が出てきた場合には原則としてそれを議論するという、当たり前のことなんですが、その当たり前のことをきちんとやることが重要であるということを申し上げたわけでございます。これは、総理というよりは自民党総裁という立場で私はお聞きをしたわけでございます。

さて、与党の方もあるいは政府の方も、今公務員倫理法を御検討中だというふうに聞いております。私ども民友連を中心に、平和やあるいは自由党の皆さんとも一緒に公務員倫理法を既にこの国会でも提出しております。その中身は、二千円以上の接待を受けたり物をもらったりした場合には全部届け出をしなさい、その届け出を怠った場合には罰則をかけます、そして資産の公開もしなさい、これについても罰則をかけます、こういう中身でございます。

政府の方でも公務員倫理法を御検討中だ、そういうふうに聞いておりますが、基本的にどういう考え方で倫理法をお考えなのか。倫理法が必要であるということは、総理は何度もこの場で明らかにしておられるわけでありますが、中身については余りお聞きをしておりませんので、細かいところはまだ決まっていないと思いますが、基本的な考え方だけお聞かせをいただきたいと思います。

橋本内閣総理大臣 本日の時点におきましては、まだ作業の途中であります。議員の御指摘のとおりですので、主要な検討事項として今あるものを申し上げたいと思います。

一つは、公務員の倫理、その理念をどう書き上げるか。これは、法律によって守るべき公務員の倫理とは一体何だ、そのためにどんな規定が必要か。それから、接待、贈与等の規制につきましては、禁止事項をどのレベルで規定をするのか。法律事項とするか、倫理規定として、具体的なものは例えば政令に落とすのか。あるいは、その限度額を設けるか、設けるとすればどうするか。あるいは資産等の報告。これは、資産報告というものが倫理を守るのにつながるのかという意見もあります。これはもう正直に御披露しておきます。また、プライバシーへの配慮という議論もあります。それと、報告者の対象範囲、そして報告する資産等の範囲。

また、服務規律遵守の担保をどこに設けるか。言いかえれば、罰則を設けるのか。これは刑事罰、行政罰、両面があります。そして、懲戒処分の対象とするのかという問題点もあります。これは、国家公務員法、刑法、さらには憲法とも整合性を持たせなければなりません。何らかの、もちろん必要なんですけれども、他の先行している法律との関係の調整の問題があります。

そして同時に、一体政府部内における体制を各省庁の体制とするのか、あるいは横断的な審査委員会のような形を設けるのかという形の問題があります。さらに、特殊法人、特にこれは役職員、両方ありますけれども、あるいは地方公共団体等に対しての規定のしぶりをどうするか。こうした問題点が現在整理中の問題点であります。

岡田委員 私どももいろいろ議論したような論点を網羅的に並べていただきましたが、その中で最大のポイントは、私はやはり罰則の問題だと思います。総理は行政罰、刑事罰、両方あるという御説明で、今罰則を設けるかどうかについても検討中だという趣旨だと私は理解いたしましたが、もし罰則がなければ、それは倫理規程と余り変わらないわけですね。ただ倫理規程に書いてあることが法律になっただけだ、こういうことになるわけでありますので、きちんとした罰則で担保するというところに私は法律にする意味がある、そういうふうに思うわけでございます。

これはまだ御検討中だと思いますが、私は、やはり罰則をつけるということはぜひ総理にこの場できちっと宣言していただいて、総理がこの法律をつくるべきだとおっしゃっているわけでありますから、その骨格については、やはり総理のリーダーシップというものが要ると思うのです。罰則はつけますということを一言言っていただければ、大分実のある倫理規定になるのだなということになりますし、先ほど総理がおっしゃった、与野党で協議する、そういう一つのきっかけにもなると思うのですが、いかがでしょうか。

橋本内閣総理大臣 罰則はいずれにしても必要なんです。今も私は、罰則規定が全く要らないと申し上げておりません。ここはもう間違えないようにしていただきたい。その上で、この法律で罰則を定めるのか、あるいはそれに違反した者を例えば国家公務員法上の懲戒規定に当てはめていくのかとか、そういう法律上の位置づけの問題は確かにあります。

これは、今まさに幾つかの考え方があり得るわけですけれども、いずれにしても、罰則が要らないと思っているわけではありません。これははっきり申し上げた上で、その上でそれを、国家公務員法上の処分、あるいは刑法の担保するもの、こうしたものとどう整合させていくかという問題点は、法技術上、確かにまだ残っております。

