『ナマモノ』
「選挙プロフィールですが、これまで通り、趣味は『DVD映画鑑賞』と『カエルの置物収集』ということでよろしいでしょうか」
「そうねぇ......あと、『カメの飼育』も加えといて」
総選挙を目前に控えた昨年夏、私の問いに対し、岡田はそう返答しました。カエルの置物については岡田関係者には周知の事実でしたが、カメの話は私も初耳。聞けば、小学生の次男坊と一緒にエサやりに精を出しているとのこと。
「変わった趣味の人だな」
私は内心そう思いながら、プロフィール用紙に記入しました。
それ以来、DVDとカエルとカメの3点セットを岡田の趣味として公表するようになりましたが、その時点では、「岡田=カエル好き」がこれほどまでに市民権を得ることになるとは、知る由もありませんでした。
しかし、岡田が民主党代表に就任して状況は一変。これまで、事務所の窓際に骨董品のように陳列されていた30余のカエルの置物がTVデビューを果たし、参院選では民主党のキャラクターグッズにも採用されました。
そんなある日、とある環境NPOの方から、『カエルの生息状況』と題するレポートが事務所に届けられました。
「確かにカエルの置物は集めているが、ナマモノは......。ここまで認知されているのは喜ばしいことかもしれないが、それにしても......」
私は、急速に拡大する「岡田=カエル好き」とのイメージが、有権者の皆さんにどのように受け取られるのか若干の不安を覚えつつも、「ご参考まで」とのメモ書きを添えて、そのレポートを岡田の未決裁ボックスの中にもぐり込ませました。
しかし、数日後返却されてきた山積みの決裁済み資料の中に、そのレポートの姿はありませんでした。あくまでもカエルの「置物」を集めているにすぎないと信じていた私は、ひとりつぶやきました。
「置物だけではなかったのか......」