岡田委員 国家公務員法上の処分といいますと、今回の大蔵の不祥事でもいろいろな処分がその上司あるいは本人に対してもなされましたけれども、余り意味がない。結局、それは役所の中の論理で、処分を受けても、かえってそれが勲章みたいになっている部分もある。

ですから、やはりここは刑事罰をきちんとつける、そこが私はポイントだと思うのですが、いかがでしょうか。

橋本内閣総理大臣 ですから、その違反の種類にもよると思うのですよ。例えばうっかりミスみたいなものに刑事罰をかけられるのか。私は、これはやはり問題だと思います。

ですから、そういうところは、罰則がなくて済むと思っておりませんと申し上げた上でまじめにお答えを申し上げたとおりに、私は、その処分というものは、国家公務員法上の処分につながるものもあり得る、刑事罰につながるものもあり得る、そこをきちんとブリッジしておかなければならないと繰り返し申し上げているわけです。

岡田委員 そういたしますと、確認いたしますが、非常に悪質にこの報告義務を怠ったような場合には、非常にそれが作為的で悪質な場合には刑事罰をかける、そういうふうに理解してよろしいですね。

橋本内閣総理大臣 それは怠るのじゃなくて、これはもう完全に偽りですよね、今議員が言われるのは。

怠るというのは、むしろうっかり何日までの提出を忘れちゃったとか、あれを書くのを忘れちゃったとかいうのがうっかりでありまして、私は、ですから、そのうっかりまで刑事罰というのは本当に疑問を持ちます。これは率直に持ちます。

しかし、偽りの意思を持って報告を行う、これはまさに偽りなのですから、これは罰則がかかっても当然のことではないでしょうか。

岡田委員 今総理から、偽りの報告を行った場合には罰則、これは刑事罰という意味だと思いますが、それをちゃんと整備するんだ、こういう答弁をいただいたと私は理解をいたします。

さて、その上で、今我々、政治家と株の問題というのもいろいろ議論しております。与党の中でもいろいろ議論があって、当初は百万円以上の利益を出したり損をした場合には届け出をするという話だったのが、自民党の中で議論した結果、いや、やはり全面公開すべきだ、こういうお話になったと報道で承知をしております。

私ども民友連も、今政治家と株の問題について鋭意議論中でありますが、基本的な方向はもう既に出ております。一つは、全面的に公開していこうということであります。そして、その範囲については、本人だけじゃなくて、例えば同居の家族でありますとかあるいは秘書も含めていこう、同時に、ここもやはり罰則できちんと担保していこう、こういうことでございます。

こういう政治家と株の問題について、私どもは今言ったような考え方で検討しておりますけれども、総理のお考えはいかがでしょうか。

橋本内閣総理大臣 私自身は、もともと自分がかつて在社したその会社の株を、残念ながら今その会社は他の会社に合併されまして名称が変わっておりますけれども、みずからの青春の記念のような思いで持っておりますほかに、父親から郷里の関係の株式を一部相続し、それをそのまま持ち続け、今日に至っております。

しかし、国会議員の株取引というものについてはさまざまな御意見があります。そして、過去においても随分いろいろな議論がありました。そして、その御議論の上で、平成四年末に、政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律、長い名前ですけれども、この法律が制定をされ、株式についても公開されることになりました。

私は、個人としては公開論者です。その上で、今現在、自民党におきまして政治改革本部、また与党三党におきましても与党政治改革プロジェクトチームで検討されておりまして、今議員が御指摘をされた御党の御意見等も含めて、各党各会派、さらには国会議員同士の間で十分議論していただきたいと思います。

私自身はということを申し上げましたのは、既にこの御答弁は他の委員にも申し上げておりますので、私はそう思うということを申し上げました。

岡田委員 そこで、今総理も言及された政治家の資産公開法であります。

先ほど罰則の議論をいたしまして、総理は、公務員倫理法については、偽りの報告をした場合には、そういう場合にはやはり罰則だ、こういうふうにおっしゃったわけですが、私は、この政治家の資産公開法ができたときに、本会議場で、これは変だなというふうに、賛成をしながら思ったことを思い出します。つまり、この政治家の資産公開法には罰則がないのです。もちろん、うっかりミスとかそういう場合は別として、偽りの報告をしているような非常に悪質な場合に、それでも罰則がないというのは、私は、法律としての体をなしていないし、今総理みずから、公務員の場合には罰則できちっと最終的には担保しなければいけないということをおっしゃったが、政治家だけやはり甘いというわけにはいかないと思うのですよ。

政治家の資産公開法にも同じように、偽りの報告を行ったような場合には罰則をつける、当然だと思いますが、いかがでしょうか。

橋本内閣総理大臣 私どもは、率直に申し上げまして、就任時、そして退任時、完全な資産公開をルールによって既に内閣は継続して行っています。そして、閣僚在任中の株式等の取引は、当然のことながら皆自粛をしておりますし、保有する株式は信託に付しております。そして、それは透明に、完全に行われておりますし、政務次官等にもこれが準用されていることは御承知のとおりです。ただし、これにもその意味では罰則はございません。

私は、こういうものに罰則をつけろつけろと、たまたま今議員からそういう御意見が出ましたから、今政府の中で検討している中でも、どういうふうにすればこれが遵守されるかという点から議論をしていますと申し上げましたけれども、そして、まさに人間のすることでうっかりミスというのは避けられないことですから、そうしたことまで脅かすようなものはいけないけれども、全く偽りの意思を持って報告をつくる、これは当然ながら罰則があってもおかしくないと申し上げました。

政治家の場合でも、私は、偽りの意思を持って、報告すべきことを架空といいますか、捏造するといいますか、そういうものがペナルティーを受けるということは、これは政治家であってもなくても、正確に報告するとルールで決められているものを故意に偽れば、ペナルティーを受けるのは当然じゃないでしょうか。

岡田委員 総理の御意見もいただきましたので、この問題は、政治家と株の問題と並んで、この政治家の資産公開法の罰則の問題、私どももきちんと提起をしたいと思いますので、与党におかれてもしっかり受けとめて、ともに議論していただきたい、そういうふうに御要望申し上げておきたいと思います。

さて、少し順序を変えまして恐縮ですが、景気対策を少し議論させていただきたいと思います。

総理、何度も何度も恐縮なんですけれども、総理は昨年の春に、俗に言う九兆円の負担増というものを実行されました。言うまでもなく、消費税の引き上げで約五兆円、そして所得税の減税をやめたことで約二兆円、医療費の値上げで約二兆円、合計九兆円であります。九兆円の負担増というのはかなりのものだと私は思うのですが、総理、どういう気持ちでこの九兆円の負担増というのをお決めになりましたか。

橋本内閣総理大臣 どういう気持ちと言われますと、多分反発を受けるだろうなと。しかし、少なくとも衆議院選において消費税率の引き上げというものを私は訴えて、そして当選をさせていただいた。率直に言えば、そうした思いがなかったわけではありません。

なぜなら、その税制改革について、公正で活力のある高齢化社会の実現を目指すためには、個人所得課税の負担軽減、そして消費課税の充実による税体系の見直しを提言した政府税制調査会の答申は、平成五年の十一月に行われたものでありました。そして、この中期答申の考え方を踏まえて、当時の細川内閣、そして羽田内閣を通じて、所得、消費、資産等との間におけるバランスのとれた税体系とはということで精力的な議論が行われてきたことは、議員御承知のとおりであります。そして、それは最終的に村山内閣に引き継がれまして、与党税調を中心に各界各層との意見交換などの手順を踏みながら議論が進められまして、平成六年九月に連立与党の税制改革大綱という形で決定を見ることになりました。

こうした意味では、この平成六年秋の税制改革、これは政策決定プロセス自体、その間幾つかの政権の交代とともに視点も変わりながら継続して議論をされ、その意味では、私は、今までにない、慎重な上にも慎重な、いろいろな角度からの議論があったものだと思っております。そして、平成六年十月に決定をいたしました税制改革要綱に基づいて国会に提出をされた関連法案についても、こうした意味では十分な議論をされた上で可決をされたもの、そしてそれを、言いかえれば減税の部分は先行し、消費税を引き上げる責任が私のところに来た、率直に言えばそういう思いはありました。

そしてその上で、衆議院選において私はその二%を引き上げさせていただきたいということを自分の行く先々で訴えながら選挙戦を戦わせていただき、確かに、街頭で申し上げるたびに皆さん、そこはうれしそうな顔はなさいませんでしたから、その上で我々に政権を与えていただいたということから、これを推し進めていかなければならないのが私の役割だと考えたことは事実です。

また、これは消費税だけではなく、御承知のように医療保険改革の問題もあります。この問題についても、社会保障構造全体が、まさに高齢・少子社会というものに今はっきりと足を踏み込んだ日本の中で、改革をしなければならないものであることは皆さんが認めていただいていましたし、その上で医療保険審議会等で十分な議論をし、まとめられましたものを受けとめて進めていくのが役割、そのように考えておりました。

岡田委員 一つ一つをとれば、今総理御説明のとおりだと思います。

消費税の引き上げは、個々の自民党所属の候補者がどうであったかということはひとつおくとして、自民党としては、あるいは政府としては、消費税の引き上げを訴えて衆議院選挙をやった。我々は据え置きを主張いたしました。選挙の結果は御案内のとおりであります。選挙で過半数はとれませんでしたけれども、自民党が勝ったということで引き上げをした。一つの理屈だと思います。あるいは、所得税の減税を去年の春やめるということは既定方針だった、決まっていたことだ。医療費も、健康保険組合、経営が大変ですし、上げないと赤字組合が続出する。一つ一つはわかるのですが、しかし、それはいわば官の論理じゃないかなと私は思うのですね。そこにもう一つ、政治家の判断というものがあってしかるべきだったんじゃないかと私は思うのです。

非常にわかりやすい話をいたしますと、九兆円というものがどういう位置づけを持つか。国民一億三千万であると、一人七万円であります。五人家族で三十五万円であります。年間の可処分所得の中で三十五万円の可処分所得が減れば、それは消費者は財布のひもをかたくするのは当たり前であります。ですから、今の景気の後退というものを招くことは、この九兆円の負担増を決めたときにもうはっきりわかっていた。なぜそこに総理は思いをされなかったのか。

一つ一つは、それはそれぞれの論理でわかりますけれども、全体として一遍にやったときにどういうことが起こるかということは、当時としてわかっていたはずだと思うのです。私は、そういう中で、例えば二兆円の所得減税をやめるということを少し先送りしようとか、いろいろな選択肢があり得たと思うわけですが、いかがお考えでしょうか。

橋本内閣総理大臣 歴史にもしは禁物ということが言われますが、確かに、もしということになって議論すれば、私はいろいろな議論、御批判もあることを決して否定をいたしません。その上で、今ちょっと手元に、もう一回確認しようとして見つからなかったのですが、確かに、その消費税率の引き上げの影響は我々が予測した以上に大きく出たということは、国会でも御答弁を申し上げました。

すなわち、昨年の一―三月期に駆け込み需要が予想よりも多く発生をした、それは四―六でまさに予想よりも落ち込み幅が大きく出てきた。ただし、七―九において消費性向が回復の方向に向かっていたことは数字としてお認めいただけると思うのです。言いかえれば、消費税の影響というものは四―六には確実にあると予測をしておりましたが、その予測は予測幅より大きいものでした。しかし、家計消費支出等を振り返ってみましても、七―九は改善に向かっておりました。そういうことも事実としては申し上げておきたいと思うのであります。

   〔伊藤(公)委員長代理退席、委員長着席〕

岡田委員 私は、今の説明は、少し違う考え方を持っております。七―九に若干消費性向が上がったことは統計が示しておりますけれども、私は、その七―九の間に生産がやはり落ち込んできた、そのことが回り回ってまた消費性向に影響してきた、そういう面は見逃せないと思うのです。

総理は、アジアの経済の破綻というものが、あるいは金融の国内の破綻というものが消費性向に影響を及ぼしている、そういうお考えだと思いますが、私もそのことは否定をいたしませんが、消費税の引き上げ、あるいは所得減税をやめたこと、そういう影響も非常に深刻だというふうに思います。だからこそ、総理も二兆円の、一度はやめたはずの所得税の減税を、少し形が違いますけれども復活されたんだ、そういうふうに思うわけでございます。

そこで、経済企画庁長官にお聞きをしたいと思います。端的にお答えをいただきたいと思いますが、企画庁長官はたびたびこの場で、桜が咲くころには景気は回復基調に乗るということを繰り返しておられるわけでございます。具体的な中身は、長官にお話しいただくと少し熱弁を振るわれますので、私の方で要約をしておきたいと思いますが、今までの答弁では、来年度予算案が、あるいは関連法案が順調に通過をして、そして四月からいわゆるクレジットクランチの問題、つまり貸し渋りが早期是正措置が三月末で終わるという形でなくなるという状況を考えると、全体としては順調な回復軌道に乗ってくる、要約しますとこういうふうにお答えになっていると思います。

それでは、その桜の咲くころに景気が回復基調に乗る、あるいは乗らない、そういう判断はいつされますか。

尾身国務大臣 経済は現在停滞しているという状況にあるというふうにかねがね申し上げております。私が桜の咲くころに景気が回復し始めると申し上げましたのは、幾つかの要因がございまして、今委員がおっしゃったのはその一部でございます。

既に行いました対策、二兆円の特別減税あるいは九年度補正予算、金融システム改革法の施行などが二月、三月に行われるわけでございます。そして、十年度予算及び法人税の減税等を含みます税制改革等の法案を順調に通していただけるならば、四月の一日から十年度のお金が出てくる、減税も実現をされるということになります。

それに加えまして、昨年の十一月に決めました電気通信とか情報あるいは土地の有効利用等に関する規制緩和の法案が、現在ほとんど提出をされておりまして、これが通過するのが四月、五月ごろであろうというふうに想定をしております。

そのことに加えて、今のお話のとおり、いわゆる銀行の貸し渋り現象は、早期是正措置の実施が四月一日でございますから、それ以後は緩和されるであろう。以上のことを全体として見て、四月からは徐々に回復軌道に乗り始めるというふうに申し上げている次第でございます。

もとより、私ども、経済の現状を正確にいつもいつも把握をして皆様にお伝えすることが私どもの責務でございまして、今後とも、景気の動向等については注意深く見きわめていきたいと考えておりますが、これが統計にあらわれますのは、やはり一カ月、二カ月のタイムラグがあることも事実でございまして、四月の数字は五月、六月ごろには出てくるだろうというふうに考えている次第でございます。

いずれにいたしましても、経済は生き物でございまして、私ども、金融、経済の状況に応じて適宜適切に経済運営の実現を図ってまいりまして、政府の経済見通しの一・九%という数字はぜひとも達成をしたいと思っておりますし、また達成できると考えている次第でございます。そのためにも、十年度予算及び関係法案の三月いっぱいでの通過をぜひともお願い申し上げる次第でございます。

岡田委員 経済企画庁長官、若干表現を変えられましたね。今、四月になると回復基調に乗り始めるとおっしゃいましたね。従来の答弁は違うんですよ。桜の咲くころには経済は順調な回復軌道に乗ると考えていると。乗ると、乗り始めるは大分違いますね。

それからもう一つは、経済は生き物だという言葉を非常にたくさん挟まれるようになりました。若干私は景気認識について、政府の景気認識が違ってきているんじゃないか、変わってきているんじゃないかなという感じをいたします。

今企画庁長官がおっしゃったように、四月のいろいろな景気の指標が数字として出てくるのは、大体五月末から六月初めであります。例えば鉱工業生産指数、速報値が出るのは、四月の数字が出るのは五月の末、二十八日ぐらい。小売の販売額もそうであります。あるいは住宅の着工も五月末、失業率も五月末であります。設備投資をあらわす指標である機械受注については六月の上旬、こういうことでありますから、逆に言いますと、基本的に政府としては、桜の咲くころには景気は回復基調に乗るというふうに思っておられて、それがそうじゃなかったということがわかるのが五月末から六月初めということでありますから、少なくともそれまでの間は補正予算などという話は出てきませんね。いかがですか。

尾身国務大臣 私が初めて公式に、桜の咲くころに景気がよくなり始めるというふうに申し上げましたのは、一月七日のワシントンにおける講演でございまして、英語で言いますとビギン・ツー・ピックアップという表現を使っております。したがいまして、私自身はその表現を変えているつもりはございません。

それから、経済は、そういう意味で数字的にはややおくれると思いますけれども、いろいろな状況を見ながら適切に対応していくというのは総理の御方針でもありますし、私どもも、適宜適切に対応をしていきたい、そのように考えている次第でございます。

岡田委員 ワシントンの言い方と国内の国会での言い方が少し違うんではないか、そういう気もいたしますが、しかし、いずれにしろ、桜の咲くころに景気が回復基調に乗る、あるいは乗り始めるという答弁は、聞いているあるいはテレビを見ておられる国民の皆さんも非常に白けて聞いていると思うんですね。

例えば、きのうの夕刊各紙は、自民党は十兆円の景気対策を決めた、あるいは固めた、こういう報道を一面トップでみんな報じているわけであります。政府の方は、いやいや、そうじゃありません、もう景気は順調に回復していくんですと言い続けている。自民党の方は、いやいや、十兆円の景気対策は必要なんだと。その前提として、景気の実態が深刻であるという認識があると思うんですね。どうして与党と政府の間でこれだけギャップがあるんですか。

例えば橋本総理は、その十兆円の景気対策を自民党が固めたということについて、どういうふうに説明されますか。

尾身国務大臣 私自身は、ここで景気がいいというふうに一言も申し上げておりません。景気は停滞をしていて厳しい状況にある、そういう意味で、私ども、国民の皆様の景気の実感と私どもの景気に対する認識については感覚的な差はない、非常に厳しい状態であるということはしっかりと認識しているつもりでございます。

橋本内閣総理大臣 私は今まで、党の中で議論、これは全く私は封ずるものじゃない、むしろ問題提起としていいことだということを本委員会でも御答弁をいたしました。しかし、要らざる誤解を生じることも望ましいことではない。

昨日、委員会で申し上げましたとおり、委員会が終わりました後の党の役員会において、いたずらに政府・与党が異なる政策をとっているかのような誤解を与えることは避けなければならない、発言にはきちんと注意してもらいたい、政府・与党一体でなければ困るということを申し上げてきたばかりです。

岡田委員 総理が幾らおっしゃっても、どんどんいろんな発言が相次ぐ。

日曜日のテレビ討論でも、山崎政調会長は、民放、NHK含めて、十兆円やりますとか、私は言ったことは必ずやりますとか、何度も強調されていましたね。あるいは、きのうの夜、与党三党の幹事長が集まって、そして予算の衆議院通過前に三党で景気対策を検討するということを合意した、こういう報道もあります。

総理が幾ら、自民党と政府の間で意見が違う印象を与えるのは困るとおっしゃっても、現実は違うじゃないですか、どんどん進んでいるじゃないですか。いかがですか。

橋本内閣総理大臣 今、日曜日、政調会長がこう言ったではないかということを言われました。私は昨日、昨日は月曜日です、昨日、党の役員会にやっと出席する時間を得て、そういうことを言いましたということを申し上げました。

その上で、政党同士の幹事長が話し合おうとされる、私は、これは幹事長は幹事長としての職責でそれぞれ動いておられるものと思います。そして政府は、何よりもこの十年度予算を早く通していただきたい、関連法案を早く通していただきたい、それがすべての基礎であり、年度の切れ目にむしろ予算が切れるというような事態を避けさせていただきたいということを繰り返して申し上げてきました。

けさ、閣議の前に経済四団体の皆さんにお集まりをいただいて、貸し渋りの状況その他を、それぞれの団体でお集めになりました話を聞かせていただきました。そのときにも、とにかくまず早く予算を通してくれというお話がございましたことを御披露いたします。

岡田委員 端的に聞きたいと思いますが、総理は補正予算をお考えですか。

橋本内閣総理大臣 今考えていることは、一日も早く、御審議をいただいている平成十年度予算並びに関連法案を、税法も含め、年度にまたがらないように通過、成立をさせていただきたいということであります。

岡田委員 私の質問に対してお答えいただけないわけですね。今、この予算を早く通すことが大事だ、それは結構です。しかし、補正予算をその後考えているのかどうかと私は聞いているわけです。これは非常に大事なことなんですよ。

総理は、憲法八十六条を御存じですか。「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」この規定は、これは法律を国会が決めるのと同じように、政府がつくった予算の案を国民を代表する国会が議論して、そしてそこで承認を与えるという民主主義の根幹であります。

今総理がやろうとしていることは、言を左右にして補正予算をやるともやらないとも言わず、とにかく今の予算を通せ。しかし、その後補正をお考えなのかお考えでないのか、あるいはその大前提として、景気について、おっしゃるように春先に桜の咲くころに回復するというのか、それとももっと深刻なのか、そういうことがきちんと議論できなければ、この国会でのこの議論は何なんですか。そういうことが、私は政治というものに対する国民の不信を招くし、そして、国会というものを非常に地位をおとしめていると思うんです。そういう感覚はありませんか。

橋本内閣総理大臣 なぜなんでしょう。私どもは、現在、平成十年度予算を提出して、それに関連する予算関連法案を提出して、また、法人課税、証券関連税制、土地関連税制等、制度減税をお願いする法律案を含めて御審議をお願い申し上げております。年度がわりは三月三十一日でありまして、私どもとしては、全力を挙げて、これが年度の切れ目を生じないように御審議を願いたいとお願いしております。

これらの施策は、それぞれが相まって景気に影響を与えるものばかりであります。その後をどうこうというよりも、まず、これをやらせていただきたいとお願いをしている。政府の立場はそのとおりであります。

岡田委員 私は、基本的に間違っていると思います。例えば、この本予算、出てきたのはいつですか、二月ですよ。そのころにはもう大体わかっていたじゃないですか。どうして本予算を修正する勇気を持たなかったんですか。どうしてこんなデフレ予算を出して、しゃあしゃあとして早く通せ、後のことは知らない、そんな無責任なことが言えるんですか。いかがですか。

橋本内閣総理大臣 その無責任というお言葉は、ちょっと私は非常に残念に思います。

少なくとも、昨年末、政府は、与党とともに真剣に予算編成をいたしました。そして、例年よりも早く国会を召集させていただき、お願いをし、九年度補正予算、特別減税、そして金融システム安定化のための対策の御審議をお願いいたしました。そして今、それらの施策はそれぞれに実行段階にあります。

そして補正予算の中には、申し上げるまでもなく、いろいろな御批判がありましたけれども、一兆円の公共事業並びに一兆五千億円のゼロ国債があります。こうしたものが平成十年度予算に切れ目なくつないでいけるように、そうお願いを申し上げるのが私は無責任だとは思いません。

岡田委員 無責任という言葉が言い過ぎであれば取り消しますが、私がそういう言葉を使いましたのは、とにかくこの予算が出てきたのが二月十六日、所信表明なんですね。それからの話であります。そして、私には、とにかく今の予算が最善である、これを通せとおっしゃるその総理を見ておりますと、去年の春の九兆円の負担増をやってしまったことに対する責任の回避、現在の不況を招いたことに対して、もし本予算を増額修正すれば、そういうことの責任が全部かぶってくる、だから、そういうものは認めないためにこの欠陥予算を通せ通せ、こういうふうに言っているように見えるから、私は先ほどの表現を使ったわけであります。国民はみんなそう思っていますよ。

総理、いかがですか。

橋本内閣総理大臣 今議員がお触れになりませんでしたけれども、冒頭私に聞かれたのは、どういう気持ちでと言われましたから、まさに、消費税二%の引き上げを国民にお願いする前にどのような経緯があったか、そしてその中で、どんな思いで衆議院選において私はそれを国民に訴えたか、そうしたことを申し上げ、その上で私は、昨年の一―三、四―六それぞれにおいてその影響幅を、確かに我々は一方では過大に、一方では過小に見積もりましたということも認め、七―九においてその数字が家計調査等についても上昇に転じていたことも事実として申し上げました。そういう中で進めてきたものでございます。

岡田委員 私は、先ほどの繰り返しになりますが、全体で九兆円、一人七万円、五人家族で三十五万円という負担増が景気の後退を招かない、そういう発想そのものがリアリティーを欠いている、そういうふうに思います。

さて、私は、ある意味で総理が非常に追い詰められているんじゃないかと思うんですね。先ほど党との関係をお話しになりましたが、総理がどういうことをおっしゃっても、党の方はどんどん景気対策を打ち出しているじゃないですか。先ほど、きのうの夕方、党の幹部とお話し合いになったとおっしゃいますが、であれば、きょう以降、党の幹事長や政調会長は景気対策について発言がなくなるんですか。私は恐らくそうじゃないと思うんですよ。

そして現実には、政府の方は、早く予算を通せ通せ、景気は春ごろよくなる、そう言い続ける。自民党の方は、やれ十兆円だ、あるいはそれ以上の景気対策をどんどん打ち出す。結局、景気対策を決めているのはだれなのかという議論です、これは。それは自民党の幹事長や政調会長が決めているんじゃないか、総理が知らないところで決まっているんじゃないかという、私は、橋本総理にとって非常によくない状況になっている。

それは同時に、政府が案を出して、そして国会の場できちんと議論をしていく、そういう手順にも明らかに違っている、こういう状態が私は望ましくないと思いますし、総理御自身もそういう形でどんどん追い詰められているんじゃないか、そういうふうに思いますが、いかがでしょうか。

橋本内閣総理大臣 追い詰められているかどうかというのはむしろ主観の問題でしょうし、私は、就任して以来、余裕のある気持ちというのは味わう暇を全然持たずにこの二年余りを過ごしてきました。

そして同時に、私は、臨機応変の措置が、経済政策というものの中で金融あるいは経済情勢、国際市況等を考えたときに必要だということも今まで申し上げてきました。議員はよく御承知でありますから、あえて私はその言葉を繰り返しませんでしたけれども、私どもは、そうしたそのときそのときにおける対応の必要性というものと、財政構造改革という中長期の目標との間にはタイムスパンのあることだということも繰り返して申し上げてきました。

そして現在、景気回復への努力が必要であることを否定される方もないと同様に、財政構造をこのままでいいとおっしゃる方もないはずです。その範囲内においていろいろな議論がこれからも行われるということを、私は別にそれが悪いことだと思っておりません。

ただ、政府・与党の間で意見が食い違うかのごとき姿はよくない、これは私は、きのう御指摘を受けて素直にそう思いましたから、役員会において、政府・与党がばらばらであるような印象を与えることはよくない、よく相談しながら物事を進めていこうと。それは政党政治として私は当然のことだと考えておりますし、同時に、内閣として十年度予算の早期成立を一日も早くとお願いすることがおしかりを受ける材料だとは思いません。

岡田委員 私は、臨機応変の景気対策というものを否定しているわけではありません。むしろ、それが必要だという立場であります。

今の総理のお話、党と政府が歩調を合わせなければいけない、それはそのとおりだと思います。であれば、どっちに合わせるのかという問題ですね。私は、今の慎重な、あるいはよくわからない政府の立場に合わせるのじゃなくて、今自民党でいろいろな発言がある、今の景気が非常に深刻だ、だから景気対策が必要だ、あるいは財政的な措置も要る、そういうところに、総理も本当は思っておられると思うのですが、この委員会での答弁も合わせていただいて、そういう中から議論が始まるのじゃありませんか。

我々は、もう既に六兆円の減税というものを打ち出しております。どうも聞くところによりますと、自民党は公共事業中心だとおっしゃる。それは議論があっていいと思います。我々も減税だけに固執するわけではありません。しかし、そういう議論が、この国会の場で総理を相手にできないということは、私は非常に残念なことだと思う。

あるいは、今、公共事業がなぜ中心になるかということの理由として、財政構造改革法があるからという話が出てくる。我々は、財政構造改革法を改正することに具体的な提案をしていますよ。別に後ろを向いているつもりじゃありません。

そこまできちんと我々野党が言っているにもかかわらず、ただ単に形式論で、いやいや、春先には景気はよくなるとか臨機応変とか、いろいろなことは言われますけれども、結局は早く予算を通せ通せということでは、本当に私はこの国会の議論というものが形骸化している、これは政治家が自分で自分の足を縛っているようなものだと思うのですよ。いかがですか。

橋本内閣総理大臣 前にも議員と同じような議論になり、そして、野党議員の方の御質問の中の評価すべき点を、私は素直に立法政策上一つの判断と評価をし、その上で政府としての考え方をお示しした、そこから出た論議について御報告をいたしたことがあります。

私は、政府が、積極的に展開をされました質問される方の御意見の中に評価すべきものがあれば、素直に評価をし、同時に、それに対してどういう問題点を政府としては感じるということが、せめて答弁で許されるぐらいの論議であってほしいという思いはございます。

岡田委員 総理が言及された問題は、結局、従来の補正は考えていないという自民党国対委員長の、その趣旨と矛盾している。だからどうなんだということを言っているわけであります。だから、補正は実は考えているんだ、そういうふうにおっしゃれば、そこで終わった話であります。それをあくまでも否定し続けるから、議論がそこで切れてしまうわけであります。

時間が参りましたので、ここで終わりたいと思いますが、私は、総理にぜひ、まず大前提として、国の指導者として、今までの政策の中に幾つか間違いがあったということを率直に認めていただきたいと思います。だから謝れなどということを私は言うつもりはありません。率直に認めた上で、だからこういった景気対策が必要だ、そういうふうに提案していただければ、我々野党として、それを真摯に受けとめて議論していきたいと思います。そういうことがないから、この予算委員会での議論が非常にわかりにくくなっている。そしてそのことが、いろいろな意味で、日本の政治そのものの不信を招いているし、あるいは政治家そのものを国民から見たときの立場というものをおかしくしている。そのことを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

ありがとうございました。




TOP